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【鬼滅の刃 ガチキチじじい列車編】


幼い頃から僕はかなりマンガが好きで、
鬼滅の刃も4週くらいは読んだんですが、
「面白いは面白いけど、ぶっちゃけそこまで騒ぐほどか?」
というのが最近までの感想でした。
しかしついに鬼滅の刃の良さを腹落ちするに至りました。

昨日、僕が山手線に乗り込んだ瞬間、車両に異質な緊迫感が漂っているのが瞬時に分かりました。

ふと横に目をやると、優先席のところに60過ぎくらいのじじいが座っており、向かいの席に座っている若い外国人男性2人組に対して

「おい、てめえら殺すぞ。ヤクザなめんな!」
「殺してやるからかかってこい!」

みたいな内容の暴言を大声で連呼していたんです。外国人たちは聞こえないふりしてスルーしていました。
その瞬間僕の胸に去来したのは、「怖い」とか「止めなきゃ」とかではなく、
「恥ずかしい」という感情でした。

僕は変なところで見栄っ張りなのですが、この場面もまさしくそうで、

「この外国人たちが初めて日本に来た人達で、日本のことを治安の悪い国だと思ってしまったらどうしよう!」
ということばかりが気になってしまい、いてもたってもいられなくなったのでした。

この人たちが母国に帰って、

「なんか日本て治安良くて礼儀正しい国民ばかりだって聞いてたけど、全然そんなことなかったわlol」
「あいつらもめちゃめちゃ外国人に態度悪いわ、何がクールジャパンだよ、笑わせるぜHAHA」

的な会話をしているところを想像したらすごく悲しくなり、この外国人たちにすごい言い訳したい気持ちになったのでした。
自分にここまでの愛国心があることを初めて自覚しましたね。

本来であれば、
「お兄さんたち、災難でしたね、僕も日本に長いこと住んでますが、こんな厄介なじじいは初めて会いましたよ。
誤解しないでください、一般的な日本人はクリスマスもハロウィンもバレンタインデーも柔軟に受け入れてますし、カレーもラーメンもステーキもテイラースウィフトも大好きな、異文化に寛容な国民性なんですよ。」

的なことを言いたくて外国人の人たちの方を見つめてたんですが、悲しいかな、僕の英語力では何一つしゃべれず、とりあえず外国人のひとりの人と目があったんで
「あのじじいやばくね」
的な感じで口をすぼめて両手を広げて肩を上げるポーズをやることしかできませんでした。
※海外ドラマなんかで外人がよくやるあのポーズです。

余談なんですが日本の英語教育って終わってますよね。僕こんなんでもセンター試験で英語9割5分くらいとってて結構得意だったはずなんですよ。それがいざとなったら「Are you OK?」の一言も出てこないなんて、座学の英語なんてほんとにクソほども役立たんなとこの時ばかりは痛感しました。

そんなこんなで、「ああ、もっと英会話勉強しとけばよかったなあ。この外国人たちが日本のことを誤解してしまうなあ」
と落ち込んで立ちすくんでいたんですが、だんだん「冷静にこのじじいはなんなんだろうか」
という好奇心が湧いてきて、じじいの服装とかが気になり始めたんです。

そしたらじじいのズボンの裾があり得ないくらい裂けてることに気づいたんですよね。
それで
「え、このデザインのズボンどこで買ったん?それとも裂けちゃったの?え、でも両脚とも裂けてるからそういうやつなのかな?てかめちゃめちゃ服装汚いなこのジジイ。」

とか思って見てしまったんですが、そしたらジジイがおもむろに立ち上がって大股で僕の方に歩み寄ってきて、「てめえさっきから何ガンつけてんだよ、文句あんのか?殺すぞ」って恫喝してきたんです。

別に体格や筋力的に強そうなじじいでもないので結構冷静だったんですが、
(普通に考えてこんなやばいやつ刃物とか持っててもおかしくないな)
と思ったらかなり怖かったんですよね。

そこで、メンタリストという海外ドラマで観た、「興奮した犯人は刺激してはならない。なだめて冷静に対応すべし」
という金言を思い出し、

「いえ、僕はガンつけてませんよ?(ズボンの裾は見ていたけど)。」

って穏やかに言ったんですが、じじいは「うるせえ、殺すぞ」の一点張りで聞く耳を持たず、

「そしたら警察呼ぶんで、警察に話してもらっていいですか?」
「ケーサツ呼べよ!俺は何度も呼ばれてるぞ!けど俺はまだ手を出してないから何も裁けねえぞ!法律も知らねえ馬鹿が」

みたいにしばらく問答したものの会話が成立せず埒が明かないので、後々役立つかなと思いエビデンスとして動画だけ撮って(添付の動画です)次の駅で降車し、駅員さんにそれを見せて事情を報告して警察などが対応してくれることになり、とりあえずは事なきを得たんですが…そのあとも僕はしばらくジジイのことに思いを馳せていました。

なぜか僕の胸の中で、ジジイが言っていた

「俺は手を出してないから何も裁けねえぞ!」
という趣旨の発言がリフレインしていたのです。

というのも本当にあのジジイを法律で裁けないんだとしたら、なんて不条理な世の中なんだろうという思いが拭えなかったからです。

あのじじいが外国人の人たちにやっていたことは、明らかに僕の価値観からしたら
「めっちゃ悪いこと」
に該当しており、

「あんなクソじじいを警察が面倒見るために税金使われるのか」とか、

「こんなジジイがこんなジジイになるまで生きてるのに、小さい子供とかが事故とか病気で死んじゃうなんて理不尽だなあ」
とか考えていたらやるせない気分になってしまいました。

ちなみに外国人の人たちも僕といっしょの駅で降りていったんですが、通りがけに僕の肩をポンポンと叩いて、
「アナタも大変ダッタネ。日本人ミンナあんなジジイばっかじゃないコトはワカッテるから安心してヨ!」
的な顔(ほんとにそう思ってたかは不明)で僕にアイコンタクトをしてから降りていったので、

(とりあえず1番懸念してた誤解は解けた。自分は日本代表としていい仕事をしたなあ)
と胸を撫でおろし、「ボディランゲージも捨てたもんじゃねえな。」と思いました。

そんなこんなで、このやりきれない事件を自分の中だけで消化するよりも、こうして思いの発露のままの文章をみんなに届けてスッキリしようということで、僕が唯一やっているSNSであるFBへこんな長々と駄文を投稿するに至るのですが・・・。

ふと思ったのが、

「このジジイは鬼だったんじゃないか」
という説です。

鬼滅の刃だと、鬼になったやつは大体このじじいみたいな感じで粗暴で周りに高圧的になる(もしくはそういう奴が鬼になりやすい)んですよね。

あの支離滅裂な発言とか、全面的に敵意むき出しの感じとか、不安定な挙動なんかもジジイが鬼であると仮定すればすべてしっくりきます。

意味わかんないくらいズボンの裾が裂けていたことも
「鬼に変身した時に体がトゲトゲになるから裂けちゃったのかな?」
と考えればうなずけますし、鬼滅の刃で炭次郎が「鬼は特有のにおいがする」
って言ってたんですけど確かにこのジジイ近寄ってきた時めっちゃ臭かったんですよね。

そんで鬼滅の刃の面白さってこういう鬼を問答無用でぶった切ってくれる痛快さにあるんだなと今更ながら気づいたんです。

鬼滅の刃の敵キャラって、たまにごちゃごちゃとそれっぽい言い訳をしたり、このジジイみたいに自分が正当であるようなことを主張するんです。

だけどそれを主人公の炭次郎が「いや、悪いもんは悪いから」つってバンバンぶった斬っていき、理不尽なことに対して一貫して真っ当な姿勢が気持ちいいんだなと思いました。

僕も今後は炭次郎を見習い、スマホという現代社会の日輪刀を握りしめて、このジジイみたいなあまりに理不尽な鬼を見つけたら「SNSの呼吸、壱の型、悪口投稿」という言葉の刃でボロカスに切り刻もうと心に決めました。

以上、思いつくままに長々としょうもない文章を書いてしまいましたが、ここまで読んでくれた方にはオニ感謝ですよね。

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