#4 チバユウスケとクリスマスとギムレット
チバユウスケが死んじゃった。どうしよう。
今は悲しいんだか悔しいんだか誇らしいんだか、何だかよくわからない。本当にどうしようって感じ。あと、とても寂しい。
SNSを見てると、詩的な追悼をする人、素朴に追悼する人、思い出話をする人、一丁噛みで追悼する人、思いを吐露する人、認めたくない人、沈黙を貫く人、様々だね。
ミッシェル至上主義を貫く奴、過去の狭量さを恥ずかしがりながら懐かしむ奴、ここぞとばかりにROSSOを推す奴、The Birthdayの話題が少なくてモヤる奴。みんな相変わらずだね。いいね。
顔も知らないけどみんな久しぶり、元気にしてた?チバさん死んじゃったよ、みんなどうする?なんてね。
俺は全然折り合いついてないし、ちゃんとした追悼の文書は自分のためにもいつか書きたいとは思うけど。今はチバさんの話をたくさんしたいなって気分。
この記事は、若い頃ミッシェルを爆音で流しながら夜な夜なドライブしては語らってた友達に向けるつもりで書いてみようと思う。
ところでさ。SNS見てて思ったけど、みんなROSSOの『シャロン』好きだね。多くてびっくりした。いいよねシャロン。クリスマスが近いから余計にかな。
そういえばチバさんって、クリスマス好きなイメージあるなと思ってピックアップしたら思ったより少なかった。音で聴いちゃってることが多いからなぁ。もっとあった気がするんだけど…
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 『ミッドナイト・クラクション・ベイビー』
ROSSO『シャロン』
ROSSO『アウトサイダー』
The Birthday『くそったれの世界』
The Birthday『泥棒サンタ天国』
The Birthday『Lucca』
クリスマスというか、クリスマスの街に溶け込めずにはみ出しちゃってる人たちが好きだったよね。ミッシェルの頃はHappyって言葉をわりと気に入って使ってたイメージもあるけど、チバさんが思い描くHappyてどんなだったんだろうね。
晩年は「小さな愛」って言葉が印象的だった。ミッシェルに青春を捧げた人たちは、結構The Birthdayで離れちゃったイメージだけど、ギムレットはもう聴いてるかな。
離れちゃった理由もよくわかるよ。バンドはMAGICだし、The Birthdayのチバユウスケは人間宣言しちゃったというか、生々しくて剥き出しだったものね。
俺もロックンロール聴くの苦しくなっちゃって少し離れてたけど、30超えたら急に刺さっちゃってそこからいつもケツ蹴られる気持ちで聴いてたよね。
離れたとか偉そうなこと言ってるけど、離れてた時期って小賢しく器用に生きようとしてた時期だし、うまく生きようとする奴には寄り添ってくれないのかもね。ロックンロールは。
そんなことはどうでもよくて、The Birthdayの『サンバースト』ってアルバムに入ってる『ギムレット』って曲、まだ聴いてなかったら聴いてみてよ。すごいよ。
この後のカレーパンのくだりが最高なんだけど、アレ、本当なのかな。嘘かもね。チバさんだからね。それを含めて最高なのよ。
レイモンド・チャンドラー『長いお別れ(原題:The Long Goodbye)』の中で出てくることで有名なギムレットというカクテル。
錐(キリ:gimlet)のように鋭い味だからギムレットって名付けられた、なんて説もあるらしい。
別に遺言ってつもりで書いた訳じゃないだろうし、出来すぎた話だけど、なんだかこの曲が気になってずっと聴いてるんだよね。
俺ももういい歳なんだけど、チバユウスケに憧れ倒した青春があって、今でも心を寄りかけてたからなんとも心細いよ。どうしたもんかね。
俺やみんなが感じてる痛みが、チバさんが生きた証であって成し遂げたことなんだと思えば、もうしばらくこの痛みを味わっていたい気もするけどね。
まあ、ただただ寂しいね。
チバさんが死んだ日に、姪っ子が産まれたんだけど、弟夫婦に隠れて音楽でも始めるように仕向けてやろーかな。
それは嘘だけど、俺もかっこいいオジさんと思ってもらえるように頑張ろうかね。ほんの少しの希望と小さな愛だってチバさんも言ってるしね。
ヘラったおっさんの文章なんて何の役にも立たないからこの辺で終わりにするけど、もうすぐクリスマスだねってことで。
The Birthday『Happy Xmas(War Is Over)』
この記事を読んでくれたみなさんに、素敵なクリスマスが訪れますように。
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