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足立区、ブルーライン、グリーンライン

先日、神奈川のとある会社から、うちに営業がやってきた。

20代前半くらいの若い女性二人組だった。名刺を見てみると、社名の下に横浜市の〇〇区〇〇町と書いてあったが、ぼくはその〇〇区の名は聞いたことがなかった。

なんとなく雑談をしていると、本社は地下鉄のグリーンラインだかブルーラインだかの駅にあってぇ、とのことだった。存在は知っていたが、ぼくは横浜あたりに住んだことがないのでよくわからなかった。

雑談はひょろっと背の高い方の女の子が一手に引き受けてくれた。それで、商品説明になると、もう一人の小柄なワンレングスの女の子が話しだした。たどたどしく、ぼくが聞いてもいない細かい話ばかりがやたらと長くて、少し辟易した。

帰り際にまた雑談した。どうもその会社は若い女の子が多くてけっこうゆるくやっているみたいだった。仕事があるのはなによりである。ワンレングスの子は新卒一年目だということがわかった。それから背の高い子は神奈川生まれで、ワンレングスの子は足立区育ちだと言った。

ぼくはそれを聞いて、パーマのかかった明るい色のワンレンや、やや派手なアイシャドーなや長いつけまつげや、鼻の脇あたりに少し広がったファンデーションのムラと、足立区、という響きが、調和した気がした。

これはひどい偏見であり、ぼくは心をあらためる必要を感じた。それから、なんで地下鉄にブルーだのグリーンだの色の名前がつけられるんだろう、と思った。

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