世界の若者が憧れる20才 スケートボードの新鋭、堀米雄斗

2019年8月3日、米国ミネアポリスでXゲーム米国大会、スケートボードのストリート男子決勝が行われ、日本の堀米雄斗(20=XFLAG)が初優勝を果たした。堀米は予選を5位で通過し、同大会で過去7回の優勝を誇るナイジャ・ヒューストンとの対決にも、3本の最高点で争う決勝の2本目に89・00点をマークし、堂々と競り勝って初制覇した。
スケートボードは今回の東京五輪で新しく採用される競技で、スケートボードに乗り、トリック(ジャンプ、空中動作、回転などの技)を行い、その技の難易度や高さ、スピードなどを評価する採点競技だ。街の中を滑るようなコースで技を競う「ストリート」と、複雑な形のコースで技を競う「パーク」の2つの種目が男女別に行われる。堀米選手の出場が期待されている「ストリート」は、縁石を模したレッジや、手すりを模したハンドレールでは、デッキ(板)を直接レールやレッジに当てて滑る「スライド」、デッキとウィール(車輪)をつなぐ金属部分のトラックを当てて滑る「グラインド」がよく行われ、「スタンス」と呼ばれる選手の向きを変え、デッキを回転させるフリップの回し方が、水平、縦、横と様々に変化し、見ている者の意表を突くテクニックを成功させると評価が高くなる。
 堀米雄斗がXゲームで見せた大技は2本目に見せた「ノーリーバックサイド270ノーズスライド」だ。これはデッキの後ろ側の端だけをハンドレールに当てて滑るもので、いとも簡単に滑っているように見せるところが堀米らしい。その他にもノーリー180の難易度の高い技を連発し、見事89.00の最高得点を獲得した。
 元来堀米はヒューストンのようにスピードで魅せるタイプではなく、テクニックで魅せるタイプだ。テクニックで魅せるタイプは初めて新しい技を披露するときには勝てるが、それが他の選手に習得されてしまうと、二度と同じ技では勝てなくなる。同じ技を見せれば、スピードで勝る選手の方がより評点が高くなるからだ。テクニックで勝ってきた選手がある日突然勝てなくなり、世界の舞台で戦えなくなることがよくあるという。
 だが、堀米にはそれを克服するだけの資質が備わっている。それは彼が良く口にする「楽しむ滑り」である。スケートボードの「ストリート」の原点はやはり、その名の通り街角でスケートボードを乗りこなす所にある。滑りたい場所を、街を歩いていては見つける。そこで滑ることはひょっとしたらいけないことかもしれない。それでも滑ってみると、もう堀米の名は世界中で知られているので、むしろ応援してくれるという。だから堀米は常にオリジナリティーのある滑りを見せて、それで「カッコいい」と思ってもらいたいという気持ちでいる。それは街で滑る時も、滑りをビデオ撮りする時も、競技に参加するときも変わらないのだ。
 常に新しい挑戦をし、オリジナリティーで勝負する堀米の技は真似して習得することのできないところまで進化しているのかもしれない。彼にとってテクニックで魅せる選手はやがて勝てなくなるという心配は無用だと思われる。東京五輪での活躍に期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?