見出し画像

【県社協シリーズ】No.19

【県社協シリーズ】No.19 妊産婦の保健と生活の実態

※テキストの抽出可能なPDFですが、OCR機能を使用しているため精度は完璧ではありません。ご注意下さい。



(OCR抽出テキスト)

県杜協シリーズNo.19
昭和4 8 年5 月
妊産婦の保健と生活の実態
ー一婦人民生委員の社会福祉モニター活動の結果一—
徳島県社会福祉協議会
__________________________________
はじめ匠
丈夫な子どもを産み,健やかに育てるための努力を全国的に拡げてゆこうと
全国の婦人民生委員が中心となって”丈夫な子どもを育てる母親運動II をすす
めて本年で4 年目をむかえました。
本県においても, この運動の一環として”あたらしい生命のために,,のパン
フレットを作成し広報活動をすすめるとともに,住民福祉運動として各地域で母子保健活動,保育所づくり,事故防止活動などが推進されております。
全社協は婦人民生委員の調査活動として「妊産婦の保健と生活の実態」をと
りあげ,本県においても5 1 1 名婦人民生委員が,それぞれ抽出された世帯を
訪問して,妊産婦の保健と生活についての実態を調査しました。
赤ちゃん受難の時代といわれる今日,次代をになう丈夫な子どもを産み,健
全な育成をはかるために,母性の健康の保持増進は当面する重要な課題となってきた時期でもあり,この調査の結果をとりまとめた県社協シリーズが,関係者のみなさんに活用されることにより母子保健活動が少しでも前進できればありがたいと思っております。
この調査にご協力を賜わった婦人民生委員に心から感謝を申し上げます。
昭和4 8 年5 月
徳島県社会福祉協議会
-1-
__________________________________
妊産婦の保健と生活の実態
く調査のあら吉し>
1.調査のねらい
わが国の母子保健施策は逐次充実されてきてはいるが,妊産婦の死亡率は
欧米諸国に比べ,いまだ2 ~ 5 倍の高率である。
次代をになう丈夫な子どもを産み,健全な育成をはかるために母性の健康
の保持増進は当面する重要な課題となっている。
本調査は,妊産婦の保健と生活の実態を明らかにし,今後の母子保健活動
の推進,公的施策の拡充をはかるための資料とするものである。
2.調査課題
妊産婦の保健と生活実態
ふ調査の対象および客体
昭和4 7 年1 月1 日~同7 月3 1 日までの7 カ月間に「母子健康手帳」の
交付を受けた妊婦および産婦を調査の対象とし,各市町村別にこの期間に
「母子健康手帳」の交付を受けた妊婦および産婦の中から1 / 3 0 を抽出し
て2 1 6 名を客体とした。
徳島市7 6 名阿賀郡1 4 名
嗚門市2 D 名海部郡8 名
小松島市1 1 名板野郡1 8 名
阿南市2 3 名阿波郡7 名
勝浦郡5 名麻植郡7 名
名東郡1 名美馬郡7 名
名西郡8 名好郡1 3 名
計2 1 6 名
-2-
__________________________________
4.調査の時期
昭和4 7 年1 1 月1 0 日~ 1 1 月1 5 日の間に行なった。
5.調査の方法
調査員は婦人民生委員とし,あらかじめ抽出した妊婦および産婦を訪問し,
本人に面接質問のうえ,別に定める調査票に記入した。
く調査の結果>
0 調査票配布数
0 回収した調査票数
の対象としたもの内訳[調査不能のもの
0 回収率7 2 o/o
く調査対象者の概況>
1.妊婦,産婦
妊婦
産婦

3 0 0 枚
2 1 6 枚
2 0 4 枚
1 2 枚
6 4 人
1 4 D
2 0 4 人
3 1 笏
6 9
1 D D %
妊婦,産婦の比率は,妊婦が3 1 %,産婦が6 9 %である。
2.妊娠月数(妊婦)
1 ~ 4 カ月1 人1 %
5 ~ 7 カ月8 1 3
8 ~1 0 カ月5 5 8 6
計6 4 人1 0 0 茄
-5-
__________________________________
妊娠月数は8 ~1 0 カ月が8 6 %でもっとも多く,次に5 ~ 7 カ月が1 5
%, 1~ 4 カ月が1 %である。
5.出産後月数(産婦)
1 カ月未満1 7 人1 2 %
1 ~ 2 カ月未満3 1 2 2
2 ~ 3 カ月If 2 6 1 9
3 ~ 4 カ月I 3 5 2 5
4 カ月以上3 1 2 2
計1 4 0 人100%
出産後月数は, 3 ~ 4 カ月が2 5 %, 1~ 2 カ月, 4 カ月以上がともに
22%, 2~ 5 カ月1 9 %, 1 カ月が1 2 %という順になっている。
4.年令構成
1 9 オ以下4 人2 %
2 0~2 4 オ6 7 3 3
2 5~2 9 オ8 9 4 3.6
3 0~3 4 オ3 6 1 8
3 5~3 9 オ7 5
4 0~4 4 オ1 0.4
4 5 オ以上D ゜ 計2 0 4 人1 0 0 %
年令構成でもっとも多いのは, 2 5~2 9 オが4 3. 6 %,次が2 0~2 4
オで33%, 30~3 4 オが1 8 伶となっているが,妊娠,分娩に最適な年
令といわれる2 0 オ~ 3 4 オまでが9 4 %を占め, 1 9 才以下の若年の母親,
3 5 オ以上の母親が6 %となっている。
-4-
__________________________________
5.家族構成
核家族8 6 人4 2 %
親,兄弟,祖父母と同居1 0 8 5 5
単身D ゜ その他の家族と同居1 D 5
計2 0 4 人1 D D %
夫のみ,夫と子どもと云ういわゆる核家族が4 2 o/oとあり,祖父母,兄弟
姉妹などとの同居家族が5 3 %の過半数を占めている。
6.世帯業態
自営業4 5 人2 2%
常勤の勤労者1 D 3 5 1
日雇の勤労者6 3
農漁業2 5 1 2
その他2 5 1 2
計2 0 4 人1 D D %
世帯の職業についてみると常雇の勤労者が5 1 %と半数を占め,次が自営
業の2 2 麿農漁業1 2 %の順になっている。
7.本人の職業の有無
職業をもっている7 5人37%
妊娠したのでやめた8 4
出産したのでやめた5 2
もっていない1 1 6 5 7
計2 D 4 人1 0 0 茄
I
-5-
__________________________________
家事以外に仕事をもっているものは3 7 %,妊娠あるいは出産のために仕
事をやめたものが6 %となっている。
8.職業をもっている人の就業形態
自営業1 9 人25%
農漁業(専業) 5 7
農漁業(兼業) 2 3
常雇4 D 5 3
日雇,臨時,パートクイム4 5
その他5 7
計7 5 人1 0 0 %
本人の就業形態は,常雇の勤労者がもっとも多く5 3 %と半数を占め,自
営業が2 5 倒農漁業(専業兼業を合せ) 1 0 %の順になっている。
9.世帯収入(1 カ月)
5 万円未満2 4 人1 2 %
5~ 7 万円未満6 D 2 9
7 ~1 0 万円未満6 5 3 2
1 0 万円以上4 6 2 3
不明, 4
計2 0 4 人1 0 0 %
世帯の1 カ月の収入は7 ~1 D 万未漢が3 2 %,次が1 D 万以上が2 3 %,
5 ~ 7 万未満が2 9 %の順となってぶり, 5 万未満が1 2 %ある。
-6-
__________________________________
く調査にあらわれた妊産婦の実態>
1.妊産婦の就労状況
① 妊娠後の農機農薬の使用
1 0 %の農漁業に従事している妊産婦に対して妊娠後農業機械を使った
り農薬を散布したかについての設問に対しては全員fJいいえII の回答があった。
② 妊娠後の通勤上の困難
◇あろイ、通勤距離が遠い5 人1 1 伶
ロ、混雑がひどい5 1 1
ハ、その他1 5
◇特にない5 5 7 5
計4 4 人1 0 0 %
妊娠後の通勤については,特に困難はないが7 5 %となっている力ら混
雑がひどい,あるいは通勤距離が速いなどの理由で妊娠中の通勤について
の困難をうったえているのが2 5 %となっている。
⑧ 妊娠後の通勤上困難者の健康上の支障
健康上の支障があった7 人6 4 %
特になかった4 3 6
計1 1 人1 D D %
通勤上困難があった1 1 人のうち健康上にも支障のあったものは6 4 o/o
(7 人)である。
-7-
__________________________________
④ 就労中の主な作業姿勢
立作業1 7 人23%
腰掛作業2 4 3 2
座作業3 4
歩く仕事6 8
座ったり立ったり2 1 28
中腰作業4 5
計7 5 人1 0 0 %
作業姿勢では,腰掛作業が32%, 座ったり立ったり2 8 %,立作業
2 3 %の順になっている。
⑥ 妊娠後の疲労
眼がとくに疲れる2 人3%
肩,首すじがとくに疲れる6 8
背,腰がとくに疲れる1 2 1 6
足がとくに疲れる1 2 1 6
全身的に疲れる1 6 2 1
ほとんど疲れを感じない25 3 3
その他2 5
計7 5 人1 0 0 %
働く妊婦の疲労状況は,疲れるとこたえているものが6 4 %と半数を上
まわっている。
⑥ 妊産婦の就労上の配慮
配慮された
配慮されない

4 9 人
2 6
7 5 人
6 5 %
3 5
100%
就労上の配慮についてみると配慮されないものが3 5 %ある。
-8-
__________________________________
⑦ 就労上の配慮されぬ理由
配慮されない理由で最も多いのは,仕事が忙しいためが4 6 %,職場の
理解がない1 1 %,生活のため休んでいられない8 %の順になっている。
2.妊娠中の牛乳摂取の実態
① 妊娠中の牛乳摂取の有無
妊娠中毎日牛乳をのんでいるもの5 3 %と過半数を占めている一方4 7
%の妊婦が牛乳を飲んでいないことになっている。
② 妊娠中の牛乳摂取者の本数
牛乳摂取者の本数をみると, 1 本が6 3 %と過半数を占め, 2 本が2 9
%' 3 本以上が8 %となっている。
-9-
__________________________________
3.妊娠届出と診察
① 妊娠届出月数
-%
14960
124
一ー人
28842
558
ロー一
-t
言一一i 一月月月月月月月月一
一カカカカカカカカ
-12545678 娠一IIIIIIIIIIII- 妊― I,1 ー1,1 』||l
妊娠届出月数は5 カ月目, 4 カ月目で6 6 %と過半数を占めている。6
カ月以降は1 0 %である。
② 初回診察を受けた妊娠月数
妊娠1 カ月
I 2 カ月
/ 3 カ月
I 4 カ月
II 5 カ月
/ 6 カ月
I 7 カ月
II 8 カ月以上

4 人
5 9
92
5 1
1 5
3
2 0 4 人
2%
2 9
4 5
1 5
6.5
0.5
0.5

5
1 D D %
初回診察の月数は3 カ月以内で7 6 %である。5 カ月以降の初診は9 %
となっている。
10-
__________________________________
⑧ 妊娠中の定期診察の受診の有無
定期診察うけた1 8 2 人8 9 %
定期診察うけない8 4
時々うけた。1 4 7
計2 0 4 人1 0 0 %
毎月1 回定期診察をうけているかについてみると8 9 %と多数の人が診
察をうけている。
4.妊娠中の定期診察
① 定期診察をうけない理由
忙しかった5 人5 8 %
保健所や病院が遠いため2 2 5
診療時間の制限があって行けない゜ ゜ 費用の支払が心配゜ D
家族に気がねしたD D
必要ないと思った1 1 2
その他2 2 5

計8 人1 0 0 %
定期診察を受けない理由をみると,忙しかったが3 8 %,保健所や病院が
が遠いためが2 5 麿必要ないと思った1 2 %の順になっている。
ョ 定期診察1 回分費用
1, 0 0 0 円未灌1 3 8 人7 6 %
1, 0 0 0 円~ 1, 5 0 0 円未満
3 4 1 8
1, 5 0 0 円~ 2, 0 0 0 円未満7 4
2, 0 0 0 円
3 2
計1 8 2 人100%
1 回分の費用は9 4 %のものが1, 5 0 D 円未満である。
-11-
__________________________________
③ 定期診察の費用がおいます家計上の支障の有無
|`-[t上の支障笈``――.l--- 11 人~ L-=]竺ニロ/-口□[口]:/] 1ー:ロ
6 %の人が家計に支障ありと答えている。
5. 妊娠中の罹病の状態
① 妊娠中の罹病の有無
I I — なった6 4 人5 1 % [ー病気にならtJ:-□--—-[---`/ーニ°60/
妊娠中3 1 弼が病気になっている。
ョ 妊娠中の罹病の病名
|―妊娠中`(っゎーりも含;;i 1··--□ 4 人38% 妊娠貧血1 7 1 2 6
|
1 歯科
|
1 心疾患
ロ頁―----
この病名をみると妊娠中毒が3 8 %,妊娠貧血が2 6 笏である。
⑧ 妊娠中罹病者の治療の有無
ロ五療うけたー61 人| 95%
治療うけなかった5 5
計6 4 人1 0 0 %
治療の有無をみるとほとんどの人が治療をうけているが. 5 %の人が治
療をうけていない。
-12 -
__________________________________
④ 妊娠中羅病者で治療をうけない理由
治療をうけなかった理由としては医者にかかるほどでなかったが全員
(3 名)である。
⑤ 妊娠中羅病者の治療費の支払い状況
治療費の支払額は5, 0 0 0 円未満が過半数で5 5 %である。
6.妊娠中の家事手伝の有無の状態
① 妊娠中の家事手伝の有無
妊娠中家事手伝のいないものが5 4 %と過半数を占めている。
7.流産死産の実態
① 流早死産の経験の有無
流早死産の経験のあるものは1 5 %である。
-15-
__________________________________
(2) 流早死産の理由
いは事故1 25 人
5
3 0 人
その理由は病気あるいは事故によるものが8 3 %になっている。
8.母親学級の受購の状況
① 母親学級の受講の有無
ロニロ:力ったー[_ :ロ

-1ロ

母親学級を受講しないものが8 3 %にもなっている。
② 母親学級を受講しない理由
!__
満員でことわられた0 人0 %
経費がかかるから0. 6
忙しくて行けなかった68 4 D
必要ないと思った, 5.4
その他9 1 5 4
計1 6 9人1 D D %
受講しない理由は,忙しいが最も多く4 0 伶である。
9.出産状況
① 今回の出産状況

-
_計
一産産
出出
常常
正異一
今回の出産状況は,正常出産が81%, 異常出産が1 9 %である。
-14-
__________________________________

異常出産の状況
異常出血
I
吸引分娩
鉗子分娩
帝王切開
-- |


360

24477
2
%
1204
12
7
1 5
1 5
2 6
1 0 0 %
吸引分娩,鉗

異常出産の内容は,帝王切開が2 6 伶,微弱陣痛2 2 %,
子分娩が共に1 5 %となっている。
乳児の主な栄養
人工栄養が5 3 %と過半数を占め, 混合栄養26%, 母乳2 1 %の順に
なっている。

今回の出産場所
-15-
__________________________________
出産場所は,病院,診療所が圧倒的に多く9 2 %である。
自宅出産は0. 8 %となっている。
⑤ 出産に要した入院日数は何日か
I
7 7 人5 5 %
4 0 2 8
2ロ1 6
ロしなかっ:
1 4 0 人| 1 0 0 %
入院日数では7 日間以内が5 5 %で過半数を占め,入院しなかった1 %
(1 人)となっている。
⑥ 出産費用の支払い
l 嘉l 4 万円未滴6 1 人43%
2 2
1 0
1 0
1 0
゜3
2
1 D D %
費用の支払は9 5 %が自分で全額支払っている。
費用では5 万円未満が6 5 %の過半数を占めている。
-16-
__________________________________
ョ 出産費用のエ面
出産費用のエ面は預金の引出しが6 2 %,生活費からのエ面が3 7 %で
ある。
⑧ 生活に支障があったか
'-- -- I -- -
支障があった] 2 1 人1 5% ] ロ::ーカロニ―]]。,人-Iーーロー—―-I
1 0. 産後の休養と手伝
① 産後2 D 日位自宅(又は実家)で休養をとったか
7 4 %の産婦が休養をとっているが,休養をとれなかったが2 6 %に
なっている。
-17-
__________________________________
② 休養をとれなかった理由
忙がしくてl
手伝いがなく
家族の
その他

1 3 人
2 0
2
3 ロ
%_% 65360 350 ー
休養がとれない理由として手伝がないが5 5 %と半数を占め,忙しいが
3 6 %となっている。
⑧ 産後のお手伝いはいたか
口・ロ十ーニロニロ
産後の手伝いのいないものが2 9 %である。
④ お手伝いは誰か
9 6 人9 6 茄
2 2
2 2
1 0 0 人1 0 0 %
手伝のほとんどは親,姉妹である。
⑤ 家政婦などへの賃金は1 日いくらか。
1 人5 0 0/o
50
ヒー
2 人100%
-18-
__________________________________
⑥ 家政婦を何日位たのんだか
7 日未満
2 0 日以上

⑦ 家事は産後何日目からか
二―-:
1 週間以内
1 0 日頃
2 0 日頃
1 カ月頃
2 カ月以上
不明
1 人I 50/] 2人ロー:
1 2 人
5 5
3 1
2 4
1 1
7
計1 4 0 人
%%
992785 一。
3210 ー
家事につくのは1 0 日頃から2 0 日頃が6 1 %と過半数を占め, 1 週間以以内が9 %となっている。
-19-


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?