記事一覧
【TOLOPANの真髄に迫るvol.46】ルセットの基準となる五味の「うま味」について
うま味は、五味の他4つの要素と異なる存在だ。
うま味は認知されたのがごく最近のことで、およそ100年前に日本で発見された味覚だ。英語にはうま味にあたる言葉が存在しないこともあり、特に欧米の人々に認知されるまでに時間がかかったようだ。そして今では『UMAMI』という言葉が世界共通語になりつつある。
「美味しい」と「旨い」は類似している。
だから、その言葉を使用するときには使い分けを
【TOLOPANの真髄に迫るvol.45】ルセットの基準となる五味の「苦味」について
「苦味」とは、絶妙な加減をとらなければ
「まずい」になる紙一重の味だと思う。
「苦い経験」
パン作りをする人、食に携わる人に限らず、サラリーマンでも経験することが多い苦い経験。
「苦い」という言葉は「辛かった」「しくじった」等の過去に起こったネガティブな要素が多いように思う。
だから「苦しい」という字なのでしょう。
ただ、人生において「苦」だけではやはり辛い。
僕も、「苦いだけ」は避け
【TOLOPANの真髄に迫るvol.44】ルセットの基準となる五味の「酸味」について
甘味やうま味が好きなのは、
子供から老人まで皆そうだと思う。
この料理、このドリンクに少し酸味が欲しいと
思うようになった時、大人になったのだと思う。
これはある程度食経験を積むことで徐々に好ましく感じる学習された舌で感じる味覚である。まずタンパク質が腐敗した時まだ未熟な果実を食べた時に脳に伝えるシグナルが「酸味」となっているためだ。
子供の舌は敏感で素直な意見を言うから.味見を子供に
【TOLOPANの真髄に迫るvol.43】ルセットの基準となる五味の「甘味」について
甘味とは人間にとってのエネルギー源である。
疲れた時に糖質を摂取したくなるのは、体内の甘味に対する感度が鈍くなり多く摂取しようとする本能的なものだ。
ボクシング時代は減量が苦しくて、試合後のご褒美はいつもパフェを食べていたことを思い出す。
甘味のもととなる糖は砂糖だけでなく、果糖、転化糖、ブドウ糖、水あめ、麦芽糖、乳糖など多数ある。今挙げたのは製パン用糖類の甘味度の高い順だ。
【TOLOPANの真髄に迫るvol.42】ルセットの基準となる五味の「塩味」について
これから複数回にわたって、ルセットを組むまでの流れについて話したいと思う。
僕がルセットを組む上で重視しているのは、五味である。五味とは、「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」「うま味」のことだ。
僕は常に五味の三角形を作るようにしている。
人は五味の五角形のうち、三角形を結ぶと美味いと感じるようにできているからだ。
デュヌラルテでの修行時代から、五味に関する反射基準を磨き、香りが何味からでて
【TOLOPANの真髄に迫るvol.41】パン特化型オーブンUNOXで熱を巧みに操る
vol.40に続く、「焼く」話の後編。
今回も前回同様ベイカー向けの話である。
あえて最初に言っておきたい。
UNOX「ベーカーズトップ」は、
完全にパンに特化したオーブンだ。
僕は他の多くの製品を見て研究してきた。だから、パン特化型オーブンとして自信を持ってお薦めしたい。パンとは別のカテゴリになる「調理」においては、その実用性についてまだ自分自身で探っている段階だが、使い勝手
【TOLOPANの真髄の迫るvol.40】ハード系を焼くコンベクションオーブンUNOX
たまにはパンではなく、
パンを「焼く」ことを話したい。
今回はその前編。少しマニアックな話になる。
FMIからの依頼を受けたのが4年半前。
僕はその時初めてFMIがベーカリー用オーブンを持っていることを知った。それは、イタリアパドヴァ社の「ベーカーズトップマインドマップ」をもとにした自信作、UNOXという製品だった。
それから、UNOXと向き合い始めることになる。
導入にあたって、
【TOLOPANの真髄に迫るvol.39】「発見」の感動に出会える、TOLO流塩パン
僕は塩パンブームをテレビで知った。
愛媛の古いお店が発祥だと知り、「新しいパンを発見したんだなあ」と感心したものの、自分の心には刺さらなかったのを覚えている。
それから何年か経った昨年の7月。
この時に僕はもう一度塩パンと向き合うことになる。
イトーヨーカドー様とヤマザキパン様と非常に楽しい仕事をさせていただいた。トロのファクトリーに50品以上のアイテムを持ち込まれて、コンベクションオーブ
【TOLOPANの真髄に迫るvol.38】忙しい東京の朝にゆとりをもたらす「朝の麦」
「朝の麦」僕はこの響きが好きだ。
修行させてもらった、デュヌラルテ時代。
こういう洒落た名前をフランス語でつけるのは
決まって淺野シェフだった。
「レーヴデュブレ」
豆電球のような形の食パンだった。
これは柴田シェフが考案した、女性が気負いなく手にとれるように考えられた、お客さまに寄り添うメニューだった。
ただこの名前は、のちにフランスに長く住んでいたお客様に「ルヴェデュヴ
【TOLOPANの真髄に迫るvol.37】バター醤油の余白を残した、70点のコーンパン
僕の好きなコーンパンは、
ドンクのハードタイプのもの。
ドンクの仁瓶さんが生み出すコーンパンは、すごく素朴だ。コーンの甘味を感じやすく、歯切れがいい。それでいて咀嚼させる生地だから、小麦の香りも楽しめる。なんとも絶妙なバランスだと思う。
デュヌラルテのオープンから2年と少し。
グランドメニューの「マイス」は、完全に引き算のコーンパンだった。コーンのプチプチと弾ける食感と旨味。生地、
【TOLOPANの真髄に迫るvol.36】パンとクリームの食感を考慮したミルクフランス
ミルクフランスとは、
本当に美味しそうなキャッチフレーズである。
分解するとミルクは牛乳、
フランスはフランスパンのこと。
実際には牛乳からできるバターがメインで、
フランスパンはフランスで行われる全てのパンのこと。
日本ではバゲットをフランスパンと呼ぶことがある。それはバゲット=フランスを象徴することから、昔の日本人に伝えわかりやすくするための呼び名だったように思う。
そう考える
【TOLOPANの真髄に迫るvol.35】和と洋の融合、きな粉とクリームのあげパン
このパンの正式名称は、
「パンドーナッツときび砂糖のパティシエール」
パンドーナッツと名前を付けたのは、
ベーキングパウダーではなくパン酵母だから。
それと「あげパン」という日本語を
少し解りやすい横文字に変えることでの
洋風感を出したかったから。
なぜパンドーナッツを作ることになったのか。
きっかけは、師匠である井出シェフからの
7年ぶりの指導だった。
それはトロ
【TOLOPANの真髄に迫る vol.34】「パン職人だからこそ、お菓子を作る。」
日本語でいうと、お菓子。
外国でいうと、スイーツ、ガトー。
お菓子は豊かさの象徴だ。
そしてその言葉には、甘味という
ヒトを病みつきにする魔力を持っている。
お菓子というと甘いものを連想するが、
「サレ(塩)味」のお菓子も存在する。
日本のサレ味の代表は、せんべいやおかき。
お菓子というよりおつまみのイメージが強いかもしれないが、主な材料はお米。お米の糖分と塩気の塩梅がうま
【TOLOPANの真髄に迫る vol.33】トマト香る太陽のガーリックトースト
ガーリックといえば、
イタリア料理を思い浮かべてしまう。
そもそもガーリックはエジプトから始まり、
西アジアや地中海が原産なことが多い。
この食欲をそそる刺激臭は、
いまや世界中で使われている。
ここまでの「強さ」を持っているもので、
広く受け入れられているものは
他には中々ないように思える。
イタリアではペペロンチーノ、トマトソース、
スペインでもパンコントマテ、アヒージョ等
【TOLOPANの真髄に迫るvol.32】柔らかな酸味と強い旨味のTOLO流ライ麦パン
トロパンのクロパンとはライ麦パンのこと。
今はどこの国でも見られるライ麦パン。
もともとは、小麦の育てられない環境だからこそ生まれたパンであり、それが地産地消の始まりになった。
ドイツ式、デンマーク式などそれぞれの国の独自の様式を守りながら進化を続けたライ麦パン。
現代においても、地産地消のスタイルやその気候、風土にあわせてアレンジをし、より美味しく味わえるように変化して進化し続けてい
【TOLOPANの真髄に迫るvol.31】口溶け、歯切れ、しっとりの幸せの生ドーナツ
ハンバーガーといえば「マクドナルド」
ドーナツといえば「ミスタードーナツ」
1970年代に生まれた僕は、ハンバーガーやドーナツの存在をこのアメリカ発祥のチェーン店で知ることになった。ロゴであったり、キャラクターであったり、ふとした色々なものが子供心に刺さった。なんてことない日常に、小さなクリスマスがやってきたように映っていた。
それと同時に、ハンバーガーやドーナツにはいつも「家族」がセット