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瀬戸染付工芸館に行こう!

染付とは?

染付とは一般的に酸化コバルトなどを含む藍色に
発色する顔料「呉須(ごす)」で絵付けをした
焼き物を指す。「呉須」は江戸時代初期に中国
から有田に伝わったとされているが、瀬戸は磁器
の原料になる土だけでなく、顔料の「呉須」も
産出する世界でも稀な焼き物の産地である。
瀬戸の染付の特徴は、自然を写実的に描く手法を
主流とし、筆一本で描く青一色の濃淡による表現
は水墨画のような趣がある。

瀬戸染付工芸館の概要

瀬戸染付工芸館は瀬戸染付の普及と啓発を行うこ
とを目的に平成12(2000)年「瀬戸市マルチメディア伝承工芸館」として開館した。尾張瀬戸駅から東に徒歩では20分程度、瀬戸の昔ながらの狭い坂道の途中にある板壁と土壁でできた風情のある建物である。そのユニークな外観は、第8回愛知まち
なみ建築賞を受賞。ちなみにこの年は瀬戸市品野
台小学校も同賞受賞している。
平成26(2014)年に現在の「瀬戸染付工芸館」に
名称を変更した。

瀬戸染付工芸館全景と            
珪藻土の壁が味わい深い後ろ姿

瀬戸染付工芸館の施設内容

瀬戸染付工芸館は本館・交流館・古窯館の3つの
建物から成り立っている。
本館は1階が事務室と展示室で染付を学んだ修了
生や研修生の作品を展示販売している。2階は子
どもから大人まで気軽に染付体験ができる作業場
になっている。筆者も何度か染付体験をしている
が、豊富な種類の器から自由に選んで好きな柄を
絵付する作業は、思ったように描けなくとも楽し
い時間だ。スタッフの方もいつも親切にアドバイ
スしてくださり、静かに集中できるとても居心地
のよい場所である。
本館の向かいにある交流館は、元々ここにあった
窯屋の細工場を復原した建物で、1階が研修生の
工房、2階が企画展展示室になっていて伝統的な
染付の作品を見ることができる。工房や企画展は
自由に見学できるのも魅力だ。
本館隣の古窯館は昭和39(1964)年まで実際に使用
されていた窯で、登り窯の一種。瀬戸で完全な形
として唯一残った古窯で、平成9(1997)年に「瀬
戸市指定文化財」、平成19(2007)年には経済産業
省より「近代文化産業遺産」に認定されている。
研修生の工房の窓は古窯に面しており、古窯を見
ながら作品作りができることはこの上ない環境だ。

古窯(昭和22年に移築) 
元は江戸時代後期から続いた染付磁器の名門 竹鳳窯
染付体験の作業場には染付や瀬戸に関する本が
たくさんあり自由に閲覧できる。
図面類などの参考資料も豊富
大型の作品展示もある体験作業場の風景
交流館1階の研修生の工房(研修生作陶時の見学は適度な距離を保って静かに。質問も可。)

瀬戸染付工芸館の周辺

工芸館の周辺は昔ながらの瀬戸の趣が残っており、住宅街でも古い窯垣を見ることができる。
工芸館を通り越して坂道を少し登ると、城見山に
出る。昔はここから名古屋城の天守閣が望めた
とのことでこの名がついたそうだ。今では遥か遠
くに名古屋の高層ビル街がかすかに見えるのみ。
城見山には弘法大師をまつる興龍寺があり、更に
山上には稲荷や石碑、190体ほどの石像がある。
落ち葉が降り積もった中に冬の日差しを受けて
地蔵などがたたずむ様子はまるで異空間に迷い
込んだようだ。住宅街からすぐの場所とは思え
ない別世界を味わうことができるので、工芸館
を訪れた際にはぜひ足を延ばして欲しい。

竹鳳窯4代目が昭和30年代に染付器で作った
オブジェと工芸館近くの窯垣
城見山(通称弘法山)からの眺望と    
 弘法大師をまつる興龍寺
城見山の山上にある石像や石碑、稲荷

【参考資料】

*瀬戸染付工芸館HP(http://www.seto-cul.jp/sometsuke/
*愛知まちなみ建築賞HP (第8回)(https://www.pref.aichi.jp/koen/keikan/machiken/m08.html
*瀬戸ペディア(https://setopedia.seto-guide.jp/

*せと歴史と文化財を知る見学会(郷・旧桜町)資料
http://seto-guide.jp/wp-content/uploads/2019/12/f6abf2afcf6e1e41f532bbda8472371c.pdf

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