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新刊の話(潮騒をたどる)

10/15に出した新刊(潮騒をたどる)のお話

描きたい気持ちはあれど纏まらず、今までで1番ネームに難渋しました。
8月に本出したあと10月にも本出してるとは思いませんでした。狂いの力…いとおそろしき…!

⭐️描きたかった話
物と人、神様と人間、それぞれの想いと本能
帰りたくて帰れない、などがテーマでした。
近くても別の、対局の存在。お互いを大切に思うからといって、じゃあ分かり合えるのだろうか。
人と人ですら難しいときあるのにね。

遠征に出ていた清麿と水心子。通信で本丸の襲撃と壊滅状態にあることを知ります。
すぐにでも帰って加勢を!と話します。持ち主の元に帰るのは物の本能なのかなと。
主は帰ってくることを禁じます。絶体絶命とわかる状況で呼び戻すことは正解だろうか。救われない、それならばせめて、ここに戻り終わるよりも帰らずにどこかで…と思った…のかも。
それが主にとっての願いであり、想いであり、気遣いだったかもしれません。

それが刀であり物であり刀剣男士である彼らには正解(望むこと)だったのか、それはわからない。

主の霊力がなければ長くは顕現を保てないとすれば、迎える結末(存在が消える)こと自体は同じです。辿る道のりが違うだけ。その道のりをどう進むのが正解だったのか。その正解が重なることはないのかもしれない。

海での2振りは、もう帰れないこともいずれ消えることもわかっています。もしかしたら「あんな命令ずるいよね」とか「僕たちだって帰りたかった、そして終わるならそこで最後を迎えたかった」って思ったかもしれない。でも、終わりが近いのがわかるからこそ、敢えて短い時間にその話はしなそうだなと思いました。
心の奥底の暗くて重い砂みたいなものを抱えながらも、お互いのことを思って時間を大切にしてそうだなと。

⭐️潮の満ち引きの話
月の引力が関係するもの。潮汐と呼ばれるんだそう。生死の部分の信憑性はべつとして、ふわっと捉えていただいて

⭐️潮騒(しおさい)
寄せては返す波の音、満潮になるときの潮が満ちる音。
潮騒をタイトルに入れたのは消えてもまた生まれ直してほしいという意味を込めたからでした。寄せては返す波のように生まれては消え、その先で別のかたちでもまた繋がってほしいなぁと。

⭐️ハマゴウ(浜香)
マンガの中で描いてた植物、ハマゴウという植物です。実物みたことなくて上手く描けてはないが…えへ…。7月〜9月ごろ紫色の花が咲くそうです。国内、広範囲に自生してるとのことなので来年の夏とか見てみたい。寒さには弱いらしいです。
花言葉は愛の喜び。直接花言葉の意味をとったわけではないですが、その実の効能に解熱とか鎮痛があり選びました。砂浜に生えるという点も生命力強くていいな〜と。

⭐️手帳
刀(物)としても刀剣男士としても役割を果たせない二振りと、物を書き留める役割を果たさないまま持ち主を失った手帳、境遇を重ねる存在として描きました。万年筆は趣味です。

⭐️本丸
最初の本丸と、最後に出てくる本丸は別本丸です。長く時間も経っています。
同じ個体でなくとも幸せになっててほしいなと思い描きました。


表現したかったことをあまり語るのは…と普段はあまり書かないのですが、覚書としてnoteに綴ってみました。描きたいことを伝わるように表現するのは難しいです。
どんな想いだったかとか、言葉の意図とか、こんな気持ちだったんじゃないかとか。捉え方はそれぞれ。そこに答えはなくて全て正解だと思います。描いてるわたしにもわからないところ、たくさんある

難渋した分大好きな話になりました。本にできてよかったです!

お付き合いいただき、ありがとうございました。
 2023年10月21日 えと