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「蓼喰ふ虫」全員稽古場日記/最終稽古編

「蓼喰ふ虫」稽古場日記を全員で書いてみようという企画。
ついに最後の全員稽古場日記です。

ご来場お待ちしております!

(公演情報はこちら!)

※掲載は原稿到着順です。

【松下仁】

9/18(日)
第4弾

どしゃ降りだった。ちょうど家を出る時間帯、どしゃ降りだった。
外に足を踏み出した1歩目で靴の中が濡れた。
稽古最終日はそんな始まり。

今日の日をひとまずの目標としてここ1ヶ月ほどを生活してきました。僕はどうしたって緊張からは逃れられないタチなので、緊張にやられてしまわない為に、と言う思いで必死でした。演じる事が日常である生活から遠のいていた僕には、容量がオーバーしていたので、自分のストレスを少しでも減らすために、配慮のない言動があったかもしれません。すみませんでした。
ただ、あとはもう、やってきたことが的外れだろうと、如何に飛び込めるかだけだと思いますのでここから先、千秋楽まではこの緊張と共に生活していきます。

今回、夫婦を軸にストーリーが展開しますが、その夫婦が凄いです。
稽古場で絶妙な距離感を保ちつつ、ここぞと言う時にはソッと、そして力強く寄り添う様子に「夫婦」を感じます。

旦那さんであるのアッキーの、ここ数日の変容っぷりに恐ろしさを感じている。表情や目線、反応、佇まいがもう役でしかない。そう見えることに僕自身が驚いている。演劇人生で初めての経験です。
内側ではどんな世界が広がっているのか興味深い。

奥さんであるなっちゃんが凄まじい。役者としての譲らなさ、違和感を刈り取っていく姿勢、細やかな動機の設定。そして周りへの気遣い。かつ、その気遣いをまた自分に活かす貪欲さ。
かつてのあの人を見ているようだ。先輩の姿と言うのが彼女の中にも生きているのだろうか。

どうぞ、100年前の当時を生きていた人々を通して、そして夫婦を通して、今を感じていただけたら幸いです。

【田中嘉治郎】

2022年9月18日(日)
なんて事ない日曜日ですが私達にとっては稽古最終日という、もう色々と試す事はこれが最後ですよ。と釘を刺される想いの追い込まれ日なのでした。

稽古というのは与えられた台詞や状況を色々試しながらもそれは無しそれは良いですねという中で、そういう事ならとその選択肢の中で出来る事を色々と探していく行程なんですね。
そうして稽古場での共通の方向性が共有されていく訳です。
そうするとお互いに客観的なアドバイスを交わし合ったり時には拳を交わしたりしながらお互いを認め合ったり誰彼がくっついたり仲人お願い出来ますかとか聞かれたりTikTokですか?いやTikTokですと発音を正されたり深夜ですお酒飲んでます全部嘘です。

しかしこれは本当に、演出の上野さんから「それはやめておきましょう」という否定的な指示
を私個人としては聞いたことがありません。
何処までも泳がせて頂きました。
そして自ら収納させて頂きました。
そういう恐さはあるかもしれません。

いゃ〜↑ここで一度上野さんに誤送しまったんですね。
もう恥ずかしくて恥ずかしくてこの後は書けませんとかで誤魔化しても良いのですがここは恥をしのんで。

はい引き続き宜しくお願いします。

とか冷静な御返事、まじでそういう恐さはあるかもしれません。だってねぇ、どう見たってココから上野さんを持ち上げるターンじゃぁないですか。持ち上げるとかそういうアレじゃあ無いですけどもう…

好きです❤️

本当に色々ありましたが最後まで気を抜かずに宜しくお願いします❗️

なにしろココからの為に集めて頂いたのですから。

そして秋本御夫妻、

とここから6時間かけて2人の事を書いて誤って消して疲れて、その後に皆さんの事を同じだけの量書くという恐怖におののきもう全〜部カット‼️

何だったんだこの6時間…

兎に角21日から下北沢で始まります‼️
副作用でスゲ〜雑になってますが始まります‼️
は〜じま〜るよ〜‼️

【大田彩寧】

稽古場日記(4)
2022年9月18日 大雨
最後の稽古の日です。あいにくの雨でしたが、それもまたこの作品には良いなと思いました。
倍速通しなるものをやりました。超速で台詞を回す稽古は今までやったことがありますが、通しを倍速でやるのは初めての経験。いそいそ動くみなさま、飛び交う台詞たち、でもこれをすることで、あ、ここ私あんまり整理ついてないんだな、とか、ここ無駄な一手があるわ、とか、気づくことが沢山ありました。そして半分の尺で終わる通し。すごい、これが倍速通しか。上野さんの稽古場ではよくやるそうで、なっちゃんさんが流石慣れていらっしゃるな……という感じでした。
そして少し場面稽古。あるシーンの滞ったもやもやというか、あと一歩なにかというところの、光が見えて嬉しかった。
そしてそして、最後の稽古場での通し。衣装やヘアメイクもばっちりして、いよいよ『蓼喰ふ虫』の世界観にどっぷりつかります。そう、髪の毛が、私今わりと短いのですが、紅緒さんのプランとなっちゃんさんの技術で凄いことになっております、うへへ、早く皆さんにお見せしたいなあ。お着付けもあかりさんにしていただいて、しっかりお久になりました。はんなり。倍速通しをやったお陰か、全体的にすっきりブラッシュアップされたような感じがしました。これは、自信を持って、皆様にお見せできるなという実感があります。『蓼喰ふ虫』の世界に生きている彼らは、もしかしたら、なんて考え方なの、と思われてしまうかもしれないけど、でも各々の信念というか1本通ったもの、美学のようなものが、あるのでは無いかと、それが見ていて心地よいのではないかと、勝手に思っています。早く、劇場でもっと世界観につかってお久として生きてみたい。楽しみです。

【上野陽立】

9月18日 日曜日

いよいよ、最後の稽古場日記です。
つまり、今日が最終稽古ということです。
天気は台風14号の影響で雨。
鹿児島の実家は一瞬停電になったそうです。
昔は台風が来ると、学校が休みになるから嬉しかったけど、台風が来やすい地域性なのか、よっぽど強くないと休みにはならなかったので、そんなに台風で休校ってことはなかったような気がします。たくましいです。

さて、最終稽古は遂にマスクを外して初めて通しをしました。
やはり今までマスクをして稽古をしていた分、気恥ずかしさがありましたが、本番前に一度マスクを取ってできるのはありがたい。
通し中、今まで見れなかった皆さんの表情をこれでもか、というぐらい堪能させていただきました。
やっぱり顔が見えるというのは素晴らしいですね。マスク生活も慣れたけどさすがに飽きました。ええ。

また、昨日髪型のレクチャーを受けたので衣裳も合わせて本番同様の状態で通しに臨みました。
100年前の時代設定なのでこうやって髪をセットし、衣裳を着ると、やっぱり雰囲気が出てきます。
ここにさらに舞台美術、音、照明が加わったらもう劇場に来た瞬間に一気にタイムスリップした感覚になるんじゃないかな。役者として、とてもありがたい環境でやらして貰ってるなと改めて実感。
上野さんをはじめとする、各部署の全ての皆様に本当に感謝しかありません。

いよいよ3日後本番を迎えます。
本番前というのはいつもどきどきよりもわくわくします。
そりゃ多少緊張はしますが、いろんな人に作品を見て貰える本当に素晴らしい機会です。こんなにわくわくすることはありません。
この座組み、メンバーで舞台をすることは二度と無いわけですから、それが8公演しか無いわけですから、本当にこの機会を逃さず、沢山の方に見てもらえたら嬉しい限りです。

上野陽立

【鈴木あかり】

稽古場日記
鈴木あかり
2022年9月18日

台風だ。濡れたコンクリートの鼻につく香りが立ち込めている。
今日は最終稽古だった。秋本くんとの距離が縮まり、わたしの冗談によく笑ってくれる。
何度稽古を見ても、俳優たちの技量に驚かされる。こんな俳優に囲まれて、幸せな時間を過ごしている実感をする。そして、そんな俳優たちが共に作品を作ろうと決意した上野さん、榊さんの人柄や実力をまた痛感する。
さて、この作品が下北沢に上陸する。台風と共に。
きっと、台風のように客席を巻き込み、終幕のときには晴れ間を見せるような作品になるのだろう。そんな気がしている。今日は雨風を凌ぐため、戸締まりをしっかりして寝ようと思う。

【ばばゆりな】

ふふふ、9月17日からライブ音源アルバムが配信開始されてます!!👏👏👏
いきなりなんの話か…?
そりゃ当然ゆずですよね。
もちろんライブBlu-rayも買いますが、映像だと私は頻繁には観ないので、音源化してくれると移動中でも気軽に楽しめて、すごく嬉しい。
どうやらこれを聞きながら劇場まで通うことになりそうです。
というか、この短期間の稽古場日記で毎回新しい情報あるゆず、すごくない!?

私たちはというと、ついに最終稽古を終えてしまいました!
今回、お声がけくださった企画のなっちゃんさん(榊菜津美さん)とは過去に2回共演したことがあるのですが、今まで同じシーンになったことがなく、この度ついに舞台上で絡めました!!
安心感すごいわ〜。
最終通しで、私がセリフを間違えて言い直したところがあったのですが(マジごめんなさい!!)そのこと自体にもリアクションした上で、その時の目的と繋げて返してくれて、次の私のセリフの言いやすいこと!

はじめはですね、自身の出演シーンが限られているので、どう宣伝したものかと思っていましたが、稽古が進むにつれ、自分が出てる出てないに関係なく観て欲しいと思う作品になりました!
だって皆さん素敵やもん。

だから宣伝頑張ります。

【上野友之】

近づく台風の心配をしつつ集合。

まずは必要な録音を済ませ、メインイベントその1・倍速通し。
台詞&動きを全て二倍速でやってみる。
100分の倍速なので目標50分のところ、57分。良い感じ。

これをやると、意図が曖昧なところも見えるし、
倍速でやってすらニュアンスが伝わる台詞は、深く体に馴染んでいるのもわかる。
特になっちゃん、松下さんは倍速でやっても充分に面白く、流石だなと思った。
「そもそもこれくらいの速さでも良いんだね」という場面も見つかる。

そこから必要な稽古をして、休憩を挟み、メインイベントその2・最終通し。
昼にやった倍速通しの効果もあり、テンポも良く、ランタイムも5分ほど短縮して良い感じ。
搬出の為にパッキングをして稽古場を片付け、最終通しのフィードバックをする。
(そう言えば、「ダメ出し」と言う言葉の是非問題、特に意識はしてないけど、俺はあまり「ダメ出し」とは言わず、フィードバックとか確認とか言うようになってる。「ノート」などは、俺のような野良演出家にはカッコつけ過ぎかなとか。)
それにしても今回の稽古場日記企画、「緊張する」と書いてる人ほど全くそうは見えなかったなあ。寧ろすましてるぐらいに見えた。今後、すましてるように見える俳優は緊張してると思った方が良いのかな。

搬出まで10分くらいのタイミングで全て終了し、「ここで解散。お時間に余裕がある方は宜しければ搬出にお付き合い頂けると」と言ったら、皆が探り合いの空気みたくなってしまって反省。「解散」とだけ言えば良かった。
自分が仕切る場で、自分の深く意図しない発言に対して、人々が「え……これどうする……」となる空気が本当に苦手だ。

結局、すぐにトラックが来たので皆さん手伝って下さって、雨も風にもぶつからずスムーズに終わって感謝。

一人の帰り道、油そばを食べようと思ったらもう閉店してて他の店もやってなくて、少し歩いて焼き鳥を食べた。

(そして翌日の仕込み日は、榊さんが楽屋作りから小道具周りから一人で奮闘していた。お疲れ様。)

さあ、いよいよ始まります!

【秋本雄基】

09/19秋本雄基 稽古場日記④

榊菜津美は、いまとなりで小道具を作っています。
稽古場では俳優として、家ではプロデューサーとしての仕事をこなし、一部へアメイクも担当し、衣装のお手伝いもして、俳優のなかでただ一人小屋入りに参加して楽屋を作った帰りに小道具を作っています。すごくないですか。ぼくはもうただただおそろしいです。

とにかく責任感が強い人なんですよね。なにに対しても任されたことはきちんとやり遂げる。多分上野さんもそれをわかって、色々サポートしてくれているんだろうなぁと思います。責任感の強い菜津美さんと色々察して気をつかってくれる優しい上野さん。良いコンビです。

菜津美さんの責任感って「おもしろい作品を作る」というところから来ているのだと思います。面白い作品を作るために、俳優として頑張るし、家で書類も作る、ヘアメイクもする、衣装も手伝う、必要なら小道具も作る。もちろん菜津美さんの持つ化け物みたいなバイタリティもあると思うのですが、ここまで頑張れるのは純粋な「おもしろい作品を作る」という思いからなのかなぁと勝手に想像しています。

そんな菜津美さんがおもしろい作品をつくるために僕を呼んでくれたのは、本当に光栄で嬉しいことです。期待に応えられているでしょうか。プロデューサーというものは、表面では「いい演技だったよ!」と言っても、次からパッタリ呼ばないなんてこともザラな生き物なので、正直不安です。

となりで小道具を作っていた菜津美さんはいま小道具を作り終え、ひとしきり僕に自慢したあとに、しぶるうずしおをクレートに入れ、メイクを落としています。明日は誰よりも早く自分のヘアメイクを開始して、他の俳優のヘアメイクに備えることでしょう。

僕の妻はすごい。僕も負けないように俳優を頑張る。

稽古場日記でもないただの日記でした。

【榊菜津美】

《2022/9/18 榊菜津美》

前回の稽古場日記から今日までの間に「全然ダメだ!!!」の時期をしっかり過ごした私。
絶賛「だめだ…こんなんじゃ…こんなんじゃだめだ…」から抜け出せずにおりました。
実のこもりかたが全然足りない。こんなんじゃお芝居やる意味ないぞと。

でも今日の稽古できっと乗り越えられました。
夫と出会ってから今まで過ごした時間が、お芝居の質を何個も上げてくれた実感があります。観てる分にはそんなに変わらないのかしら。どうなのかしら。それでも私にとって、とっても大切な変化でした。
実際の夫婦でこの作品を上演する意味が存分に出てきたぞ、という想いです。

そして最終通し。
ちょっと共演者7人とも素敵すぎました。本当に、本当に素敵だった。舞台って本当全員とやるものだなぁ。
お一人ずつドラマ1話分くらい喋れる。でもそんなに喋っちゃうと勿体無いので、是非生で確認してほしいです。

このあと劇場で、スタッフさんの力もさらに加わるんだぞ。楽しみ。

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