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「蓼喰ふ虫」全員稽古場日記/荒通し編

「蓼喰ふ虫」稽古場日記を全員で書いてみようという企画。
今回は荒通しの全員稽古場日記です。

稽古も佳境です!

(公演情報はこちら!)

※掲載は原稿到着順です。

【田中嘉治郎】

9月12日月曜日。
なんて事ない日ですが、私達にとってはお芝居を最初から最後迄止めずに通してやってみる『荒通し』という儀式の日でした。

誰か3ページ目辺りから48ページ目辺りまで台詞をすっ飛ばして紅丸羽化←くれないだろうかと入力したらこうなりました。

紅丸羽化。
つまり稽古前に書いてるんですね。何でって荒通しの後なんて脳味噌ショートしてますから。
ゾマホン化してアワアワした後です。最大級の恐怖を味わった後で文章なんて組み立てられません。
それなのに稽古前のLINEでシレーッと「今日も稽古場日誌お願いします❤️」とか送って来やがってヨォ‼️
上野友之さんヨォ‼️
マジで台詞スッ飛ばすぞぉ‼️

という事で富士そばに寄り一口目で七味が喉に張り付き咽せまくってやったぜ。
荒通し前から心が折れてんなこりゃ。
きっと皆んなそう。
そう信じて頑張ります。

【大田彩寧】

稽古場日記(3)

2022年9月12日 曇り時々雨

 集中稽古期間が始まります。私は日中会社に行き夜稽古場に行くという生活をしています。その分自分でやれることはなるだけやらねばならないと改めて気を引き締めて月曜日を迎えました。

 荒通しをしました。改めてじっくりはじめから終わりまでノンストップで物語を味わう機会は、この作品に出ませんかとお声掛け頂き小説を読んだとき以来かもしれない、いや、顔合わせの本読みの時以来か。改めて、味わい深いお話だと思います。流れていくシーンを見ながらふんふんと楽しみつつ、もちろんお久としての芯といいますか、このお話の中での役割・機能を見つめ直す機会となりました。

 そしてなによりも方言指導のぎぃ子さんに見ていただいたことがとても緊張しました……たくさん練習したつもりでも、気持ちや相手とのやり取りが入るとやはりぶれてしまうのですが、やはりそこはお久として使い慣れているはずの言葉がたどたどしくあってはならないという気持ちでいます。でも、少しは成長してましたでしょうか……?

 そういえば、最後のオフだった昨日は大安・一粒万倍日・天恩日が重なるとてつもなく縁起がいい日だったみたいですね。みなさんは何かいいことがありましたでしょうか。なにか新しいことを始められましたでしょうか。振り返るとちょっといい日だったきがします。なんてね。

【松下仁】

第3弾
9月12日(月)

お金の節約と電車でのストレスを避けるため稽古場には自転車で通っているが、自転車は自転車で、乗ってる人がたくさんあるので煩わしさが幾らかある。抜いたり、抜かされたり、お見合いしたり、車との壮絶な駆け引きがあったりと、生きている限り、この煩わしさから逃れる時は永久に来ないと思うと恐ろしい。
脱却するには無人島にでも行くしかあるまい。いや、そこでは虫や動植物、天候との戦いが待っているに違いない。

戦いと言えば、アッキーが戦っている。
今日は初通しでした。
通し前、1人追い込まれている姿が印象深い。
通し中、共演シーン、少しボーッとしている?頭がパンク寸前のようだ。ちょっと心配になり身体に触れてみた。その後倍の勢いで捕まれた。内側にはちゃんと獅子がいた。それでもアッキーを注視しようと言う感を深くしている。

なっちゃんが攻めてくる…
長いこと女っ気のない生活をしているので、燦然と輝く女っ気が眩しくて仕方がない。最も内側のパーソナルスペースにほんのちょっと女子が侵入しただけでドギマギしてしまう。それにしてもなっちゃんも大人な女性になったなと感慨深い。

バンビがかわいい。子供を持ったらこんな気分だろうか。ただ、僕が距離感を気ニシイな方で、特に、近い、ことに殊の外敏感でだいぶ気を遣ってくれてる様子。
ただここは先輩として我が儘を通そう…
すまん!ありがとう!

嘉治郎さんが面白い。柔和で格好良くて、面白い。僕は真面目に真面目になりすぎるので、冷水をぶっかけられた衝撃でした。面白さ、と言うのは何にもまして必要な要素だなと言う思いを強くしている。

あかりさんの目が凄い。大きくて力強くて、意志の強さを感じさせる目だ。あの距離感でよく、ブレることなく人の目を見つめられるものだと感心している。
あの目で見つめられたら心まで鷲掴みにされそうです。

彩寧さんが甲斐甲斐しい。
「へぇ、へぇ」が好きなんです。役の人生をここまで気にさせてくれるのも珍しいなと思う。ラストシーンはもう爆発する思いです。ショーシャンクみたいな気分です。

陽立くんは…
若い。
自分のことは棚に上げ、心配してしまう。おじさん、ウズウズしちゃうよ!

以上のメンバーでお送りします。
どうぞよろしくお願いします。

【秋本雄基】

09/12秋本雄基 稽古場日記③

初通し稽古(最初から最後まで止めずにやってみる稽古)でした。
緊張しました。最初からわたわたしていて、最後まであわあわしていたように思います。僕はかなり緊張しやすいタイプなので、「緊張しすぎて血が引いていき体温が下がる感覚」というものを久しぶりに体感しました。本番はもっと緊張することでしょう。
内容についてはあまり覚えていないのですが、最初から最後まで無事に通った安心感と、粗い部分が浮き彫りになった焦燥感を感じています。

具体的に通しで気になったところは「言葉遣い」でした。100年前の小説を舞台化しているわけですから、言葉が現代的ではないんですよね。普段使っていない言葉で台詞をしゃべるとどうしても違和感があります。しゃべっているほうに違和感があると、やはり聞いているほうも違和感を感じるわけで。緊張していると余計に言葉遣いの違和感にばかり気が行ってしまって、どうにも窮屈な通しだったように思います。
言葉遣いって日常のものなので、そういうものを自然に演じるのが一番難しい気がします。
冒頭の2人のシーンなんかも2人の日常を描いたシーンなのでこれまた難しい。元々僕らは夫婦ですけど、もちろん僕ら夫婦にはない日常をキャラクターは過ごしているのです。どういう言葉を交わして、どういう過ごし方をして、どう触れ合っているのか。台本に書かれている外でどんな生活をしているか考えていかないとなぁと思いました。

菜津美プロデューサーは通しを終えて疲れたのか、化粧を落とさないままうずしおとソファーで寝ています。さっきまで「化粧落として、ベッドで寝るから!」と言っていました。僕らの日常はそんな感じです。

【鈴木あかり】

稽古場日記
鈴木あかり
2022年9月13日

朝夕がひんやりとしてきた。晩夏は蚊が出る。
今日は初通しをした。8名のキャストと、上野さんで、作品を立ち上げていく。
純文学原作なので言葉遣いが難しいのだけれど、俳優陣の力量で笑いが起こる。すごい。すごい俳優を間近で見て、震える。通し時間は100分。淡々と進んでいくはずなのに、1時間半と少しが、すっ飛ぶように過ぎていった。
ここに舞台セット、音響、照明などプロのスタッフさんたちの技術が乗れば、30分くらいに感じちゃうんじゃないかな。楽しみだな。
昼間ももう少し涼しくなって欲しい。

【榊菜津美】

《2022/9/12 榊菜津美》

今までまだ台詞覚えが甘い段階のとき、「相手の台詞中に次の自分の台詞を頭で浮かべて用意しておく」というやつ、全然良くない事を分かりつつも、やってしまうこと多かった。

初通し前、正直勝手にポンポン出てくるぜ!まではまだ持ってこれていなかったけれど、この通しでは勇気を出して、それは辞めようと決めた。

今までそれをやっていたのは、周りに良く見られたい的な、虚栄心的なものからくるものだと気づいたからだ。

そんなくだらないプライドより大事にするべきことがあるじゃないか!!
と思い至り、腹を括ったのだった。

大事にすること。
しっくりくる目的を見つけることができたから、それが通るか確認する。目的を見失わないこと!
自分ごととして聞く、見る。今から起こることは当たり前じゃないんだぞ!!

通してみて、うまくいかなかった事もたくさんあったけれど、良かった事もたくさんあった!台詞も意外と出るから自信になった!目的も通った気がする!

同じシーンに出ているかたが沢山の気持ちをくれるから、本当に素敵な俳優さんたちやなぁ、、と思った。

夫とのシーンは、実際共にした苦楽が多いからこそ生まれる気持ちがあるなぁ、だからこそもっともっと思いがけない気持ちになったらいいなぁ、と思う。

総合して、今日の心持ちは概ね「良い方向だぞ?!」というターンだった。
しかし、そもそも私はできていると思いたい人間なのだから、できていることにしてしまいやすい。
嘘嘘!この先やらねばな事がたくさんたくさんあるぞ!

それに、どうせこのあとまた「全然ダメだ!!!」というターンが来るから、"全然ダメ"の質を上げるために、頑張る。頑張るます。帰宅後SPY×FAMILYを1話進めました。アーニャかわいいです。

【上野友之】

残り一週間、今日から集中稽古期間。
午後からシーン練をして、最初から最後までの転換や段取り確認をして休憩。

(※このタイミングで田中嘉治郎さんからの日記↑がLINEで来ていた笑)

夜は初めての荒通し。
音響チームと方言指導のぎぃ子さん、制作の野元さんが観てくれる。

まだ荒削りながらなんとか通す。
気づくこと多々あり。
無理矢理にでも通すことは大事だなと実感。

ランタイムは約100分。95分くらいを狙いたいところです。
スタッフ陣の感想を聴くなどして終了。

解散後、秋本夫妻と諸々話す。
今後の課題など共有。
「上野さん、元気なかったですか?」と心配されて、全くそんなつもりはなかったのだが、もっとハキハキしようと思う。
他所の稽古場では演出家はどんな佇まいでいるものなのだろうか、、、。

ゆっくり話せなかったぎぃ子がTwitterで褒めてくれていて嬉しかった。
引き続き頑張るだす。

【上野陽立】

9月12日 月曜日

第3回目です。
地元、鹿児島へ友人の結婚式に出席するため帰省しており、羽田から直接稽古場に向かいました。
結婚式で幸せパワーを貰い、実家のペットたち(犬1匹、猫4匹)に癒されたおかげで、旅の疲れは全くありません。
体調良好。眠気、疲れ無し。

そんな今日は初めて荒通しをする日でした。帰省で浮かれた気持ちを新宿行きのバスの中で引き締め直し、予定よりも早めに稽古場へ到着。

転換の確認をし、ご飯休憩。その後通しという流れでした。
何気に初めて稽古場でご飯休憩したんですけど、黙食ってやっぱり寂しいですね。
ご飯食べてる時が1番話しやすいタイミングなのに、それができないという。
いい加減、コロナ、疲れた。。。

通しを終えて。
まず、アッキーさんの膨大なセリフ量。
多いとは思っていたけど、改めて本当に多いな。。。
でも、全員と絡むから楽しそう。
あとは転換が多くて大変。
転換が非常に多いのですが、シーン的に場所が変わったりすると、これどうしよっか…っていうのが出てくる。
通し前に大分整理されましたが、最後大きなあいつをどう処理するか。課題。
自分はそのシーンはいないから、せめてなにか案だけでも出せればいいのだけれど、なかなか思い浮かばない。

自分もまだクリアできてないシーンがあって、それをどう改善できるかが今1番の課題である。

【ばばゆりな】

今日もさっそくゆず関連の話を。
先月まで新宿歌舞伎町にゆずっこ(ゆずファンの総称)が集うバーがありました。
その名も『BARくず星』
“くず星”というのは1999年にリリースされたゆずの名曲の一つなのですが、眠れない夜に聞いてみてください。泣きます。
そんなBARくず星が4年半の歴史に終止符を打ち、1ヶ月間の準備期間を経て、ついに9/14(水)にゆずの聖地でもある横浜の関内にリニューアルオープンします!んー!めでたい!!
オープン日に駆けつけたかったのですが、わたくしには大切な稽古がありますので、10月まで我慢我慢。
千秋楽を無事に終えて、ゆっくり行けるのを楽しみに本番まで頑張るぞ。

さて本題です。
今回私が一番絡む松下仁さん(以下まっつんさん)とは二度目の共演です。
前回は釈然としないお兄ちゃん、今回は頼れる親戚のおじさん。
全然違うタイプの役ですが、どちらのまっつんさんも説得力のあるお芝居で、台詞がスッと入ってきます。
二度目だからなのか、役柄的なものなのか、
前よりオープンマインドで変に畏まらず相談しながら稽古できてる気がします。
そう思ってるのは私だけかもしれないけど…!

今日初の荒通しをして、まだまだここからだぞという気持ちですが、気負うと硬くなってしまうので、追い詰めないよう気をつけながら精度を高めていきたいです。

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