反比例

 就職を決めてから、既に2週間が経つ。次の目標がイマイチ掴めず、戸惑う毎日だ。確かに、残りの一年間で体を鍛えながら、本を読み、じっくりと人生について考え、入社してからは仕事もそれなり、恋愛もそれなりに安定的にやっていける。しかし、本当にこれでいいのだろうかと思ったりもする。
 気づけば、私の仮説は全てゆりかがそばにいる前提で考えていた。これは、彼女が望む、ゆとりがあって、安定的な生活を提供するための条件であるに過ぎない。しかし、現実では彼女はもう私のそばにはいない。よって、当然ながらこのような条件が揃えだって、私が満足するはずもない。

 彼女の世界の住人になることにはもう疲れ果てた。どれだけ努力して成果を出しても、評価されない。どれだけ彼女への思いが強くても、迷惑にならないように我慢しないといけない。彼女と一緒にいた時の幸せと反比例するように、心苦しい。愛しさから生まれるこの悲しみ、どうかにかしたいものだ。

 夜が明け、気づけば既に5時だ。
 彼女の夢の中に、私が出てくることはまだあるだろうか。


 

 


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