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書籍紹介No.1『コーチング・バイブル』

こんにちは。TOKYO_CURRYです。今回は書籍『コーチング・バイブル』を紹介したいと思います。

コーチングの歴史を語る上で外せない書籍の1つがこの『コーチング・バイブル』だと言われています。原書は1998年に英語で出版されています。現在は第3版まで出版されているようですね。私は第1版しかもっていないので、第1版をもとに紹介したいと思います。

この本はプロのコーチ、これからプロのコーチになる人を想定して書かれた本です。しかし、人材育成に興味のある人にとって有益な考え方がたくさんありますし、読むだけで心満たされる感覚になるので是非読んでいただきたい1冊です。

この本の特徴の1つとして、他のコーチング本ではみられない「独特な世界観(人間観、コーチング観など)」があります。例えば、次の引用した文章は独特な世界観を表す一例です。

「コーチングは一度きりのものではなく、時間をかけて何度も行われるものです。それは、人が有意義かつ本質的な変化を起こすには、ある程度の時間を要するからです。そういう意味で、コーチングは科学というよりも、むしろ農業に近いといえるでしょう。つまり、ちょうど土を掘り起こし、種を蒔き、水をやり、最後に実を摘み取るまで時間がかかるように、クライアントが自分の心を掘り起こし、可能性を見出し、行動や学習を積み重ね、生き生きとした人生を摘み取るまではそれなりに時間がかかるものなのです。」

性格的に私はどうしても人材育成や組織開発を「科学的」に捉えがちです。「○○さんが△△できるようになるためには、毎日□□すると仮定すると××までに達成できます」と最短ルートで計画を作り、その目標に向かって応援しがちです。
ただ、「農業に近い」というようにコーチングは時間がかかるものだと考えなければいけませんね。アドバイスという種をまいたら、まっすぐ作物は育つと思いがちです。まっすぐ育つと思った作物も、天候が悪かったり、水や栄養が不足していたら、曲がって育ってしまうかもしれません。ましてや毎日同じ長さずつ育つだなんて思ってはいけないと思わされます。「コーチングは農業に近い」という言葉は、すごく私にフィットしました。

また、フィットした言葉(大切にしたいと思った言葉)には「クライアントの人生全体を取り扱う」というコーチングの基本姿勢に関する言葉もあります。コーチの重要な資質に「傾聴」がありますが、どれだけクライアントの話を傾聴すべきか会話文例を用いて具体的に説明されています。その会話文の冒頭で、クライアントが新しい家の片付けが全くはかどらないという、あまり仕事に関係なさそうな話題を話し始めます。通常であれば、コーチは仕事に関係なさそうな話をすぐに済ませ本題の話をしたいと思います。しかし、この本では「なぜこのクライアントはこの話をこのタイミングで話すのか。新しい家が片付かないことがクライアントの何をあらわしているのか。」と考え、一見雑談にみえる話も丁寧に扱いクライアントの心境を理解する材料にしていました。クライアントが話す内容だけではなく、クライアント自身を、クライアントの取り巻く環境を傾聴して(注意を払って)コーチングする姿勢は、クライアントの人生全体を取り扱っている姿勢がベースになっているところから生み出されているのではと感じます。クライアントのみならず、職場の一人ひとりにも人生全体を取り扱うような姿勢で接したいですね。

【書籍概要】
・タイトル:コーチング・バイブル ~人がよりよく生きるための新しいコミュニケーション手法~
・著者:ローラ・ウィットワース、ヘンリー・キムジーハウス、フィルサンダール
・翻訳:CTIジャパン
・出版社:東洋経済新報社


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