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【県社協シリーズ】No.30

【県社協シリーズ】No.30 地域福祉活動をすすめるために

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県社協シリーズNo.30
昭和54年11月1 8日
―地域福祉活動をすすめるために―
昭和54年度
ブロック別地域福祉研究会議報告書
期日並ぴに会場
プロツク別
期 日 会 場 参 加 数
(市・県福祉事務所)
徳島鳴門昭和54年IO月2日仇県青少年センター5 8名
小松島阿南54年9月·21日俗小松島福祉センター6 0名
那賀日和佐54年9月26日術阿南合同庁舎5 8名
) I l 島脇町54年IO月9日仇脇町合同庁舎6 4名
中央54年9月27日困徳島合同庁舎4 8名
池田54年9月28日細池田合同庁舎3 9名
計3 2 7名
徳島県社会福祉協議会



《開会, あいさつ》
”地域福祉活動をすすめるために”
県社協事務局長 藤原 普
家庭を基盤とした日本型の福祉社会をつくり出すことが, 当面する大きな課題となっている。
このことは, 社会福祉は時代とともに進展されているが, すべて国や行政責任において推進され
るべきであると考え, 住民1人ひとりの果すべき責任を忘れているのではなかろうか。福祉はとも
に生きるための課題を追求することであり, そのためにも, 身近かなところの人間関係, 家庭で果
すべき機能などを再点検し, 地域福祉活動と積極的にとり組まなければならない。
1. コミュニティ・センター活動
社会福祉会館, 老人福祉センター, 老人憩の家, 社会福祉施設等は, 地域住民の社会資源であ
ると同時に, センター, 施設もオープン化し, 福祉コミュニティの拠点となり, 福祉サービス活
動を展開する。
2. 在宅福祉サーピス活動
従来の施設中心から在宅福祉を強化する時代を迎えている。高齢化社会へ対応し, 特にねたき
り老人や1人暮らし老人, また心身障害児(者)等の援護対策を, 家族の責任, 地域社会の責任
として, 福祉サービス活動を推進しなければならない。
3. ボランティア活動, 住民福祉教育活動
社会福祉の原則は住民参加の活動にすることである。公私が協働し, 国の施策や行政効果を高
め, 住民が自発的な活動を地域ぐるみで推進する。そのためにもポランティア活動を促進し, 福
祉は自らがつくり出す姿勢を理解する住民の福祉教育活動を推進する必要がある。
以上の三点を具体的に推進し, 実践に結びつけるのが市町村社協の活動である。
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《基調説明》
”在宅福祉推進会議の現状と今後の
在宅福祉の方向について”
県厚生課社会係卓務主百は喜秀塁
① 社会経済や,生活環境の変化によって住民の生活構造が変化し,家の機能も核家族化され,教
育育児,扶養問題が,家族だけの問題でなく,社会の問題へと変ってきた。したがって,福祉
の分野は非常に福広く,特定の者のためだけではなく,地域の問題としてとらえる必要がある。
② S.48. 4月より行政としては,重度在宅者に対する福祉対策の推進計画を策定し,各市町
村で,地域福祉推進会議を開催し,福祉対象者のは握等を行ってきたが,反省点として
1) 対象者の把握のみに終わっている。
2) 行政と社協等横の連絡が不十分である。
3) 推進会議が各種団体等の連絡調整の場になっていない。
等があげられる。
③ 市町村社協は住民主体の活動を基盤として,関係福祉団体組織との連絡調整を行うことが使命
である。
そこで,市町村社協の受入態磐の整っているところから,この推進会議の運営を行政→社協ヘ
と移管していきたい。地域福祉活動は,社協が,本来,推進するべき活動であり,組織を2本立
にする必要はなく,これによって,行政側が手を引くということではない。社協と行政で十分検
討してもらいたい。
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《事例発表》ー徳島・鳴門プロックー
老人福祉センターでのサービス活動
鳴門市社会福祉協議会福祉係長浜野敏男
1 施設の概況
昭和5 3年1月1 0日開館した鳴門市老人福祉センターは, 総工費354,300干円鉄筋コン
クリート造3階建, 1部4階, 全館冷暖房完備の建物である。
I F は訓練室, 娯楽室, 事務室, 心配ごと相談室, 2 F 会議室3 部屋, 3 F 大会議室となって
しヽる。
2 設備
lF訓練室にヘルストロンを設置, 娯楽室のあんま器, 囲碁, 将棋等は善意銀行で購入
3 利用状況
1日の入場者は約3 0 0名, うち撫養地区の老人が7 0%をしめている。又, 女性の利用は
5 0%以上で, 1人が1カ月に2 O回以上利用している者4 5 %
I 1 5~2 0回利用している者
3 3%である。
4 ヘルストロンの機能と病気
ヘルストロンの機能は酸性体質をアルカリ性体質にするといわれ来館者の8 0%以上が何らか
の病気をもっている。特に2 5%の人は神経痛を患っている。
5 利用効果
全体的に良くなった, 9 4. l 7 % 眠れるようになった, 2 5 %
血圧によかった5% 肩こりがなおった1 7 %
6 職員
嘱託2名が配置されている。
7 経費
施設建設費, 運営費等すべて行政で負担されている。
8 その他
㋑ 福祉の拠点として建設されたセンクーは,老人同志のコミュニティーの場
として喜ばれていることを利用者の声のインタビューで発表
㋺昭和5 4年度市予算で遠距離の老人のために各支所へもヘルストロンを設
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《事例発表》ー小松島・阿南プロックー
入浴乾燥車の巡回訪問
阿南市ホームヘルパー田上和子
阿南市の人口と老人人口
人口62,300名の約l割強の7, 3 0 0名が老人人口となっている。
2 巡回訪問対象者として
ねたきり老人約]8 0名, 独居老人約2 3 3名, 老人夫婦のみ約1 4 0名, 1人ぐらしの老人
(I 2時間以上寝たきり)約1 0名, 心身障害児者約3 7 0名である。
3 乾燥車巡回の動機
入浴乾燥車は"2 4時間テレビ愛は地球を救う" チャリティーキャンペーンによる配分で, 昭
和5 4年6月2 l日, 四国放送から贈呈された。
4 運営
運営は, 岡南市と阿南市社会福祉協議会で行っているか, 専任運転者(専従の職員)は配置さ
れていないので, 市総務課の商員が運転している。
5 費用
運営経費は燃料習1カ月3, 0 0 0円, 消耗品等で5 4年度6カ月分として, 市より]1 0, 0 0 0
円の委託料を受けている。
診断書の普用は, 医師会と話し合い無料で実施してもらっている。
6 利用状況
入浴希望者を募ったが, 男性のみで女性はゼロであった。月間稼動日数は, 週2日で1回に2
名か入浴している。
入浴希望者は今後増加すると思われるか, 拒否反応を示す老人もあり, まずヘルパー自身か,
地域に溶けこむことが重要である。
7 事故防止
申込書には, 事故か起った場合も考慮して, 同意書をとり, 医師会, 福祉事務所との連携を密
にすろよう柾慮するとともに' 入浴予定日で訪問しても, 本人が嫌がる場合は無理に入浴はさせ
なし沿
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《事例発表》ー中央プロックー
家庭奉仕員からの報告一藍翠苑を省みて
藍住町ホームヘルバー山神貞子
藍住町の人口
藍住町人口は, 昭和4 4年1 0, 2 2 0人から, 昭和5 4年12,000へと急速に増加した。こ
れは, 核家族化の進行により, 藍住町がベットタウンとなり, 若年層の流入が増加したためであ
る。したがって7 0歳以上の老人人口のしめる割合は5 %と非常に少ない。
2 老人福祉センター藍翠苑
藍翠苑の館長は, 町長が兼務し, 運営は, 老人会を中心とする運営委員会によって運営されて
しヽる。
センターの専任職員は配置されていないが, 当初2名であったホームヘルパーが3名に増員さ
れた。
3 藍翠苑の特徴
週4回実施している風呂のうち, 木曜日に行う薬草湯は特に好評である。6 0歳以上の老人に
は利用券を発行し, 1回6 O名~7 0名が入浴している。この薬草湯に使用する薬草が1回800
g必要で採取に苦労している。
4 その他の活動
健康増進のためにヘルストロン機を購入, 高齢者教室は昨年7 l時間開講, 講演会, 趣味のク
ラプ活動も行われている。
在宅のねたきり老人については, 3人のヘルバーが交替で訪問し, アルコールを含んだ水で体
をふいている。
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《事例発表》ー那賀・日和佐プロックー
温泉カーの巡回訪問事業の推進
宍喰町社会福祉協議会事務局長 田井 行
① 昭和5 4年当初宍喰温泉がオープンしたのを機会に巡回訪問事業を実施することになった。入
浴対象者(ねたきり老人2 3名, 障害者1. 2級3 6 名)の中主治医の同意を得. 入浴申込書の提,
出された女子l 0名, 男子4名, 計1 4を訪問。平均年齢は8 2歳である。1人月2回程度入浴
②巡回運行状況は毎週2 回, 火・木暉日で午前中は準備, 午後2 名ずつ入浴, 温泉成分はナトリ
ウム塩化物質で安眠が良くできる。食欲が出る。気分がそう快になるという効果もあり, 入浴を
通じて家庭の環境が改善され, 福祉の会話が生まれ, 介護者の負担が減ったと喜ばれている。
③問題点としては, 安全第一を優先することであるが, 交通事故の問題, 入浴中の事故について
不安がある。保健婦の活用, 対象者が増加した場合の対応専任の運転手の配置等も今後の課題と
して残っているc
④ 経費について, 車購入費, 町より5 0万円. 善銀会計より5 0万円, 共募1 0万円, 計
1 I 0万円を予定していたが, 実費は車購入費3 5 万円, 整備費2 0万円であった。
運営翌として一般会計l 0万円, 祭壇特別会計l 0万円を計上運転手の人件費については社協
事務局長が運転している。
⑤入浴サーピスは人の生命にかかわることである。町社協が在宅福祉推進会議を連営し, 常に住
民ニード, 実態の把握につとめているか, 体制づくりはまだ不十分である。
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《事例発表》ー川島・脇町プロックー
福祉センターを拠点としたサービス活動
脇町社会福祉協議会事務局長谷本京太郎
昭和5 4 年5 月, 脇町福祉センターが完成された。脇町は人口約2 0, 0 0 0 人世帯数約5 3 0 世
帯, 面積約1 1 0 kw で山地が7 0 % , 平地が3 0 %の地域である。
福祉センターを拠点としたサービス活動
① 老人風呂の実施昭和4 9 年度より開始, 毎週月・木曜日の午後1 時~ 4 時毎回利用
者は4 0 ~ 5 0 名, 浴場法に違反しないよう週2 回以上は実施しない。
②老人食の実施昭和5 O 年度より開始, 毎月2 回, 参加者4 0 ~ 5 0 名食事作りは
婦人ボランティアl 0 名の協力で, 費用は実費1 人当たり2 5 0 円を徴収しているが, 一般のポ
ランティアから, 野菜, 米等の寄贈がよくある。
③老人民踊民踊ボランティアにより開始しているが, 上手, 下手があり, 現在
1 5 名程度に固定。
④ 老人いこいの部屋利用老人風呂, 食事, 訓練に来所した人が利用, 会話の場として喜ばれ
ている。
⑤訓練室の利用
利用。
⑥心配ごと相談
ヘルストロンを善銀預託金1 5 0 万円で導入, 1 日常時8 O 名位が
定期相談以外に特別相談として人権相談, 婦人相談を加えている。
以上のような事業を実施することによって, 社協に常に住民が出入りをしてくれている。これが
社協活動でないだろうか。
調査活動として, 寝たきり老人実態ニーズの調査を実施し常に地域をまわり調査結果を実践活動
へ発展させている。
町社協が地域福祉会議を請成し, 特にボランティアグループ活動に力をそそいでいる。問題点と
して福祉センターを拠点とした事業は. センクーを中心として1 km位の範囲の人は利用でき, 目的
を達成できるが, 遠隔地の老人に対して十分利用できていないので福祉バス等の運行を計画中であ
る。
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《事例発表》ー池田プロックー
在宅者への福祉サービスと住民参加
住民の社会参加への動機
池田町社会福祉協議会専門員 北村  五 恵
池田町消防団第1 3 分団長 松丸 正仁
昭和4 8 年未, ねたきり老人の寝タバコによる寄死事故が発生したことが動機となり, 1 人ぐ
らし老人とねたきり老人の援護必要度の実態調査を行った。
2 池田町老人人口動態
年度総人口
4 8 年度2 3 , 3 6 1 人
6 5 歳以上の人口
2, 7 3 5 人
独居老人
2 6 7 人
ねたきり老人
6 1 人
5 3 年度2 2, 0 7 2 人2, 8 6 9 人3 3 2 人I O 8 人
昭和4 8 年度は, 6 5 歳以上の老人人口が1 1. 7 % , 独居, ねたきり老人は老人人口のI I. 9
% であったが, 昭和5 3 年度には6 5 歳以上の老人人口が1 2. 9 % , 独居, ねたきり老人は, 老
人人口のI 5. 3 % をしめ, 高齢化が進んでいるとともに, 老人だけの世帯も2 0 0 世帯あり独居
やねたきり老人となる予備軍も多い状況である。
3 地域ぐるみの活動へ
① ホームサイレンの取り付け
昭和4 8 年, 四国電力のボランティアによる協力で, ホームサイレンを1 0 0 世帯にとりつ
けた。費用は1 セット5, 0 0 0 円, 火災時に使用してもらい5 o o m は聞こえるがバッテリー
を2 年ごとに取替えることと, 熱さによって自然にサイレンが鳴る場合があるのが問題である。
②事故防止懇談会の設置
昭和5 0 年より2 1 カ所に分団して事故防止懇談会を関いている。メンバーは電気料金集金
人』水道料金集金人等のボランティア他で, 民生委員, 老人巡回相談員等による老人への一声
運動とか, 対象者名簿の作成を行っている。
③ 不ットワークづくり
警察, 郵便局, 町内会, 消防団等による事故防止態勢を確立している。例えば, 消防団では,
1 日, 1 0 日, 2 0 日の月3 回は必ず訪問する。警察も巡回訪問中に一声かける等, ボランテ
ィア活動をそれぞれの職務, 仕事と結びつけた実践活動へと発展してきている。
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《まとめ》
” 市町村社協は在宅福祉サービス活動を重点に”
県社協事務局長藤 原 普
各プロックで事例発表を中心にして, 今後の在宅福祉サービス活動のあり方を研究協議した結果
をまとめてみると
1 . 市町村社協が中心となって, 地域福祉活動が推進されており, 特に在宅福祉
サービス活動が大きくとりあげられようとしている。
(1) 社協が主体となって, 老人福祉センター等を活用し, 老人に対して給食サービス, ヘルスト
ローンによる健康増進サービスなどセンターを拠点としたサービス活動が行われており, また
在宅老人を巡回する入浴車派遣サービス, 特別養護老人ホームで障害者に対する特殊入浴サー
ビス, リハサービスも実施され始めている。
(2) こうした在宅福祉サービス活動は, 行政, 社協, 民生委員, ホームヘルバー, ボランティア
などの協力によって実施されているか, 手不足, 金不足で活動内容は未だ十分なものとなって
いない。今後より栢極的に推進するためには, 関係機関, 組織の横の連けい, 企画, 実践, 点
検を効率的にするため在宅福祉サービス推進委員会( 運営委員会)の設置が必要である。
(3) 財源を確保することに苦労している。建物の建設, 器具機材の購入( 入浴車, 医療機器etc)
諸設備は当然公費で行われるべきで, また維持管理浬営費も公費支出が望ましいが, この公費
と併せて社協でも共同募金の配分金, 善意銀行の活用, 住民会費, 収益事業益金, 寄付金等の
自主財源の造成に努力しなければならない。地域住民の善意と協力によって, 地域の福祉サー
ビス活動を進展させることを忘れてはならtrい。なお場合によっては, 利用者から経費を一部
負担することも考えられる。
2. 在宅福祉サーピス活動は, 対象者の実態把握と住民参加が必要である。
( 1 ) 高齢化社会の到来を目前にして, 各市町村の老人人口の動態を調査するとともに, 特に福祉
に欠ける老人( ねたきり老人, 1 人昨らし老人) の生活と意見を十分把握し, 老人の願い, 老
人のしあわせを地域全体で考え, 解決する努力をするべきである。
(2) 老人が老後を1 人で牲らすか, 家族と一緒に生活するか, 老人ホームヘ入るかは, 基本的に
は老人の自由な選択であるが, 現在は必ずしも老人の選択は満足されていない時代を迎えてい
る。この基盤つくりは行政の音任であるか, 同時にその選択を自由にし, 老人の願いを受け入
れる家族の協力, 福祉コミュニテイとして住民の相互連帯の意識と行動を向上しなけオリまならない。
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(3) ねたきり老人や1 人狸らし老人の日常生活の中で希望することは. ①満足できる食事( 美味
しい食事) ®体を清潔にする( 入浴etc . ) ③家族的な処遇( 近親者の訪問) ーである。このこ
とが充足できるような福祉サーピスを実施することが必要である。
(4) 在宅老人で訪問を拒否する場合がある。これは家族の反対や, 老人の性格にもよるが, 単な
る友愛訪問であっても. 老人の心理を十分理解した面接の技術を研究するとか. 保健婦など専
門家が同行することも考えられる。在宅福祉サービスは, 福祉と医療と教育の一体化した活動
を推進する必要がある。
3. 事故防止の諸対策を考える
(1) ねたきり老人の寝タバコによる焼死事故, 孤独死などの対策としたホームサイレンの取り付
け, 防犯ペルの設置と併せて警察, 郵便局, 消防団, 町内会, 電気・水道集金人などのポラン
ティアによる巡回訪問が行われている地域が多くなっている。対象老人を把握して, 民生委員,
老人巡回相談員などが中心となって地域ぐるみで事故防止懇談会をつくり, 成果を挙げている
ことはよろこばしい。
(2) 善意の福祉サービスであっても, 緊急事故発生の対策は必要である。入浴車を巡回する湯合
とか. 特殊入浴サービスをする場合には, ①本人及び家族の同意書を事前に提出を求める。
②でき得れば医者の診断書( 入浴の可否) を添付願う。⑧入浴前に本人の意志( 希望) を尊重
する。ーなど入浴前のチェックを十分にする必要がある。善意の無過失責任というべき故意又
は重大な過失以外の責任は, 現在の体制では負うことはむつかしいので, 対象者の理解を十分
に得ておくべきである。
(3) 常に最悪の事態を予想しておく必要がある。入浴に際して, ホームヘルバー, 看護婦, 保健
婦などが相互のチエックを厳しくしながら入浴サーピスを実施する。万ー, 緊急事故発生の場
合は, 直ちに最善の緊急医療が行われるような体制を確立しておくべきである。
4 行政の在宅老人福祉対策事業と地域の対応
(1) すでに行政で実施されている老人の在宅福祉サービスは
① 老人家庭奉仕員派遣事業ー全国で1 3 , I 2 0 人本県I 4 3 人
②老人日常生活用具給付等事業ー特殊寝台, マットレス. 浴漕. 腰掛便器etc
③老人福祉電話設置事業ー全国で約6 万台, 本県2 3 3 台
④ 老人介護人派遣事業一一時的疾病で介護を要する老人に介護人を派遣
⑤老人ホームにおける食事サーピス事業一老人ホームで1 日延4 0食以上の給食
⑥ ねたきり老人短期保護事業ー一時的( 7 日以内) 特養へ入園, 経費l 日3, 6 0 0円
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( 本人負担は1, 1 O 0 円) 特養大神子園, 和光園, 阿南荘, 太田荘で実施
⑦ デイ・ケアー一障害の軽い老人の通園施設(休養, 入浴, リハ, レクリエーション,
etc . )
こうした行政の在宅福祉サービスは次第に充実強化されているが, より効果的にするために
も民閻の協力, 住民, ボランティアの参加が必要である。
{2) 在宅対象者が増加している現在, 行政のこうした事業だけでは不十分である。
行政に充実強化を要望するとともに. 地域での対応も強化しなければならない。老人の日常
生活援助サービスとして今後の活動メニューは①友愛訪問②入浴サーピス③身辺援助サービス
④配食(給食) サービス⑥洗た< サービス⑥福祉電話設置と相談①介護器具の貸与⑧住宅補修·
改善⑨家庭奉仕員の充実強化⑩訪問健康管理相談サービス®障害児訪問教育サービスなどが考
えられる。こうした多くのメニューの中から地域の特殊性を活かした, 実践できるものから積
極的にとり組んで行くことである。
5. 在宅福祉サーピス活動組織の強化
(1) 在宅福祉サーピス活動を推進するためには, 市町村社協が主体になるが, 社協は円滑にこの
活動を進める条件整備をしなければならない。具体的には①家庭奉仕員の充実と処遇改善する
こと②民生委員活動の強化と連けいを図ること⑥保健, 医療活動, 福祉事務所, ホームヘルバ
ー等との連絡調整④老人ホーム等福祉施設との連けい. 施設開放の協力を得る。
⑤ ボランティア活動の推進ーなどと積極的にとり組まなければならない。
(2) 在宅福祉サービス委員会( 運営委員会) を設置して具体的な実践活動を推進する必要がある。
この委員会は市町村社協理事会の下部組織とし, サーピス委員会の決定は理事会の承認を得て,
社協の事業とすることである。この委員会の構成は, 社協, 行政, 民生委員, ホームヘルバー,
社会福祉施設, 住民自治会代表, 医師会の代表, ボランティア等, 公私関係機関, 団体, 施設
との連けいと協働活動の母体となるものである。この委員会で企画立案され, 在宅者の実態把
握, 広報, 公私の役割分担の具体化, サービス活動の決定, 反省点検が行われる。
(3) ここで問姻となるのが, 徳島県は昭和4 8 年度から地域福祉推進会議を各市町村に設置して,
福祉対象者をA ケース, B ケース, C ケースの3 段階にランク付して援護活動を推進してきて
いる。行政が『地域福祉推進会議』を設置し, 社協が『在宅福祉サービス活動を推進すること
になる。当然これは1 本化して, 公私一体の活動にすべきでないかと思われる。全社協は昭和
5 2 年度に『在宅福祉サービスに関する提言J を行い, この中で在宅福祉サーピス委員会を全
国の各市町村社協に設置して活動の推進を呼びかけている。本県はすでに行政サイドでこれに
替る組織をつくり, 予算化されているので. この行政組織をより効果的に発展さすために組織
-11-



の一体化は是非國らなければならない。
今後は, 各市町村ごとに社協と行政が協議して, 市町村社協の事務局体制, 組鏃が確立して
いるところから, 社協へ従来の行政組織を移行してゆくことが考えられる。すでに法人化され
ている市町村社協では, 行政の指導と連けいを密にして一本化された在宅福祉サービス活動を
推進する組織をつくるべきである。この際, 名称は, 地域福祉推進会議でも, 在宅福祉サービ
ス委員会でも, どちらをとってもよく, 要は名称でなく, 肉容を具体化することである。
6 市町村社協の体制を強化する
(1) 市町村社協の活動の重点は, 地域福祉活動を推進することであり, この大きな柱は在宅福祉
サービス活動ととり組むことである。
しかし, 社協がこの活動を推進する能力がなければならない。社協の組織体制を強化するに
は, まず市町村社協を法人化することである。現在県下5 0 市町村社協の2 9 カ所が法人化さ
れ, 法人化率は5 8 %である。早期に全市町村が法人化し, 将来は法制化が実現されるよう積
み上げしたい。
(2) 市町村社協は役員主導型の組織とし, 役員( 理事, 評議員) の役割と機能を強化すべきである。
また福祉活動専門員及び専任職員の増員を図るとともに, 地域福祉活動指導員としての技能研
修, 資質の向上に努力することが必要である。
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地域福祉活動をすすめる市町村社協の当面する課題
在宅福祉サービス活動
日常生活援助サービス
友愛訪問(6) 配食サービス入浴サービス闊サービス身辺塁助サービス 祉電話 ・ 相談 具 
ょ掃仕ふとん塁燥強他雑用) (9) 護器 の貸与
庭奉目の充と化(1⑪0 障害宅補児問・改教育善サービス体I/ {5) 訪問健康理相談サービス
的L-」家族介護者に対する援助サービス
烹康塁理・相談(3) 休養・レクリエーション護講習会
在宅福祉サービス推進上の条件整備
(1) 家庭奉仕員の充実と処遇改善
(2) 民生委員活動の強化と関係者との連けい
(3) ボランティアの育成と関係者との連けい(4) 保健・医療活動• 福祉事務所・ホームヘルパー等との連絡調整
(5) 老人ホーム等福祉施設との連けい
「在宅福祉サービス推進委員会Iの設置
市町村社協の当面する課題
(1) 公私協力による委員構成
(2) サービス活動の組織化と企画実施・調整
(3) 在宅者の実態把あくと広報
組織の強化と基ばん整備
(1) 公私関係機関, 団体施設と
. の連けいと協働活動
( 2) ポランティアの育成と,組織
上の位置づけ
財源確保
(I) 社会活動の公共性補完性,
主体性を明確にし, 公費導入へ
の要求
役職員の機能強化
(1) 福祉活動専門員および専任職
員の増員
(2) 役員研修と役割, 機能の強化
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(4) 公私の役割分担の具体化
(5) サービス活動の研修
(6) 住民参加の啓発と促進
(3) 全戸加入組織と住民参加
(4) 福祉計画による共同募金運動
(2) 共同募金の計画的とりくみ
(3) 善意銀行の強化
(4) 全戸会員制の徹底
(3) 地域福祉活動指導員としての
技能研修. 資質の向上
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