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「蓼喰ふ虫」全員稽古場日記/顔合せ編

「蓼喰ふ虫」稽古場日記を全員で書いてみようという企画。
初回は先日行われた顔合せの全員稽古場日記です。

(公演情報はこちら!)

※掲載は原稿到着順です。

【秋本雄基】

08/25秋本雄基 顔合わせ 
菜津美さんがとても頑張っていました。
顔合わせでの挨拶やチケットの説明、注意事項を話していたのですが、かなり緊張していたみたいですね。僕もとなりでがちがちに緊張していたので、全く気がつかなかったのですが……
とにかく特殊な現場なので、いつもとは全く違う緊張感なんですよね。稽古場内での居方がわからないというか。
彼女はプロデューサー兼プレイヤーであり、僕は彼女に呼ばれた、雇われた立場なので、圧倒的に向こうの方が上なわけです。だって、お金だしている人がえらいので。僕は彼女にへこへこする立場なのです。
一方で、協力しあう夫婦でもある。対等な関係性で寝食を共にしている。正直どう接していいかまだ模索中といった感じです。
ひとつ決めているのが、稽古場ではできるだけ俳優として菜津美さんと接すること。
プロデューサーとして、妻として、という関係性よりかは俳優としてやりとりをした方がいいのかなと思っています。僕たち夫婦にクローズアップした公演ですけど、プロデューサーに呼ばれたただの俳優としてやろうと。なんとなく、その方がいいのかなと思ったんですよね。
夫婦の感じもできるだけ出さないようにしました。どうせにじみ出てきてしまうのでアレですけど。これは僕が甘えちゃうなと思ったからですね。
今はとても微妙な距離感で、僕としてはなかなかに緊張する空間を自分で作り出してしまっている状況ですが、スタジオ入りまでにはいい距離感を見つけられたらいいな。結婚してからなんで距離感の話してるんでしょうね。付き合いたてみたいですね。
稽古場では俳優としてドライめに接する代わりに、家ではできるだけ労わりたいと思います。菜津美さんが健康的な食生活を維持できるように頑張ります。うずしおの散歩もできるだけ僕が行きます。
ちなみに今日はコンビニで生触感カヌレを奢りました。
お疲れさまでした。

【松下仁】

こんにちは。松下仁と申します。
公演「蓼喰ふ虫」の企画の一環で稽古場日記を書きましょう、ということでこれが第一回目です。

8月25日(月)。顔合わせ。
稽古は既に何度かやっていたけれど、ほぼ全員で集まるのは今日が初めて。嫌われなければいいなとか、怖い人だったらどうしよう、とか初めましての時の定番な気持ちを抱きつつ、部屋でセリフを覚えておりました。今回、知り合いに教わった、相手のセリフを自分で録音してあたかも相手がいるかのような、セルフ対話方式でセリフを覚えているのです。なぜ今までこんな単純なことを思いつけなかったのか悔やまれます。めっちゃ良いです。これ。
さて、稽古の時間です。

今日はここ最近にしては少し肌寒く、冷房の効いた部屋では寒いかなと思い長袖を着て稽古場へ向かったのです。ただ、少し蒸していて、自転車をこいでいると汗をかいてきて、あれ、やっぱり長袖間違えたかなと不安になり、道行く人の服装をチェックして、長袖の人を見つけてホッとしたり、いや、蒸しの中に冷たい風も混じってるし間違えてないってとか、自転車の速度を落として汗をかかないように調整して、ほら汗かかない、と自分に言い聞かせていました。ただ何より不安だったのが、稽古場について長袖のことを突っ込まれたらどうしようってことで、肌寒くてとか冷房がとか言い訳考えて、でもめっちゃ汗だくじゃないですか!とか言われたらどうしようって。だから途中コンビニで涼んだりして。到着するまでに疲れてしまいました。
結果として、稽古場はやっぱり寒かったし、稽古終わりの外は秋の気配がむんむんしていたので長袖でよかったです。

稽古内容は、顔合わせと言うことで台本を最後まで読んだのですが、隣に座っていたアッキーが台本から手を放して本読みしてて「チェックの意味を込めて敢えて見ているだけで実際は覚えてますけど?」みたいな猛者の雰囲気を漂わせており、闘志を感じました。
あと前々から不思議だったのが、読み合わせていて、なっちゃんとは妙にしっくりくる点です。やはりアマヤドリっぽい演技って言うのがあるんでしょう。無意識のうちの間合い、呼吸、タイミング、発声の仕方が似ているのかもしれません。
なんか実家に帰ってきたように感じるんです。

さてさて、本番までもうすぐです。どえりゃ緊張していますがぼちぼちやっていきたいと思います~よろしくです~


【上野友之】

脚色・演出の上野友之です。

数回のプレ稽古を経て、今日はキャスト顔合せ。
諸事情で一名お休みとなり、七名が揃う。

まずは上野と榊さんが挨拶をし、
榊さんより感染症対策とか稽古場ルールについて説明。

こういう時の榊さんの喋り方、仕切り方というのは、身内ながら上手いなあ~と思う。
公式な主催側の立場としての発言と、正直な自分としての本音とを絶妙にブレンドしてくると言うか。
抑えるべき所はしっかり抑えつつ、フレンドリーな雰囲気もキープすると言うか。
そしてやはり明るい。
プロデューサー・榊菜津美を褒め称えるnoteは去年既に書いたのですが、改めて再認識。

その後、上野から、主にハラスメント対策のガイドラインを説明。
今回初めて作成したもの。
ハラスメント対策を、加害者側の当事者になる可能性のある者が説明する難しさも感じつつ。

いつの頃からか、稽古初日や顔合せには「何を差し入れるか」を考えるのが優先事項の上位に来るようになっている。
それも演出家としてどうなのよと思いつつ、昨日は伊勢丹をウロウロして、一つ一つ味が違うフルーツ味のミルフィーユみたいのを買っておいた。
ガイドライン説明後に、空気を和ます意味でもそれを配る。
(もちろんちゃんと個別包装された、感染対策を考慮した商品でございます。)

続いて皆さんに自己紹介して貰い、休憩を挟み、本読みをして貰った。
台詞は原作小説からの書き起こしが主なのだが、構成的にもセンテンスとしてもまだ長いかと感じる箇所があり、要検討。

大田さんが京ことばを皆の前で初披露。
少なくとも素人の自分には全く違和感なく、感心する。
方言指導のぎぃ子さんが録音してくれた台詞を繰り返し聴いていると言う。
耳が良い、ということは俳優の大切な資質の一つだと思う。

解散して一人の帰り道、前方で身を寄せ合って駅まで歩くカップルがいて、「あれはもしかして秋本夫妻か……?」と思いながら追い抜いたけど違った。

もちろん本読みでは他にも色々考えたけれど、
それも含め、皆さんの稽古場日記を読むのが楽しみです。


【榊菜津美】

《2022/8/25 榊菜津美》

読んでいて面白いか、わかりやすい文章で伝えられるのか心配だけれど、分かりやすさ等よりも、込み入った話もなるべく文字にすることを優先してみる、己のために!

・顔合わせで、企画者としての挨拶や説明に、なんだかとっても緊張してしまった。声が上ずってて恥ずかしかった。そのあとの本読みよりよっぽど緊張してしまった。
緊張している自分を可愛げで誤魔化そうとするのとか、そろそろ卒業したいなと自己嫌悪した。あぁ!

・本読みは、初めて俳優さんの声で台詞を聞く役もあったから、わぁ、こんな感じなんだ…!となんだか感動した。

・本読みは邪念との戦いだなと思った。
視覚情報があまりない分なのか、まだ作品や役への考えが足りないからなのか、要らぬことをたくさん考えてしまう。

感情を自分でつくろうとしちゃう(=やりにいく、といつも言っている。)愚かさをわかっているつもりなのに、相手よりも自分のお芝居の事ばっかりになりやすい。

しかし相手役が夫となると、
「「今のはやりにいってるのでは?」と思われたくない!」
という気持ちがより強くなるのだなと気づいた。これもこれで邪念。

特に夫とのシーンで、台詞を読みながら、実際の関係を元に想いを馳せちゃう時間も多かった。作品に活かせることと活かせないことがあるなぁ。

今まで本読み中に相手を見ていたのは、見てる、というポーズだったなと思った。
「相手を見るべき、見れる自分でいたい」みたいな。
本当に見ていたわけではなく、見るという自分をやっていただけ。
今日それに初めて気づいた。何度も「いまのは"見る"をやっただけだな」というタイミングがあった。

それよりも、もっと相手の台詞を耳で聞こうと思った。
そしたら「わ、結構怒ってる!」など相手役から伝わってくるものが増えて、ちょっと楽しくなった。

・恥ずかしさや緊張で、稽古後は、人や犬に甘えたくなった。

【鈴木あかり】

稽古場日記
鈴木あかり
2022年8月25日

まず、「蓼食ふ虫」が読めない。
読めないばっかりは、ネットで調べることもできない。谷崎潤一郎、虫、で調べる。たでくうむし。たでくうむしってどんな虫?蓼食う虫、で調べようとすると続いて「好き好き」と出る。すきすき…?かわいいな。
「人の好みはそれぞれで、一概には言えないこと。」
上野さんが原作から脚色した台本を読む。谷崎潤一郎、タイトルセンス、すごい。稽古場に行く。みんなで台本を読んだ。共演する俳優たち、存在感、すごい。ポカンって口を開けて聴いていた。9月末、なんだかすごい初秋になりそうな気がした。

【上野陽立】

8月25日 木曜日

稽古日記を書いてほしい。
そう言われて何を書いたらいいかと考えながら今書いています。
とりあえず最初なので、僕がこの座組みに参加することになった経緯から。

ある日突然、ポンと演出の上野さんから「9月半ばにやる公演のキャスティングをしているのですが、8月9月のスケジュールってもう何か決まっていますでしょうか…?」とLINEが送られてきました。
上野さんとは1年前の競泳水着のオーディションで知り合っていて、別の企画でご一緒させていただいたりはしてたんですが、上野さん演出の作品にキャスティングされるのは今回が初めてでした。
なので、やっと来た!と跳ね上がりそうになるのを抑えて「やりたいです!」と応えました。

僕がキャスティングされた役は阿曽という、原作ではほとんど描かれていないキャラクターでした。
第0項の時点では本当にワンシーンだけくらいの感じで。
情報がほとんどないので、割と自由に作れるなあという楽しみと、上野さんがこれから演劇としてどう阿曽を登場させるのかなあという2つの楽しみができました。

と同時に元は小説なので、シーンの切り替えが多く、演劇としてどう表現していくんだろう?とこれもまた楽しみの1つであり、キャストの皆様もすごく個性的で魅力的な人たちが集まって今はもう楽しみでしかありません。

僕は面白くなりそうと思っているのですが、最終的にお客さんの目にどう映るのかそれも楽しみに、これから稽古頑張っていきたいと思います。

上野陽立

【大田彩寧】

稽古場日記(1)
2022年8月25日 晴れ

 今日はTOKYO PLAYERS COLLECTION『蓼喰ふ虫』の顔合わせの日でした。
これまで数回稽古はあったものの、諸事情で参加できず、今日が初めての稽古参加です。稽古場へ赴くということに、いつもより緊張していました。というのも、所属劇団以外の公演に参加するのが約1年ぶりで、稽古場とはどんなものだったか、その感覚が自分の中から薄れてしまっていたのと、今回の座組はほとんどがはじめましての方ばかりのためです。

 職場から急いで稽古場に向かう電車の中、方言指導のぎぃ子さんから頂いた台詞の録音を繰り返し聞いていました。今回初めて、方言を話す役をいただきました。事前に演出の上野さんとお話しさせていただいた際、方言を話す役を演じることに抵抗はないかと聞かれたのを思い出しました。何もわからないままないですとお答えしたのですが、いやはやこれは想像以上に大変だぞとその時の私に言ってやりたい(とてもやりがいがありますが)。

 稽古が始まり、企画の詳細などの説明があり、それぞれ自己紹介をしたのち、本読みの時間となりました。私個人のことを言うと、方言を正しく発話することと、お相手の役の方と会話を交わすことの両立に慣れず、悪戦苦闘しておりました。練習したはずの方言もうまくできず、悔しい思いでいたのですが、上野さんから花街言葉(私の役は花街言葉を話します)は地方から集まった少女たちが各々の方言を隠し舞妓さんになるために一から習得して使うものであるという話を聞き、大げさかもしれませんが、花街言葉を練習することがそのまま今回の役の人生の一部をを共有することにもなるのだなと、この方言をおぼえることに新たな意味が生まれたように思います。次の稽古には、もっと彼女に近づけるようになりたい。

【ばばゆりな】

私事ですが、前日24日に山梨県の八ヶ岳にある身曾岐神社に行っておりました。というのも、ゆずのファンクラブライブがありまして…あぁ最高やった!!!
せっかくなのでゆっくり一泊したいところでしたが、なんせ次の日は顔合わせ!余韻に浸る間もなく、帰りの特急あずさでは谷崎潤一郎氏の原作を読んでおりました。(疲れてほぼ寝ちゃったけど、、)
大きな事件が起こる話でもないので、原作を1人で読んでると、作中の時間の流れがゆったり感じられます。しかし今日の本読みで、俳優が台詞で発してるのを聞くと会話の軽快さが増しておもろい!
すき焼き屋で要と高夏が話してるシーンなんかは、コントのような滑稽味もあります。

…そういえば、自己紹介の時に皆さんのマスクを外したお顔を見せていただいてない!
早く素顔を拝見したいなぁ。

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