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18歳のスター、久保健英がピッチで見せてくれたこと。

OWL magazineをご覧の皆様こんにちは。とみです。

ジブラルタルでサッカー選手として生活しながら今はヨーロッパ中をサッカーを通し旅して回る23歳のGKです。

試合のあるときはもちろんジブラルタルにいないといけないけどオフの際は積極的に色々なところに行くことにしていて今はオランダ国内でこの記事を執筆して

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これまでは自分自身の物語を執筆してきたのだが、今回は先日住んでいるスペインで見たラ・リーガでの出来事を自分のストーリーと重ね合わせながら進めていこうと思う。

2/21、僕はセビリアにいた。
その2日前。リーグ戦を終え週末にオフが与えられた僕は試合に負けたフラストレーションに苛まれながらいつも通りジムに行き、試合翌日のリカバリーをして週末の予定を考え始めた。
基本的にフットボーラーの週末は試合に備えることが多いのだが、ジブラルタルは公式戦は国で唯一のオフィシャルスタジアムで行われるため、後期は下位リーグでプレーする僕らマンチェスター62は週半ばの試合が多くなっていて週末をどう過ごせばいいかわからず未だにこの生活にフィットできていない。

あいにく僕の住んでいるスペインの町は特に何もない。
週末はカフェも人がごった返して仕事なんてできないし、ジムも閉まっている。
僕の趣味である自分のカラダと向き合う時間もスペインの休日はそれを奪ってくるのだ。

ちなみにジブラルタルロックの上からはアフリカのモロッコとスペインの町中が見える。とても綺麗で海に囲まれた良いところだ。

ただ飽きは来る。

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しかしその週は金曜日の夜に日本のスーパースターの久保健英が所属するRCDマジョルカが僕が住むスペイン最南端の町La Lineaから1番か2番目に近いセビリアに来ることを唐突に思い出し、速攻でチケットを購入した。たまたま最前列のチケットが2番目に安かったので取ってみた。

普段なら前の方ではなく後ろの席で見ることを好む。GKがどのような動きをしているか、試合を全体から見たいからだ。それはサッカーコーチとしてなのか、選手だからなのかわからない。ただこの日は久保選手を近くで見てみたい、なんとなくそう思った。

そうしたら衝撃の近さだった。驚くほど近かった。

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最初に席に着いた時は思った。
なんで俺こんな近くで普通のファンみたいに見てるんだろうと。

正直僕は選手としてプライドが高いと思う。

プレーヤーとして上手くもないのにプライドだけは一丁前だと思う。

昨年の11月にクロアチアからスペインに帰る時にクロアチア代表でトルコでプレーするヴィーダと同じ飛行機になった。僕はビジネスラウンジで仕事をしてたんだけど、彼は僕の隣の席に座ってきた。
彼はその前日にユーロ本戦出場を決めて国のヒーローだったというのはもちろん知っていたのだけど「俺は絶対に写真は撮らない」頑固にそれを貫いた。
「俺もそのぐらいすごい選手になってやるんだ」といつも思っている。

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到底届かないのは知っているのに。
去年ブンデスリーガのチームの練習を見に行った時もなぜか写真は撮りたくなかった。
なぜかわからないけど。
負けず嫌いというかファンという立ち位置になりたくないと思ってしまうのだ。

ただあの日は違った。23歳のジブラルタルリーガーはスペイン1部リーグで圧巻の活躍を見せる18歳の日本のスーパースターのファンになっていた。
普通なら「何してるんだ俺」となる。ただこの日は違った。

同じ日本人の誇りだと思ったし、こんなにすごい日本人がいるんだと改めて衝撃を受けた。
彼が次にどんなプレーをするんだろうと楽しみになっている自分がいた。

カナレス、ホアキン、バルトラ、グアルダードなど日本のサッカーファンなら知っている顔ぶれがたくさんいるレアル・ベティス相手に圧倒的なパフォーマンスを披露した。

スプリントの数も、チームのスイッチを入れていたのも、そして結果としても圧倒的な影響をピッチで残していたのは紛れもなく彼だったのだ。

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試合中僕はベティスファンの周りに座ってたから多くの罵倒を聞いた。
特にコーナーキックの際にかなり近い距離に来ていたのですごいクリアに聞こえた。
今多くのアジア人が言われる「コロナ・ウイルス」というのも散々聞こえた。

でも何度か「Take Kuboはレアル・マドリードからローンで来ているんだよ」という内容を僕の拙いスペイン語でも理解することができた。

結局この試合久保健英選手は全得点に絡む大活躍。

彼らの罵倒は試合終盤には聞こえなくなっていた。
僕が興奮しすぎていて聞こえなかっただけなのかもしれないけど。

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ちょうどその時、自分自身としてもチームとしても結果が出ず、選手としてどこを目指すかが少し自分の中でわからなくなっている自分がいて、フットボールとどのように付き合って行くかというのをすごい悩んでいた自分がいた。

この文章を書いている自分はもうスッキリしているので数少ない僕のプレーヤーとしてのファンの方が見てくれているとしたら安心してほしい。目の前の結果を見た時に自分が将来思い浮かぶサッカー選手としての自分が見えなくなってしまっていたのだ。

ただこの試合が終わって少し経って興奮が覚めた時、

「こういう選手になりたくて海外でサッカー選手がやってるんだよな」

と思った自分がいた。


もちろん久保健英選手ほど多くの人をそう思わせるのは難しいかもしれないけどモンゴルでも応援に来てくれたファンには試合後お礼を全員に言いに行ってたし、自分のプレーを見て楽しい、面白いと思ってほしいというのが僕の選手像の根底にある。ただジブラルタルは観客が全然入らず選手として自分がどう評価されているかもわからないからそういうことを思ったんだと思う。

試合を見終わって落ち着いた時に、とりあえず金髪やめようかなと思った自分がいた。結局やめてはいないのだが。

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話が繋がってないと思った方がいないと思う方がいたかと思うが、僕が金髪にしている理由は何個かあり、大きくは2つで自分の存在のアピール、ピッチで目立ちたいというのと自分自身にプレッシャーをかける意味でしている。
プレーヤーとしても仕事をしていても金髪で何もできなかったら罵倒の格好の的だ。

会見

金髪にしたり、試合前の写真撮影でボールの上に立ったりとプレーだけでなくキャラクター性も含めて僕の試合を楽しんでもらいたいという選手像がある中でプレーだけで観客を圧倒的に魅了する彼を見てそう思ったのだ。
彼はスタジアム内で圧倒的な存在感とともに技術で僕にフットボールを楽しませてくれた。

あれだけできたら、あれだけの世界観を描けたら純粋にサッカーが楽しいんだろうなと思う。

すごい羨ましい。

そして嫉妬する。

これからも僕は彼のファンであり続けると思うし彼のことを羨ましいと思い続けるのだろう。

彼ほどではないが僕もそんなことを思ってもらえるようなプレーヤーでいたい。そのために何が必要なのか。

18歳の日本のスーパースターが23歳の名も知れぬジブラルタルリーガーに教えてくれた。

本当にありがとう。



ここからは有料ゾーンに入ります。僕自身のプレーヤーとしての生活を共に歩んでみたいと思っていただける方は是非ご購読いただければ幸いです。今後の自分が描くビジョン、近い将来の話、具体的に動いている移籍の動向をお話ししていきます。
自分で発信しないと誰も興味も持ってもらえないような選手ですので。


できれば外には拡散しないでいただけると幸いです。書けることが増えますので。

今週の初めに監督と来期の去就について話をすることになった。
自分自身で早めにその機会を設けてほしいというお願いをした。

その理由は僕だけチームで唯一のEU外選手だからだ。
まあイギリスのEU離脱でイギリス人たちもEU枠の選手ではなくなるわけだが。

今いるアメリカ人のチームメイトはブルガリアのパスポートを持っているのでビザが必要ないのだが僕は必要になる。僕のスペインのビザは今年の9月に切れる。よって僕はジブラルタルの居住権もしくはスペインの学生ビザ等の選手以外でのビザが必要になる。チームが用意してくれるアパートは原則スペイン国内なのだ。ジブラルタルは小さすぎるあまり家賃が1ルームで10万円ぐらいする。

監督はおそらく来季の契約を更新するので監督に裁量がある。監督はアメリカにスカウティングネットワークがあるのでアメリカ人GKを持ってくるのは容易なのであろう。そしてアメリカ人が新たにくることになる場合EU外の枠を争うことになるのだ。

正直監督から普段あまりGKのテクニックについて言及されることはない。
ビルドアップについてぐらいだろうか、僕に檄が飛ぶのは。
今週の水曜日にフレンドリーマッチがあった時に正直に今の自分が思う戦術についての思いを監督に初めてしっかり要求に行った。

「僕のスタイルとしてゴールマウスから離れて積極的にビルドアップに参加したいし、スイーパーキーパーとしてならリーグの中でも違いを出せると思う。ただあまりにもボランチの選手が失う機会が多すぎてシュートに準備できない。勝ちにフォーカスするならシュートを守るのにフォーカスしたいんだけど監督はそれでも僕にビルドアップを求めるの?と。」

監督のスコティッシュイングリッシュはあまりにも早い。
正直たまに一切わからないことがあるぐらい。

ただ監督的には、来年のためにチームを作っている。お前のビルドアップのサポートはbrilliantだから続けてほしいし、それで前の選手が失って失点してもマネージャーとしての俺は君を責められないと。
それなら僕のすることは決まったわけだ。

正直今の自分のスタイルを生かせるのはビルドアップをして組み立てるチームより前線により正確なパスを放り込むサッカーだと思う。だから移籍は考えた。自分のロングキックの質は海外だと違いを出せる。ビルドアップは他の選手よりはできるけど自分が1番得意なスタイルじゃないから。

ただより今のモダンなGK像を目指す、将来的に日本でもプレーする可能性があることを考えるとこのスタイルでサッカーを学んで幅を出すのも良いかなと思ったのだ。

正直アジア、ヨーロッパ、アフリカと何個かオプションはある。引退というオプションもつい最近まであった。新しい国で興味を持ってもらっているのはテストに行かないといけないところもあるが。
自分のキャリアを考えた時にもう1年ジブラルタルでプレーするのが1番良いのかなと今は正直思っている。

指導者と選手という選択肢でまず悩んだ。
日本サッカー界で何かを残せるかもしれないという将来像を描けるGKコーチとしての自分。23歳でコーチを真剣に始めたらおそらく日本トップになれる可能性があると思う。

選手としては何も残せないかもしれないけど、自分が1番好きで最高の職業だと思うサッカー選手。

そういうことを踏まえ、他の国は大学を再度休学しないといけない可能性があることなど諸条件を含め、監督が3年計画でヨーロッパリーグを狙っていること、基本は日本人が取得できないUEFAのコーチライセンスが取れること。そしてシーズンのスタートが遅く大学を卒業してからプレシーズンに合流できること。そしてモンゴルも1年目より2年目で成功したこと。

あともう1年ジブラルタルでやって両方を追いかけるのが今の自分の中でベストかなと思っている。
そして学業も何もない状況で最後の選手として生きていくのか、指導者になるのかという選択をすることになるのだと思う。

まあもちろんジブラルタルで条件面が上がらないことには残らないけど。
そんな形で来季の話がもうこの時期で始まっています。注目してくれたら嬉しいです。
まあだいたい決まってても直前で破棄されることとかあるから気をつけないとね。

シーズン残り4試合。さらに自分の価値を高められるように頑張ります!!

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