オタサーの姫殺人事件(プロローグ)

卑弥呼って知ってるか?そう、あの卑弥呼。

初めて見た時、卑弥呼だ、って思ったんだよな。

実際に見たことはないんだけどさ、でも多分、あんな感じだったんだと思うぜ。

何ていうか、男たちが魅了される何か得体のしれないものがある、って感じの。

何が?って、だから彼女と、取り巻きの話だよ。

講義の合間にトイレに行くときでさえ、いつでも大勢の男が周りにいるんだぜ。

特にうちは女子に人気のない電気電子だったから、100人に1人女の子がいればいい方だったしな。

少しでも好かれようと必死だったんだろうな。

他の工業大学も、少なからずそんな感じなのかもしれねぇな。

それにしても陰惨な事件だったよ。

俺みたいに、卑弥呼とその取り巻きを外から眺めていた人間からすると、

正直いつ起きてもおかしくないとは思ったけどな。

あんただってそうだろ?

外から見たらあの状態はどう考えても異常だもんな。男たちが滑稽というかさ。

取り巻きの中で幸せを感じてれば良かったのに、どっかで気付いちまった。それ以上を求めちまったんだろうな。

そんな少ない星を取り合わなくてもさ、俺や他の学科の連中みたいに外に出会いを求めても良かったのにな。

もしくは一生気付かなきゃ良かったんだ。

まったく、視野が狭いやつってのは怖いね。

ところで、あんたは何でそんなこと聞いてまわってるわけ?

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