「越境」しようとして失敗し、自分の長所を見つけた話

こんにちは。ツクロアの秋葉ちひろです。

この記事はDevLOVE Advent Calendar 2014 「越境」の12月14日担当となります。

はじめてDevLOVEのAdvent Calendarに参加しましたが、DevLOVE関連では、DevLOVE甲子園2013DevLOVE現場甲子園2014 東日本大会、そしてプレイバックDevLOVE現場甲子園で発表させていただきました。


ちなみに、わたし自身はいろいろなことに興味を持ってしまうデザイナーでして、わりとエンジニアもりもりのところにも乗り込んでいくタイプです。

今回のテーマ、「越境」で超個人的に思うところを書いていきたいとおもいまーす。

自分はあるていどすでに越境しようとしていると思う

「越境」は漢字のとおり境目を越えることですよね。

単純な話だと、たとえば、

・デザイナーだけどコードもかきます
・デザイナーだけどディレクションもします
・エンジニアだけどUIきれいにつくります
・エンジニアだけどUX改善やサービスデザインもします
・アイドルだけど女優もします

といった感じでしょうか。
この観点でいうと、自分は

・デザイナーだけどコードもかきます
・デザイナーだけどディレクションもします
・デザイナーだけどUX改善もします
・デザイナーだけど踊れます

というものにはあてはまると思っていて、それでいうとすでにあるていど越境していると思っています。
また、幸いにも挑戦するのには苦労しない性格で、思い立ったらやってみる、というのがわりとかんたんにできるタイプです。

越境の行き着く先はスーパーマン?

しかしこの「越境」、ふっと気を抜いてしまうと「すべての分野の知識を網羅しておいたほうがいい」ということに結びつきやすくなってしまいます。
それはたとえば、

・デザインもするしプログラムもするしアプリもつくります
・サーバーサイドも自分で構築します
・サービスデザイン・企画を考え、ディレクションやスケジューリングもします
・写真の撮影や動画の編集もやります
・CGもつくります
・絵やイラストもかくしデッサンもやります
・Eカップでウエスト59cmです

のような、行き着く先はスーパーマンかっ!と。
わたし自身が自分でなんでもやりたい性格なので、そこまでの理想を描いてしまうのですね。

なんでもかんでもできることがすごい?

ともすれば、なんでもかんでもできるということがさも「神である」と崇められてしまいがちで、わたし自身もそう思っていました。
いろんなことができるのがすごい!と。

そして、そろそろ次の越境をしてみようかな〜と思っていたときに、ソニックガーデンの倉貫さんの『「納品」をなくせばうまくいく』を読みました。
また、デザイナーがアジャイル開発に携わるとどうなるのだろうという興味も前から少し持っていました。

ここで、タイミングよくアジャイル開発にデザイナーとして入ってみないかというお誘いをいただき、とあるプロジェクトに入りました。
ここで、新たな「サービス企画・デザイン」という分野への越境ができるかな!?と期待をふくらませていたのですが、その考えは打ち砕かれました。

具体的になにが起こったかということは書きませんが、学びとして得たものがありました。

0→1にするのか、1→100にするのか

DevLOVE甲子園などでわたしが発表していた内容として、次のことが要点としてありました。

デザイナーに依頼がくるときには、すでに仕様も決まっていて、画面構成や画面遷移も決まっている場合もあり、「デザイナー=ただのパーツ作成やさん」になっていることがよくある。
でも、本来はデザイナーも企画の段階から入り、画面構成などもいっしょに考えていくべきだ。

こういったことを啓蒙していたときは、実はわりと軽い気持ちでした。
デザイナーも企画の方向性から入っていかなければ、いいものは作れない!ということをあまり根拠もなく言っていました。

しかし実際に企画の段階から入ってみると、自分の無力さに絶望したわけです。

企画の段階は「0→1にする」というフェーズにあたり、サービス自体の方向性や核となるキャッチコピーを決めていかなければなりません。
普段からいろいろなことを分析して考え、さまざまな知見を集めて、さらにそれに自分のアイデアをプラスし、サービスとして方向性を決めていくわけです。発想力も重要です。

わたし自身あまりユーモアのない人間なので、このフェーズがかなりきつかったですというか、なんの役にも立たなかったです(笑)。
チームメンバーにただ賛同していただけかな〜と。

それに対して、次の「1→100にする」というのは、サービスの企画や方向性が決まったらそれを実際に形にしていくフェーズ。
ここで必要な情報は次の5つで、これさえきちんと決まっていれば、それを形にするのは苦ではありません。
・だれが
・だれに対して
・なんのために
・なにをしたいのか
・その後、どうなりたいのか

ヒアリング力と、それを形にする力は自分にはすでにある

「1→100にする」のフェーズでは、ヒアリングが重要です。
このヒアリングをすっとばして「ディレクターからいわれたとおりにつくる」というデザイナーは全滅してしまえばいいと思っており、それについては拙著『Webデザイン・コミュニケーションの教科書』にいろいろと書いているのですが、それぐらいヒアリングは重要です。

また、それを実際に形にする力が必要です。
クライアントの要望どおりのものになるかどうかはこのデザイナーにかかっています。
ヒアリングした情報を自分のなかで噛み砕いて理解し、ときには組み直して、形にするわけです。

このフェーズについては自分はすでにあるていど自信があるなということを認識しました。

企画に入るべきかどうか?

これはプロジェクトによるのでなんともいえないかもしれませんが、今回の場合は企画の内容自体が、まったく自分の興味とあわないものでした。
たとえば、わかりやすいようにゲームに置き換えていってみると、ぷよぷよやテトリスなどのようなパズルゲームが好きなのに、メタルギアソリッドのような3DアクションRPGをつくらなかればならなかった、というのに近い状態です。

このような場合、企画に入ったところで「ここでこれをやると楽しいんじゃないか?」という自分の意見がまったく出てきません。
むしろ自分自身が「やりたくない」と思ってしまっているわけですよ。
チームのみんなは「これをやると楽しいんじゃないか」という意見を出し合っているのに、自分は「(う〜ん、そうかもしれないけど自分ならそんな演出いらないな〜)」と思ってしまっている。

けっこうつらかったです。

では逆に、自分の興味と合うようなサービスの場合はどうなのでしょうか。
たとえば先の例でいうと、メタルギアソリッドが大好きな人が同じような種類のゲームを考えていくとなると…
それなら前向きにいろいろと考えられるのかもしれません。

これがいいのかどうかはわかりませんが、企画自体が自分の興味とあわない場合は、むりやり企画の段階から入らなくてもいいのではないかなと考えています。

企画の方向性は、しかるべき人たちで決めていただく。しっかりと。

企画が決まれば、その事情をきちんとヒアリングし、それを形にしていくのがわたしの仕事です。
逆にいうと、コンセプトや骨子がちゃんとできていれば、そこからの肉付けはわりと容易です。

ちなみにこの形にするという「1→100にする」のフェーズでは、あまり自分に興味のないものであっても、きちんとヒアリングができれば、それを形にすることは苦ではありません。
デザイナーとして、それぐらいの引き出しの大きさはあるということかな。

ということで

個人的な話を最後まで読んでいただきありがとうございます。
みなさんのブログがわりと越境がんばろうがんばろうという内容だったので、ちょっと失敗した話を入れ込ませていただきました。

しかし、変に意気込んでいたところが消えたというか、あきらめがついたというか。
この経験をとおしてモヤモヤは消え去り、次へ進むことができました。

今後も、「1→100にする」をメインにした専門家でありつつ、いろいろな知見は増やしていこうと思います。

明日はproxyさんです!(のちほどリンク貼りますぜ)

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