見出し画像

Kinky Boots 5 - The History of Wrong Guys

チャーリー
 「ローラ、聞いただろ?
  出来るんだ!」

ローラ
 「わかったわ、でも急いでちょうだい。
  夜の8時からショーなのよ。」

チャーリー
 「ああ絶対だ。
靴を作る方法があると思うんだ。
  それが上手くいって、
君が良いモデルになれば
  きっと現状を回復できる。」

ローラ
 「それなら盛大にしなくちゃね。」

(携帯を取って)

 「ええ、駅までよ。
7人乗れるバンを手配してちょうだい」

チャーリー
 「ここにいてくれよ。」

ローラ
 (電話に出ながら)
 「またかけなおすわ。
  私が?残る?ここに?ええそうすると?
  まさかね。チャーリー、私はずっと前に
  捨てられたのよ。ここでドンを見ていると
  その理由を思い出してしまうわ。」

チャーリー
 「ドンは忘れてくれ。彼はただ、、」

ローラ
 「ノーサンプトンの大抵の男と同じよね。
  チャーリー、私は一度そういう生き方から
背を向けたの。
  もう二度と同じ思いをしたくないの。」

チャーリー
 「なら君はロンドンに帰り、僕はここで
  家業として代々続いた工場を救うよ。」

ローラ
 「私に合うパーツを手に入れて
ちょうだい。」

チャーリー
 「君をデザイナーとして雇うのに賭けるよ」

ローラ
 「私がデザイナー?冗談でしょう?
  ラメと羽と熱いグルーガンを
私によこせば、
  この世はすぐに素敵な場所になるわ。
  その私がデザイナーですって?」

チャーリー
 「子供の頃から嫌でも靴を見てきたけど、
  君が描いたような靴
人生で見たことがないよ。」

ローラ
 「ただのスケッチよ。
  黙ることを知らない
女々しい男の子の愚かな夢ね。
  私を見てチャーリー、敵意を向ける人を
わざわざ気にしたりしないわ。」

チャーリー
 「靴に対して君はとても情熱的だ。
  そんな風にヒールを語る人に
出会ったことはなかったよ。
  父だってそうだった。
  こんな風に感じるのは貴重だと思うんだ。
  君をすごく羨ましいと思う。
  今までの僕は何に対しても、
情熱を注いでこなかった。
  多分、恋愛くらいかな。」

ローラ
 「ああ、一つ忘れていることがあるわよ。
  私には靴が作れないわ。」

チャーリー
 「僕もこんな靴は作った事がない。
  成功するためには、
  誰も見たことないようなものを
  作るんだ。
  ここはそういう場所だよ。
  ミランで笑われないようためにも、
  誰も否定できないくらい完璧に作り上げて
  勝ちに来たんだと知らしめるんだ。
  それこそ僕の望むことだ。」

 (一呼吸おいて、考えをまとめる)
 
 「3週間くれ、ローラ。
  それだけあればなんとかなる。」

 (ローラはタクシーに手を振る)

 ローラ
 「あれはタクシー?警察?
  お金渡せばわかるわよね。」

チャーリー
 「これはチャンスだよ。
  手を引くのは簡単さ。
  キンキブーツのデザインの仕事を
  アホな連中が言ってたなあって
  笑うだけならね。
  でも僕にはわかる。もしそうしたら、
  君は今後ずっと後悔することになるよ。」

ローラ
 「デザイナーですって?
  キンキブーツは聞きなれた名前ね、、
  "ローラのキンキブーツ"の方がいいわね。
  いい感じじゃないの。
次は赤より良くしてね!」

(ローラは工場を後にする)

従業員たち
 ♪  散歩に仕事に運動
  何をするにもぴったりさ
  あなたへ堅実なシューズを
  プライス&ソンの靴
  
(チャーリーがジョージとローレンと共に
 従業員たちに告知する)

チャーリー
 「プライス&ソンはこれまでずっと
  紳士靴を作っていた。
  これからは”男性用の”靴を作っていく。
  やるかやらないかの二択だ。
  僕らはやることにしよう。
  何か質問はあるかい?」

 (みんな手を挙げる。
  チャーリーは無視することにした)

チャーリー
 「よし、みんな。
  シューズ、、ブーツを作ろう!」

 (機械を動かし、
従業員たちが仕事を始める。
  ジョージはチャーリーにペンと紙を渡す)

ジョージ
 「ここに署名をくれ、ミスタープライス」

チャーリー
 「ジョージ、チャーリーだよ、、」

ジョージ
 「ミスタープライスだ!
  君はそう呼ばれるにふさわしい。
  今日のところはね。」

 (ジョージは去る。
  チャーリーはローレンに振り向き、
  誇らしげな顔を見せる)

チャーリー
 「ミスタープライスだってさ?
  ”何も出来ないってボヤく”チャーリーより
  ずっといいね。
  今は、”僕が責任者だ”チャーリーだ」

ローレン
 「感心したわ。」

チャーリー
 「ありがとう。」

ローレン
 「いつでも頼って」

チャーリー
 「いいや、本当に感謝している。」

 (従業員の一人が設計図をもって入室する)

マージ
 「チャーリー?意見が欲しいんだ。」

The History of Wrong Guys

チャーリー
 「失礼するよ」

 (ローレンが箱詰めをしながら
  自分をたたく)

ローレン
 「ああどうしよう。だめよこれは。
  ローレンこれは警告よ!
  ああダメだわ。衝撃的だわ。
  でもそんなこと出来ない。
  多分恋に落ちてしまったわ。
  どうしましょう、、」

 ♪ いいじゃない?
  生まれながらにして
  女は選択をミスるもの
  私のものになってくれるの?

 (チャーリーがローレンを我に返らせる)

チャーリー
 「ローレン?ローレン」

ローレン
 「え?」

チャーリー
 「思ったんだけど、
  君を生産ラインで働かせるのは
  もったいないと思うんだ。
  僕とミランのショーに来てほしい。」

ローレン
 「そんなこと出来っこないわ」

チャーリー
 「そうかい?
君が履いてくれたことが始まりだよ。」

ローレン
 「ええそうね、でもあなたには
アイデアがあるでしょ。
  だから私たちはここで今日も
働いているのよ。」

チャーリー
 「その工場の名前になっている者として、
  君にその役割を務めてほしいんだ。」

 (ローレンは微笑む)

チャーリー
 「よし、よかった。」

 (チャーリーはローレンが
  うっとりしていることに気付く)

チャーリー
 「どうしたんだい?
  歯に何か挟まっているのかな?」

ローレン
 「生まれてから知っている人のことを、
  本当は何も分かっていないことが
おかしくて」

チャーリー
 「また後で君のもとへ行くよ」

ローレン
 「わかったわ、ボス」

 (チャーリーは自分のオフィスへ戻る。
  ローレンは歌いだす)

ローレン
 ♪ あなたは場外だと思ってた
  この目を輝かせた男はだれ?
  照れてない時は
  とってもキュートだわ

  いままでもずっとそう
  また繰り返すの?
  結ばれない人との歴史をまた一つ
  かつてのあなたは
  ぽかんとしただらしない人
  でもいまのあなたは
  目が離せないわ

  チャーリー 正直に言うわ
  これまでも傷つけられた
  言いたいことはまだあるのよ
  まだ飽き足らないの?
  これ以上どう驚かせるつもりなの
  Oh, Oh, Oh

 (チャーリーが手を振る
  ローレンは手を振り返す
  後ろから二コラが入ってきて
  彼が彼女に手を振っているに気づいて
  止める。ローレンは恥ずかしさで萎縮する
  チャーリーがオフィスから降りてきて、
  ランチを持ってきた二コラと話す)

ローレン
 「彼には彼女がいるのよ。バカ。
  どうしてそういう時に限って良く見えるの?」

 ♪ 隣の星の愛人にはなりたくないの
  終わりが見えているのよ
  彼がいない方が私はいいの
  友達でいるほうがいいのよ

  いままでもずっとそう
  また繰り返すの?
  結ばれない人との歴史をまた一つ
  昨日までの私は
  刺激のない平凡な生活だった
  でも今日は感じる
  この気持ちに無視は出来ないわ

  チャーリー はっきり言うわ
  今までもあなたに傷つけられたの
  Oh, oh, oh

  間違った男との歴史
  チャプター1 ナマケモノ
  2 彼は私に興味なし
  3 彼は女癖が悪い
  4 隣人を愛する(女)
  5 隣人を愛する(男)
  6 もう愛してない
  便りがいない
  ふらふらしてる
  未熟者
  ママ大好き

  それか

  ガールフレンド持ち 二コラ

 (二コラが去る。
  チャーリーは楽しげに
  ローレンにりんごを投げ
  彼女を上に呼ぶ)

チャーリー
 「働く準備は出来たかい?」

ローレン
 ♪  チャーリー 正直に言うわ
  これまでも傷つけられた
  あなたに言いたかったこと
  まだ沢山あるのよ
  でもこれ以上もうやめたの
  oh oh oh

 (ローレンはりんごをかじり、
  自分の鞄を持つ)

トリッシュ
 「どこへいくんだい?」

ローレン
 「稼働開始よ!!」

 (音楽が止み、チャーリーに加わる)