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ニュージーランドにとって最も暗い日

3月15日、時間は2時半(日本時間午前10時30分)くらいだったと思います。美術の時間だったのでいつものように日本人と話しながら絵を描いていました。「はー、まじだるい。このまま帰ってサボろうかな…」と日本人の子が本当に帰ろうとしたそのとき、突然放送が鳴り日本人以外の顔色が変わり始めました。放送が終わると先生がすぐに窓を閉め始め「窓がない部屋へ!」といいました。「たつまきかな〜」と話しながら隣のまどのないパソコン室へ行きました。「椅子に座らないで。地面に座って。」と先生がいい、みんなしゃがむ。私は何が起きているのかわからず、隣に座っていたニュージーランド人らしき子に何があったのと聞いてみました。聞き取れた単語は

kill man many people

でした。

留学して二ヶ月がたった今日。
ニュージーランドでテロが起きました。

「なんてなんて?」と他の日本人が聞いてきたので「殺人鬼おるらしい」と伝えたら、ひとりはツイッターとLINEニュース、ひとりはインスタ、女子二人はグーグルで手分けして情報収集が自然と始まりました。一番はじめに見つけたのは英語の記事「ムスリム、テロ、ハグレーパーク」次にLINEニュースで速報で入ってきた。そこから徐々にインスタのストーリーにみんな投稿し始めてだんだんと事件の内容がわかってきた。私がいたクラスは私たち(日本人)がにぎやかで他の人は静かだったけど、他校の子はピアノ弾いたりインスタライブしたりYouTube見たりしてたからそんな感じ。

そのタイミングで先生が映画を見ようと言い始める。が、誰も見ない。私らはYouTubeでサザエさん見たりしりとりしたりジェンガしたり。たまに静かにして机の下にもぐったりした。日本でテロはなかなか起きないから実感なかった。途中、先生がガムとかコーヒーとかおかず系のパイをくれたり、隣の教室が家庭科室だから、家庭科の先生がパンと卵とチーズとりんごを持ってきたりしてくれた。



いちばん印象的なのは一緒にいた日本人が電話したときの会話。

「なぁ、犯人が撮った動画送ってやw」
「は、お前どういうテンションで言ってんの?俺の友達、死んだんだけど…」
「え…ごめんそれはガチでごめん」

この会話で「あ、これは本当に起きていることなんだ」と自覚した。

あとでこの動画を見た。犯人が教会の廊下を進みながら銃を撃ちまくっている。死んでる人も撃ちまくる。途中曲がり角でぶつかった人を撃っているところがでてきてまじで血が出ていた。廊下や教会にはたくさんの人が倒れていた。



18時を過ぎたあたりに体育館に集められて黙祷をしました。このときはじめて事の重大さに気がつきました。それから家が近い日本人の子と帰ろうかと思ったけど、ホストマザーから私と同じ学校に行ってるホストシスターと一緒に帰るように言われてたから、そのことはここでバイバイ。それから、学校に近いホストファザーの家に一時待機、家についたのは19時20分。そして今に至る。



まとまってなくてごめん。
とりあえず、海外だから怖いじゃなくて日本で暮らしていたって死ぬときは死ぬ。不謹慎極まりないけど、私達はいつだって死と隣り合わせ。だから後悔しないように生きて。私は死にたくないと思った。ここでくたばってたまるかと思った。
あと、このような緊急事態で英語が使えるということは命を守ることにもつながるんだなと思った。ニュース見てもまだすべてを把握しきらなくてどうしても日本語の情報に頼ってしまった。
私は今日の出来事を一生忘れないと思う。

なお、今回の事件に対してニュージーランドのアーダーン首相は「ニュージーランドにとって最も暗い日」と述べている。

In deepest sympathy




詳しい情報はこちら
https://www.bbc.com/japanese/47579238