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【県社協シリーズ】No.6

【県社協シリーズ】No.6 市町村社協活動の推進について

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県社協シリーズNo. 6
昭和4 0 年1 月
市町村社協活動の推進について
ー動く社協,住民から信頼される社協とするために一
社会福祉
法人徳島県社会福祉協議会するために一
社会福祉法人徳島県社会福祉協議会
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くもくじ>
★市町村社協活動の具体的推進計両
目標,計画推迎方法・・・1
★具体的活動(事業)の実施方法

  1. 有給の専任職員の配置する・・・2

  2. 心配ごと相談所を設置運営する·・・・4

  3. 市町村社会福祉大会を開催する・・・7

  4. 定期的に広報紙を刊行する・・・10

  5. 共同募金運動を推進する・・・11

地域保健福祉計画をたてる・・・14
(参考資料)
★社会福祉協議会基本要項(案)・・・16
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まぇがき
県下の市町村社協活動も次第に活発となり,地域ぐるみで住民のしあわせを高める運動が
推進されていることを,心から感謝致しております。
最近,政府は:::社会開発ミということに力を入れるようになり,社会の進歩のための計画
は,すべて人間の福祉向上の実現を目標とすべきであって,社会福祉は社会計画の目標であ
り,これを達成するための具体的計画が社会計画であり,これを実現する過程が社会開発で
ある。従って経済開発,地域開発も結構であるけれども,私達人間の福祉向上を主軸にした
国の行政が進められようとしていることは,誠に喜ばしい次第です。
ところで,このように国の行政が社会保障,社会福祉に一段と力を入れようとしておりま
すが,私達がこれを傍観していたのでは何にもならず,これに呼応した積極的な地区組織活
動を推進しなければならないと思います。従来の社協活動は,広範多岐な仕事をか>えてい
るとはいえ,理屈の多いまた上すべりした活動が多かったのではないでしょうか,社協活動
の基本路線のないまいで,手当り次第な行事(活動)に合せて手不足,金不足で悩んでいた
ような感じがします。各種団体との連絡調整は勿論,社会資源としての行政機関とも充分な
話し合いも足らなかったように思はれます。
私達はもう少し, じっくりと足を地につけて,こつこっと地域住民のニードを活した事業
と真剣にとり組まなければならないと思います。
こうした意味で県社協は,関係行政槻関の御指導をうけ,今後市町村社協の具体的活動の
重点目標を設定し,真に明るい町つくり,美しい村つくり運動の成果を期待して,このシリ
ーズを作成しました。関係者各位の絶大なる御支援と御協力を切にお願い申し上げます。
昭和4 0 年1 月
徳島県社会福祉協議会長
伊東董
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市町村社会福祉協議会活動の具体的推進計画
県下市町村社協活動の充実強化をはかるため,昭和39年度を第1 年度とし, 3 ケ年に次の事項を目標にして事業を推進する。
1.全市町村社協が有給の専任転員をおくこと。
2.全市町村社協が心配こ゜と相談所を設置運営すること。
3.全市町村社協が社会福祉大会を毎年開催すること。
4.全市町村社協が定期的に刊行する広報紙をもつこと。
5.全市町村社協が共同募金運動を推進すること。
6.全市町村社協が地域保健福祉計画をもつこと。
事業の推進は, 上図の如く県社協,市町村社協が中心となって行なうものとし,県行政機関(厚生
課,福祉事務所等)および市町村は側面的に財政および事務を行ない,また, 県共募は募金運動等を
通じて相互協力を行なうものとする。
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具体的活動(事業)の実施方法

有給の専任職員を配置する。
厚生省は市町村社協に有給の専任職員配置の必要性を認め,昭和38年度から市町村社協に福祉活動
普及員の形で国庫補助金の交付を考えて,毎年予算の要求を行ってきているが,いまだ実現していな
い。将来の方針としては,国,県,市町村が各5 分の1 補助で専任転員を配置することが望ましいが
現段階では,こうした国並びに県の財政措置を強く要請するとともに,自主的に各市町村に専任職員
が配置されるよう努力しなければならない。
この専任職員とは,市町村社協予算の中で支出された人件費による職員であるが予算の少ない現段
階では全市町村が直ちに専任職員を発令することはむつかしいとも考えられるので,当面は市町村役
場の職員を配置換えした専従職員を発令し,逐次専任職員へ切り換えして行く方法なども考えられ
る。
要は理事者,議会,地域住民の理解と協力を得て,次のような段階的方法でこの専任職員が配置さ
れるよう努力をお願いする。
■ 第一段階【専従転員を配置する]
現在各市町村行政の中で厚生(民生)関係の仕事は非常に多く, しかも毎年社会福祉事業の進展に
ともなう法律,規則の制定等で事務分量が増加し,限られた人員でその処理に忙殺されている現状で
あると思はれるが,一方地域住民の社会福祉に対する関心も深まり,社会の進展に伴うニードの変化
と増加による住民の自主的活動も活澄化してきている。こうした住民のニードの発見とその対策は社
会福祉行政の発展と効果を更に向上させるものと考えられる。
従ってこの民間の自主的活動を育成指導するためこの活動に関係する業務を専従する担当職員を増
員または配置換えを行ない,市町村社協会長から社協の事務局長,主事として発令しその業務の推進
を図ってゆくものも方法として考えられる。なおこの専従職員の事務は次のような事項が考えられ
る。(勿論行政の事務は別であるが)
(1) 市町村内の低所得世帯の更生援護に関すること
(2) 市町村内の社協活動の推進に関すること
(3) 市町村内の世帯更生資金の貸付に関すること
(4) 市町村内の心配ごと相談所の運営に関すること
(5) 市町村内の民生(児童)委員活動に関すること
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(6) 市町村内の法外援護に関すること
(7) 市町村内の広報業務に関すること
(8) 市町村内の老人福祉に関すること
(9) 市町村内の母子福祉,身体障害者福祉,精薄者福祉に関すること
(10) 市町村内の共同募金, 日赤募金に関すること
(11) 市町村内の地域子ども会,ボランティア活動に関すること
(I 2) その他
■ 第二段階【専従転員を逐次専任転員に切り換える】
★★★
市町村社協活動を活発にし,この活動の成果を理事者,議会,地域住民に理解され,専任職員配置
の必要性が認められるように努力するとともに自主財瀕の造成につとめる。専任職員の職員給は,市
町村社協一般会計の中で組まれるので要は社協予算を確立することである。
財蒻J1 造成としては次のことが考えられる。
(1) 国庫補助金による福祉活動普及員配置を強く要望する。その際には県の財政措置を要望する。
(2) 市町村の'fili助金(助成金)をうける。
(3) 市町村内の共同募金の目標額の増額並びにB 配分対象の募金に努力する。
(4) 住民の会員制度をつくり,特志家の賛助会費を募金する。
(5) 収益事業益金を考える。
(6) 寄附金,香典返しをうける。
■ 第三段階【専任転員を配置する】
全員有給の専任職員を発令する。
(参考〕
市町村社協の有給専任職員の要件
社協の専任職員は社会福祉事業に深い理解をもち,熱心に地区組織活動を推進できる努
力家を期待するが単なる事務職員でなく次のような要件をもつ者が望ましい。

  1. 住民大衆のもつ社会福祉のニードを具体的にとらえる能力があること

  2. 住民のニードを解決する能力をもち,あるいは解決のために他の協力を促進する能力
    をもつこと

  3. 社会福祉に関係する各種調査の技術があること

  4. 集団関係の指導技術があること

広報の技術があること
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心配ごと相談所を設置運営する。
本県の低所得階層は約8 千世帯と推定される。このような所得の少ない人には,その日その日の暮
し向きについては勿論のこと,病気のことや仕事のこと,住宅の問縣から児童の問題など生活上にた
くさんの心配ごとを持ちながら,生活に追われて一歩踏み出す機会を失っている場合が非常に多いと
考えられる。
このような人たちの生活上の苦しみや悩みは民生委員や,福祉事務所,児童相談所,保健所などで
解消するための窓は開かれているが,限られた民生委員や福祉事務所の社会福祉主事(ケースワーカ
ー)などの力だけでは余程問題がはっきりしているか,相手から直接訴えられたりでもしない限り,
見落しもあるだろうし,見誤まることもある。生活保護法による扶助を受ける場合はその状態が比較
的はっきりしているし,また本人から申請もあるので手がつくが,その線スレスレか,その少し上の
層になるとなかなか目に見え難いし,また自分だけで悩んでいることが多く,人によると恥をさらし
たくないという気持から,同じ土地の人に相談するなどということはむしろ避けたがる面もあって,
だんだんに生活に押しつぶされてしまうことがまれではないのである。
このように考えてくると,心配ごとのある人は誰でも気軽に相談が持ち込めるような,簡便で,金
もかからず,気のおけない窓口が必要だということになる。従ってこの相談所は役所のような固苦し
い,気づまりな雰囲気でなしに,民間の持味を生かした型にはまらないものとして運営されることが
望ましいということになる。
(1) 設置や運営の主体は
市町村にはいろいろの民間団体があるが,住民を主体とした住民の組織する団体として社会福祉協
議会があり,地域の問題を発見したり,その解決方法をみんなで相談したり住民や関係団体や,時に
は各関係行政機関を利用してみんなの協力によって問題を解決する任務をもっている。このように住
民の福祉を高めるという任務をもつ社協が,住民の心配ごとを持込める窓口を設けることは当然であ
り,またこの社協の重要メンバーである民生委員が相談活動の中心になることが最も望ましい。
要するに心配ごと相談所の設置主体は市町村社協であり,社協役員と民生委員が運営の中心であ
る。
(2) どんな場所に設置したらよいか。
この相談所は先ず相談したい人がそこに入り易いということが先決要件であるから,あまり人目の
つき易いところに入口があったり,相談室に入るまでに多勢の人の視線を浴びなければならなかった
りしては,折角の相談所も開店休業になってしまう。この点よく考えた上で,市町村役場以外の適当
な建物, (公民舘,社会福祉会舘など)を利用することが望ましい。
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(3) 開設の回数と形式は
一定の場所(建物)で,毎日開設することが最も望ましいことはいうまでもないが,毎日開設する
ということは,民生委員に相談員を願わなければならないということなどから,実際問題としてなか
なか困難な場合が多いと思われる。
そこで週に何回というように適当な曜日をきめて,少くとも週1 回程度は開設する必要がある。こ
の場合,主要な相談事項別に相談日(曜日)を設ける方法もある。また地域が非常に広いとか,交通
の便が悪い地区など地域の実情によっては,適宜専門家や専門機関を動員して班を編成し,巡回相談
を行うことも考えなければならない。この場合,巡回する地域の問題性や,傾向をあらかじめよく把
握しておき,できるだけニード(要求)を満し得るような事前の用意が必要だし,また相談に来易い
時期,時間を選んでお膳立てすることが必要である。
(4) 相談を受ける時の心構え
まず相手に威圧感を与えないということに心掛けるべきである。問いただすというような熊度でな
く,相手の身になって十分話を聞いてあげるということが大切である。
つまりよい聞き手になるということである。また相談員は,関係法律や諸制度,ケースワークの技
術などについて,できるだけ知識を養っておくことが必要である。ところが相談員は専門家でない場
合もあるし,総てのことの万能選手ではないのでなんでも自分だけで解決策を与えるという必要はな
く,専門家や専門の機関という社会資源と密接な連絡をとり,これを十分に活用するということが肝
要である。要は親近感のもてる温い態度で接することが大切である。いたずらに安易な同清心に左右
されたり,安うけ合いをしたりすることはないよう注意するとともに,相談を受けた問題については
絶対に秘密を守るように心掛けなければならない。
(5) 受付から相談まで
受付は相談員が交替で勤めることも必要だができれば社協の職員がこれに当り,あわせて事務的な
仕事を処理することが望ましい。相談室はできれば2 室とし, 1 室は控室, 1 室は相談室に充てるこ
とが望ましいが,大部屋の場合でも衝立,その他で適当に仕切っても差支えない。
相談は当然相談員があたることになるが,その際よくチームワークをとり,最も適任者と思われる委
員を主任相談員に当てることとし,持ち込まれる問願が広い範囲にわたる関係上,専門知識,技術を
必要とする場合が多しので民生委員や社協は,この仕事に対するよき理解者を広く求め,弁護士,医
師,教育関係者,商工金融関係者などの人的資源をはじめ,市町村役場,福祉事務所,児童相談所,
保健所,職業安定所,裁判所,学校,警察,農林漁業協同組合など関係機関の積極的な援助協力が得
られるように努力し,これらの中からそれぞれ実情に応じて相談員,協力員を委嘱し,相談や助言,
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処理解決などに当って貰うことが望ましい。ただしこの場合の手当については,納得と理解のもとに
できるだけ奉仕的な協力が得られるようにお願いする。
(6) 問題の処理解決は
この相談は,いわば「よろず相談所」として,単に経済問題に限らず広く生活全般の心配ごと,悩
みごとを扱う建前から相談内容も生活,住宅,仕事,家庭の問題,隣人の不和等いろいろの相談があ
ろう。軽易な問類は民生委員のお世話や配慮のみで解決できるとしても,ほとんどの問題は専門家や
専門機関の手を経なければならない。
元来,この相談所は,人体に例えれば口や歯や,唾液,胃液,のようなもので食べものをいきなり
消化するのでなくよく咀しやくをして胃袋に送り込み,胃袋での消化を促進するといった役割をもつ
ものであって,すべてその場で解決する必要はないわけで,問題に応じてどんな機関に持ち込むか,
どんな人に協力や助言を得たらよいというふりわけの仕事が第一要件である。
もちろん緊急を要するような事態に対しては, とりあえず応急の措置だけは講ずる必要があるが,
それ以外は相談員個人の考えで事を進めないで,社会福祉協議会の専門委員会や協力員と話し合うな
り,相談員会議にかけるなり民生委員協議会で検討するなど,できるだけ問題を咀しやくしてから事
を進めることが望ましい。
また特に相談員の持ち味としては,この窓口における相談の糸口として,その家庭との接触の槻会
を捉え,単一の問題を平面的にとり扱わないで持ち込まれた問題と絡み合った他の問題がないかどう
か,また問題の種類によっては持込まれた問題をそのまま鵜呑みにしてよいかどうかなどについて確
め,かくれた問題や絡み合った問頗を総合的に解決して行くという配慮が望まれる。
また法外援護資金をつくることや,現在ある資金をふやすことに努め,これを有効適切に活用でき
るようにすることなども,問題解決の一助として大切なことである。
相談員はこのようにしていろいろな方法や段階を経て,問題が処理解決されてゆく過程の中でも,
ただ専門家や専門機関に任せっぱなしでなく,最後まで連絡役としての役割を果すべきである。
またこの処理解決,未解決の経過は,できるだけ詳細に記録しておく必要がある。
(7) 相談所のPR は
積極的に利用されるためには,よりよき運営の実績をあげ,住民に喜ばれ,信頼されるようになる
ことが必要であるがまず第一段階では相談所の性格や内容を住民に十分に理解されるようにPR する
ことが大切である。ただこの相談所の趣旨や性格からして,一般の宣伝のように派手な方法は適当で
なく市町村広報や公民舘だよりとか,回覧板や民生委員による普及周知のような地道な方法によるべ
きである。要は問題をいかに親切に,誠実に処理し,とり扱うかにあるのであって,その集積がその
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ままPR に結びつくものである。
(8) 設備や経費は
この相談所は,市町村社会福祉協議会活動の一環として設置,運営されるもので,社協の特別会計
で予算を執行する。国,県,市町村から補助金が支出されており共同募金の地域配分も行われること
になっているが,極力自主的な市町村社協の財源を造成し,この資金で住民のしあわせを高める運動
としてのこの相談事業を発展さすべきである。

市町村社会福祉大会を開催する。
社協活動は地域住民のしあわせを高めるための地域ぐるみの活動を推進することであるから,広く
住民の理解と協力を得る必要がある。このためには,社協の存在を知り社協の活動内容を理解し,社
会福祉に功労のある者を表彰するなどの町民大会ともいうべき場をもつこと一一これを市町村社会福
祉大会として次の要領で毎年1 回開催されたい。
なお大会開催の手順としては
(1) 開催までの諸準備委員会を開く。
① 大会準備委員会
市町村社協役員,各種関係行政機関職員を委員に委嘱して次のことをきめる。
イ,大会日程
ロ,大会開催要綱
ハ,大会役員
二,大会委員
ホ,分科会,全体討議
ヘ,宣言,決議(案)
ト.記念講演,大会アトラクション
チ,大会表彰及び感謝
リ,大会に配布する資料
ョ 大会表彰詮衡委員会
大会で表彰並びに感謝状を贈呈する者を決定するため主催者である市町村社協の役員と関係行政機
関で表彰詮衡委員会をもつ。なお,この表彰者については市町村社協表彰規程を設定しておくことも
考えられる。
(2) 大会日程並びに開催要綱(準案) (会期を1 日とする場合)
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① 大会主題
当面する社協の重要課頗を適切な言葉でとりあげこれの解説をつける。
(例) :::::急速な経済成長に伴う新しい家庭福祉と地域福祉のあり方:::::
② 会期及び日程
ィ,会期
ロ,日程(別掲する)
⑧会場
④ 参加人員
⑤主催
⑥ 後援,協賛
⑦ 参加者
⑧ 大会役員
⑨ 大会委員
⑩ 大会事務局
*日程(別掲するもの)

  1. 開会の辞

  2. 国歌斉唱

  3. 物故社会事業関係者に対して黙濤

  4. 大会長挨拶
    5 .表彰並びに感謝状の贈呈

  5. 祝辞

  6. 謝辞(被表彰者代表)

  7. 全体討議

  8. 宣言決議

  9. 記念講演(又は大会アトラクション,レクリェーション)

  10. 万オ三唱

閉会の辞
(3) 大会アトラクション(レクリェーション)
大会は表彰とか来賓の祝辞などの総会議事で,堅苦しくなる場合も多いので,この雰囲気を柔らげ
るために,昼食時間又は午後の時間を有効に活用して適当なアトラクション(レクリェーション)を
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考える必要がある。
(例) イ,小学校児童又は中学生の楽団,鼓笛隊の演奏
口,幼稚園児,小学生の表現会
ハ,地元婦人会,老人クラブの歌や踊り
二,善意銀行払い出しの各種演芸
(4) 表彰並びに感謝状の贈呈
この社会福祉大会で社会福祉事業に功労のあった団体,個人,自立更生のため努力した者,善行者
(児)などを表彰又は感謝することは広く地域住民にその業績を発表し,より社会福祉事業の進展と
ボランティアの育成を図るためにも必要な行事である。
この該当者は次のものが考えられる。
0個人
① 社会福祉事業功労者(社会福祉施設の役職員,各種団体の役職員など)
ョ 民生(児童)委員功労者
③ 模範母子家庭(母又は子ども)
④ 自立更生者(低所得世帯,心身障害者など)
⑤ 善行者(児)
⑥ 社会事業協力者(多額金品払出者,ボランティアなど)
〇団体
① 優良地区(地域)社協
② 優良団体(地域子ども会,老人クラプなど)
⑧ 共同募金運動に成果をあげた団体(部落,町内会)
(5) 全体討議,分科会討議
地域住民が社協活動に理解と協力を促進するため,または当面する課題を研究するため,全体討議
又は分科会討議をもつことが考えられる。この討議は議長団,司会者,助言者,課頗解説者などによ
って討議をすすめ,テーマとしては地域の実情に応じて適当な課題を設定するが,一応次のような事
項が考えられる。
イ,住民のしあわせを高める運動の推進について
ロ,低所得階層の福祉対策について
ハ,青少年,児童の福祉対策について
二,心身障害者(児)の福祉対策について
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ホ,老人の福祉対策について
ヘ,婦人の福祉対策について
ト,保健福祉地区組織活動の推進について
(6) その他
地域住民の関心を高め,より多くの参加者を求めるためには,次のことを大会当日実施することも
考えられる。
ィ,小学校児童,中学生の作品展(書画,工作,作文など)
口,中学生の弁論大会(テーマは、社会を明るくするため、など)
ハ,老人の趣味の作品展
一,名石展,植物展,農作物展

定期的に広報紙を刊行する。
社協活動が地域住民に理解されるようにするには,広報活動も大きな役割を果すことになる。社協
の存在を映画会や講演会を開催して周知さすとか,社協活動の意義,必要性を広報紙,ビラ,児童作
文,ポスターなどで啓蒙することが必要である。しかも,社協は年間を通じて広範多岐な事業(行事)
を実施している。この毎月行う事業を事前に周知し,またその結果を報告するためにも定期的な広報
紙,住民に愛され喜ばれる広報紙を是非とも発行する必要がある。
(1) 編集委員会をもつ
市町村社協の役員の中で広報活動に理解のある者,関係行政機関の職員,社協職員で広報紙を発行
する度に編集委員会を開き次のことをきめる。
ィ,広報紙の大きさ,形
ロ,発行部数,配布先,配布の方法,予算
ハ,広報紙にとりあげる重点課題
一,原稿依頼(執筆者とその内容)
ホ,写真取材
ヘ,その他
(2) 広報紙にとりあげるぺき事項
地域の特色を生かして,時期的に重要と思われる課題をとりあげるべきだと思うが,指示連絡的な
堅苦しい記事ばかりでなく,読み易く,また読まれる広報紙にする努力が必要である。社協の広報紙
として,特にとりあげるべき事項は次のようなものが考えられる。
イ,当面する課題(時期的に問頗をなるべく1~2 にしぽる)
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(例) 児童福祉月間(5月),老人福祉(9月),共同募金(10月)
ロ,論説的なもの(市町村社協の責任者が執筆する)
ハ,座談会による問題研究(批判)
一,住民の声,関係者の意見
ホ,社協活動の動き
ヘ,善行,自立更生者などの美談, etc.
ト,人物紹介(プロフィル)
(例) 町の保健婦さん,熱心な民生委員
チ,お知らせらん
(例) 世帯更生資金の貸付,心配ごと相談所開設,住民検診の日程,映画会の開催, etc.
リ,児童作文,標語
ヌ,詩,俳句
Jレ,写真,まんが
ヲ,用語解説
(3) 点検と反省
広報紙は多くの人に読まれることが第1 条件である。従って常に発行した広報紙の点検と反省を行
うべきである。その方法として,
ィ,広く住民の声を聞く。(アンケートにより評価)
ロ,広報専門家の意見を求める。
ハ,印刷字体,印刷編集の内容を検討する。
一,他の広報紙と比較する。

共同募金運動を推進する。
昭和22年度にはじまった共同募金は,社会福祉の新しい領域としての地区組織活動を促進してきた
が現段階では一方的な施設霊点の考え方をはっきりと是正し,施設への支援とあわせて自主的な地域
福祉計画を積極的に推進するために,また還元配分というような性格を払拭いするためにもA, B 制
配分方式への移行が提唱されこの募金運動が推進されている。
特に昭和34年度から共同募金倍加運動が行われ,地域における共同募金運動の趣旨徹底と募金の倍
加運動が推進され.社協と共募の密接な提けいによる協力関係が強調されてきた。
一方社協活動は,この共募と表裏一体となって住民の助け合い精神を助長しながら民間社会福祉事
業の資金を造成し,また僅かながら社協の大きな活動経費ともなっているが,まだまだ市町村社協の
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予算の中で共募配分金のしめる割合は僅少である。
将来,市町村社協は共同募金の目標額達成に努力することは勿論, 目標額以上の募金を行い, また
地域のニードに即応した事業を企画し,これに対する予算は共募のB 配分対象の募金を行い社協自主
財源造成に努力しなければならない。
〔参考〕
市町村社協の活動経費は自主性のある活動をすすめるためにも公私の均衡を失ってはな
らないといわれている。公的資金とは,市町村補助金,委託費,公的助成金などであり,
自主資金とは共同募金(還元金とかB 配分)住民(各種団体)の会費,賛助会費,収益事
業益金などが考えられる。
これを図表に現すと次の通りである。
この共同募金運動を具体的に推進するため次のことを実施する。
(1) 戸別募金の増強
地域住民に対する広報啓蒙活動を強化し,特に指導者階層に対する社会福祉事業の理解を深め,血
脈の通った奉仕組織を確立し, その活動を通じて戸別募金並びに識域募金の増強をはかる。
ィ,民生委員を中心とする(市町村社協の役員)応分寄附の開拓
民生委員並びに社協役員は年間の社会福祉事業推進で巾広い地域住民との接触をもっている。たゞ
単なる募金の期間中の募金のおぢさんでなく,共同募金の使途, この必要性と合せて,募金に対す意
見などを聞きながら戸別募金をその世帯の所得に応じて拠出されるようにする。この場合特に中口募
金の開拓を努力すべきである。
口,奉仕者(ボランティア)の育成
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研修会や施設訪問など,奉仕者の理解と熱意をたかめる企画を活発化する必要がある。渭奉仕者の
集いミとか第一線活動研究会をブロック別に開くとか,第一線の奉仕組織の実態と意見を把握するた
めの現地調査を行うなどのことも考えられる。
(2) 法人募金の増強
共同募金が10 月から12月まで毎年行われることを周知するとともに,会社の会計決算では欠損金と
して収支の計算が認められていることを啓蒙する。また募金の始まる以前に支部,分会長から依頼文
書を送付し,役員の中で有力者の側面的な働きかけなども行う。
ィ,社会福祉に関係する刊行物を送付
中央共募は毎年2 回,法人向けの共募特集のフォト,ニュースをつくっているが,これを活用する
ことは勿論,県,市町村社協並び共募が発行する広報紙,シリーズなどを常に送付しておく。
口,土止二旱塁塞疇
全国的な大会社は各地に支社,出張所をもって法人募金の浴路となっている。このような会社は中
央共募,県共募と十分連絡をとり,地方においてもその働きかけは行うべきである。その他の中小企
業については各地域別に募金を積極的に依頼する必要がある。
ハ,竺羞立且庄隼上担皐
高額の寄附をうけるには.その寄附金の具体化することが寄附意欲を促進することにもなると考え
る。特定の施設に大口配分を指定し,その成果を施設工事などの竣工写真を贈るなども考えられる。
(3) 個人大口寄附の増強
法人募金に準じて増強をはかる。
(4) オ末たすけあい運動の調整一元化
歳末にあたって,不幸な同胞に思いを寄せる国民感情にもとづく歳末たすけあい(持ち寄)運動の
成果を活かしつつ,これと従来の共同募金との関係を調整一元化して寄附金品の募集を積極化すると
ともに,その配分の合理化をはかる。
(5) 善意銀行の活用
善意銀行はボランティア活動のキャッチフレーズとして民間の自主的な助け合い運動を助長するも
のでもあると,考えられる。特に金銭預託については,その使途を指示されない場合は極力共同募金
に払い出しすることで,こうした年間を通じて共同募金迎動に対する理解を促進することも善意銀行
の使命である。
(註) 社会福祉に対する募金の窓口は共同募金だけであることを周知さすこと
(6) 奉仕者の激励
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県社会福祉大会,市町村社会福祉大会等で奉仕者の表彰,感謝状の贈呈などを行い感謝と激励をは
かることも必要である。

  1. 地域保健福祉計画をたてる。
    市町村社協は役員会の議を得た事業計画,予算を中心に,地域住民のしあわせを高める運動を推進
    することは当然であるが住民のニードに即応した社会福祉の諸対策が遂行され,発展せしめるために
    は,これら諸対策がともすれば目前の事態にとらわれがちであり,長期的な見透しにもとづいて時代
    に即応した新しい構想が採用されなければならないと思う。国並びに都道府県では, 行政の開発計
    画,福祉計画等の行政長期計画について研究がすすめられている。
    県社協並びに市町村社協でも住民の側にたった地域保健福祉計画をたて新しい時代に即応した10年
    先の目標達成に積み上げする年次的福祉計画を推進することがこれからの新しい社協活動であると考
    えられる。
    (参考事例〕
    *計画をたてるまでの経過

  2. 推進主体の決定
    A 地区保健福祉計画
    各種団体,関係機関の参加を求め,村つくりの推進主体として保健福祉推進委員会を組織した。

  3. 問題の提出
    各委員から提出された主な問題点あるいは今後推進すべき対策は次のとおりであった。
    。排水対策。衛生係の専任職員設置。土地改良。社労費予算の増額。季節保育所の新設
    。力,ハエの撲滅。農繋近代化と農業経営の合理化。寄生虫対策。成入病および乳児死亡防
    止対策。食生活改善。結核予防対策。簡易水道の設置。歯科疾患対策。学校保健および
    給食対策。国保給付範囲の拡大。農吋文化レクリェーション。農家生活の民主化。共同炊
    事。農休日設定。新生活,衛生,社会教育の充実。心配ごと相談所の設翌。社協の体質改
    善と自主財源の確立。低所得者の総合対策。母親,児童,老人クラブの組織強化

基本方針と事業計画
委員から提出された問題解決のた基本方針を決定し,続いて具体的計画を検討した。
*基本方針
(1) 保健衛生,社会福祉その他住民の生活上の諸問題を解決するための前提条件として地域住民の
自主的な活動を育成助長する。
(説明) 健康文化委員会,愛育班,衛生委員,民生委員,社協その他の組織が設けられているが,
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__________________________________
何れも官制団体であり,余りにも活動が活発でない。地区組織活動は,住民の自発性を高め
ることがカギであるから,あらゆる面でこれを配慮する。
(2) 保健衛生,社会福祉に対する理解を高めるため社会教育との一体活動を強化する。
(説明) 保健福祉の活動は住民の理解なしには発展しないがここでは社会教育が極めて低調で,こ
うした面の活動が行なわれていないので公民舘活動とも充分提けいする必要がある。
(3) 低所得者に対する施策を総合的に推進する。従来の低所得者対策は主として生活援護活動のみ
が考えられ勝ちであったが,死亡や罹病率の高いこと,あるいは衛生思想の乏しいため総合的な保健
福祉施策を特に低所得階層へ強化する必要がある。
(4) 村の人間関係,家族関係の民主化と家庭生活の合理化をはかる。
(説明) 村民の福祉を阻げている根本要因として住民の人間関係の封建性や慣習にもとづく生活の
不合理などを改善しなければならない。
タ事業計画(3 ケ年計画)
目標 事業名 計画の内容 経費年次 備考

  1. 保健福祉の教育 1. 衛生教育 1. 実施主体 39 年
    村補助金

  2. 方法

社会資源の活用
-15-
__________________________________
(参考資料)
社会福祉協議会基本要項(案)
全社協
く性格>

  1. 社会福祉協議会は一定の地域社会において,住民が主体となり,社会福祉,保健衛生その他住民
    生活の改善向上に関連のある公私関係者の参加,協力を得て,地域の実情に応じ住民の福祉を増進
    することを目的とする民間の自主的な組織である。
    (説明)
    (イ) ここでは社会福祉協議会の性格について,とくにその組織と活動における地域住民と公私関係
    者,すなわち地域内外の専門的並びに非専門的指導者との関係を明かにしょうとしたものである。
    (口) 「住民主体」とは,住民または住民組織が,社協の構成においても,活動においても主体となる
    のであり,これに対して公私の関係者の立場は,上記の住民の立場を理解し,これに参加・協力す
    るのが本旨である。
    しかしこのことは,これら関係者の立場を弱めるものではない。むしろその役割と態度を明確に
    した。
    か) 「民間の自主的な組織」とは,地域住民を主体として構成され,運営上,住民の意志を十分に反
    映できる民主的手続きが保証されている組織という意味である。
    (二) ‘社会福祉保健衛生その他住民生活の改善向上に関連のあるII::としてとくに社会福祉,保健衛生
    をぬきだして,他の関連分野と区別したのは,社会福祉協議会の活動はひろく住民の福祉増進がねら
    いであるとはこえ,その特色は狭義の社会福祉や保健衛生の分野においてとくに明らかであることを
    強調し,関連分野における類似の組織運動との差異を明確にしょうとしたものである。
    く機能>

社会福祉協議会は,調査,集団討議,および広報等の方法により,地域の福祉に欠ける状態を明
らかにし,適切な福祉計画をたて,その必要に応じて,地域住民の協働促進関係団体・施設の連絡
調査,および社会資源の育成などの組織活動を行うことを主たる機能とする。
なお,必要ある場合は自らその計画を実施する。
(説明)
(イ) ここでは社会福祉協議会の基本的機能についてのべている。
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__________________________________
社会福祉協議会はひろく住民の福祉増進を目的とする組織であるので,その機能は相当広範かつ
多岐にわたることはいうまでもない。
しかし社会福祉協議会の基本的機能はコミユニテイ・オーガニゼーションの方法を地域社会にた
いし総合的に適用することであり,地域事情により二次的機能が派生するものと考えられる。
(口) 社会福祉協議会の基本的機能はニードの発見と明確化,地域福祉計画の策定,住民の協働促進,
連絡調整,社会資源の造成,動員を含む一連の組織活動の過程であり,この組織活動に調査,集団
討議広報説得の方法技術を常時的に活用することによってすすめられる。
社会福祉協議会の基本的機能とはこれらの諸活動の総体である。
りこのような組織活動をすすめるに際し,問題によっては,それが当然国や県や市町村当局などの
公的な機関あるいはその問題の解決にとくに関係をもつ機関,団体の責任で実施すべきだと考えら
れるものが少くない。
そのような場合,社会福祉協議会は関係者や住民の理解をたかめ,それらの機関,団体が,問題
をとりあげ,その対策を実施するように組織的,計画的に働きかける,いわゆるソシアル・アクシ
ヨンの方法によることが必要であり,社会福祉協議会の行う組織活動を真に住民主体のものとして
いく上に欠くことのできない基本的機能であり,当然ここに含まれているものといえよう。
(二) 社会福祉協議会の基本的機能は組織活動にあるので,問題解決に必要な計画の実施を促進するが
住民にたいする直接的サービスを行うことはさけるのが原則である。
しかしそれを実施する適当な施設,団体が得られない場合,または地域社会の実情からみてそれ
が適切であると考えられる場合は,すすんでこれらの直接的サーピス活動をする必要がある。この
ことはとくに市区町村以下の地域において顕著であるといえる。

社会福祉協議会は,地域内の住民組織が行う社会福祉や保健衛生に関する活動の促進につとめ,
併せて地域内の関係機関,団体並びに施設に対して,その機能を増進するよう協力する。
(説明)
(イ) さきにのべた基本的機能である組織活動のうち,地域住民の協働を促進するためにはその前提と
して地域内の住民組織が社会福祉や保健衛生の問題を常にとりあげ,その解決のための活動にとり
くむ態度が確立されることが必要である。
他方,関係機関・団体・施設の活動の連絡調整や社会資源の育成が効果的にはかられるために
は,これらの機関・団体・施設の機能が一定の水準を保っているばかりでなく,常にその機能の向
上,基準の改善が促進され,住民の福祉増進に役立つ状態におかれなければならない。
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また地域の福祉に欠ける状態を明かにし,適切な福祉計画をたてるについても,これら住民組織
の協力や関係機関・団体・施設の活動にまつところが大きい。
以上の見地から,ここでは社会福祉協議会の組織活動をすすめる上に重要な意味をもつ基礎固め
となる機能についてのべているのである。
(口) さらに社会福祉協議会は,住民が自らの福祉を増進するために行う活動に協力することは,その
性格上当然の任務であるが,同時に専門的指導力をもち,社会資源として活用されることを本来の
役割としている関係機関・団体・施設をくるんだ組織活動をすすめてこそ前述の任務も効果的に達
成できるのであり,このような地域ぐるみの組織活動をすすめることについても責任をもっている
のである。
く組織>

社会福祉協議会は,住民主体の原則にもとづき区町村の地域, (大都市においては区)を基本的
単位とし,都道府県および全国の各段階に系統機に組織される。
なお必要に応じて町村社会福祉協議会と都道府県社会福祉協議会の中間組織として, 1 郡または
数郡にわたる地域に社会福祉協議会を設ける。
(説明)
(イ) 社会福祉協議会が地域社会の福祉に欠ける状態を解決するに当り,市町村の段階で解決困難な問
題は都道府県段階にもちあげ,それでも困難であれば全国的段階でとりあげるようにし,また全国
的あるいは都道府県視野の問頴を必要に応じて市町村段階まで徹底させるなど,全国各段階の社会
福祉協議会の間にいわゆるパイプをとおし,相互に援助協力しあえる系統的な組織が必要である。
(口) このような系統的な組織の基本的単位を市区町村の地域とした。これについては異論がないわけ
ではないが,わが国の地域社会の実情からみて,本要項にのべる性格,機能を具備し得るのは市町
村段階が最小の単位と考えられ, とくにニードを具体的にしその解決に要する社会資源の確保とい
う意味から考えても,また行政単位との関係から考えても,一応市町村の地域を基本的単位とする
が,現在では最も妥当であると考えられたのである。
しかし町村の場合はとにかく,市の場合,それも中都市の場合は実際にこれを基本的単位とする
ことには妥当性を欠く面があるし,また大都市の場合,基本的単位とした区と,それをふくむ市と
の関係をどう調整するかはきわめて微妙な問頴をもっている。
これらの点については今後なお検討するとともに,当面実情に即した解決がはかられるべきであ
ろう。
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い) 社会福祉協議会の組織は市区町村から都道府県・全国にいたるまで住民主体の原則が置かれてい
なければならない。基本的単位である市区町村社会福祉協議会は,後にのべるようにその構成にお
いて,住民主体の原則にもとづくよう考慮されているが,このような市町村社会福祉協議会が都道
府県社会福祉協議会の構成員の主軸となり,さらにこれら都道府県社会福祉協議会が全国社会福祉
協議会の構成員の主軸となることによって,社会福祉協議会の組織全体に住民主体の原則がつらぬ
かれることを基本的に保証し,あわせて各段階の社会福祉協議会の系統的な関係を確立しょうとし
ているのである。
(二) 郡社会福祉協議会を中間組織として数郡にわたるものをも規定したのは町村合併後の現状におい
て郡段階の社会福祉協議会の組織を位置づけたものである。
中間組織とは都道府県と町村各段階の社会福祉協議会の間の連絡,あるいは都道府県社会福祉協
議会の事業に協力し,とくに町村社会福祉協議会の育成に当る等の活動に重点をおき,それをすす
めるに適切な組織機構をもつといった意味である。したがって,郡社会福祉協議会は社会福祉協議
会の系統的組織の系列に属するとはいえその性格,機能,機構において,他の段階のものとくらベ
て差異がある、のは当然といえよう。
<市区町村社会福祉協議会>

市区町村社会福祉協議会は,地域の事情に応じて,それぞれの機能を効果的に推進するため,お
おむねつぎのものをもって構成される。
(1) 部落会,町内会等住民自治組織または地域住民
(2) 機能別,階層別各種住民組織
(3) 民生委員,児童委員協議会
(4) 医師,歯科医師,薬剤師,保健婦,助産婦等保健衛生関係者もしくはその団体
(5) 社会福祉,保健衛生関係の施設および団体
(6) 社会福祉,保健衛生,社会教育等の関係行政機関の代表またはその地域担当者
(説明)
(イ) ここでは市区町村社会福祉協議会の構成についてのべている。
市区町村社会福祉協議会の構成員は原則として組織体であることを主旨としているのである。こ
こでのべているのは,通念として考えられる構成員であって,ここにかかげた以外のもの,たとえ
ばいわゆる学識経験者その他の個人が,なるべく広範囲に参加することがのぞましい。構成員の範
囲は,当然地域事情に応じて地域ごとに考慮されるべきである。
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なお,この場合にいう区とは大都区に特別区のことである。
(口) 構成員を原則として組織体としたのは,関係機関・団体・施設はもとよりのことであるが,住民
の場合,たとえば全戸加入等の形態をみるにしても,実質的には住民組織が加入し,その代表を社
会福祉協議会の役員とするという形態が多いからである。
これらの組織を構成員とするについては,機械的・形式的に流れることなく,それぞれの組織の
自発的参加を促進し,その自主性が尊重されなければならないことはいうまでもない。
か) 部落会•町内会等住民自治組織または地域住民とあるのは,市区町村社会福祉協議会において,
現実に住民の参加方式が多様であり, しかもそれぞれの地域事情にもとづく必要性の上にたってす
すめられてきた方式であり,これを一つの型にはめることが困難であるからで,組織としての加入
・個々の住民の加入いずれも認めているのである。もちろん個々の住民の場合には,全住民が参加
するものと学識経験者あるいはボランテイアとしてその一部が入るものとが考えられる。
なお.これらの問題と関連して全戸加入方式については,自治組織がある場合はその加入を本旨
とし, したがってこの場合は間接加入の形をとるものと理解され,それがない場合には直接加入と
いうことになるわけである。
(二) 槻能別住民組織とは,特定の機能を果すために組織された住民団体をいい, たとえば農協, 漁
協,商店会, PTA など, あるいは特定の地域では労働組合等もそのなかに含まれると考えられ
る。
階層別住民組織とは,特定の機能をもつことはいうまでもないが,とくに住民の中の年令別,性
別の階層または社会的階層ごとに組織された住民団体で,たとえば青年団,婦人会あるいは未亡人
会,身障者団体などがあげられる。
(ホ) 関係機関,団体, 施設の構成員はこれまた地域事情により, 実際の参加の仕方には差異がある
が,基本的には役員構成においても,運営面においても,住民主体の原則を保証するよう配慮しな
ければならない。
とくに役員を一部の公私関係者で占めたり,あるいは行政機関の一方的指導に偏るなどの傾向は
厳に戒しめられるべきであろう。
ト) 従来, とくに自治体の行政組織から参加している構成員についてこれを自治体の代表とする解釈
がしばしばとられたが,これは当然行政機関の代表と考えるべきであろう。しかもその社会福祉協
議会における役割は行政面における専門家としての活動にあるので,その立場から参加,協力する
ようにし,いわゆる役所が主導権をとるということなどがないよう配慮しなければならない。
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  1. 市区町村社会福祉協議会は,その活動が地域住民の生活と直結するよう学校通学区または旧町村
    程度の地域ごとにその地域の社会福祉協議会またはこれに準ずる協議ならびに実践の組織を設け,
    もしくは既存の組織を活用し,社会福祉や保健衛生に関する活動の推進をはかる。
    (説明)
    (イ) 市区町村以下の組織づくりについては地域の広狭,人口の多少,地民組織の発展段階その他の地
    域事情により,その必要性,組織の形態および機能も異るので,ここでは概括的な表現に止めてあ
    る。
    ただ,町村合併後の現状からみて,少くとも学校通学区または旧町村程度の地域に,各種住民組
    織の連絡・協力をはかりあわせて市区町村社会福祉協議会の活動を地域社会にひろく浸透させるた
    めの,協議ならびに実践の組織の必要性はきわめて大きいといえる。
    このような組織が社会福祉協議会としての性格・機能・機構を具備するか,あるいは住民の協議
    組織に止まるか,また新たに組織をすすめる必要があるか,あるいは既存の組織を活用するが,さ
    らにこれらの組織を市区町村社会福祉協議会の支部とするかどうか,等のことは,全く地域事情に
    よるものといえよう。
    (口) この問隠と関連して,もっと小さな地域である町内・部落といった場における組織について考え
    ておく必要がある。
    この問頌も地域事情によって異るが, このような地域には一般に住民の自治会組織が普及してい
    るので,原則としてはこれらの組織と協力し,またこれを活用すべきであると考えられる。このよ
    うな組織がないか,またはあっても協力が困難な場合には,住民の協議と実践のための組織づくり
    をすすめることがあろう。

市区町村社会福祉協議会は当面する社会福祉や保健衛生の問題の対策をたてるに当り,ひろく関
連あるものの参加協力を得るため,必要に応じ問題別委員会等を設ける。
(説明)
(イ) 市町村社会福祉協議会がその機能を果すために,最も重要な手段として考えられることは,住民
の福祉増進について,その問頴を研究し,対策をたてるため,住民と公私関係者との話しあいの場
を設け,それを効果的に運営することである。
このような話しあいの場はとくに市区町村段階の場合,単に問題の対策をたてるだけでなく,当
然その対策の推進についても,相当程度の責任をもつものでなければならない。
(口) この話しあいの場は,必要に応じて設け,目的を達成したならば解散する機動性をもつ運営が必
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__________________________________
要になるのである。
ここでいう問題別委員会とはこのような話し合いの場であり,このような委員会が社会福祉協議
会活動の中心にならなければならない。

  1. 市区町村社会福祉協議会は,共同募金会支会,分会と協力して地域福祉計画に基づく共同募金運
    動を推進する。
    (説明)
    (イ) 共同募金運動は単なる金あつめでないことはいうまでもない。
    地域住民が自らの生活上の問頴を自覚し,これを解決するために協力して,社会資源の育成をは
    かることを促進するための運動と解すべきであろう。
    このことは当然,地域福祉計画と表裏の関係をもつものであって,そのいずれが欠けても,真に
    住民福祉の増進は達成できない。
    地域福祉計画の策定が社会福祉協議会の基本的機能の一つである以上,共同募金運動の推進につ
    いても,社会福祉協議会は責任をになっているのである。
    (口) 多くの市区町村においては,共同募金会の支会・分会と社会福祉協議会とが一体的に運営されて
    おる。
    共同募金は地域住民の寄附金を扱うのであるから,その配分・使途および会計・経理については
    公明かつ正確でなければないが,それが保証される限り共同募金運動の効果促進の見地から,でき
    るだけ社会福祉協議会と一元的な運営がなされるよう配慮するべきであろう。

市区町村社会福祉協議会は, その運営に要する経費として,共同募金の配分金, 構成員の醜出
金,公費の補助金等をもって当てる。
(説明)
(イ) 社会福祉協議会の運営において当面,最も大きな課逗の一つは,自主財源の確保をいかにして達
成するかということであろう。
民間の自主的な組織としての性格を保持するためには,すくなくともその運営に要する経費の主
たる部分を民間の自主的な財源によることが原則であろう。この点に則り運営に必要な財涼を確保
しなければならない。
(口) 社会福祉協議会の財源の現状をみると共同募金配分金,構成員の醜出金,公費の補助金がその基
本的なものとしてあげられる。
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__________________________________
このうち,共同募金の配分金と構成員の醜出金,とくに全戸加入の場合の会費とは純然たる民間
財源であり,社会福祉協議会の自主性を高めるためには,常にその増強がのぞまれる。
社会福祉協議会の活動費については,その多くが国および地方自治体の責任に関連するものであ
ることを考慮して,公の補助金の増強がのぞまれる。
<郡社会福祉協議会>

  1. 郡社会福祉協議会は,都道府県社会福祉協議会の行なう事業に協力し,併せて町村社会福祉協議
    会相互の連絡ならびにその育成に当る。
    (説明)
    (イ) 郡の段階の社会福祉協議会は,中間組織であるので,その機能は他の段階の社会福祉協議会と異
    ってくる。すなわち上部的な機構である都道府県社会福祉協議会の行なう事業にたいしては,その
    支部的な組織という立場で協力し,下部的な機構である町村社会福祉協議会の連絡と相互援助体制
    の促進をはかり,またその指導・育成に当ることが主たる機能となるであろう。
    (口) 都道府県社会福祉協議会の行なう事業にたいする協力とは,都道府県社会福祉協議会が全県的に
    あるいは特定の地域にたいして行なう各種の行事・事業につき,その指導の下に,末端町村地域に
    浸透・徹底をはかり,また町村社会福祉協議会の協力関係を強化して,その行事・事業の効果をあ
    げるための活動をいうのである。
    このような活動は,一方において常に都道府県社会福祉協議会の行なう町村社会福祉協議会の組
    織育成,活動強化に関する指導に協力し,町村社会福祉協議会にたいする援助,協力を怠らないこ
    とによって達成される。
    <都道府県社会福祉協議会>

都道府県社会福祉協議会はおおむねつぎのものをもって構成される。
(1) 市区町村社会福祉協議会(郡段階の社会福祉協議会のある場合はこれを含む)
(2) 機能別,階層別各種住民組織の県段階の連合体
(3) 民生委員・児童委員協議会
(4) 社会福祉,保健衛生関係の施設および団体
(5) 関係行政機関の代表
(説明)
(イ) 住民主体の原則は都道府県社会福祉協議会の組織においてもつらぬかなければならないことは
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(第4) においてのべたとおりであり,その意味から市区町村社会福祉協議会が都道府県社会福祉
協議会構成員の主軸となることは当然のことといえよう。この場合,郡段階の社会福祉協議会と町
村社会福祉協議会とが都道府県社会福祉協議会の梱成員として併列する。
(口) 住民主体の原則をなお一層保証するためには,社会福祉協議会以外の住民組猷が構成員として参
加することも,きわめて必要なことである。都道府県の段階には,市区町村あるいは郡段階の住民
組織の連合体が結成されている場合が多い。これら住民組織の連合体の参加を促進するとともに,
これらがすすんで社会福祉協議会の運営に参加し得る体制をととのえなければならない。
か) 尺生委員・児童委員協議会は市区町村社会福祉協議会と都道府県社会福祉協議会との両方に二重
加入することになる。この点については相当異論もあるが,わが国の社会福祉事業における民生委
員・児童委員の占める位置から考えて,覆状としてやむを得ないものと思われる。
しかし都道府県の段階に民生委員・児童委員の組揺,たとえば民生委員連盟などが結成されている
場合は, これが都道府県社会福祉協議会の|·翡成員となっても差支えなく必ずしも民生委員・児童委
員協議会の二重加入を考える必要はない。
(二) 社会福祉・保健衛生関係の施設についても,民生委員・児童委員協議会と同様のことがいえるの
であって,現状では二重加入の形が一般的と思われるが,都道府暴段隊の組織をつくっている場合
は,その組織が団体加入をしても差支えない。
いずれにしろ都道府県の実情によるものといえよう。要は民生委員・児童委員協議会にしろ,抑
設にしろ,それぞれの要求に応じた自主的活動が十分保証されることはもちろん必要であるが,同
時に社会福祉協議会の機能を果すために,これらの組織や施設が適切な所を得て活動をすすめ得る
体制を確立していかなければならない。
(ホ) 関係行政機関の代表については,原則として市区町村社会福祉協議会の場合と変りがないが,都
道府県の段階では行政の専門分化が相当の程度に達しているので, 社会福祉,保健衛生, 社会教
育,労働等各分野にまたがるだけでなく,各分野の中でも,それぞれの活動の専門行政官が社会福
祉協議会の運営に参加できるように配慮することがのぞましい。

都道府県社会福祉協議会は,市区町村社会福祉協議会にたいし,その自主活動を促進するため,
必要な連絡,指導を行なうとともに,都道府県全域の視野にたって,当面する社会福祉,保健衛生
の問題の対策をたて,その実施につとめる。
(説明)
(イ) 都道府県社会福祉協議会の構成員の主軸は市区町村社会福祉協議会であり, したがって前者は後
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__________________________________
者の連合体的性格が濃くなる。このような観点から都道府県社会福祉協議会の当面の機能として,
連合体としての機能と全県視野にたって活動する機能との二つがあるといわれる。ただし,全県的
視野にたつ活動を推進するためには,市区町村社会福祉協議会にたいして問題の徹底をはかり,こ
れと連携・協力しなければならないし,また市区町村社会福祉協議会の連絡・指導に当っては,当
然全県的視野にたって大局的な指導が必要である。
すなわち都道府県社会福祉協議会の機能に二面性があるといっても,実は楯の両面で一つのもの
を観点を変えてみているにすぎないのであって,決して異質のものではない。
この両面がどのように統一されるかは,各都道府県において社会福祉協議会が,住民主体の原則
に基づき,系統的な組織が確立されている程度によるものと考えられる。
(口) 都道府県全域の視野にたって,当面する問題の対策をたて,その実施につとめるに当っては,そ
れぞれの問題解決に関連あるものの協議と協力によらなければならない。このような協議と協力を
行なう場として,一般に問題別の委員会の運用が期待されている。都道府県段階の問題別委員会は
常設委員会と臨時委員会とがあるが,機動性をもち,社会福祉協議会活動の能率化をはかる上から
も,臨時委員会の活用がとくにのぞまれるところであろう。

都道府県社会福祉協議会は,都道府県共同募金会に協力して,地域福祉計画に基づく共同募金運
動を推進する。
(説明)
(イ) 共同募金運動は,現在都道府県を単位として実施されているので,その推進についてはとくに都
道府県社会福祉協議会の協力が必要であることはいうまでもない。
しかも地域福祉計画に基づく,社会資源の造成,維持,改善は,少なくとも現状では都道府県地
域の視野にたってはからなければならないものが多いので,その意味でも都道府県社会福祉協議会
の共同募金運動推進についての配慮がのぞまれる。
(口) 都道府県社会福祉協議会は常に住民のニードを明らかにし,その上にたって地域福祉計画をた
て,その中で民間社会福祉活動として開拓すべき部面を明らかにし,また共同募金で賄うことを必
要とする事業について調査研究を行ない,またその必要経費について検討し,募金,配分について
共同募金会に意見を提出しなければならない。
か) さらに都道府県社会福祉協議会は市区町村社会福祉協議会と共同募金会支会・分会との協力を促
進するために努力するとともに,募金計画,募金結果,寄付金の効果につき広報活動を展開する必
要がある。
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__________________________________
14 都道府県社会福祉協議会は,その運営に要する経費として, 構成員の醸出金, 共同募金の配分
金,公費の補助金等をもって当てる。
(説明)
(イ) 都道府県社会福祉協議会の場合も財源の柱は市区町村社会福祉協議会と同じであり,自主財源の
確立についても同様のことがいえる。
(口) とくに都道府県社会福祉協議会の場合.構成員の醸出金について,三つの問題がある。
まず構成員の主軸である市区町村社会福祉協議会の会費については,社会福祉協議会の系統的組
織を確立する上からも,きわめて重要な恋味をもち,公平で適切な金額が考慮されなければならな
い。
つぎに都道府県社会福祉協議会の構成員であって,市区町村社会福祉協議会にも二重加入するも
のの都道府県社会福祉協議会に納付する会費については,原則としてこれを納入すべきであり,そ
の金額・醜出方法等については,各都道府県の事情に応じて処埋すべきである。
最後に,その他の構成員,たとえば住民組織の連合体あるいは保健衛生団体等にしても,その自
発的参加の気運を促進するため,会費を納入する協制を確立することがのぞましい。
<全国社会福祉協議会>

  1. 全国社会福祉協議会は,都道府県社会福祉協議会をもって柚成される。
    (説明)
    (イ) 全国社会福祉協議会の構成については,都道府県社会福祉協議会の連合体である現在の姿をその
    のままべている。
    この点については系統的な組織の頂点として一応肯けることとされたが,同時に都道府県社会福
    祉協議会並びに市区町村社会福祉協濠会の組織・構成と同様のものにすべきであるとの異論もあ
    る。しかし社会福祉協議会が現在の状態から,真に住民主体の原則にたった組織系列を完成するた
    めには,ある程度の時間的経過が必要であり,その進行は当然,市区町村,都道府県の段階が確立
    された上で,全国段階においてもすすめられるということが考慮され,こうした表現となった。
    (口) ただし,上のような理由に基づくものであるから,全国社会福祉協議会の構成に関するこの条項
    は,暫定的なものと考えられ,将来市区町村社会福祉協議会,都道府県社会福祉協議会の構成と同
    様趣旨のものに改訂せらるべきものと考えられる。

全国社会福祉協議会は,都道府県社会福祉協議会の連絡指導に当るとともに各種住民組織の全国
-26-
__________________________________
的連合体ならびに社会福祉,保健衛生関係の職能別および業種別中央団体と常に連絡提携をはか
り,全国的視野にたって,当面する社会福祉や保健衛生の問題の対策をたて,これを推進する。
(説明)
(イ) 全国社会福祉協議会の機能としては二つの面が考えられるが,その意義ならびに内容は部道府県
社会福祉協議会の場合と全く同様である。
(口) 全国社会福祉協議会の場合は住民組織の連合体並びに社会福祉保健衛生の関係団体は,現状では
直接の構成員とならないので,とくにこれらの組織との連絡提携をはかることが重要であり,漸進
的にこれらの組織が積極的に社会福祉協議会の構成員となるよう体制の整備をはかることが必要と
なろう。
17 .全国社会福祉協議会は,中央共同募金会に協力して,地域福祉計画にもとづく共同募金運動を推
進する。
(説明)
(イ) 全国社会福祉協議会も中央共同募金会も,それぞれ都道府県のそれらの連合体であるので,共同
募金運動の推進はあくまで,都道府県および市区町村段階での社会福祉協議会と共同募金会の活動
を促進,援助することが主たるねらいとなろう。
(口) この場合,全国社会福祉協議会は中央共同募金会に協力して,全国的視野にたって,共同募金運
動を推進すべきであるとともに,各都道府県における共同募金運動が地域福祉計画に基づく運動と
して確立されるよう促進しなければならない。
18 .全国社会福祉協議会は,その連営に要する経費として構成員の醜出金,公費の補助金等をもって
当てる。
(説明)
(イ) 都道府県および市区町村段階の社会福祉協議会と同様,全国社会福祉協議会も自主財源を確保す
ることが必要であるが,その基本的なものは構成員の醜出金によるべきでその他各種の事業収入寄
付金等を併せて,主たる経費に当てるべきである。
(口) 公費の補助金については,都道府県および市区町村段階の社会福祉協議会におけるそれと同一の
考え方にたつて,すなわち社会資源の活用,造成という見地から,その増強をはかるべきであろう。
<事務局・専門転員>

社会福祉協議会は,市区町村,都道府県,全国それぞれの段階ごとに事務局を設け,社会調査な
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らびに組織活動の専門職員をおく。
(説明)
(イ) 社会福祉協議会の現状において事務局の果す役割は大きい。
事務局は社会福祉協議会が,住民主体の原則に基づき,その活動をすすめるために必要な指導力
をもつよう,常にその充実をはかるとともに,会務の民主的な運営につとめ,いわゆる事務的独裁
というような現象がでることを防がねばならない。
(口) 上記の体制が確立されるために当面,きわめて重要なことは,それぞれの事務局に,各段階毎の
社会福祉協議会の規模に応じて,専任の専門職員がおかれることである。
いここにいう社会調査ならびに組織活動の専門職員とは, コミュニテイ・オーガニゼーシゴンの基
礎的な知識と技術を体得し,実践的な指導力をもつものである。
(備考)
市区町村社会福祉協議会は,その性格機能,構成が本要領に規定するものと原則的に一致するなら
ば,必すしも社会福祉協議会の名称にとらわれる必要はない。
(説明)
社会福祉協濠会は,住民福祉の増進を目的とし, コミュニテイ・オーガニゼーションの方法を綜合
的に適用することを主たる機能として(第5) に示すような構成をもっているが,市区町村段階の場
合,原則的に以上の条件を充すならばその名称は社会福祉協議会でなくてもよいという忍味である。
たとえば保健福祉協議会,住民福祉協議会などの名称はもちろん差支えないので,本要項に規定する
社会福祉協議会の系列に含まれるわけである。
ただし「協議会」という字句は社会福祉協議会の性格を表現するものとして,原則として具体的な
名称に付することがのぞましい。
また都道府県,全国段階では今後も社会福祉協議会の名称に統一されることがのぞましい。
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