Google系のアプリで使われている英単語がいろいろと考えられている
みなさんは気づいているだろうか。実は、前から気になっていたのだけど、あまりこれに関する記事を見たことがない。
Google系のアプリで使われている英単語が、かなり絶妙だと思う。
いちばんはじめに気づいたのは、Gmailアプリを使っていたときのこと。
メールを作成して書いていて、うーんやっぱりやめよう、と思ったときに押すボタン、これが「discard」なのである。日本語でいうと「破棄」だ。
なぜ「delete」ではなくあまり聞き慣れない「discard」なのだろうか。(もしくは、英語ネイティブの方はよく使うのだろうか。。)
ここで、少しGoogleのラベリングに対して興味をもつようになっていた。
何かを消すときのメニューのラベル
まずは日本語で考えてみよう。
何かを消すときには、基本的には次のラベルを使うことが多いのではないだろうか。
・削除
・ゴミ箱
・破棄
・消去
おそらく上から順に使う頻度が多く、ほとんどのアプリではオーバーフローメニューの中に「削除」という項目が見られる。
- 削除
「削除」自体は名詞であり、アクションのラベルとしては本来は「削除する」という動詞の形態にするのが正しい。
だが、アプリのラベルということを考えると、すべてのアクションを動詞にしてしまうとかなり冗長になることからあまり推奨されておらず、体言止めのようにすっきりと使うほうがよい。
- ゴミ箱
これは、いわゆる「ゴミ箱フォルダに移動する」のような雰囲気が省略されて使われていることが多い。
また、ゴミ箱があるということは、「まだ完全に消されるわけではなく、あとでゴミ箱から復活できますよ」ということも案に示されている。これは、パソコンでも同じなので、概念としては容易に理解できるだろう。
- 破棄
「破棄」というのは、すでにあるものを消すというよりは、「今つくっているものがいらなくなったので永遠に消し去る」というニュアンスが強い。
しかし、この「破棄」というのは、Gmailアプリのメール作成中にしか見たことがない。
- 消去
「消去」は最近のアプリではほぼ見ない。。
なぜだか「フロッピーディスクを消去しますか?」というフレーズが浮かんでくる。ひとむかし前のラベルかもしれない。
破棄について
破棄については、これはうまい単語をつかったなと感心した。
先も述べたが、「破棄」というラベルはGmailアプリのメール作成中にしか見たことがない。他のアプリでなにかを作成しているときなどは「キャンセル」というラベルによってその工程をやめることが多いからだ。
これには、
・Gmailはメールアプリであるということ
・Gmailは自動保存をしていること
という理由があるからだと思う。
まず、メールアプリであるということは、たとえばEvernoteのように書いたものを貯めて保存していくような場ではない。
つまり、書いたものは送信してしまえばもう即アーカイブでよいのだ。
送信するまでに何度か推敲を重ねる際に「保存」という概念があるが、あくまでも一時保存である。しかもGmailにはもはや「保存」などというメニュー項目は存在しない。
書いたら即自動保存しているか、もしくは作成画面を離れたときに即自動保存しているからだ。
ここに、「キャンセル」でもなく「削除」でもなく「破棄」という単語が使われた理由があると思う。
これが「破棄」ではなく「削除」になっていると思うと、まあ意味はわかるのだが、「破棄」と比べるとたしかにちょっとニュアンスが違うなという気がする。
これが英語版だと「Discard」となっている。
ん?Discard?聞いたことない。
単純に「破棄する」を英語で調べると、「destroy」がいちばんに出てくる。しかし、なんとなく破壊的なイメージがある。
逆に「discard」を調べると、次のように書かれている。
1 〈不用な物・事を〉捨てる,放棄[廃棄]する,…を退ける,除く;〈人を〉見捨てる
discard old clothes
古着を捨てる
The plans were discarded.
その計画は放棄された.
(goo辞書)
確かに破棄するという意味が含まれており、「不用なものを」というのがポイントかもしれないと思った。
ちなみに、2番目の意味には
2 《トランプ》〈手札を〉捨てる.
というのがあり、やはり「カード」に起因しているのかと思った。
そうすると、AndroidのUIでメジャーな「Card UI」をやっぱり思い出す。
メールのひとつひとつも「カード」と捉えてるのではないだろうか。
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