スーパースター久保建英の東京五輪 レアル移籍でさらに進化か (19年7月11日の記事)

2019年6月9日に行われたサッカー・キリンチャレンジカップ第2戦のエルサルバドル戦で、日本代表のベンチ入りを果たした18歳、久保建英が60分過ぎウオーミングアップを始めると、「ワーッ」とスタンドがどよめいた。そして67分、中島翔哉と共に投入されるとそのボルテージが上がった。その姿はまさしく日本のスーパースターそのものだった。
バルセロナの下部組織で育った久保はまだ中学生の時からその存在がスペインでも日本でも知られていた。そして期待を裏切らないプレーを背番号27の18歳は見せてくれた。73分に大迫からパスを受けるとドリブルで前に運んでいく。二人のDFに挟まれそうになった時、二人の間をスルリと抜け出してかわし、ペナルティーエリアの右から左足を振りぬいてシュートした。威力十分のシュートだったが、惜しくもGKの好セーブに阻まれた。日本代表としてのデビュー戦にしては派手に見せてくれたものだ。その後も絶妙な場所へのスルーパスなどとても18歳の初代表の選手とは思えない、自信に満ちたプレーの連続で、誰にとっても「この選手はただものではない」と感じさせるのに十分なパフォーマンスだった。
6月14日はスペインの「銀河系軍団」レアル・マドリードへの移籍が決まったという報道が流れた。移籍金は2億4000万円だという。パリ・サンジェルマン、バルセロナFCと名門クラブの三つ巴の争奪戦だったというから何とも凄まじい。日本人の選手の為に、世界で一、二を争いうビッグ・クラブが争奪戦をしたなどと言う話は今まで聞いたことがない。
久保を取り巻く環境も順調に整っている。東京五輪での活躍を期待されているU-22日本代表のレベルがかつてないほど上がっているのだ。かつてイタリアで活躍した中田英寿は、ヨーロッパで身に付けた彼のテクニックとスピードに合わせられる選手が日本代表にいなかった。彼一人だけが突出していたからだ。しかし、久保にはそんな心配は無用かもしれない。
久保のレアル移籍報道の2日前、日本中に朗報が届いた。トゥーロン国際大会に出場していたU-22日本代表が準決勝でU-22メキシコ代表と戦い、2度リードを許しながらも粘り強く追いつき、最後は5-4のPKで決勝進出を決めたというものだった。この大会は世界の強豪が集まる大会で、そこでの日本の成績は2002年に3位になったのが最高だ。だから決勝に進出したというのは日本のサッカーにとって歴史的な快挙なのだ。決勝では15得点0失点と圧倒的な強さを誇っているブラジルが相手だが、もしかしたらあの「マイアミの奇跡」(‘96)が再現できるかもしれない。そのぐらいチーム全体が勢いに乗っている。
久保はこれからコパ・アメリカ(国対抗の南米選手権)の為にブラジルへ向かっているが、すでに海外のメディアからも注目が集まっていて、フランス紙「Ouest-Frence」は久保のことを「Le Messi Japonais(日本のメッシ)」と紹介し、「次のコパ・アメリカで久保建英が多くの人々に公開される」と報じている。先のエルサルバドル戦の後のインテビューでは、「コパ・アメリカではしっかりゴールしたい」と答えて、大物ぶりを印象付けた。まずはコパ・アメリカでしっかりと「世界デビュー」をすることが先決だが、来年はU-23 日本代表の東京五輪での金メダル。そして久保の得点王という夢を見たいところだ。


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