【MLB】大谷翔平の契約解説:エスクロー編

【追記:下記は義務とされる資金確保44Mをする際に「エスクロー口座への預入」をした場合の前提になりますが、必ずしもその必要がない可能性が判明しました。文は残しておきますが、上記点留意の上お読みください】

大谷翔平の超異例な契約について、契約構成について詳細が明らかになりつつありますが、今回はエスクローの話を少しまとめていました。
話の全貌はMarlins Fishbagさんの投稿よりどうぞ:

走り書きで恐縮ですが、とりあえずポイントは以下の通りかなと思います。

資金のエスクローはLADにとって明確に不利。本来であれば自由に使えるはずの後払い分68Mのうち44Mを手を付けず確保する必要があり、結果的に毎年46MがLADの懐から消える。

エスクローの44Mが10年間かけて金利が蓄積して68Mになる、だからLADは毎年44Mだけエスクローしておけば良い、という意見が散見されたがそんな旨い話じゃない。
エスクローは基本金利がつかず、ついたとしてもそんなに高くないはず。
少なくとも現在価値の算出に使う割引率の4.4%からは程遠いのでは。
つまり(便宜上金利付かない前提で話を進めると)44Mx10が10年間口座に座っているだけの状態になる。

そして何よりも、その44Mが全く手をつけられない点が相当痛手。お金の世界では「運用(投資)しない機会損失」というものがかなり重要視されているが、現在価値の理論で言えば44Mを4.4%利回りで10年間投資すれば68Mになるところ、このエスクロー資金44Mは全くその機会をもらえない。

ここから10年後に68Mを払う必要があると分かった場合、今から68Mを10年間そのまま置いておくよりは、44Mを4.4%利回りで10年間投資をして68Mを獲得した方が明らかに理にかなっています。
が、LADは少なくとも44Mは10年間放置する必要があり、この投資のアップサイドの可能性は残り24M分にしか与えられません。
つまり、推定15Mを今から10年間投資すれば24Mになり、その差額分9Mは得できるが、このエスクローに44Mの資金が縛られていなければ68M(10年間44Mを投資していれば得られたであろう金額)-44M=24M分得できたはずで、簡単にいうと24M-9M=年15Mの機会損失を強いられます。

つまり、エスクローがあるとないとでLADが計150M損することになります

ただ、いずれにせよ、普通に額面通り年70Mを大谷選手に払うよりはLAD側にとって資金繰り・贅沢税運営上で有利である点は全く変わらない。
そして、150M損していても、元々額面の契約金額700M-贅沢税上の契約金額460M=240Mを得していたので、結果的にはまだ90M得しています。

一方、上記は資金繰りの話なので、今回現地・日本のMLBファンが問題視している贅沢税上のAAV抑制は引き続き46M、と実額70Mに対して24M削減している点には全く影響がないです。

色々端折っていますが、ご参考までに。KZilla


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