スピードスター福岡堅樹は東京五輪でリベンジ ラグビーセブンズへの参戦を表明

2019年9月から始まったラグビーワールドカップ日本大会での日本代表の活躍により、日本中がラグビー熱に湧いた。その中でも日本代表のWTB福岡堅樹(27=パナソニック)はダブルフェラーリの一人と呼ばれ、WTB松島幸太朗(26=サントリー)とともに日本の8強進出の立役者と海外のメディアからも称賛され、一躍時の人となった。特に決勝トーナメント進出を決めたスコットランド戦で、福岡は前半39分と後半2分に魂のトライを決め、日本に福岡ありと世界中に大きく印象付けた。「このときのために、全てを犠牲にして頑張って来た。最高の瞬間です」福岡はこの試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれ、女子テニスの大阪なおみ選手からトロフィーを受け取った。
しかし、準々決勝の南アフリカ戦で福岡は何度もトライを試みるもあと一歩及ばず、結局トライを一つも奪えずに26-3で敗退した。試合後、福岡は「もっているものを全部出し切った。悔いはない」と話していた。祖父が医師で、父親が歯科医師という家庭に生まれた福岡は、今回のW杯の後でラグビーを引退して医師の道を行くことを表明しているが、ラグビー人生の集大成として最後にセブンズ(7人制ラグビー)で東京五輪に挑む。
福岡はリオデジャネイロ五輪を経験し、2015年のワールドカップにも出場した唯一の選手。50メートルを5秒8で走る俊足の持ち主で、その足の速さは攻撃でもディフェンスでも生きている。リオ五輪の出場が彼のスプリント能力を向上させ、それが今回のW杯にも生きていると言われている。日本代表・前ヘッドコーチのエディ・ジョーンズからは「チーターよりも足が速い」と言われていた。その誰にも止められない速さがフェラーリと呼ばれる所以だ。また福岡は冷静な判断力を保つため、筋トレをしながらクイズ問題を解き、疲れていても的確な判断ができるよう訓練している。
15人制と同じ広さのグラウンドを使い、ほぼ同じルールで戦う7人制ラグビーは、スクラムは3人で組み、バックスは4人で構成される。人数が少ないだけに広いスペースが生まれる。一人一人の瞬時の判断、タックルの精度が重要になり、またよりスピードのある方が有利になっていく。それ故、各国では選手選考の際にはスピードを重視する傾向が強くなる。リオ五輪後は2018年のセブンズW杯15位、ワールドセブンズシリーズからは降格するなどしばらく低迷していたセブンズ日本代表にとって、スピードに優れ、瞬時の判断力も兼ね備えた福岡のセブンズ参戦は大きな朗報だ。
スポルティーバ誌によれば、福岡はセブンズでの東京五輪挑戦に際し、「今回のワールドカップで自信をつけることができた。勝つためのマインドセットや準備の仕方を、今度はセブンズのチームメイトとも共有して、『ONE TEAM』を作りあげたい」と語っている。
 奇しくも、南アフリカに敗れた東京スタジアムが東京オリンピックのラグビーの会場だ。「セブンズで帰ってきます」とリベンジを誓う日本のスピードスター福岡は東京五輪でも間違いなく活躍できるだろう。

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