相談されるお寺が実践していること
「お寺のことはよくわからない」こんな声をよく耳にします。
しかし、日本国民のほとんどが仏教式のお葬式を選ぶのに、お寺のことを知らないのはなぜでしょうか?
私は現在、各地区の寺院様に広報の具体的な施策をご紹介しています。
「寺院広報はこうすべき!」「開かれたお寺になってほしい」というコンセプト(見せ方)ではなく、私が取材した寺院様の実例をベースに、各寺院で不足している施策紹介と制作支援を本業としています。
今回はなぜお寺のことを知らない人が増えたのかをお伝えします。
お寺を知る手段がないから
結論、お寺のことを知らないのは、お寺を知る手段がないからです。
「そんなことない!うちのお寺はホームページを持っているぞ!」
「うちの檀家は必ず法事を依頼してくるので、住職はよく知られている」
お坊さんからそんな声が聞こえてきそうですが、では来寺者や檀家さんに住職や僧侶の名前を知っているかを聞いたことがありますか?
私がお手伝いしていた寺院では法事やお葬式を依頼されても住職の名前や人柄まで知っている人はあまり多くありませんでした。
葬儀の依頼が多くても、葬儀中はほとんど背中を向いてますし、葬儀後も僧侶から連絡先を伝えていないのでお寺に相談をしたい遺族が住職の名前すら知らない場合があります。
これはお寺を知るきっかけとして大きな機会ロスをしています。
日本国民の8割強がお葬式を仏式で執り行うというデータがあり、僧侶との接点はあります。接点はあるのにお寺のことを詳しく知らないのはお寺との接点が葬儀だけになってはいませんか?
「寺院葬を増やしていこう」「檀家に年忌法要の日程を伝えて法事を喚起しよう」と考えるのも重要ですが、葬儀や法事以外で一般市民が求めるニーズはないのでしょうか?
遺族が葬儀後に納骨を依頼しないのは何故?
私が各地区の寺院に提供している情報として、葬儀後に納骨をどう依頼してもらうか具体的な施策をお伝えしています。そのうち、各地区の寺院数とその地域での死亡数をお伝えし、エリア内で葬儀受注される数値を推定します。
死亡数の8割がその地域で葬儀依頼を受ける可能性がある推定値として算出しています。菩提寺がない遺族が地域外の僧侶に葬儀を依頼する、または僧侶が地域外での葬儀をする割合が高いというデータがないからです。
まず、東京都内の比較数値を事例に、どのくらい葬儀後に納骨依頼を受けているかをご紹介します。
寺院数が多く、地域内死亡数が少ない港区と比べ、板橋区は寺院数が比較的少ないため葬儀依頼数が多い傾向にあります。さらに小平市ではより寺院数が少ないので、年間で100件以上葬儀を依頼される可能性があります。
推定値が実数値と違う場合、僧侶派遣や遺族が地域外の葬儀社を選ぶなど要因は様々ですが、私が各寺院にこれまでお尋ねしてたのは「年間の葬儀依頼数と納骨依頼数は比例しているか」です。
当社が情報提供している寺院からは葬儀数より納骨の依頼数は少ないと聞きます。「いまお墓を買う人は少ない」と言う寺院からの声を聞きますが、それは本当でしょうか?海洋散骨や骨壷を自宅保管する人が納骨する人より多いというデータを私は知りません。
それは、人がお墓を探すのに「寺院墓地以外の選択肢」が増えたことが要因のひとつとして考えられます。
他の選択肢を選んでいる理由
納骨を依頼する場合、菩提寺がある人は問題ないですが、菩提寺がない人や菩提寺と縁遠く、新たにお墓を探す人は相談先に困ります。
人がお墓を選ぶ機会は限られているため、お墓について詳しい人はほとんどいません。そのなかで「お墓のことはお寺に相談しよう」と思う人が地域にどのくらいいるか疑問です。
お葬式はお寺に依頼するけど、お墓はお寺に依頼しないのは何故でしょうか?その理由のひとつに、寺院墓地以外の選択肢があるからです。
石材店やインターネットの墓メディアが紹介する墓地では公営墓地や民間霊園などもあり、寺院墓地のなかでも寺院名を紹介しないケースが増えてきました。それは寺院名が知られていない可能性はあります。
人は知らないものを買う可能性が低く、お墓を複数買う人は少ないため契約には慎重になります。納骨依頼数が少ないと感じる寺院は、お寺の認知度が低い、またはお墓の契約条件が厳しいイメージがあるなどの要因があります。
お寺の認知度が低いエリアでは、マーケティングに長けた民間企業が寺院から名義を借り、墓地を広報し集客しているケースがあります。
事実、前述の都内エリアでは運営会社が管理する霊園があるため、葬儀を僧侶がしても納骨はしない寺院があり、「寺院数が少ない=納骨の依頼数が多い」にはならない可能性があります。
まずはお寺を知ってもらうこと
寺院墓地を民間企業が運営するのが悪いことではなく、そのお寺に足りない技術を地域の会社が支援し、納骨先に悩む人に知ってもらう活動をするのは有効です。
しかし民間企業が「お寺と接する必要がない墓地」と位置付けてしまう霊園開発は疑問です。その企業が永続的に墓地運営を約束できない以上、契約に寺院名を出さないのはお墓の契約者にも「うちのお墓は誰が最後に面倒見てくれるの?」と思われる可能性があります。
重要なのはお寺を知ってもらうことで、観光寺院でない限り寺院名より住職の顔が見えるほうが伝わりやすいです。さらには「お寺に相談できる導線を作る」ことで人から覚えてもらいやすくなります。
人から覚えてもらうために
当社の取引先にも境内霊園を運営する寺院がありますが、墓地契約者と関係構築できています。それは住職の顔が見える広報活動をしているからです。施主の後継者にも知られる広報をすることで、何かあったときに相談できる導線ができています。
「毎朝の読経を欠かさない住職」「お寺が墓前法要を毎年してくれる」など、その寺院墓地が提供する価値を伝えることで、墓参りのときにしか来寺しない人にも「いつかお坊さんと会ってみたい」と思ってもらえるメッセージを伝えていくことが有効です。
応援してくれる人を増やし、人が集まるお寺にしよう
コロナ禍で社会全体が多くの慣例が強制終了させられたなか、お寺に来た人にしか伝えない手段は限界に来ていると思います。
すべての情報を透明性の高いものにする必要はありませんが、どんな小さなことでもいいので「人から応援されるもの」を伝えていけば、それを見てくれている人から応援されます。
応援してくれる人をひとりでも増やしていくことが、これからのお寺に求められるキーワードになると思います。人はお寺のどこを見ているのかを、実際に来寺する方に当社が取材しております。人が集まるお寺には、そのお寺だから提供できている価値があり、その価値をお寺からしっかりと伝えています。
当社ではお寺を知ってもらう施策をを冊子にしてご紹介しています。ご興味のある寺院様は下記よりお申し込みください。
無料冊子申込フォーム https://forms.gle/PTBUTcaYw2TN2QvV9
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