見出し画像

不動産投資の利益の出し方

 不動産投資については、様々な話が入り乱れているのが現状である。「節税になる」「節税にならない」「中古が良い」「アパートは危ない」「利回り〇〇%じゃないとダメ」「買った瞬間に値下がりする」「赤字経営だと儲からない」「地方を狙え」などなど…。挙げ句の果てに「不動産投資で儲かっている人など見たことない」などという自称事情通まで飛び出す始末で、ポジショントークが見破れない方には甚だ可哀想な状況と言っていいでしょう。

 ですが、利回りがどうとか節税うんぬん、費用が高い安いなどは、はっきり言ってかなり瑣末な問題です。どういう仕組みで利益を目指すのか。大きくいうと二種類の方法に分かれます。

自分の手出しとローン残債とのギャップを生かしたキャピタルゲイン狙い

・節税効果が高い不動産を利用した長期的なキャッシュフローを得ていく方法(年収2000万円以上かつ上級者向け)

 この二つを混同させている方が非常に多いのですが、明確にどちらかの出口を目指して不動産投資を行わないと上手くいきません。いろんな言説が飛び交うのも、業者のポジショントークによる批判だけではなく、皆それぞれ目指す出口が違うことを認識していないことに原因があります。それぞれ解説していきましょう。

キャピタルゲインを狙う方法

 まず最初に伝えたいのは、キャピタルゲインとはいえ、値上がり期待で買って売るのを目指していない、ということです。過去の不動産市場を見れば、ここ15年ほどでは上昇相場なので結果的に値上がりは大いにあり得ることでしょう。海外不動産やリゾート投資、リノベ投資などもこれに近いですが、値上がり狙いでは誰でも成功するのは難しいでしょう。再現性が高く、いつの時代でも行いやすいのはローン残債とのギャップによるキャピタルゲイン狙いです。

 キャピタルゲインを目指す以上、安定した取引量が必要ですので都市部のワンルームマンション投資は実はこれに該当します。節税や利回り等のメリットを謳っているワンルームマンション業者はワンルームマンション投資の本質を自分たちでも理解していないのです。

 ローン残債とのギャップによるキャピタルゲイン狙いとはどういうことか。それは保有期間中に支払った金額よりも売却利益が大きくなるように運用する、ただそれだけです。家賃が下がったり上がったり、修繕でお金がかかったり、節税できたりできなかったり(節税の話は次項で説明します)、利回りが高い低い、黒字赤字、なんでも構いません。目指した運用期間で、前noteで伝えた売却による含み損+保有期間中の支払いを上回る売却益を出すのを目指すだけです。

 値上がりを目指さないのになぜ売却益を出せるのか。これは不動産投資は家賃をもらいながらローンを支払っていくので、自分の拠出金額とローン残債に明確なギャップが生まれるからです。例えば自己負担が年間30万のマンションを運用している場合、おそらくローン元金は年間で105万ほど減ります。10年運用すれば自己負担とローン残債との間には単純計算でも750万ほどのギャップが生まれるわけです。そして重要なのは、たかが利回り小数点以下の差だろうと、修繕が多少掛かろうとも、業者の手数料が大きかろうが小さかろうが、自己負担よりもローン残債の減りの方が大きいという構図は変わらないのです。

 そして、基本的には築30年以内、できれば25年以内を目指して売却してください。中古物件の融資には一般的には55年-築年数というルールで融資付が行われるので、築25年以上たつと再販でローン年数が30年を下回ってしまい、流動性が少し失われる(おそらく利幅を多く取るような大手不動産会社でないと買取りしてくれない可能性が出てくる)からです。

 始めた年齢にもよりますが、築浅の方が運用年数を長く取れるのでキャピタルゲイン狙いには築浅の物件がいいでしょう。新築物件も利回りが低すぎなければ目的にはかなっています。

 注意点として、自己負担よりもローン残債の減りの方が大きいという構図が変わらないようにするコツがあります。金利は2%以下が望ましいことと、価格が安すぎる不動産はローン残債が減るスピードが遅いので、なるべく大きな価格のものを購入することです。

 金利についていうと、大手であれば提携金融機関で今なら1.5%前後の融資が受けられますが、不動産会社によっては提携が弱いか物件の評価が低いかで高い金利の融資を勧めてくるものがあります。あるいは、購入者側の年収や返済比率が悪いと高い金利でしか融資がおりないかもしれません。金利2.5%なんてことになってしまうと、残債とのギャップがジリ貧になってしまい、いま売っても10年後に売ってもあまり変わらない、なんて事もあり得ます。なるべく低金利で借りて少なくともイールドギャップ(利回りと金利の差)2%前後は確保しましょう。そうすれば何十年も運用しなくても簡単にキャピタルゲインを狙えます。

 また、なるべく大きな価格のものを購入ということですが、アパートや1棟マンションはキャピタルゲイン狙いだとタイミング次第になる可能性もありますのでキャピタルゲイン決め打ちではやらないと思います。そうなると、都市部の区分マンションで投資に適したものですと価格帯がせいぜい1500万〜6500万ほどです。注意点として、いま市場には2000万円前半付近のワンルームが某中古買取大手の影響で大量に出回っておりますが、儲からないとは言わないまでも、一部屋ごとの利益は少なく、3つ4つと持つのも面倒なので、できれば好立地の5000万円前後の不動産を多少割安で購入することを目指した方がいいです。

 説明している意図がいまいちピンとこない方は、細かいシミュレーションを見た方が早いです。適当な不動産会社から具体的な資料をもらえば理解できると思います。節税や保険などの話は気にせず、保有コストとローン残債に注目してください。2000万円ぐらいの中古物件はローン元本が45万ほどしか減らないです。手出し15万でローン元本が45万減る物件よりは、手出し30万でも元本が105万減る物件の方が投資効率が良いのです。利回りだけでいうのであれば前者の方が良いのに、後者の方がキャピタルゲインが取れる、ということです。

 ここまでの話で理解できたかと思うのですが、赤字だと儲からないとか利回り〇〇%以下はすぐ辞めろみたいな話はあまりにも的外れです。黒字を目指すとか利回りを増やしていくのは次項に述べる利益の出し方なので、キャピタル狙いにはあまり関係ないですし、細かい出費にとらわれるとそれこそ損切りみたいな話になりかねません。年間でどのくらいギャップが生まれるのか、何年で回収していくのかをしっかり考えてください

 最後に補足ですが、キャピタルゲインでもエントリータイミング(購入価格)に縛られないのは不動産投資の面白いところです。時期が良い悪い、今は高い安いという話をする方がいますが、それは値上がり期待で買う方法を実践しているだけ。バブル期のような圧倒的高金利でなければ、いつの時代に買ってもギャップが生まれる以上、タイミングよりは目の前の物件の条件をしっかり見極めることの方が重要です。

 長くなったので、節税効果が高い不動産を利用した長期的なキャッシュフローを得ていく方法(年収2000万円以上かつ上級者向け)は次のnoteで。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?