見出し画像

労働と鍛錬1『現代〈労働〉理論』

我々は、幼い頃から労働を神聖化する社会システムの中で生きている。学校でも社会活動でも『労働は善である』『労働こそ美徳である』と教育される。この教えは我々を洗脳し妄信させ、誰もそのこと自体に懐疑心をもたなくなった。この話題を持ち出そうとすれば、途端に思考は寸断され、そこから先へは一切進めない。労働について疑問を呈する者は即座に『社会の落伍者』であり、『道徳心のない人間』と認定される。
だが私は〈労働〉のことを考えた。疑問を感じてしまった。理由はひとつだ。〈労働〉から解放されるためには徹底的に労働を語らなければならない。それが自分の内なる革命であるからだ。次に記すのは師との問答の一部です。私の内なる革命前夜の話です。

「この社会システムを壊さなければ、決して人間は労働から解放されないのです。労働こそ人間を劣化させる原因だ、ということを自覚したまえ」
「それはどういう意味ですか。なぜ労働から解放されなければいけないのですか」という私の問いに対して、師は次のように答えた。
「たとえば鉄は錆びていって、いずれは朽ちる。物質においてはこういう事象を酸化とか腐食とか劣化とか言うじゃろ」
「はい、木も腐り、金属は腐食し、水も腐り、コンクリートは劣化します。経年劣化ですね」
二度頷き、師は満足そうに問うた。
「そうだ、生物では経年劣化に該当するものは何じゃ」
「老化ですね」と私が答えた。
すると師は「それだけか?」と私の目を見た。師は続けた。
「老化という言葉が我々を惑わしている。お前たちの言う老化とは時間だろ。時間と大きく一括りにしてしまっては本当の答えは見えない。老化とは我々を藪の中で迷子にさせる虚像だ」
「では、老化ではないということですか?」と私は訊いた。
「確かにそれは老化なんだが、もっと細かく分解する必要があるってことじゃ。いや分類かのう。ちょうどひとつの力をベクトル分解して二つの力にするようにな。言葉がすべてを薮の中へと消し去ってしまうから気を付けるんじゃ」
「老化以外に別の言い方があるのですか?」
「そうだな、ちょっと先走り過ぎたかもしれん。その話の前に生命活動について解説しておこう。生命活動とは、破壊と再生の繰り返しが均衡を保っていることをいう。この丁度良いバランスを保っている時の生命活動は慣性的に進んでいく。これが生命活動のイメージだ
「そうですね。なんとなくイメージできます。それで老化とは何ですか?」
「老化とは生命活動のバランスが崩れるときに発生する不均衡状態だ。要するに破壊と再生の均衡が崩れ、破壊が増していくことだ」
「なるほど、老化の原因は分かりました。それで不均衡は具体的に何が原因で起きるのですか?」
「そうなんだ。そこがポイントだ。不均衡を起こすのはまさに〈労働〉だ
「労働ですか。まぁ、労働すると疲れますもんね」
「労働によって、あらゆる身体の機構の均衡が崩れ、劣化していくんだ。よくメモしておけ。端的に言うと〈労働〉は悪だ
私は話を書き留め続けた。そして書かれた〈労働〉という言葉をジッと見つめた。
「ロウドウ、ロウドウ・・・ロウドウ」と呪文のように唱えた。〈労働〉というのは私の知っている労働のことでしょうか?
「いや、おそらく異なる。もっと〈労働〉について本質をとらえることが大切じゃ。それが出来なければ、永遠に労働の奴隷のままだからな

◇◇東京ハバナの理屈の想定外のコーナー◇◇
『労働と鍛錬』について今のところ5回シリーズで投稿しようと思っています。今回は1回目で、いかがだったでしょうか。コロナ禍は私たちに不安や恐怖、さらには身体的な苦しみを与えるが、物事の本質や真実の姿もあらわにする。それはシステムという防御壁によって隠されていたもので、コロナがなければ、ずっと気づかなかったことも多い。そういったことに敏感になってアンテナを張っていきたい。次回で〈労働〉をもっと深掘りします。
◆◆◆70枚の檄文アート・カード『REBEL』◆◆◆
檄文カードでも眺めながら、心の炎を燃やす時間をお楽しみください。
=========================================
価格:3,900円(送料含む)
=========================================
■『REBEL』をご注文の方へ…
『BASE』に出品していますのでこちらからご購入お願いいたします。


ご興味いただきましたら是非とも『東京砂論』をサポートくださいますようお願い申し上げます。サポート頂けましたら誠に助かります。 『REBEL』と『COPENHAGEN』も宜しくお願いいたします。