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【とくしま福祉広報】No.137

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Vol.137
とくしま福祉広報Vo l. 137 FEB. 2000 発行:社会福祉法人徳島県社会福祉協議会徳島市中昭和町1-2 TEL 088-654-4461
21世紀の社会福祉を展望する②
特集ボランティアを考える
全国ボランティアフェスティバ↓マ‘
は、共に支えあう共生社会の実現をめざし国民にボランティア活動の豊かさや大切さをア。ら)ボランティア活動の一層戸ロノ振興を図ることを目的としています。
本県には先覚者たちが築き上げてきた、ユニークで豊かなボランティア活動の歴史があり、その取り組みの中で本県特有のボランティアの精神が培われてきました。
新たな時代の多様なボランティが求められるいま、本県は過去の貴重な取り組みを活、ぐのよう
汀]`?い山ロザ/は
今回はとくしまのポラン」プXス研
歴史を紹介するとともに、ボランティアフェスティバルの開催を契機に本県のボランティアの振興を今u ¥¥ どのように図っていくべき新たな時代に向けて展望します。
リプル(RIPPLE) とは波紋のことです。わたしたちのまちにもやさしさの波紋が大きく広がることを願っています。
RlPPLE Vol.137 FEB. 2000 Vol.137 FEB. 2000 RIPPLE
時のようなエネルギーは起こってこないでしょう。
子供民生委員も、当時、全小中学校で実施されたというのだけれど、いまはその活動はほとんどみられません。子供民生委員といった名前としてはこの時代にマッチしないということもあるのだろうと思います。
しかし、その子供民生委員は、今は形を変えボランティア協力校として全国に拡がっています。県内の全小中学校で実施された子供民生委員活動が踏み台になって大きな飛躍をしていることは確かだといえます。当時の活動の理念がかたちを変えて受け継がれているわけですね。
■ 「善意銀行」の先駆的理念
日開野ボランティアはその時代その時代の住民の生活ニーズに対応した活動をやってきたのだといえます。
今はいまの暮しのニーズに即した新たな活動が多く生まれてきています。
NPo もそうですし、例えば知的障害者をかかえる家庭への保育サービスを、といった動きも起こってきていますが、これらは今の時代が要請しているものなのではないでしょうか。
こういった活動の中で、本県で生まれた「善意銀行」はかなり先駆的な理念に基づいて実施されたもののようですね。目的の柱には「住民参加
新たな時代に向けたポランティ
~全国ポランティアフェスティバルを基点にさらなる飛躍をめざして~

の促進、j亨フンティアの組織化、善意の受給調整」が掲げられています。住民参加ということに大きな狙いがおかれているところに注目したいところですが、この時代に既にこのような理念が掲げられていたわけですね。「住民参加の促進」といったものは今も変わらず求められる大切な理念ですが、これからもわかるようにこういった過去のすばらしい活動の精神は今の時代に確実に引き継がれているといえますね。
■ 歴史を踏まえ新たな活動をつくる
細川もっとそのボランティアの理念や精神が受け継がれていることをアピールしなければいけないでしょう。そして、過去にごういうことがあったというのではなくて、その心を今こういう形で受け継いで、将来こういう形でやっていく、ということを訴えていかなければならないですね。
日開野本県も含めて戦前戦後を通じての日本の歴史的な大きな流れの中で、支えあい活動は篤志家が率先して実践してきましたね。そういうかつての実践活動をそのまま引き継いで大きくするというのではなく、そういった活動を踏まえながら新たな時代での住民の生活ニーズに即した新たな活動を生み出していくごとが大切だと思います。
木谷宜弘
福山平成大学
経営学部経営福祉学科
教授
細) 11 龍繁
徳島県福祉
レクレーション学会会長
[総合企画専門委員会委員長]
開野博

四国大学短期大学部
生活科学科助教授
[テーマ別専門委員会委員長)
阿部篤
徳島県総務県民課
広報係事務主任
[広報専門委員会委員長)
佐伯明彦
とくしまボランティア
推進センタ一次長
〈司会・コーディネーター〉
※専門委員会とは「第9 回全国ボランティアフェスティバルとくしま」における検討委員会組織です。
佐伯全国ボランティアフェスティバルの開催に向けて、本県での気運も徐々に高まりつつあります。このフェスティバルの開催をきっかけに、一般市民の間でボランティアに対する理解や意識が深まり、ボランティア、市民活動のさらなる飛躍を実現させたいと願っています。ここではボランティアフェスティバルの開催意義を踏まえながら、これからのボランティアのあり方や取り組みについて考え、新しい時代のボランティア活動を展望したいと思います。
■ 本県の先駆的ポランティア活動
木谷徳島県にはボランティアセンターの前身である「善意銀行」や全国一三、000 校に広がっている福祉協力校の元祖ともいえる一子供民生委員制度」、また現在その高まりを見せているシニアボランティアのさきがけとなる「老人大学」を創始するなど、特筆すべきボランティア活動の歴史があります。これらの活動は本県から発信して全国に大きな拡がりをみせたものなのですが、いま活発化しているボランティアの源流をこうした活動にみることができると思います。
阿部古いことを古いままで伝えたのではだめだと思います。昔のすばらしい文化を新しい言葉で意味づけをして発信していくような工夫が必要だと思います。
日開野これだけやってきた文化があるんだ、ということを伝えながら、新しくしていきたいですね。
全国ポランティアフェスティKバルの意義と開催に向けた視点
佐伯今年、本県で全国ボランティアフェスティバルが開催されますが、お話しいただいたような本県の豊かな文化や活動の歴史をうまく生かした大会にしたいと考えています。次に、このフェスティバル開催に向けての視点についてお話しください。
■ 次世代に向けて発信する大会に
木谷先程お話ししたように、本県には先覚者たちが築き上げてきたさまざまなボランティア活動の歴史があるわけですが、フェスティバルでは、本県のボランティアの源流や歩みからその先駆的活勤の意義や精神を再確認するよい機会となると思います。
細川そして、ボランティアフェスティバルでは、こういったすばらしいボランティアの活動や精神を我々がの歴史をボランティア精神の本質からいえば先駆性とか自発性ということが大切です。本県のこれらの活動は時代を先取りした取り組みであったといえますが、ごうした活動は本県独特の文化や風土のもとに永年培われてきた本県の豊かなボランティア精神を顕在化したものなのだといえますね。
その意味でも、これらの活動の原点を見つめなおし、活動の意義やその精神を次の時代に継承していくことが大切なのではないかと思います。
■ 活動の理念をどう受け継ぐか
細川おっしゃられたように、徳島にはボランタリズムの源流というか、すばらしい活動の歴史がありますね。それは大いに誇れるものだと思います。しかし、現在の県下のボランティア活動をみてみると、まだまだ発展途上にあります。先覚者の意思や活動が今の活動にうまく受け継がれ生かされているのか、今一度検証してみる必要があると思います。
木谷確かに心の里親など、当時の活動は今残っていないし、過去の活動がうまく今に伝えられていないところがあると思います。しかし、それは心の里親運動が戦災孤児への活動であり、「その時代のもの」であったということではないでしょうか。今の時代にそれと同じ活動をといっても当どう受け継ぎ、ごれからどういう方向で新たな時代のボランティア活動を進めていくか、という提言をしたいですね。
佐伯先人たちが発信してきたものがたくさんあり、それを次の時代につなげていかなければならい、そのための全国ボランティアフェスティバルであるということですね。
■ 多くの人の関わりで成功させよう
阿部このフェスティバルでは一人でも多くの人が大会に関わって話をして何かを感じてくれたらと思っています。そういうことを目的に広報をしようということで、7ほかぽかはがき」というもの企画しています。これはボランティアの体験の他何でもいいのですが、気持ちが触れ合ったときの体験を書いたメッセージをはがきで送ってもらうというものです。当日参加できない方もハガキでボランティアフェスティバルに参加してもらおう、という主旨のものなのです。多くの人がボランティアについて考え関わりあう大会にすることでこのフェスティバルを成功させたいですね。
■ 地域文化を生かし深い心の交流を
細川まず、開催地を地域に分けたブロック開催が最大の特徴であるので、地域の独自性を生かしたすばらしいものにしたいですね。また、フェスティバルはお祭りであるので楽しさが一番です。福祉レクリエーションといった新しいテーマを導入するなどプログラムの内容を検討することも大切ですし、地域文化を通じた深い心の交流を大事にしたものであってほしいと思います。さらには、先駆者の歩みに対して新しい光をあてて、新しい時代のボランティアについて考えるものであればと思っています。
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新しい時代
点i.
ポランティアを
佐伯今後の本県のボランティア活動について考えをお聞かせください
■ 交流を盛んにしポランティア活動を活性化する
木谷いろいろな意味で、徳島は異文化の交差点であった気がします。そういう本県の特徴をこれからの活動にどう活かすかということは―つのテーマだと思います。また、ボランティアの活動は他地域との交流の中でよりよく実践されてきたものです。そういった、かつての交流を掘り起こしていく作業を通して、ボランティア同士の交流を今後もっともっと盛んにする必要があります。
いう意味でボランティアセンターの役割もこれからもっと重要になると思います。
そして、市民の手によるわがまちの地域福祉計画づくりやボランティア活動推進計画づくりに取り組むということがごれからますます重要になると思います。地域ではそれが可能なほどエネルギッシュになってきているのです。
■ わがまちに誇りをもてるように
阿部豊かな市民社会をつくる、というとき、行政と企業と市民はそれぞれ得意なところと不得意なところがあり各々の役割のなかで活動をしています。ボランティア活動もその大きな枠組みの中の重要な役割を担っているわけで、そういうことをちゃんと認識して活動すると自分の活動にも大きな意味が出てくるのだと思います。自分が住んでいる社会、コミュニティにプライドがもてるまちをつくっていくことが大切です。そのためには、善意銀行などの活動を知ることはプライドにつながるような気がしますし、そういったすばらしい歴史をたとえば、NPO とかフィランソロフィといった新しい概念と結びつけていく、新しい言葉に置き換えて、新しい時代に即したようなかたちで訴
佐伯今度のフェスティバルでは「地域の交流」が―つのキーワードになっています。
木谷さまざまなレベルでの交流も
これを機会にさかんにできるのではないかと期待しています。そういう意味では、小地域における活動に期待したいですね。
■ 新たな時代に新たな視点で
木谷今日の時代の動きにどう敏感に反応していくのかも大切な視点だと思います。例えば、今の時代は「孤児」から「独居高齢者」にそのニーズがシフトしているとすれば、こごろの里親の精神は「こごろの里子」運動として展開する視点も持ち得るわけです。新たな時代の新たな視点で心の里親運動が展開できるのではないでしょうか。
児童問題については今後大きく変化しようとしています。文部省では総合学習の導入を検討しています。これは学校だけで実践出来る活動でなく、地域との関わりが大切になってきます。今後は地域社会の中の子供が主体となった福祉の実践活動がクローズアップされる時期にきているということではないでしょうか。そしてそこでは、かつての子供民生委員の理念が受け継がれ、新しい時代の新しい活動として実践されるかが問われるの
えていくような活動もこれから必要になっていくような気がします。
そして、ボランティアを推進することで自分のまちにプライドが持てるようにしていきたいと思いますね。
■ 共に生きる森づくりをめざして
木谷日本はいま地域共同社会が崩壊してコミュニティが再構築されないままでいます。このコミュニティ、地域を復活するためには、行政や企業市民が互いに協働してまちづくりを実践する、ということが必要です。また、小地域での活動にも目を向け、地域主導というか、もう一度足元から築き上げていくような活動も必要だと思います。
日開野もっともっとコミュニティの中で交流できるような交差点づくりが今必要なのではないでしょうか。
木谷共生社会というか、共に生きる森づくりが必要なのです。森はさまざまな人が住み共生しています。そこから新しい命がうまれ育っていく、そういうものを地域社会に復活させる必要があります。その意味において、ごれからの時代において多様な人達が交差するボランティア活動の意義や役割はますます大きく、欠くことのできないものになってくるでしょう。
第9 回全国ボランティアフェステイバルとくしま
大会のメインテーマは
藍•あい•愛
輪になれポランティア
. . .
渦になれ
2000 年9 月23 日由24 日(日)、徳島市のアスティとくしまを中心に、県下各地で第9 回全国ボランティアフェステイバルが開催されます。実行委員会ではこの徳島大会のメインテーマを募集したところ、全国から1,122 通もの応募作が寄せられ、その中から選ばれた「藍•あい•愛渦になれ輪になれボランティア」が大会テーマとして決定しました。
このメインテーマには、藍のふるさと徳島から、出会い、ふれあい、助け合いの輪が広がって、徳島を代表する「鳴門の渦」のように多くの人を巻き込んで、阿波踊りのようなパワーあふれる輪になって•••そんな想いが込められています。このフェスティバルに多くの人々が集まり、ボランティアの大切さや楽しさを伝えあう大会になるようみんなで盛り上げましょう。
大会を盛り上げるためにイメージマークも作りました。
ではないでしょうか。
細川今後のボランティア活動を考えるときの視点を幾つかお話ししたいと思います。まず、各地域がもっている独自性というか活発な活動を高く評価してそれをどんどん紹介し`地域から情報発
信してほしいと思いますね。地域には隠れたすばらしい活動がたくさんあるのです。
それから、今後の各市町村の地域福祉計画の策定と関連することですが、私が考えているところのものに「福祉教育のグランドプラン」づくりというものがあります。ごれは地域の福祉教育を学校と地域とが一体となって考えていこうというもので、こういった計画づくりを今後積極的に進めていく必要があると思います。
もう―つは、新しい時代の新しいボランティアをどう求めるかということを考える必要があると思います。たとえば、シニアボランティアが新しい共生の時代にどういった役割を担うのか、また子ども会も遊びを中心としながらも、福祉の課題にも挑戦する子ども会を求めてもいいのではないかと思います。
■ ボランティアセンターの充実
細川ボランティアセンターについては地域で機能を果たしうる足腰の強いセンターを育てなければならないですね。そのためには基盤整備をもっと進めなければならないと思います。基盤さえしっかりとしていれば自然とボランティア活勤は盛んになるでしょう。それだけ市民の意識は高まっています。
木谷ボランティアセンターの機能としては福祉のボランティアだけではなく、もっと幅広い文化、教育、医療、環境などの分野でのボランティアを考えていかなければなりません。それとともに、これからのボランティアセンターにはマネジメント機能が求められます。従来は受給調整、コーディネーターということであったが、今後はそれだけでは運営する意味を持たないということです。経営ノウハウをボランティアセンターがどう身につけるかが大きな課題でないでしょうか。
■ボランティアの手によるまちづくり
日開野いま福祉の分野や他の分野でも市民活動が活発になっています。
活動自体も具体的で、また組織化された活動として即実践に結びついています。それぞれの地域の中で、それぞれに課題をもっている人が集まりグループができてきていますが、住民の生活ニーズを発掘し繋いでいくと
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RlPPLE Vol.137 FEB. 2000 Vol.137 FEB. 2000 RIPPしE
5 徳島ポランティアの
精神と実践から5
一、はじめに
四国山脈‘霊峰剣山に端を発し、分水嶺からの滴れ水が集合して雄大な吉野川となり、やがて海に注ぎ込む。山間部は冷害に悩まされ、平地は水に恵まれながらも、常に水害と闘ってきた。
こうした自然の営みの中で、根付いてきたとくしま県人は、藍や塩、鯛やわかめ、すだちやみかんなどを素材とした産業を起こし、阿波踊りや人形浄瑠璃など文化伝承に心をくだいてきた。
と同時に忘れてはならないことは、この地に豊かな助け合いの風土を育んできたこと。とくに異文化交流を地下水として、とくしま独自のボランタリズムを発酵させ、各種のボランティア運動を全国へと発信し、その普及に努めたことである。それはちょうど、鳴門の渦潮や阿波踊りが激しいリズムを基調としているように、県民の心に秘めたボランタリズムは溢れる情熱を宿して、その波紋を全国各地へと、さらに海外へときをし、子どもたちへ夢を運ぶボランティアを育てた久留島武彦の功績は大きい。久留島は大正・昭和にかけて口演童話技術普及のため全国を行脚し、その洗礼を受けた弟子たちが、全国各県に口演童話研究会を結成させた。本県にも今律忠能や横山春陽など文化人が中心となって徳島県口演童話研究会を誕生させた。それは戦前のことであるが、戦後もこの活動は徳島県児童文化研究会へと継承され、県立図書館の子ども室で「お話しの集い」が毎週のように開催されていた。現在、子どもへの語りベボランティア活動が県下各地で見られるのも、こうした下地があったからではないだろうか。
三、戦後ー県外へ伝播するボランティア活動ー
■ 子供民生委員活動と精神里親運動
戦後、本県で育ち、県外へと発信したボランティア運動は数多い。そのひとつとして昭和ニ―年、かずら橋と平家落人部落とで有名な西祖谷山村に発芽した子供民生委員制度をあげるごとができる。この制度は現在全国小・中・高校の一三、000 校に達しているという福祉協力校(学童•生徒のボランティア活動普及事業)の元祖である。この子供民生委員

二、戦前ー本県の助け合い風土ー
■ 相互扶助活動
戦前の農耕社会には、地縁による相互扶助が幅広く行われていた。それは全国のどこにおいてもよく見られた助け合いであるが、本県特有のものも少なくない。『講』や『結』などはどの村落でも見られたものだが『千人講』や『万人講』などのように、本県では村落を越えた大規模の助け合いが県下各地で行われていた。
また、天保年間の災害による飢饉救済に備荒倉が全国各地に設けられ、他県ではそれを『義倉』や『社倉』あるいは『備荒倉』と呼ばれていた。本県では『陰徳倉』と呼び、徳島市内や海部郡内の各地に設置された。
寛政年間、徳島市内に無料の私塾が数多くできたが、その中に英語塾が少なくない。それは長崎でシーボルトやポンペに師事し帰徳した蘭方医たちの影響によるものと思われる。制度は徳島県民生委員連盟常務理事であった平岡国市が創始したもので、たちまち県下の全小・中学校に波及した・県外では大阪府松原市にまで伝播された。また、子供平和記念塔の建設ではアメリカをはじめ、世界各国の子どもを巻き込んだ運動となった。
昭和三二年、徳島で精神里親運動が開始された。施設で生活している孤児たちとの文通による”あしながおじさん運動"は徳島では『心の里親』と名付けられた。一時は最大一、二00名が参加した。この運動は札幌市に伝播し、最大六、000 名に達したといわれている。また、この運動はスリランカヘと飛び火したという情報がある。
■ シニアボランティアのさきがけ
高齢者によるボランティア活動はシニアボランティアと呼ばれ、全国で活発に展開されるようになった。このシニアボランティアのさきがけは徳島で昭和三三年創始された『老人大学』である。鳴門市で開講された老人大学は、台風が日本列島を駆け抜けるように広がった。徳島の老人大学は机上学習だけでなく、学習した講義内容を実践に移すという目標を果たさなくてはならない。今日でいう『生涯学習』の意味していることと同じである。
広げていった。
窯砥'自り“f·
徳罵口は豊かなボランティア活動の歴史があり栞す。
ここでは、本嗅特有の文化や風土から生まれだボランティアの精神や活動の源流を、本県ボ―フンティアの黎明期を知る木谷先生にご紹介していただきます。
■ 異文化交流と豊かな精神
異文化交流といえば、第一次世界大戦時、板東にできた捕虜収容所のドイツ兵たちとの文化交流を忘れることはできない。メガネ橋、ドイツ記念館など物的遺跡はさるごとながら、産業、文化、スポーツを通じての交流、日本で最初にうたわれた『第九』など、国際的対人交流はまことに豊かで、ほほえましいものであった。
ドイツ兵から信望が厚かった収容所長松江豊寿中佐は会津若松の出身である。また、長崎で蘭医学を学び、語学の達者な関寛斎は徳島にわらじを脱ぎ、庶民から名医といわれ、語学の普及にも努めた。この関も千葉九十九里の出身である。ごのように、県外の人たちとの精神文化の交流も豊かであった。ウチなる人とソトなる人を差別しない接し方、そこに徳島県民の誇りがある。このふれあい文化は、古くから旅人や異人(まれびと)を温かく迎え、異文化から学ぶという風習があったからだといえる。
■ 郷土の文化とボランティア
本県は民話のふる里である。また、その民話をはじめ、童話の『語りべ』が輩出する土地柄でもある。大正ロマンの時代、オトギ文学がわが国に普及した。童話の語りべとして全国に種まこのほかにも昭和三六年に創始された『子ども会育成みつばち運動』もある。この運動の仲間たちのパワーによって徳島県子ども会連合会が結成された。
■ 善意銀行の創設からボランティアセンターへ
支流が集合し、大河吉野川と成長するように、徳島のボランティア活動は昭和三六年に計画され、翌年三七年四月に創設された『善意銀行』に集大成された。このシステムは時勢に乗って全国へ伝播され、数年のうちに全国各地で一、二00 カ所を越えるまでになった。
この善意銀行は昭和四三年、機能拡大をめざしてボランティアセンターヘの大転換が図られた。昭和五二年、全国・都道府県・市区町村にボランティアセンターが設置され、各センターのネットワークのもとに連携プレーが展開されている。徳島県の善意銀行は海を渡り、アメリカ・インディアナ州に伝わり、立派に花を咲かせている。なお、ニ―世紀のボランティア活動の展望は、このボランティアセンターの今後の活躍にかかっているといってよい。
(寄稿・福山平成人学経営学部経営福祉学科木谷宜弘) 教授
`年表
A Jぐしまのポランティア
5 黎明から善意銀行誕生までs,.
|
【室町時代S 】
講(こう)結(いい)コウロクなど相互扶助
村落共同体での助け合い、講は他人の救済、金銭の融通耕牛馬の死亡時には千人講や万人講など大規模のものもあった。結は相互扶助による耕作。コウロクは病難·火災などの災厄時での救済。
【天保五年】
陰徳倉
江戸時代全藩に広がった備荒倉(災害救助施設)のことで地域によって『義倉』『社倉』と称しているが、徳島では『陰徳倉』を呼ぶ。そのひとつが富田町付近や海部郡内の村落に存在していた。
【寛政五年】一八0 五
無料の私塾
徳島市内に学半礼や根心社などの私塾があった。長崎のシーボルトやポンペの師弟の影響か。
【明治ニ―s _二三年】一八八八S 一九0 五
賀川豊彦の少年期
神戸葺合新川でのスラム伝道・セルツメント活動、労働運動、農民運動、生協創設、関東大震災罹災者救済などその功績は世界――ー大偉人の一人に数えられている。豊彦は中学生まで徳島に所在し、堀江尋常小学校、徳島中学校を卒業、堀江には墓所がある。
【大正三年】一九一四
ドイツ捕虜収容所・ドイツ人との国際文化交流
板東にできた捕虜収容所のドイツ兵と文化交流は有名。第九の合唱、メガネ橋、ドイツ記念館など遺跡がある。一三年間ドイツ兵の墓守りを欠かさなかった日本女性の行為に元ドイツ兵が感激、記念館建設のきっかけとなった。
【昭和初年】
徳島口演童話研究会
明治晩年、久留島武彦がはじめた口演童話運動が徳島に伝わり、有志たちによって子供のための語りベ運動が始められた。戦後、徳島県立図書館を拠点に活動が続けられ、やがて徳島県児童文化研究会と改名された。
【昭和二年】一九二七
方面委員制度始まる
徳島市内はじめ県下九地区に四八名が配置される。
昭和五年小松島市方面委員後援会が保養事業開始。
【昭和ニ―年七月】一九四六
西祖谷山村子供民生委員会
子供民生委員制度第一号、西岡小学校子供民生委員が西祖谷山村に誕生。全県の小・中学校へ拡大、大阪枚方市へ伝わる。全国一三、000 校に広がった福祉協力校の源泉でもある。
【昭和三二年―一月】一九五七
心の里親運動
五0 組の里親里子のパートナーで始まる。最大時は徳島県で―-、000 人、札幌市で六‘000人の心の里親がいた。また現在ではスリランカヘも渡る。昭和二八年―一日里親制度が生比奈村、佐那河内村、大俣村、牛島村で。
【昭和三二年九月】一九五七
徳島県老人クラブ連合会
近藤会長はじめ役員たちは自分たちの足で県下を歩いて同土を募り組織を拡大していった。また全国でも稀な月刊誌”徳島老友新聞“を自主刊行した。そのほか”兼好コンクール匁趣味の作品展“”芸能コンクール“などを先駆的に開催している。その意味ではボランタリズムに溢れた組織実践といえる。
【昭和三三年一0 月】一九五八
徳島県老人大学鳴門市教室
全国で最初の老人大学が鳴門市で開設。八四名が卒業。卒業生は大学の趣旨に従い、市立老人ホームヘの訪問活動を行ったが、その後入所老人と地元老人クラブとによる仲よしクラプが結成された。この老人大学は全国へ伝播゜
【昭和三四年i】一九五九
第一回徳島青年ボランティアの集い
大麻神社で第一回の宿泊研修が開催された。それ以後毎年開催。修了生は少年野球の指導などに活躍。
【昭和三四年5 】_九五九
子どものための遊び場づくり運動
”遊び場が欲しぃ“という子どもの作文から始まった運動。子ども会、婦人会、青年団、PTA、青年ボランティアたちが取り組み、県下の各地に遊び場を完成。
【昭和三四年S 】_九五九
バラック住宅密集地における子どもを守る運動
徳島市藍場浜にある緑地帯不法占拠地にできたバラック住宅街の子どもたちを守るため学生セッラー達が活踊。廃材利用の”子どもの家“建設はドラマチックなできごと。
【昭和三四年S 】_九五九
実業奉仕団体のボランティア活動
ライオンズクラブ↓施設の中学三年生の卒業記念
臨海テント村開設、クラブ役員が一日お父さん役を務める。ロータリークラブ↓お盆に里帰りした施設出身生の激励会の開催。青年会議所↓山間僻地・離島の無医村における医療活動
【昭和三四年S 】一九五九
小児マヒ予防街頭署名運動
小児マヒ児親の会の誕生、小児マヒのクリスマス会、臨海キャンプに学生ボランティアが活躍。
【昭和三七年S 】一九六二
徳島子ども会育成みつばち運動
有志ボランティアによる子ども会活性化支援活動。これが原動力となって、四二年子ども会指導者連絡協議会を、四三年県子ども会連合会結成と実を結ぶC
【昭和三七年四月】一九六三
全国最初の善意銀行、小松島に誕生
小松島市に第一号店が、この年内に四市三七町村に開設。たちまち全国へ普及、数年して最大時一、二00 カ所に広がる。アメリカ・インディアナ州のインディアナポリスヘ渡る。善意銀行はボランティアセンターの原点。
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Vol.137 FEB. 2000 RlPPlE
ありがとうございました
とくしまボランティア推進
センターヘの預託
◇生活協同組合ふれあいコープ徳島〈理事長・八木正江〉(徳島市川内町)から児童福祉施設にりんご二〇箱
◇ビューティーサロンみち(徳島市中通町一丁目)・ゆき美容室(鳴門市大麻町板東)から老人福祉施設に車いす二台
◇徳島県立徳島工業高等学校生徒会(徳島市北矢三町二丁目)から社会福祉施設に車いす一台
◇原崎健児様(徳島市新浜町四丁目)
から香典返しにかえて金一封
◇社団法人徳島県遊技業協同組合〈理事長・石井皓〉(徳島市末広五丁目)から児童福祉施設にテレビ、自転車等
◇みちのくプロレス〈新崎人生様〉(岩手県盛岡市林木町)から「みちのくプロレス徳島大会」に児童福祉施設等利用者を招待一
(SOWEL C LキU B)
福利
(ソウエILワ
一l
手伝しま


躙彊りま
゜ 21 世紀は、質の高い福祉サービスの提供をめくつての自由競争の時代。
生き生きしだ職場づくりの柱としてご活用ください。
(主なサービス)
●共済給付事業► 公務・通勤時の死亡: 180 万円、入院千円/日
► 病気等による死亡:会員60 万円、配偶者10 万円
●健康管理サービス► 生活習慣病予防健診費用助成: 30 オ以上一般健診・日帰人間ドック4,210 円、
子宮・乳ガン820 円等
●低利子ローンサービス► 住宅5 千万円、結婚・旅行・教育・自動車購入: 300 万円
●各種講習会► 広報・レクリーダー・生涯設計セミナー:往復交通費以外無料
●記念品・祝品の贈呈► 永年勤続記念品(5、10、15、20、25、30 年勤続者: 5 千円~ 5 万円)、
► 結婚: 5 千円、出産: 1 万円
► 新規加入・資金取得各記念品: 5 千円etc
●海外研修► アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・中国等(40 %程度助成)
●各種保険サービス► 貯蓄•生命・傷害・自動車の有利なオリジナル保険
●会員交流事業► 会員の意向に沿って地方事務局がイベント開催(参加費1/2~ 1/4• 平成11 :北海道・宝塚ツアー、吉本観劇・ボーリング及び親睦パーティー等5 イベント
●日常生活・余暇支援► クラブサークル助成(千円/人)・リフレッシュツアー・指定保養所全国224 カ所・テーマパーク・スポーツ施設・冠婚葬祭施設・ワークウエアー・保養宿泊施設・レンタカー・美容・自動車家電~雑貨品住宅建設等の割引_ 【問い合わせ先】徳島県民間社会福祉施設職員退職手当共済財団: TEL 088-622-9199福利厚生センター(ソウェルクラプ): TEL 0120-292-711
リプ』し●発行所:社会福祉法人徳島県社会福祉協議会徳島市中昭和町1 丁目2 番地徳島県立総合福祉センター3F fl'088-654-4461
●発行者:盛川弘冶●デザイン•印刷:徳島印刷センター徳島市問屋町165 番地'll' 088-625-0135
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