見出し画像

死後の世界11 あわてもん君

あわてもん君

お母さんの方は半泣きでベットのふとんにしがみついています。
「あわてもんちゃん。どうして先に行っちゃったの? あなたは生まれてくる時も5ヶ月でさっさと出てきてしまってあわてもんだったけど」
おとうさんが、そうだ、そうだ、というようにうなづいています。

「また今は天国に先に行ってしまうなんてお母さん寂しいわ」
と言っているではありませんか。

ベットで寝ている僕は天国に行っちゃったの?
えー?あー?
ここが天国。あわてもん君はそう思いました。だって、音も聞こえず、チリ一つ落ちていない全くの空間の中にいて、びよういんにも人っと飛びで来て、またひとっとびで病室に入り、気が付けば、あわてもん君は浮いて,天井の隅にいたのですから。

集中治療室の小さな部屋で、たくさんの管につながれた赤ちゃんが、あわてもん君には、見えた気がしました。

「あなたは、たった500グラムで生まれてきたの。手のひらに乗った卵のようだった」
「そうだったね。ぼくは怖くて触れられなかった。こわれそうに、はかなかった」
パパもも 口添えしています。

(そうか!だから僕は点滴が嫌いで、あの管を見ると、天敵に思えたんだ。

次にあわてもんくんは天敵の管の代わりになんだかわからないけれど、クダが頭の上からどこかに向かって伸びているのに気がついたのです。次へ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?