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【社会福祉徳島】第35号

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社会福祉徳島
特集…新産都市と社会福祉
35号
社会福祉法人徳島県社会福祉協議会
___________________________
表紙説明
新産都市の指定
を受け開発が大き
く期待される那賀
川河口周辺
徳島県民課提供
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【巻頭言】
〝花の善意銀行〟
自分の周辺を花で飾ることも楽しいことだが
種を蒔き、苗を育てることもて一段と興がある。

更につぎ木ゃ鉢植など研究を重ねるとき
趣味を越えた喜びが感じられ
花には生命があるだけに「育てる」苦労はあっても
報いられる効果は大きい。

この度「花の善意銀行」が生れた。
咲かした草花を病床の人たちに、施設の子らに
届けて喜んでもらう趣向は近時明るい話題の―つだ。

すでに全国的な反蓉を呼び各地から種手の暗恵にあずかり、
又地元の業者から続々と苗木などの預託がある。

誰でも良いことをしたい願いはもっている。
それを引き出す方法が問頗だ、
それも新しい時代にマッチしたアイディアがいるのではなかろ
うか。
(町弥一)
花の善意銀行から市民病院へ第1回払出し
徳島新聞提供
−1−
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社会福祉徳島(第三十五号)
◆目次◆
巻頭詩「花の善意銀行から市民病院」・・・町弥一・・・(1)
この仕事に生甲斐を・・・伊藤董・・・(4)
特集
新産都市と社会福祉
新産都市の建設について・・・(5)
県社会福祉行政の長期計画のついて・・・(7)
新産都市建設における問題点と住民の組織について・・・(10)
〝動き〟福祉アルバム・・・(13)
徳島こどもの日設定・・・(17)
利用者ふえる小松島市社協心配ごと相談所・・・(19)
−2−
___________________________
福祉随想・・・(21)
〝GHQ〟・・・(21) 〝思いだすまま〟・・・(22)
〝社会福祉の底〟・・・(22) 〝七部五部赤と黒〟・・・(23)
〝近代化〟・・・(24) 〝雑音〟・・・(25)
〝福祉〟・・・(26)
町の善意を拾う
養護施設児が慰問のよせ書き(No.1)・・・(27)
夫唱婦随で奉仕の道十余年(No.2)・・・(28)
解説
若い世代が描く老人像・・・(29)
僕の(私の)願い
台風にあった金魚(No.1)・・・(32)
伊島の児童東京旅行(No.2)
施設紹介
〝老人福祉センター〟〝盲人福祉センター〟
〝精神薄弱者援護施設〟・・・(35)
編集後記・・・(36)
ー3ー
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〝この仕事に生甲斐を〟
徳島県社会福祉協議会々長
伊東董
惨めな敗戦処理から起上った国民感情
は、かってない慈欲を示しました。その
足跡はすでに遥かの彼方に忘れられよう
と致しています。ふり返って全く感慨無
量のものがあります。
日本中の人達がそれのように現在の国民生活は曲りなりにも盟か
さの方向に進んでいますし、生活程度もどうにか向上してきたよう
に思われます。経済成長というか消費面に於ても終戦時の頃を偲ふ
とき格段のひらきがあることを誰でも認めることでしょう。
ただ而し谷間にある人達の苦しさは現在の社会保障制度では十分
に救うことができないことであり、その問、民間社会福祉事業を大
きく活動さし、又培っていく分野かここにあると思います。私もこ
の度推れて県社協の会長に就任致しましたか勿論この道の索人です
が、多くの関係者が真剣な努力を重ねている現状をまのあたりみた
とき、じっとして居られない衝動にかられます。
むしろこの仕事に「精魂を打込んて力の限りやってみたい」これ
が今の私の心境です。
想えばこの仕事は限りなく遠く広く際限のないものですが、
―つ新しい道を拓くことも、こよなく快よく楽しいものと思いま
す。
然しそこには苦しさと耐えざる努力がいることと思いますか、む
しろ私はここに何か涯しない生甲斐を感じるといった気持です。
この上は県下のこの道の同志の皆さんにくれぐれもよろしくご協
力をお願して、全国的に今―つ立遅れの感のある本県社会福祉事業
を推進したいと思います。
−4−
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特集
新産都市と社会福祉
新産都市指定と地域住民の福祉
◆新産業都市の建設について
県企画課長補佐 岡田利美
わが国の総合閲発の諸問題を通じて徳島県に課せられた役割は、四
国の開発拠点としての新産業都市の整備充実を図ることでありまし
て、臨海地帯の相当規模の工業の開発と、それに伴う総合的な都市機
能の整備充実、本土連終交通体系の整備等によって阪神工業地帯の人
ロおよび産業の分散と四国地方の開発を促し、地域格差の是正と雇用
の安定を図るという新産業都市建設の目的に沿った国土の均衡ある発
展を促すことにありましょう。確かにここ数年来の地域開発の諸政策
は四国地方の開発に大きな焦点を向けられており、徳島県自身もまた
将来の開発発展の方向を見極めて力強く前進を続けております。
私たちは、この地方にもっと多くの開発の光をと念じ、もっと多く
の住民福祉をと願いつつ、計画をたて、建設を進めておりますが、こ
の住みよい幕し、盟かな暮しへの念願は、年とともに実を結んできて
いるということができるのであります。昨年度についてみれば、県民
多年の悲願としての明石、鳴門ルートの本土連絡橋架栢問臨も、明石
海峡のボーリング等具体的建設への調査に着手されたし、新らしい電
カエネルギーも大きく開発されて橘湾にその威容を浮べることとなっ
たし、また、わが国の地域開発の諸政策の焦点にあった新産業都市区
域の指定についても、徳島地区が選ばれ、更にまた土地造成等その実
施機関としての地方開発事業団が発足するなど、徳島県が脱皮し、大
きく成長するための新らしい基盤は堅実に形成されてきたということ
ができるわけであります。
いま、豊富な未開発資源をもったこの地域が、今日までの成果の上
に立って、本格的な建設をまさに始めようとしておりますが、将来県
の臨海地帯に工業都市涸域が展開し、その背後には生産性の高い田園
地域をひかえた未来図を想像してみるならば、限りない希望と期待に
満ちた今後であるということができるのであります。
−5−
___________________________
今年一月三十日に正式に新産業都市の地域としての指定がありまし
た際、国から指示のありました徳島地区の新産業都市建設の基本方針
にもこれらのことは明示されておりますが、これによれば、徳島地区
は初めに述べたように大都市における人口および産業の過度の集中を
防止するとともに、地域格差の是正と雇用の安定を図り、もって国土
の均衡ある開発発展および国民経済の発展に資することにその役割が
あるとされております。そして又そのための工業開発の目標として
は、化学工業、化学繊維工業、。ハルプ工業等の開発を中心として、こ
れにあわせて関連産業および機械工業等の開発を促進し、昭和四十五
年には、昭和三十五年の五乃至六倍の工業生産の規模を見込むといっ
た内容も示されているところであります。
今後、私たちは、先ず工業開発を目指して産業基盤の整備に重点を
置き、臨海性装置工業としての石油精製およびその関連化学工業との
コンビナート地帯を出現させることを第一の狙いとして、更に機械工
業その他豊富な用水源を利用する合成織維、。ハル。フ等の用水型産業お
よびその他関連企業の配置を考慮し、同時に既存の地場産業の育成に
努めるべく総力を結集して工業地帯の造成をしていきたいと考えてお
りますが、そのための産業基盤の整備には特に集中的努力を重ねてい
く覚悟であります。将来は臨海部を南北に走る工業地帯と、吉野川沿
いに上流へ向って伸びていく工業地帯とが徳島県の中央部を形成し、
牒業等の他の産業振興と密接に関連しつつ、県勢は大きく伸張してい
くこととなりましょうが、それに加えて住みよい町づくりのための文
教、厚生福祉等の諸方面も同時に広く建設に着手し、跛行的な都市の
発達にならないよう総合的な建設基本計画を推進していくことを心が
けております。
そしてまた、本年はこれら諸産業興隆のキーポイントともみなさ
れ、徳島県の開発の将来を左右するものであるとも言いうるところの
本州と直接連絡する大嗚門橋架橋実現の最も重要な年となることが容
易に予想されるところでありますから、これが早期着工のため万難を
排して進まねばなりません。阪神経済圏と陸路で直結することは、従
来にもまして阪神と密接に結びつき、経済、文化、教育等水準の向上
に大きく影響してくることは明らかであります。
以上述べて参りましたように徳島県はこれまで、吉野川、那賀川な
どの大きな河川に恵まれ、港湾、電力等豊富な資源を持ちながら開発
のおくれた四国の一端に停滞しておりましたが、新産業都市建設とい
う絶好のきっかけをつかんだことにより、本当に明るい住みよいそし
て盟かな郷土づくりを始めることができることとなりましたが、今後
はあらゆる障害をのり越えて県民福祉向上への道を逍進しなければな
らないと考えておりますので、県民の皆様方の絶大なるご協力ご支援
をよろしくお願いいたす次第であります。
●新産都市建設法に基づき次の区域が指定された。
徳島市、鳴門市、小松島市、阿南市、国府町、佐那河内村、
石井町、那賀川町、羽ノ浦町、大麻町、松茂町、北島町、藍
住町、板野町、応神村
以上四市十一ケ町村
−6−
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◆県社会福祉行政の長期計画について
徳島県厚生課長 井上 治
=はしがき=
本県の行政の目標が新産都市建設を基として、健康で盟かにそして
住みよい国づくりに向って発展しようとしているとき社会福祉行政に
おいてもこれに即応して長期的見通しをもって計画的に推進してゆか
なければならないことは当然である。
しかしながら社会保障制度の実施が国の政治の基本方針としてとり
あげられ種々の施策が国の施策として推進せられている以上それに準
じて行なうべきことは勿論であるが、本県の新らしい息吹に応じて県
独自の施策を樹て新しい事態に対処してゆくこともまた当然である。
=新産都市と厚生行政=
新産都市の建設に伴う厚生行政への影響は全般的には好結果をもた
らすことは間違いはないが、部分的には厚生行政の問題となるべき点
も存在し、また新らしく発生する可能性がある。特に低所得階層は一
応減少するものとみられるが、身心障害者、老幼年令層、母子世帯な
どが依然として貧困階屈として取り残される可能性が大きい。これら
の人々を対象とした施策が十分考慮されなければならないことは言を
またない。
厚生行政の主要な事業を取り上げその見通しを簡単に述べると
=生活保護=
社会保障制度は国民を窮乏から守るために一定の所得を保障し、一
定の生活水準を維持させようとするものであり、社会保険と公的扶助
の二つの型によって実施されるものである。保護基準によって国民の
最低生活を保障しようとする生活保談制度はこの社会保障制度の基底
となるものであり、保護基準の引上げは制度全般の向上発展にもつな
がるので、生活保護制度の今後の動向はその意味で重要な役割を持つ
ものである。
国の厚生行政の長期構想によれば、保護費基準額は、所得倍増計画
による目標年次の昭和四十五年度には基準年次(昭和三十二年度)の
ニ・六六倍に引上げることを目標にして毎年十%前後のアソプを行な
うこととなっている。
昭和三十九年四月から十三免の引上げが実現したが、昭和四十五年
度においては五人世帯の最低生活賀が二五、三八〇円(市部)になる
予定である。基準額の引上げによって本県のような低所得世帯の多い
地区では生活保護世帯の増加が考えられるが、都市部に於ては新産都
市等の影響もあり減少すると思われるので全般的には大した変化はな
いものと思われる。しかし医療扶助の経費が保護費の五十%を上廻っ
ており、その対象者も増加している現状から又、医療水準の引上げに
より医療賀はますます高額となるために医療扶助に転落するケースも
ふえてくるものと予想される。
保護施設も従来の収容施設が一段と充実整備されるとともに住宅政
策へと移行してゆくことも十分考えられる。
−7−
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=身心障害者の援護=
身心障害者の問題は、新らしい経済成長の蔭で社会福祉の面に大き
なウエイトを占めてくるものと思われる。身体障害者の福祉増進策と
して第一に挙げられるものにリハビリテーションがある。社会復帰の
ための行政機関の指導あるいは機能回復訓練、専門職員の設置及び援
護施設の設置等が国の施策として推進せられてくる。特に重度障害者
の収容施設は、緊急の問題として最も強く要望せられるがこれも国の
施策として一日も早く設置できるように官民一体の努力が必要であら
う。
また県独自の施策として注目を浴びている開眼運動を更に積極的に
展開する。献眼登録者が増加し、光明を得た人々が一人でも増えてく
ることを心から期待しつつ根気強く、細かい指導と運動を進めたい。
その他身体障害者体育大会は、心身のハンディキャッ。フ除去の上で
の大きな意義を確認し、今後も毎年挙行することになっている。
精神薄弱者の問顆は現在世界的に大きく取り上けられている。援護
施設の設置は県内に於ても次第に気運が醸成し、吉野川育成園の増
築、草の実学互の新設、外にも各地に施設々置の動きが見られること
はまことに喜ばしいことであり、積極的に推進をしてゆきたい。
重度障害者の収容施設の設置は勿論年金制度の充実など懸案は数多
くあるので早急に対策を講じなければならない。
=老人の福祉=
昭和三十七年度の厚生白書によると人口革命とも云うべき人口の異
動があり、老人は急激に増加し、昭和四十五年には全人口の十八%を
占めるに至ると推定せられている。
老人の問題も一家族の私的問題から離れて社会的問超としてその対
策が取上けられ、推進されてゆく。老人ホームの増設は勿論である
が、一般老人を対象にした。健康診査は全老人が気軽に受診できるよ
うな方法を講じ、疾病の早期発見、早期治療を目ざして老人福祉向上
の尖兵として特に取上け指導してゆく。老人クラブ活動は、益々発展
し、地域社会あるいは家庭内での老人の役割を話し合いの中から体得
し、地域社会への貢献を目ざして運営してゆくように自主的な発展を
促したい。
その他老人家庭奉仕員、挫護受託制度など老人福祉事業の振興を図
ってゆく。
=低所得対策=
新しい徳島県の発展の蔭に低所得者の問題がある。この問隠は厚生
行政のみでは解決のできるものではないが、社会福祉の面で取り上げ
る施策は、世帯更生貸付金の活用と心配ごと相談所及び低所得世帯子
弟奨学補助金をもって一応解決に当りたい。
世帯更生資金については、民生委員一人あたり一世帯を完全に更生
させるための貸付金の資金星位までは増額してゆくとともにその更生
指導を十分に行なう。又心配ごと相談所は低所得者の相談相手として
その福祉に役立っている現状から、各市町村に設置するよう公私協力
して設置及び運営に当りたい。
本県が他県にさきがけて本年度から創設した低所得世帯子弟奨学補
助金の制度は、低所得世帯が全体として知的能力が低いために更生が
できにくい面があることからその子弟に高校の奨学補助金を支給する
ことにより能力を開発して世帯更生に役立たせようとするものであ
り、本県の将来を左右するものとして大いに活用伸張させてゆきた
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い。
=同和問題=
いわれのない差別によりあらゆる面で圧迫を受けている同和部落の
人々の福祉のために国の施策を積極的に推進するとともに県独自の施
策である更生委員会活動と地区改善事業を始め次の五本の柱をもって
この問題の解決を気長く、しかも積極的に推迫してゆく。
一、一般大衆の啓発教育
二、産業経済を伸張させる
三、教育文化の向上を図る
四、環境改善の指導と実施
五、社会的施設の拡大
特に三十九年度に於ては、同和促進の徹底を期するため婦人屈の意
護と活動力の向上を図るとともに地区更生委員会活動の促進を図るこ
とによりこの問題と取組みたい。
=その他=
戦争犠牲者の援護は本人又は逍族の当然の権利としてその権利を尊
重し、円滑に行使できるように事務的体制を整備してこの事務の能率
化を図ることに重点を置きたい。又、婦人保護、その他社会福祉の諸
問題は計画的な推進を図ってゆく。
=むすび=
「社会福祉は人にある」こういう点から、行政指導の中で従事する
人々すなわち厚生課の職員は勿論、第一線の福祉事務所の職員、関係
機関の職員の能力、あるいは人間関係の調整等、その資質の向上とと
もに社会福祉関係者の心の底にあるべき「温かい愛情」をはぐくむよ
うな方向へ持ってゆき、皆が楽しく愉快にしかも適正な什学ができ、
そして行政効果の挙かるようなことを常に考えてゆきたい。
地域の奉仕者である、民生委員さんに心から期待するとともにその
処遇に遺憾のないようできるだけの措置をとることが更私共のなすべ
き重要な事項となってくる。
計画的に―つの秩序をもった社会福祉事業推進の体制の整備および
推進が長期構想のねらいである。
−9−
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◆新産業都市建設における問題点と住民の組織について
県厚生課 山田智資
県民が総意をあげて指定を受けるべく推進してきた「新産業都市建
設」は、幸い去る昭和三十九年一月三十一日に内閣総理大臣から本県
に正式に指定書が出され、県と県民の将来を考えるとき、前途に洋々
たるものがあり誠に喜ばしい限りである。と同時にかかる事業が古今
にそのモデルが皆無に等しく、また意図する事業が遠大なものである
がために、県と県民に与えられた課題は実に至難なものであり、県民
の努力と真剣な態度と協力体制が強く要請される。
私は、昨年十二月五日から十二月七日の三日間厚生省企画室主催に
よる新産業都市関係県社会開発ゼ‘‘、ナーに出席しましたので、その報
告をかねて新産業都市建設の意義とそのねらい、新産業都市建設にお
いて推進せんとする地域開発における社会開発の重要性、さらに社会
開発が軽視された場合地域開発推進過程で想定できる問題点および、
その対策等について若干意見をのべてみたいと思う。
1 新産業都市建設の役割とそのねらい
国から本県に示された指定書には「大都市における人口及び産業の
過度の集中を防止するとともに、四国地方東南部における開発の一拠
点として地域格差の是正と雇用の安定を図り....」と新産都市建設の
役割が明記されている。これらの役割を要約すると、つぎの三点にま
とめられるので、この個々についてさらに新産都市建設のねらいとす
るものについて触れてみたい。
⑴大都市における過密化の防止
⑵広域行政と地域開発
⑶地域格差の是正
現在大都市では、社会的諸問題が山積し、この改善について各方面
から解決を強く要請されている。即ち、人口の過度の集中、地価の値
上りと住宅難、交通まひ、上下水道、し尿処理の立ちおくれ、火災公
害等の生活環境の悪化、および犯罪、不健全娯楽等の社会病理現象等
の問題が顕在化している。又産業面においても資本効率の低下等が目
立っており、社会面においても産業面においても放置し難い状態にま
で立ちいたっているといえる。新産都市建設のねらいの第一は、これ
ら大都市の過密化による諸問題を防止し、解決の手段として工業、人
ロの地方分散を行ない、終局的には日本の工業発展と福祉国家建設を
促進することにあるといえる。と同時に今後新産都市建設の際におい
て、現在大都市が当面する諸問題が再現しないよう計画が配慮される
べき密告を含みとしていると理解出来る。
⑵広域行政と地域開発
新産都市建設の第二の役割の中に広域行政と地域開発という二つの
直要なねらいが含まれている。その―つである広域行政についてみる
−10−
___________________________
と、本県では四市十一カ町村が新産都市建設指定地域とされている
が、今後においてこれら四市十一カ町村か県と共に一体となって「新
産都市建設」事業を推進することとなり、この広い地域の間に横たわ
る諸問題を県及び市町村が横の連絡を密にすることによって、調整が
図られるといういわゆる広域行政の足がかりが試まれようとしている
ことであり、その広域行政が五年なり十年という目標年次を定めて計
画的行政を推進せんとするところに大きな意義があるといえる。
又地域開発についてみると、本県では四市十一カ町村のごとく、従
来比較的工業化が進んでいない地域に、拠点的に核心都市を作ること
により、これら地域の経済的社会的地位を高め、さらにこの核心都市
を中心として連鎮的により広く地域を開発して行こうとするものであ
り、新らしい国づくりをねらいとしている。
然しながら広域行政にしろ地域開発にしろこれら対象となる新産都
市指定地域は、農漁村的傾向が強い地域であり複雑な社会構造を織り
なしているがために、これらが推進される過程において、必然的にさ
まざまな問題が派生することが想定される。
⑶地域格差の是正
激しい昨今の人口流動は、地域間の経済、社会、福祉等の水準の格
差から生ずるといわれている。すなわち人は経済的にも、社会的にも
福祉面においてもより恵まれている地域に住もうとし、ここから人口
流動が起きる訳であり、本県においても約一一、〇〇〇人が毎年阪神
方面を主に県外へ流出しており、本県と阪神方面との間に格差が著じ
るしいことを示している。従って本県を含めて低開産地域が開発さ
れ、大都市と低開発地域との間の格差が是正されない限り、人口流動
はとまらないのであって、新産都市建設は、これら低開発地域を開発
することにより、経済的、社会的又は福祉面における水準を高揚せし
め、地域差の解消を図ろうとするのが第三のねらいである。
2 地域開発における社会開発の重要性 
新産都市建設が新しい困づくりの方策として地域開発を推進するこ
とを記したが、地域開発には産業を開発して経済の高度成長を図ろう
とする経済開発と、住宅、上下水道、文教、社会福祉等の社会面福祉
面の水準の向上を医ろうとする社会開発に大きく二分できる。ここで
問題にしたいのは地域開発における社会的、福祉的諸面において低位
にあった地域において生産基盤が充実され、集中的に工業化が行なわ
れ、生産出荷額が上昇したとしても、生活環境施設の整備充実が行な
われなかったならば、その地域は経済成長にのみとどまり、社会福祉
面での地位の向上は必ずしも期待できず、ともすれば現在都市が当面
する諸問超が再現することともなり跛行的開発になるおそれが想定さ
れる。このことについては企画課岡田課長補佐も別稿「新産都市建設
について」において新産都市建設においては総合的建設計画を推進す
る必要があると強調しているとうり、地域開発においては経済開発同
様地域開発も重要視されなければならない。
3 地域開発において社会開発が軽視された場合に想定される
一般的問題点とその対策
新産都市建設における地域開発において、経済開発菫点王義がとら
れ社会開発が軽視された場合、とくに開発される地域が農漁村的傾向
が強いために、巨視的きらいがないでもないが一般的にはつぎのよう
な社会的問追、生活環境上の問埠、心理的な問臨等か派生することが
−11−
___________________________
想定される。
⑴住民と企業との摩擦
⑵職域社会と地域社会の摩擦
⑶既存の地域社会の居住者と新規居住者の人間関係の不調和か
らくる磨擦
⑷急激な都市化に伴なう青少年の非行や犯罪等の都市的病理現

⑸交通災害等の増加
⑹上下水道、し尿処理の問題
⑺はい煙、大気杓染、水質汚濁、騒音等の公害
以上の問題対策の概要として、日新産業都市計画における生活基盤
の充実、⇒行政施策の充実、国住民組織の強化等があげられる。
以上は社会開発が軽視された場合を想定しての問頗とその対策であ
るが、社会開発も積極的に行なわれた場合であっても問題は皆無であ
るとはいい得ない。従ってあらゆる問縣点を事前に想定しこの対策が
配慮されるべきである。
この対策の中で現在その方策が講じられていないものであって今後
重要視されなければならないのは住民組織強化の問題である。住民自
らが自らの力でこの偉大な新産都市建設を完成させ、そして完成後の
福祉を自分達と自分達の子孫が自ら享受するという自覚と連帯意識を
もって協刀体制をとって行くことこそ問辿屏決の最も必安な方策であ
ると思う。何故ならば住民のものの考え方が前記の心理的問題を左右
するからである。
地域住民相互が融和と結びつきを強化してこそ新産都市建設は推し
進められ、結果的には、住民の福祉も向上すると考えられる。このこ
とこそ県民に与えられた最も重要な課題である。
煙草の害について
(米公衆衛生局『タバコ報告書』発表)
公園に吸殻を散かし、家じゅに灰を落し、
ズボンに焼焦をつくり、空気をよこし、
ライターに無駄金を使い、
爪も歯もきいろく染め、
風邪をこじらせ、
あげくの果に肺ガンになり、
いいことは何ひとつないのに、
世界じゅうの人間が,
国境を問わずに好むという、
人間の人間らしさのおろかな証し……。
だが私はとりわけこうした
非衛生的な人類というやつがいとしい。
−12−
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福祉アルバム 昭和38年4月→昭和39年3月
動き
善意銀行2年次を迎え盛況
善意銀行祭り
好成績の共同募金
原知事街頭に立つ
日東航空スチュアーデスに托す 愛のほたる 宝田寮の子ども代表
写真掲載
−13−
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年毎に盛会 第七回県大会
第七回徳島県社旗福祉協議会
充実した老人大学
第三回鳴門市老人大学開講状況
第三回老人健康コンクール
写真掲載
−14−
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第一回身体障害者体育大会 於 徳島中学グランド
整備された県立養護学校 機能回復訓練に励む子供たち
ボランティア活動促進みつばちクラブ主催 指導者技術研修会
写真掲載
−15−
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心配ごと相談強力に推進
心配ごと相談所相談員研修会 愛媛大学 山口教授を迎えて
健やかに伸びゆく子どもたち
善意銀行まつりに出演した佐古子ども会
予算確保に中央へ乗り出す関係者
写真掲載
−16−
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徳島子どもの日を設定
ー七つの合言葉で推進ー
県社協事務局
町 弥一
子どもの危機的段階
変転する社会状勢の真唯中で青少年にまつわる諸問題が発生し凡ゆ
る形で憂慮すべき事態を卒みつつあることは大人の独善のしわよせと
云っても過言でなく、これが又子どもの危槻的段階にあるとも云え
る。
経済成長と消費生活の変ぼうにともなう国民の日常生活が大きく揺
らぎ共かせぎや団地の急増は秩序ある家庭がこわれ「鍵っ子」を産
み、その鍵っ子即非行に連ると考えるのは早計かも知れないが多分に
その素地を含んでいることはいなめない。
この度県社会福祉協議会の児童福祉部会で切実なこの問題が討議さ
れたがその対象として県民にアッピールするものを取上げよう。それ
には毎月一回(五日)大人の反省の日を設けて子どものために考え実
     ・・・・・・・
行していく徳島子どもの日を決めよう、と申合せた。
そして「こんなことから始めよう」と七つの合言葉を示してポスタ
ーを作製、市町村や関係各方面に配布した。
朝晩のあいさつをしましょう
家庭にあって子どもと朝晩のあいさつを交わすことは常識だが実際
には行なわれていない場合が多い。現代っ子とも.二われる最近の子ど
もと大人のものの考え方に大きなギャップを生み、いつの聞にか人間
関係までいびつになりかねない。お互にこのギャップを認めあい理解
しあうところに明るい子どもが育つことを知りたい。「お早よう」と
声をかけてやる親しさが家庭の絆を暖かいものに結びつけていけるこ
とを強調したい。
子どもと一緒に夕食を
特に父親は家庭を顧みない、「父よ家庭に帰れ」の運動は激しい近
代社会のエネルギッシュな活動の中に喘えぐ凡ての男性に反省と警告
を発した言葉であるが、とにかく一ヶ月中で一晩位、子どもを含めた
家庭のみんなと夕食をとる機会をつくる工夫を致したい。大人は大人
なりに子どもには云えない。又判らない秘密があり行動があるが或程
度子どもの常識で理解できる「大人の日常生活」たらしめるべく努力
したい。
夕餡の膳に飾る一輪の花のかもし出す和は如何にきびしい生活のた
たかいの中にあっても、そこに憩いがあり笑いが生れると信じてい
る。
子どもを中心に家庭で話しあいましょう
話しあいのテクニックは誠実であるーーと云うこと以外にない。理
論斗争でなく決議でもない。お互に十分の話しあいを尽すことで腹の
−17−
___________________________
底までさらけ出す近親感を覚えることはままあると思う。
特に子どもを大人の領域で取扱うことはいけないが、子どもを中心
に家庭での話しあいは必要だろう。もし大人を誤解したり又子ども自
らコンプレックスをもっての行動的現象の見受けられる場合は頭ごな
しの怒りをぶちまげるとその後の事態は一体どうなるだろう。
やはりここに子どもえの思いやりを含めた話しあいがいることにな
る。
そして何か―つでも方向づけられたことは必ず実行していく心構え
こそ又大切である。
子どもの健康状態、生活態度をもう一度みてみましょう
何よりも大切なことは子どもの生命と健康か守られているかという
ことだ、乳児死亡率の地域的格差、なお先進国の二倍を占める幼児死
亡率や妊産婦死亡率、今尚減少せない心身障害児の発生、奇型児の増
加と又一方子どもの事故死は年毎に激増しつつある。
特に近代都市にあっての交通事故、或は公害から子どもを守ること
は家庭は勿論、地域社会にあっても大きい配慮がいると思う。
又共かせぎから生ずる「鍵っ子」はここにも問題がありそうだ、子
どもにも四六時中接触している母親は一寸した子どもの変った素ぶり
を発見して悩みや身体の疾病を発見するものだが、朝早く子どもと別
れ帰宅したときは寝床にあるというのでは子どものデリーケートな生
活態度は解らない。望むがままに金だけを与えてその場限りのごきげ
んをとらねば仕事に出られない母親の立場も理解できるが、子どもを
含めて家庭の生活を守るために就労した母親が反って生活を壊わす結
果になっては大変である。
たとえ旅行中でも手紙や電話をする配慮を致しましょう
この日の旅行や会議はなるべく見合せましょう
共かせぎを非難することは行きすぎだが、こうした現状を少しでも
救う道は行政の上で保育所増設や遊び場設置に力を入れ又地域ぐるみ
で「鍵っ子」を守る運動に進展さすことより他に道はない。
「父よ家庭に帰れ」の呼声はまず夜間にまたがる会議や宴会を見合
せてもらいたい。
せめて県庁関係でも踏切ってもらいたい。
徳島市内の料理屋さんが結束して「五日の夜の徴業は休みます」と
の積極性を示してほしいと源っている。
旅行中に子どもに手紙を書く習慣を殺いたい。そしてたとえ僅かの
ものでも軽い土産を買ってくる気の配りようは子どもにとってどれだ
け暖い愛情を感じるか、そんなことは誰しもよく知っていることであ
り乍ら仲々実行できないものである。
どこにあっても子どもを忘れない心情を保ちたい。
★子ども川柳
•試験中、かあさんの顔が目にうかふ(中二、女)
•かあさんの小言は、いつも同じこと(中一、女)
•勉強に、追いまをされて卒業する(中二、男)
•エチケット、ちゃんと守るは子どもだけ(中二、女)
−18ー
___________________________
〝気軽に相談〟
ますます利用者ふえる
ー小松島市心配ごと相談所ー
小松島市社協
主任相談員 笠原林蔵
小松島市心配ごと相談所は、開設以来早くも満三年余となり、開設
当時は低所得者に対して生活上の心配ごと相談に応じて参りました
が、日を重ねるに従いその真価をメキメキと発揮し、現在では市民全
般が広大に利用することになりました。実績も甚だ顕著になり、内容
も家庭法律に関する相談が一段と多くなり、これが解決限界もまた相
談員の適切なる指導により来談者に納得と得心を与え、来談当時の憂
い顔も消え本当に心ろ安らかの気持で帰る後姿を見てホロリとさせら
れる場面が多くなりました。このように現在の相談所は、一般の利用
価値が大きく市民からは高く評価されており、これからの相談員は相
談の熟練はもとより、知識と常識を兼ね供えた資質の向上を計ること
が必要となって参りました。人選もただ民生委員だけでなく、広く学
識経験ある一般識者からも選抜することが良いと思われます。昭和二
十九年三月二十六日徳島市自治会館で県社協主催の県下全般心配ごと
小松島市心配ごと相談所件数調 1,315 件
昭和58年度分
相談件数分類(円グラフ掲載)
紹介先分類(円グラフ掲載)
解決方法分類(円グラフ掲載)
−19−
___________________________
G・H・Q
徳島県社会福祉協議事務局長 町 弥一
G・H・Qといえば戦後の軍政
部を思い出して、余りうれしい気
はしないが、ここではゴーホー
ム・クイックリーの略語だそう
で、早く家庭に帰ろ、つまり「父
よ家路に急げ」の運動の合い言葉
だと聞き、いささかめんくらう次
第である。やはり他国でも、こど
もを中心とした家庭の問題のあり
方は深刻に検討され、その対策に
頭を病めているようである。
はやい話が最近のようにめまぐ
るしく変動する社会情勢のただ中
に、いつも置き忘れがちなのはこ
どもたちで、多忙な父親と夕食を
ともにする機会すらないこどもも
たくさんいる。ましてや家庭をか
えりみれないことが世の父親の常
識となり、そもそも、それをもっ
て活動家のバロメーターにもしか
ねない現状には大いに抵抗を感じ
るし、私を含めて世のおやじ族、
ここらでじっくり反省を必要とす
る。毎晩徳島市眉山から流れる
「希望の鐘」のメロディーは「こ
どもらよ早く家に帰ろ」の推進を
目的にしたものだが、近ごろでは
「おやじ族ゴーホーム」の警告に
看板替えすべきだと思っている。
ところが「父よ家庭に帰れ」は手
遅れで「母よ家庭に帰れ」の運動
が盛んであるという。
この間も県下婦人団体の研究集
会に出席したが討議の焦点は、働
く母親の問題で、生活のたたかい
に勇ましく出陣する共かせぎの母
親を「流行化した主婦の就労への
反省」と批判する向きに対しては
「私たちはだてや粋狂で働きに出
ているんじゃない、かわいいこど
もまで犠牲にして働かねは生きて
いけない現実にもっと暖かい思い
ゃりと理解がほしい」と訴える。
そして保育所の増設や、カギっ
子対策に地域ぐるみの援助を求め
る真剣な願いが経済成長の谷間に
しわよせされた「ここにも問題が
ある」のである。家庭はこどもの
苗床てある。適度の光りと水と肥
料が必要なように、家庭環境にも
こうした条件がみたされることが
たいせつで、現在のように崩壊し
た家庭の多い環境の中では、こど
もたちはりっばに育成されがた
い。たとえば住宅事情、母親の就
労、離婚の増加、家庭内の人間関
係など、このアンバランスから、
自然、こどもの問顛が発生し、世
界的高率を占める青少年の自殺、
情緒障害、非行、家出など統計的
にも上昇の一途をたどるのみで、
危機的段階といわれるのも無理か
らぬことだと思う。
特に近時こどもの交通事故や夏
の水禍は放任できない重大事で、
このさい私たちはもう一度こども
の側に立ってこどもの周辺に起こ
っている真の姿を追究していくこ
とからスタートしなければならな
い。
さて、このほど「徳島こどもの
日」として毎月五日をこどものた
めのおとなの反省の日として、大
いに考えるl ことから始めよう
と提唱することを決め、県民運動
に盛り上げるためのあらゆる機関
団体の協力を要請しているわけだ
が、むずかしい議論はぬきにし
て、手近なことから始めようと呼
びかけるつもりである。せめてこ
の日は、こどもを中心に夕食をと
もにするだけでも実行できれば大
きい意義があると思っている。
ゴーホーム・クイックリー家庭
に帰るすべての心を結集して、明
るい社会を築こう。「あの子もこ
の子」もみんなよくすることにも
つらなることだ。
福祉随想
−21−
___________________________
福祉随想
思い出すまま
小松島市民生委員
斎藤静恵
私が
民生委
員のお
役を頂
戴して
から、
もうかれこれ廿五、六年なりま
す。その間、社会の進歩と共に仕
事の内容も変って参りましたが、
私が就任当時は民生委員といえ
ば、生活保護世帯ばかりを対象と
する仕事をしておりました。また
世人も困った人が出来たら、民生
委員の所へ連絡、民生委員もまた
そういう人々に対してよく面倒を
みてあげる人が優良な民生委員だ
といわれてきました。然し次第に
進歩してきた社会福祉の仕事は、
民生委員の活動分野を大きく変え
つつあるように思われます。
生活保護世帯は最低生活が先づ
確保されている事になっておりま
すが、これ等の人々以外にもたく
さん福祉の恩恵を受けられない者
がおり、この人達を如何に指導す
るかがこれからの民生委員の仕事
だと思います。一例をあげます
と、母子家庭で祖母、母、子の三
人暮しの世帯に現在高校二年の男
の子が中学校を卒業したため、保
護は打切られました。祖母は病弱
で留守番位が関の山で、母親一人
が雑貨品の行商をして生活をささ
え、少ない利益の中で最底の生活
をほそぼそと送っております。し
かも、未亡人である母親は品行方
正で、私は近所へ行くと必ず立寄
ってはげましておりますが、この
家庭にもう三千円位収入がふえた
ら楽になるであろうになーーとい
つも思います。しかし昔から貧し
い家から成功する者が多く出る例
もあるので、子供のためにはかえ
ってよいのではないかと思ってお
りますが、せめて病気になった時
は、医療の申請でもと心がけてお
ります。本年三月、箱根町湯本に
開かれた全国婦人民生委員研修会
に出席して感じた事ですが、民生
委員の集いといえば、保護世帯と
か要保護者とかいう言葉を耳にし
ましたが、この度はあまりききま
せんでした。範囲の広い言葉「社
会福祉事業」とか、社会保障制度
という言葉で表現され、これは民
生委員として一段と飛躍した時機
に到達したという感じがなんとな
くしました。この期にあたって、
民生委員は精神、行動ともに反省
し、新しい感触を持って国民性を
失なわない社会福祉を打建てて行
くよう精進するのが、私共民生委
員の務めだと思いました。
社会福祉の底
徳島県精神薄弱者育成会
常任理事
多智花 寛
先日仕事の関係で知り合った学
校の後輩を、自宅に招いて食事を
したことがあった。そんな時にも
私の主義で、あまりお客さん扱い
をしないで屋間で而も家族と一緒
に妻の手料理を食べることにして
いる。私には既に十八オを起え、
昨年の十月にあさひ学園を退園し
た璽症精薄の長女が居るがこの時
も勿論、彼女は同席である。脳性
マヒで知能指数も計れないし、言
葉は勿論、排便にも介添えがいる
し、食事も匙に入れてやらねば食
べられない。
その後輩も普通でない彼女の様
子を見て、さも気の毒そうに私に
事情を聴くので、簡単に経過を話
−22−
___________________________
した。ところが「私の妹にも二才
になるが言葉も云えない、歩きも
できない女の子がありまして、妹
も大変苦労をしています」と話を
始めた。ここにも不幸な同志がい
るのである。もし私が長女を客に
も会はさなければその人の近親に
も同じ様な子供がある等判る筈も
なかったわけだ。私の妻も長女の
幼い頃の思出を語りどうか妹さん
を励ましてあげて下さいと、手作
りの人形をことづけた。その後、
妹さんからお礼の言葉と不幸に負
けず子供がよりよく生長し幸福に
なれる様に頑張りますと、覚悟を
述べた手紙が届いた。精薄は意外
な所に案外多く居ることを知らさ
れる。それが中流以上の場合家庭
の恥、家門の名折れと心得て、で
きる限り穏そうとする例が多い。
周囲の人も知って知らぬ振りをす
る。更に、あの家にはあんな子供
が居るんだと話の種にするもので
ある。
これまでの各種調査結果から精
薄の出現率は約三%即ち一〇〇人
に三人は知能指数八〇以下の精薄
者が居ることになる。それが県の
厚生課が民生委員に依頼して苦心
して経めた集計が何と〇・三%、
即ち推定の一〇分の一の数字であ
る。精薄対策の基本資料にて尊い
県費をつぎ込んだ調査結果がこの
始末ではお話にならない。この調
査に当った民生委員の方々からよ
くその苦労をきかされる。親も社
会全般も精薄の理解ができていな
いことが知らされる。精薄問題は
現状では社会福祉の面で最もおく
れた部門である。而も毎日おこる
交通事故の様に、何日、どの家庭
に精薄者ができるか判らない、決
して人事ではないのである。更
に、その子供たち、人達は訴える
ことも、要求することもできな
い。顔が代弁者となり理解協力者
がその対策を進めてやらないとい
つまでも社会福祉の底に沈澱して
いることであろう。
七分、五分。
赤と黒。
児童相談所
判定指導係長
寒川伊佐男
私逹の子供の時に少々知能のお
くれた友達や大人に「あれは七分
だ。」とか「あれは五分だ。」な
ど云ってからかったり、又叱られ
た腹いせにいったものだ。今、児
童相談所で毎日、児童の判定の業
務をしており、精神薄弱児などに
ついての診断の結果を関係者にお
話しすると「ハハア、知能指数が
五〇ということは普通児に比べて
五割方おくれている訳ですなー。
まあ五分という訳ですな」。とか
「もう少し、四分ほどあれば普通
児と同じなのにね」。とかいう話
をきかされたりします。
先日、Y町で社会福祉大会があ
り、私も「青少年の非行防止とそ
の対策はどうすればよいか」とい
うテーマの部会に参加しました。
各界の代表者が出席され、活発に
患見を交したのですが、それらの
発言の中には所謂非行児といわれ
る個人かグルー。フをそのまま取り
あげ、その数、非行内容、対策な
どが述べられていました。又それ
らの意見の中には非行児という異
質のグルー。フ、即ち赤組を、指導
者である我々関係者、即ち黒組の
人達が語り合うという、距離をお
いた、それだけにもどかしい述べ
方になったような気がしました。
各種の問題児の対策なり、指導
なりを考えて行く場合に、それぞ
れのケースの基礎になる概念が混
福祉随想
−23−
___________________________
福祉随想
乱している間は、それに対する対
策や指導が適確にならないことは
明らかなことです。
精神薄弱児を考える場合、普通
「知恵おくれ」ということを七
分、五分というような景的なおく
れと解釈する人が専門家の中にも
非常に多いように思われます。普
通児一〇〇に対する六〇しかない
とか、四〇しかないといったよう
な量的な比較によるとらえ方で
す。しかし精神薄弱児と普通児と
はそのような量的な違いでなく、
精薄児を赤とすれば普通児は黒と
いうふうにはっきりした質的違い
があることを知っていなくてはな
りません。
一方非行児を考える場合はこれ
と反対で、所謂非行という行為そ
れ自体が問題であり、非行する人
格、我々と異った特殊な人格をも
った人間と考えてはいけないので
す。適応行動の過程で法律や道徳
に触れた行為をしたときに非行と
よばれ、非行児と扱われることを
先ず知っていなくてはなりませ
ん。即ち非行児という質的に違っ
た人間がいるのでなく、鼠的に我
々と異っていると云う意味で考え
なくてはならないのです。前述の
ように、問題児を考えていく場
合、このような概念を明確にして
おかないと、いつまでも堂々めぐ
りで結論が出ないような気がしま
す。
近代化
養護老人ホーム
福寿荘院長
吉積政一
現代は近代化ばやりである。企
業の近代化官庁、政党の近代化
と。
時代の急激な変遷にともない、
社会は大きく動きつつある。殊
に、本県は新産業都市の指定によ
って、将来社会環境が農村的から
都会的に変り、施設収容者の問題
もますます複雑化してこようとす
る。このときに当って、社会福祉
施設も又、この問題と真剣に取り
組まねばならぬ状況にきていると
思う。
老人福祉施設においては、老人
福祉法に示された老人に対する基
本的理念にそい、現状をじっくり
と掘り下げて、調査検討し、施設
の構造、経営管理等について近代
化の具体策を思い出し、一歩一歩
前進をせねばならぬ。
現在の老人福祉施設の建物は、
経済的財政的に苦しい時代に建て
たものが多く、限られた金で一人
でも多く収容しようとする構造の
もので、老人の特性に適しない点
も少なくない。居室の問題もある
が、いま便所を例にとってみる
と、便所は臭い汚い処として居室
から離れた処にまとめて建てられ
ているのが普通である。ところ
が、老人の小便の近いことを考え
ると、研究の余地がある。昼間は
ともかくとして、冬の寒い夜半に
遠い廊下を幾回も便所へ通って
は、体の温る間もなく熟睡もでき
ないことであらう。そこで居室の
近くに小さい便所を点々と設けれ
ば、老人は助かることであろう。
問頗の臭気や不潔感は建物の工夫
によって解決できるものである。
少し小さくなるが、便所内の色
彩や床についても、寒さを特に嫌
う老人には冷たい感じの白タイル
はさけ、暖色系のものを選ぶと
か、床はつるつるしたタイル張よ
りも、足の不自由な老人の歩き易
いものにするとか、更には高血圧
や神経痛患者のために、しゃがま
なくてよい、高くした便器を設け
−24−
___________________________
るということも起ってこよう。
次に浴室についても、老人の入
浴は単に垢を流し落すというだけ
のものでなく、ゆったりと湯に浸
って心身を柔げる大切な憩の場と
して考えるとき、現在の浴室は余
りにも狭く、何んのムードも起ら
fわい。浴場の構造や入浴時間につ
いても問題点は多いようである。
施設の一、二について具体例を
あげたが、職員の問題について
も、単に薄幸な方々に対する愛情
的奉仕ということだけでは解決出
来ない問題がだんだん多くなりつ
つあり、専門的知識や技術の習得
ということが起ってくる。合理的
能率的経営管理に至っては更に多
くの重要な問題を含んでいると思
う。
このように多くの問題をもつ老
人福祉施設の近代化を進めるため
には資金の問題がともない困難な
ことではあるが、何れにしても、
施設関係者の外に、県当局、県社
協さらに学識経験者の方々の御協
力と御援助を願って、近代化の研
究機関を設け、日時をかけて検討
し、時代の進運に遅れない準備だ
けは早くしておきたいものであ
る。そうして、老人の真の楽園と
しての老人ホームであり、職員に
とってもまた快適な職場へと向上
させたいものである。
雑音
徳島市内町長寿会長
糸林為一
◎解釈
◇入門早々の俳人が「五月雨」と
いう題を貰って苦吟の結果。
五月雨や一年中の雨が降る
と作った。けだし一年中に降り
貯まる程の蜀の五月雨が降った
というのが作者の慇味であっ
た。
◇宗匠がこの句を見て、ひどく感
心したという。宗匠の心は五月
雨の降り方が四季様々の雨の降
り方をして、雷雨の様な時もあ
り、秋雨のようなじめじめした
時もあり、その変化を詠んだも
ので、梢説明的な処はあるが、
作意は面白いというのであっ
た。
◇解釈は、する人の心の深さによ
るものである。
◇老人福老の問題も、北欧諸国の
様に形式の上では至れり尽せり
の国でも、老人の自殺者が世界
で一番多いというに至っては、
そこに何等か物足りない何物か
があるといわなければならぬ。
◇我が国で望まれている福祉国家
は、北欧諸国並の福祉国家であ
る上にプラス、アルファを希望
するものであると、池田首相は
言って居られるものと解釈する
のである。
◇このプラス、アルファは差し当
って、老人に仕事を与える事で
あると思う。高令者再就職問顆
は今後の社会福祉問題として解
決すべきものの―つではなかろ
うか。
◎一滴
◇昔有名な高僧に一滴和尚という
のがあった。小僧時代に師の坊
の行水の余り水を無駄に捨てた
といって叱られ、一滴の水とい
へども生かして使えと訓へら
れ、己の号を一滴と称したと伝
えられている。
◇一滴の水といえども生かして使
う。まさに人生の活き方の断面
というべきである。
◇自分一人が幾ら善い事をして
も、世間がこんなに悪に埋まっ
ていてはどうとも仕方がないな
福祉随想
−25−
___________________________
福祉随想
どとあきらめることはない。
◇古諺に「点滴石をうがつ」とい
うのがある。小さな善も度重な
ると大きく働くものである。
◇万朝報という新聞が懸賞募集し
た金言に「壱銭を笑ふ者は壱銭
に泣く」というのがあった。壱
銭位と笑ってはいけない。
◇「小さな親切運動」というのが
近時唱えられている。小さな親
切を絶えず積み重ねる処に、社
会福祉の推進もあらうし、世の
中を明るくするものではなから
うか。
福祉
徳島県医務課長
上田井芳雄
四月十四日付の徳島新聞は、厚
生省の昭和四十五年を目標とした
「社会保障の長期展望」の総論的
な部分にあたるつぎの四節から
る。
一、人口資質の向上と年令構造
の変化
二、格差是正と福祉の向上
三、急速な都市化、工業化の進

四、生活構造、生活形態
「今後数年間における社会経済
的変動期の厚生行政の課題」を報
じている。
また、人口問題審議会の「人口
資質の向上対策に関する決議」
は、人間能力の開発と将来若年人
ロの減少という観点に立って、働
労人口の健全な育成疾病の予防と
健康増進対策および生活環境の整
備などについて建議している。こ
れらは、我が国の新しい国造りの
青写真にほかならない。
もし、人間一人一人の資質を確
実に高めようと思えば、悪い遺伝
をなくするだけでなく結婚のとき
に、よりすぐれた人間をつくる配
意がなされなければならない。
脳性小児麻痺は異常分娩や妊娠
中の母体の病気によるものが多
く、精神薄弱児の三八%は舟体の
妊娠中毒によるものであるといわ
れているので、母子の健康を守る
母子衛生対策の強化、および出生
前にさかのほり心身の障害を予防
し、優秀は人間をつくらなければ
ならない。さらに人口の老令化、
社会経済構造の変化、医学の進歩
などは病気の最質ともに大きな変
化を与え、精神や身体の障害者、
慢性病の老人に対しては、病気を
できるだけなおすと同時に症状に
応じた仕事がやれるようなリハビ
リテーションが実施されることが
望ましい。それと同時に学校、一
般社会、職場、施設においては成
人病の啓発、職業訓練を含めた広
い意味の教育を強化しなければな
らない。また若い人たちには一人
でも多く本人の能力と素質にもっ
とも適した高い教育の機会を与え
るとともに、一方ではすぐれた人
材には家計の如何にかかわらず、
最高の教育が受けられるよう保障
し、中高年層の希望者には、職業
訓練と雇用の機会を与えなければ
ならないのはいうまでもない。人
ロ資質の向上と人間能力の開発は
わか国の当面する社会経済的変動
が生んだ深刻な課縣の―つであ
る。
もっともこの課題は単に技術的
革新と人口梱造に対処するための
手段だけでなく、福祉国家をつく
り上げる道でもあるのである。
福祉国家とは「すべての国民が
健康で文化的な最低の生活を保障
されるとともに、すぐれた資質を
もって生れたその能力を完全に開
発され、それを最大限度に発揮で
きるよう国家的、社会的に保障さ
れるとともに援助される社会」と
いわれているが、個人の努力がそ
のまま公共招祉と繁栄につながる
ものでなくてはならない。このよ
うな理想的な社会がわが国でも実
現するよう政治家も、行政官も、
国民も真剣に努力しなければなら
ない。
−26−
___________________________
町の善意を拾う
=日東航空の事故に
養護施設児が慰問のよせ書き= No.1
空かける〝友情ホタル〟を快よく運んでく
れた日東航空の機長は煎体、美しいホステス
は即死ーーこんな悲しいニュースが去る二月
十八日報道され、阿南市にある養護施設宝田
寮(寮長武田琢円氏、児童五十名)はガッカ
リした。たび重なる日東航空の事故は徳島県
民にとってたしかに大きなショックであった
が、あのやさしいおぢさん、美しいホステス
がこの事故の犠牲者だと知って早速子供達は
死んだホステス麻畠美代子さんの冥福を祈
り、重体の関口機長によせ書きの慰問文を二
月二十一日送った。
昨年の六月五日、この宝田寮の子ども達は
「都会の施設にいる友だちにホタルを見せて
あげよう」と一カ月がかりで〝友情ホタル狩
り〟をして百五十匹を捕えたが徳島県社協を
通じ日東航空に頼んで徳島、大阪間を空輸、
大阪天王寺の養護施設四恩学園の友だちに贈
ったものである。二つの虫かごに入れたホタ
ルを宝田寮の代表からこの日運んでくれたの
が日東航空の関□ 機長でありホステスの麻畠
美代子さんであった。ところが去る二月十八
日午前八時二十分頃、大阪を飛びたった徳島
行第一便が大阪空港の近くでつい落、ホタル
を運んでくれた関口機長は重体、準ミスに当
選したことのある美しいホステス麻畠さんは
即死してしまったのである。宝田寮の子供た
ち全員は、さっそく施設で麻畠さんの冥福を
祈り、京都市にある自宅の家族あて慰問のよ
せ書きを、また直体の関□ 機長あて「早くよ
くなってください」と手紙を日東航空徳島営
業所へ送った。
なお、この宝田寮のホタル空輸は一昨年た
またま徳島に来た福祉新聞久保専務のアイデ
ァで一昨日徳島ー大阪間を日東航空で大阪ー
東京間を全日空でリレー空輸、東京の施設の
子どもたちによろこんでもらったのでことし
も空翔ける美しい〝友情ホタル〟を続けてい
こうとはりきっていたものである。
−27−
___________________________
=夫唱婦随奉仕の道、十余年= No.2
藤本勘吉(四十才) ー板野郡板野町黒谷と
いう四方山で囲まれた谷閲で、わずかばかり
の田地と取組んでささやかながらも生活に喜
びを持って住んでいるーさん夫妻が隠れた善
意の持主。
◆◆◆◆◆
藤本さん夫妻はお隣りの団千一、綾子さん
の夫婦が昭和二十四年と昭和二十八年にそれ
ぞれまだ小さい(十四才を一番上に五人)子
供を残し若死にされた。五人の子供はおばあ
さんに先立たれたおじいさんの団清五郎(八
十九才で今春死亡)さんの手一つで育てられ
るようになり、生活保護を受けることになっ
た。
しかし、女手がなく家事―つについても大
変な手数のかかることで、年老いた男手では
大きな負担であった。これでは幼い子供たち
が生活し、育つ環境としては余りにも恵まれ
ていないと藤本さん夫妻がそっと陰の力添え
となった。そして暖かい気持を持った元気な
人に成長してくれることを顧って十余年間、
担当民生委員安芸忠平さんらの励ましもあっ
て心の支えから、洗濯、遠足、旅行時の弁当
等物質的援助まで筆舌につくせない生活の導
きにたゆまぬ努力されてきた。
その甲斐あってこどもたちもすくすく育
ち、長男は病気で入院しているが、次男、三
男は就職し、四男、長女はそれぞれ高校と中
学に進んでいる。
現代のこの世智辛い世の中で自分たちの生
活も顧みず隣人愛に尽していることは、本当
に心温まる生きた善意である。
団勝(二十二才、三男)さんの話「ここ
まで私達が成長出来たのはひとえに藤本さん
一家のお陰です。私達がもし都会に住んでい
たならば今日の私逹はなかったでしょう。早
く一人前になり、少しても恩返しをしたい気
持で一杯です。」
藤本さんの話「お隣りのおつき合いでなす
べきことをしたまでです。ただ残された子供
たちが促全にすくすく育ってくれたらと思っ
てわずかばかりの手助けをしたまでです。」
藤本さん御夫妻 (写真掲載)
−28−
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解説
若い世代が描く老人像
ーこれからの老人福祉対策一
わが国の社会保障制度は、戦後、飛躍的な発展を
とげてきたが、特に経済の高度成長に伴なう社会情
勢の変化や人口の年令構造の変化などによって、さ
らに復雑、広汎な社会問題に当面している。すなわ
ち、国民の生活様式の変革、生活環境の変化、消費
者物価の高騰などによる低所得階層の生活上の不安
や、これらの問超とからんで人口の年令構造の変化
に伴なう複雑な諸問題などがそれであり、これらの
諸問頗を効果的に解決するための諸施策が当面する
緊急課題となってきたようである。なかでも老令人
口の増加による老人福祉対策は、一番大きな課顆で
あり、昨年老人福祉法が施行され、国家財政の裏付
けにより老人自身の能力資質の開発と老後の生活保
障を確立しようとしているが、現在の老人の諸遇を
考えるとともに、最近の社会福祉は長期計画を樹立
し、十年後の社会福祉の在り方を年次計画で稽み上
げてゆく未来像をはっきりと意識しなければならな
いと思う。
昨年十月、全国社会福祉大会の第三専門委員会で
はII老人福祉対策のあり方IIについて二日間にわた
る専門的な研究討議が行なわれたが、この内容と、
この委員会の議長をつとめた那須宗一氏(中央大学
教授)の御意見を素描して、日本の老人の未来像と
もいうべきものを引き出してみたい。
☆若い世代が画く老人像
平均寿命が著しく伸長され、わが国の総人口に
占める六十才以上の人口の割合は、大正、昭和の
年代を通じてほぼ七〜八%の割合であったが、昭
和三十六年にはその割合は九%を越え、昭和七十
年には十九%、昭和九十年には二四%を占めると
予想されている。そうなると、稼動者である壮年
者が老人扶挫の負担は想像以上に過重となり、現
在、壮年者が扶捉している子どもの扶蓑と同じ比
重において老人の扶捉か行なわれる関係になると
いわれ、現代の若者が画く老人像は、まず第一
に、国民各人、一人一人が持っている能力のすべ
てを発揮して〝生甲斐〟のある人生を保障する生
活設計をたてること。第二に、不幸にして貧困に
陥った時は、明日への希望を失わしめない〝ゆと
りのある経済給付〟の確立ということになる。
また、日本人の社会的性格から、たとへば子ど
も夫婦と一緒に住みたくない老人を機械的に務老
施設へ移してみても、それだけで老人の欲求は満
たされない場合も多い。ここに現在の老人が望ん
でいる生活と、将来老人になる若い世代が画く老
人像との間に、かなり大きなギヤップがあり、日
本の老人福祉対策は、現在のある階陪の老人だけ
の要求を実現するにとどまらす、未来につながっ
−29−
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た国民的な規模の実現化へ発展しなければ
ならない。
そこで率直にして且つ荒らけずりの老人
像を画くならば、先ず経済的な不安と病気
の時の心配から解放された老人でなければ
ならない。そして家庭生活はできるだけ長
く続けられると共に、老年期に適した有用
で楽しい仕事(家事労働も含めて)を持ち
続けることのできる老人でなければならな
い。そのために、
一、資産調査のない福祉年金制度へ切りえ
就労年限を六十五才に延長し、同年から
直ちにあらゆる種類の保険年金が受給でき
るようにする。将来は資産の有無に関係の
ない福祉年金に切りかえていく。地方自治
体の附加年金を六十五オに達した満五年以
上の住民と資産のない七十才以上のすべて
の老人に支給する。
〝老人の日〟には、地方自治体は長寿の
お祝金を支給する。六十五才以上の老人は
年金などの公的取得額がすべて月平均三万
円程度(現在の物価指数を基準とした場
合)になるようにする。
二、老人の就労対策は中年期から
老人の就労によって老人家族に対する経
済的扶養の責任を負わせてはならない。
老人の能力に応じた職種を公共企業にお
いて、一定の割で優先確保する。
雇用のための再教育と再訓練について
は、五十才以上の中年期において行ない、
当人の能力を開発して老後の社会的適応力
や意志力を刺激する。そのための指導機関
と指導要員が必要となる。
三、老人クラプの育成と老人福祉センターの拡充
これまでに設けられた老人クラブのう
ち、実禎のあがっているものを吸収して、
老人福祉センターを設置する。地域の老人
と個人的に接触する可能な範囲は経済的に
は三千人が限度とされているから、老人人
ロ三千人から五千人の利用者を単位にして
センターを設ける。その主たる役割は、病
弱者の家族訪問、クラブ活動、職業訓練、
経済的助言、家族問題の相談などであり、
附属設備として風呂、食堂、マッサージ、
散髪、。ハーマなど。そしてこれらの運営は
民間団体にゆだねることがのぞましい。ま
た老人ホームの入居者が集団的に利用する
便なども考慮にいれるべきである。
四、住宅政策は市街地に
独立家屋でなくてもよいから、自分の家
に住むことを原則として住宅対策が考えら
れなければならない。年金だけで他に収入
や財産のない老人に対しては住宅補助金を
支給する。そして老人向の住宅建設はでき
るだけ市街地に近いところを選んで、買物
や子どもの家庭との交通の便を考慮し、若
い世代から隔離しないことが必要である。
また老年期の身体的変化と生理的欲求に適
応した住いにするために、共同の庭と私用
の便所と風呂の設備が必要である。
五、家庭福祉の促進と組織化
北欧では老人の福祉対策が施設中心か
ら、家庭生活中心へと移行しつつあるが、
わが国においても家庭生活を続ける老人の
居宅福祉がさらに拡充組織化されねばなら
ない。
家庭奉仕員制度も、単に病弱で身よりの
ない老人に限定するのでなく、ひろく老人
家庭に及ぶ必要がある。そして子ども夫婦
との同居形態についても新しい同居の形態
−30−
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(お互に独立した世帯で、家事その他の役
割を相互に扶けあうといったジョイント・
ハウスホールドの形態など)が実現できる
ようにする。また子どもにめぐまれない老
人に対しては、今回予算化される老人養護
委託制度などを活用して、老後の家族生活
の安定に格段の工夫がのぞまれる。
そのためには、単に国や地方公共団体に
依存するだけでなく、ボランテイヤーの組
織化が必要であって、とくに地域婦人会や
宗教団体の積極的な社会活動がのぞまれ
る。
六、施設の対象別分類化の促進
健康な老人は安定した家庭生活を営みう
るように一般の住宅政策や家庭福祉政策の
なかにおりこんでいくのであるが、病気の
老人に対してはどうしても施設が必要とな
る。
今後の施設は健康な老人を収容する老人
ホームよりは、病弱で慢性的な病気をもつ
老人のナーシング・ホーム(特別養護ホー
ム)の増設がのぞまれる。そして①重患の
者、②慢性ではあるが回復の見込みのある
者、③老衰病の者など、対象別に分類収容

されることがのぞましい。また回復者が家
庭復帰する場合は、帰宅後のアフター・ケ
アを家族関係の調整にまで及ぼさねばなら
ない。
七、老人福祉指導員の養成
老人に対するリハビリテーションとオキ
ュペーショナル・セラピー(職業再訓練)
は二つの新しい治療方法であるが、これら
の治療にあたって十分技能を身につけた若
い指導員の養成が必要である。これらの技
能は単なる技術でなく、人間関係を調整す
るための理解と知識がその根底になってい
なければ効果はあがらない。
老人福祉対策はやはり経済と健康とを二本
の大きい柱として、家庭生活と職業生活をで
きるだけ続けうるような老人が理想である。
ただこのような老人福祉対策は、現在の老
人から始めるのでなく、すくなくとも中年期
の人達を対象として始めねばならないし、ま
た関係機関、団体が相互に連けいしあって総
合的な対策が進められなければ、すばらしい
老人像の積み上げは行なわれないであろう。
ある小学校PTAの
「親と子の話しあいから」
親から子にたいする希望
・遊びにいったときは、
帰りの時間を守ってほ
しい。
・注意されたことを、す
なおにききいれてもら
いたい。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
子どもから親への意見
・親には、なんでも話し
たり、相談してほし
い。
・子どもの意見も、うる
さがらずきいてくださ
い。

・日曜日ぐらいは、勉強
勉強といわないで休ま
せてほしい。
・勉強の途中でお使いや
仕事をたのまないよう
に。
•お小遣いの使い方につ
いては、干渉してもら
いたくない。
•おかあさんたちの電話
や立ちばなしがながす
ぎます。
−31−
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僕の(私の)願い
台風にあった金魚 No.1
徳島市昭和小学校
三年 吉田智子
去年の第二むろとたいふうの時のことでし
た。
朝から大きな風がふいて、しけであったの
で、学校も休みでした。戸をしめた中で、弟
と、あそんでいたら、おかあさんがきゅう
に、
「水が家にはいって来たよ。おとうちゃん
がいないから、早くにげよう」
といったので、あわててかばんを、せおって
ぽうすいをきて、おかあちゃんといっしょに
にげました。とちゅう、かたまでつかった水
の中で、ながされそうになりました。おかあ
ちゃんは弟をつれているので、わたしは、
「おかあちゃん、待って、待って」
いって、ついていったら、よそのおじさん
が、せおって、富田中学校へつきました。わ
たしは、「ああよかった」と思って、そのお
じさんに
「ありがとう」
と、いいました。おかあちゃんも、なんども
れいをいっていました。
あくる日、たいふうもおさまりましたの
で、学校へ行った帰りに、ふと見ると、男の
子たちが、あみをもって、田んぼの、あっ
ち、こっちに立っています。どうしたのかと
思っていると、だれかが、
「きんぎょをすくいよるんじゃ」
とおしえてくれました。わたしもいそいで家
に帰って、あみと、バケッをもって来まし
た。五、六匹すくって家にもって帰ってきん
ぎょばちに入れました。
きんぎょは、つかれたようです。
そのあくる日、学校へ行くと、きんぎょの
話をみんながしていました。
「あれは、学校の近くの、佐川さんとい
う、きんぎょやさんのきんぎょが、たいふう
で、流されたのよ」
と、いっていたので、わたしは、
「それじゃ、もっていってあげないかん」
と思って、家に帰って、すぐきんぎょを佐川
さんの家に、もって行きました。
するとおじさんが、
「せっかくあんたがすくったのやけん。も
うええわ」と、いいました。
水そうの中を見たら、少しきんぎょがいた
だけだったので、おじさんはさびしいだろう
と思って
「わたしは、いらん」
といって水そうの中へ、入れました。
ながされた、金魚の中には、一匹が五千円
も六千円もするきんぎょも、あったそうで
す。そんなきんぎょをすくってかえしたお友
だちもありました。佐川のおじさんは、
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「子どもが少しずつもって来てくれたんで
も、大分のもんじゃ」
といって、よろこんでいました。それからま
た金魚屋さんは、はんじょうしました。
あの日からやがて一年が来ます。佐川さん
の家では、ながされて帰ってきた、金魚の赤
ちゃんが、生まれたのでしょう。おじさん
は、
「子どもたちのおかげじゃけん、金魚のほ
しい子には、おんがえしにあげよう」
と、いって昭和小学校の子に一人に十匹ずつ
くれました。みんなで五千匹以上もくれたの
です。
わたしは、もらった金魚を、うちの金魚ば
ちに入れて、せわをしています。
この、元気におよいでいる金魚の赤ちゃん
も、もっと、去年だれかが、田んぽで、すく
った金魚の赤ちゃんでしょう。おかあちゃん
が、
「こんどは、ともちゃんの金魚だからかわ
いがってやりなさいよ。おそろしかった、た
いふうの思い出になるから」
といいました。
伊豆の児童東京旅行 No.2
社会福祉協議会、中央共同募金会主催、森
下仁丹後援、仁丹ビル落成記念、クリスマス
。パーティーが全国の僻地学校及び福祉施設を
対象として行なわれた。その中の一校に阿南
市伊島中学校が選らばれて参加しました。
参加校は十校九十六名、この中には、長
崎、広島、奈良、東京、長野、岩手など日本
の北から南の端まで、私たちの学校とよく似
た環境の子供たちばかりでした。特にこの会
は、施設の子供や僻地の子供達に楽しいクリ
スマスをしてもらうことが―つの目的であっ
た。
私たち伊島中学校は、一、二、三年で各学
年男女一名の計六名と付添一名で参加した。
日程は二十二日午後五時より渋谷の仁丹ビ
ル落成記念式典に出席、六時よりXマスパー
ティー、ここでは芸能界その他多数の参加が
あった。野球では尾崎、張本、土橋、三原な
ど東映チーム、角界では北葉山、青の里、歌
手のミッキーカーチス、その他森繁久弥、高
橋圭二、マンガ家のおおばひろしなど、
パーティーの中で有名人の生活のありさ
ま、また楽しいこと、苦しいことなど友達の
ように話し合った。その後参加校に森下仁丹
や社会福祉協議会などから色々な贈物をいた
だき、私たちも都会の子供に負けないように
勉強することを誓ってクリスマスパーティー
をとじる。二十三日は午前十一時より東京都
内見学、神宮外宛、二重橋、上野公園、東京
タワーなど見学した。東京の町は、今来年度
の東京オリンビックをひかえて道路工事のた
め掘り返されごたごたの町であった。しかし
その中に高速道路が立体的に交叉しているの
を見るとやはり大都会の雰囲気を味わった。
上野公園では有名なロダンの考える人等を見
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て感心していたものもあった。午後五時宿舎
に帰り全員で会食、その後七時より目黒若葉
寮を訪門、寮生たちと一緒に二時間の間、色
々な話し会いやゲームをして遊ぶ。施設の子
供は少し内気で暗い陰があるのではないかと
思っていたが実際に話し合ってみると、元気
で活発でのびのびと生活していることに驚き
又、寮の先生方の努力がどれ程かということ
も思わずにはいられなかった。先ず各校の紹
介、自己紹介、又地方の歌など色とりどりで
楽しく進んだ。伊島の生徒も堂々と胸をはり
徳島の代表として元気に自己紹介をする。そ
の他色々なゲームをやったり歌をうたったり
して名残りを惜しみながら午後九時目黒若葉
寮を後にする。ここでも僻地、施設等の区別
なく完全にとけあったなごやかな雰囲気であ
った。
バスで二〇分宿舎に着くと、伊島校と姉妹
校となった江原校の生徒(中二)四名の訪門
を受ける。学校の様子、町の生活、進学、就
職について話し合う、手紙だけの知り合いが
面と向って言葉をかわす。夢が実現した嬉し
さで、あまり言葉もなく、初めのうちは唯だ
まって向きあっているだけだった。しかし時
がたつに従って親しみがわいてくるのが、だ
んだん活発に話し合いが進んでいく、いつの
間にか時計の針は十時を回っていたので、又
会う日を約してお互いに頑張ることを替い合
って「さよなら」を云う。
二十四日朝帰途につく、午前八時東京発、
大都会の高層建築に目をとられている間に富
士山がみえてくる。その後は夢の超特急の線
路を右に見ながら正午には名古屋の工業地帯
へ大津を過ぎるころから海より広いと思われ
る琵琶湖、二時半には大阪着。日本の半分程
の長さのある東海道線を六時間余りで走る。
いや夢の超特急では三時間で走るときいて、
我々の土地がいかに僻地であるかと改めて感
じさせられた。
最後にこの会に私たちの伊島校が選ばれた
こと、その他色々な面で御支援いただいた徳
島県社協の皆さんに心からお礼申し上げると
共に、東京都内で案内その他お世話下さった
中央募金会及び社協の皆さん方にこの紙面を
かりてお礼申し上げます。
昭和三十八年十二月二十五日
阿南市伊島中学校
一年神野博喜、古川寿美
二年川西厚秀、神野雅子
三年伊勢修一、柚友小夜美
付添吉田宏
☆村にもカギッ子
最近では、どの農家でも誰かよそえ働
きにいっている。としよりのいる家で
は、夫婦でかせぎに出る。老人に金をや
っておいて、子どもが幼椎園や学校から
帰ってきたら、その金であやつらせる。
としよりは上まえをはねて自分のこづか
いもできるわけである。
なかには、夫婦で何日も先方へとまり
こんでくるのもある。ひどいのになる
と、老人はいないのに、毎日夫婦で出か
けてしまい、幼稚園にいく子は夕方親た
ちが帰るまで、近所で遊んでいるという
のもある。
村の雑貨屋は、どの店も繁栄してい
る。数年前には、農家で一度に百円以上
の買い物をする家はほとんどなかった
が、このごろは、五百円以上の買い物を
する家はザラにある。
切って袋に入れたハムなどは、前に
は、かびていないか見て売るくらい長く
店にあったものだが、このごろは、二日
に一回くらい仕入れをする。マヨネーズ
なんか名も知らぬ人が多かったが、最近
は、どしどし売れるが、メーカー品のう
まいのでなくては買わないというように
変ってきた。二、三年までは子どもも一
度に十円以上買うことはなかったが、こ
のごろは、テレビで宣伝している一流メ
ーカーの三十円くらいの菓子がどしどし
売れるようになったと、ホクホクして
いる。
−34−
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施設紹介
(県庁厚生課)
一、老人福祉センター、軽費老人ホーム
●設置の目的は
老人だけで解決できない問頗を解決し、老
人誰でもが気楽に利用できる老人福祉センタ
ーと、自立自活の能力があっても、孤独であ
ったり、家庭不和で家族と同居できない老人
を低額な経費で収容し、医学的、心理的の面
も考えて健康で明るい生活で送らせるための
軽費老人ホームを併設する。
●設置(経営)するのは
財団法人(近く社会福祉法人に改組予定)
徳島老人福祉センター、老人ホーム。
※昭和三十九年度中に設置予定。
●構造、規模は
鉄筋コンクリート造二階建(一部簡易耐火
構造平家建四棟)総建坪約九〇〇平方米
●その内容は
静養室、放送室、事務室、医務室、宿直
室、機能回復訓練室、浴室、洗濯室、食堂、
娯楽室、小会議室、居室等となっており、軽
費老人ホームは三十人収容、老人福祉センタ
ーは約二〇〇人が使用できる予定である。
●所要経費は
二〇、二〇〇千円(お年玉つき郵便葉書寄
附金二〇、〇〇〇千円、県費二〇〇千円)を
予定しており財源措置はそれぞれ終ってい
る。
●現在設置準備中で、昭和三十九年度中には
完成予定であるので完成後は老人の憩いの場
として、また、健康で明るい生活を送る住居
として老人福祉事業に大きな役割を果たすも
のと期待をされている。
二、盲人福祉センター光明寮
●設置の目的は
目が不自由なため、自立自活することが困
難な人達の更生援護をはかるため、生活およ
び職能訓練、ならびにあんま師等の免許を持
ちながら就業の機会のない者に対する職場の
提供とあわせて教養をたかめるための点字図
書の閲覧等を行なう。
●設置、経営するのは
徳島県が設置し、業務は財団法人徳島県視
覚障害者愛育会に委託して行なう。
※昭和三十九年四月一日から業務を開始し
ている。
徳島県盲人福祉センター光明寮新築工事(写真掲載)
●構造、規模は
鉄筋コンクリート造二階建、建坪九四・三
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八坪、延坪一八六・三四坪
●その業務内容は
①失明者更生施設
定員三十名
事業内容については
イ 更生相談および生活相談
ロ 収容による生活訓練
ハ 収容による職能訓練
二 点字教育
③点字図書館
業務内容については
イ 点字刊行物の貸出しおよび閲覧
ロ 点訳奉仕事業の指導育成
③盲人ホーム
業務内容については、あんま師等の免
許を有する盲人に対して職場の提供と技
術指導を行なう。
三、精神薄弱者援護施設「草の実学園」
●設置の目的は
精神薄弱者の社会復帰を図るため、身心の
能力に応じた職業訓練および生活訓練を行な
い社会復帰を図り、また、社会復帰の困難な
者に対しては、生活のコロニーを作り庇護と
指導のもとに、生活の場と働く場を与えて、
精神薄弱者が協励、協助し楽しく幸福な生活
が営めるように精神薄弱者の福祉の町を建設
し、精神薄弱者福祉センターとする。
●設置(経営)するのは
財団法人(近く社会福祉法人に改組予定)
大麻福祉の町
●構造、規模は
鉄骨平屋建として第一次計画(昭和三十九
年度に七六・一五坪を建築し、第二次計画と
して一八〇坪、第三次計画として精神薄弱者
夫婦寮及び保護者を含む家庭寮三十戸を建て
る予定である。
●収容定員は
第一次計画で三十名、第二次計画で五十名
増の八十名とし、第三次計画後は、夫婦寮お
よび家庭寮を含めて一五〇名にする予定であ
る。
※昭和三十九年五月十三日に起工式を行な
い昭和三十九年七月に完成予定。
編集後記
◆県民待望の新産都市指定をうけ、本県の将
来は大きく飛躍することが約束されたような
もの。世界超近代的建築の粋を集めたアーチ
型の美しい橋が、渦潮まく鳴門海峡をひとま
たぎ、豊富な水と電気は大規模なコンビナー
トを造成、観光と踊りと工業都市〝阿波の徳
島〟の名を世界に有名にするのもほど遠くは
ないようである。ところが最近の日本の都市
は〝山赤水濁〟の地と呼んだ方がよいほど、
汚濁にまみれている。空をおおうバイ煙、鼻
をつく悪臭、魚も住めないほどの河川の汚れ
ーー恐るべき公害が私たちをむしばみ、生命
を削っているといわれる。
◆今回の『福祉徳島』は〝新産都市と住民の
福祉〟を特集とした。勿論この内容は〝これ
が〟〝これだ〟ーーなどときめつけるもので
はなく、予想される課縣を荒ら削りしたもの
で、澄みきった青空をあおぎ、美しい川や
海、緑の山々を眺め、故郷としての国土の美
しさーー〝水明の地〟としての徳島が、
変動する経済成長の中で発展していただきた
いと願うがためのソーシャル、アクション
が、社協活動の中にも当然あるべきだと思っ
てとりあげたものである。
広報調査活動が社協の主軸である。みなさ
んに嬉ばれるようなものにしたいと努力した
が、まだまだ不十分。今後大いに頑張ります
ー関係者の御協力を切にとお願いして。
(O生)
−36−
___________________________
社会福祉関係図書斡旋
みつばち運動と子ども会
B6版 74ページ ¥60 〒20
徳島県社会福祉協議会発行
「子ども会の指導者が手をつないでいこうと呼びかける〝みつばち運動〟のすす
め方と子ども会の理論と実際を県下の指導者が一年間研究を重ねてつくりあげた
子ども会指導者必携の図書」
ゆかいなゲーム
B6版 27ページ ¥40 〒20
徳島県社会福祉協議会編
ーーマンガ図解つきーー
「子ども会指導者の要望にこたえて, 1,簡単なゲーム2,室内ゲーム3,室外
ゲーム計50編をあつめている」
新しい流行語
B6 版56ページ ¥30 〒20
徳島県社会福祉協議会発行
「言葉!それは相手を理解するための話し合いに欠せぬものです。老いも若きも
最近の流行語を知らねば話し合えない時代となりました。
老人クラブ,子ども会,婦人会,組織指導者の方々に。」
斡旋申込は
徳島県社会福祉協議会へ
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