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【県社協シリーズ】No.28

【県社協シリーズ】No.28 地域福祉活動を推進するために

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県社協シリーズNo.28
昭和53年12月
地域福祉活動を推進するために
ー在宅福祉サービスを重点ー
新しい社会福祉の流れとして地域福祉への指向が進んでいるなかで,
当面特に在宅福祉サービスの推進は, わが国における社会福祉の重要
な課頗のひとつになっている。
こうしたなかで, 社協に対して地域福祉推進に大きな役割を果たし
てほしいという期待が高まってきているが, 本年度開催された全国都道府
県社協地域組織担当部課長会議において討議された在宅福祉をめぐる
社招の課題を次にあげてみた。
く在宅福祉サービス推進の事業内容>
Ⅰ在宅福祉サービスのための福祉コミュニティづくり
在宅福祉サービスに係わるニーズと対象者に対する理解, サービスのための諸活動は住民参加の
協力がなければ成立し得ない。
福祉コミュニティづくりの課題としては, 要援護者の発生を予防するための予防的あるいは福祉
を増進するための諸活動, および要援護者に対する資源調達サービスを含めて, 地域組識活動, 福
祉組識活動等福祉の町づくりを基盤として推進されなければならない。
Ⅱ要援護者に対する福祉サービスの推進
(1) ねたきり・病弱の障害者・老人のための援助対策
① 家庭奉仕事業の充実強化
② 要援護者を抱える家庭に対する援助
(2) ひとり暮し, 老人夫婦世帯および障害者夫婦世帯等々に対する在宅福祉サービス
Ⅲ福祉教育。ボランティア活動の推進
Ⅳ調査広報活動の推進
Ⅴ福祉施設の地域開放の促進と中間利用施設の整備
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Ⅵ在宅福祉サービスの体制整備を推進する
(1) 在宅福祉サ_ ビスを効果的に推進するためには, まずその責任主体である市町村行政, 福祉事
務所, 保健所, 各種相談所等の機能を充実しなければならない。
特に直接の担い手となる家庭奉仕員, 各種専門員, 各種専門家, 現業員の充実強化をはからね
ばならなし‘o
(2) 社協の機能強化と体勢整備を急がねばならない。
在宅福祉サービスの推進は住民の協力参加には不可欠である。この立場から中核的役割を果た
すと期待される社協は, 以下の機能を強化する必要がある。
① 在宅福祉サービスに関するニーズ把握, 組織化を基礎に在宅福祉サービスの企画・立案・実
施面の指導にとり<む
② 当該地域の公私の福祉団体・施設・機関・医療・教育・労働等を含めた連絡調整を積極的に
行い, 在宅福祉サービスのネットワークづくりをすすめる。
③ ボランティアの確保, ボランティアセンターの充実強化をはかる。
④ 民生児童委員活動の推進強化をはかる。
⑤ 福祉教育, 社会福祉の情報サービスの強化をはかる。地域ごとに情報機能をもつ公私の機関・
組織を整備する。
(3) 施設サービスの強化
在宅福祉サービスの効果をあげるためには, 社会福祉施設への対応は重要であり, 以下の点を
強化する。
① 収容施設の地域開放の促進
② 施設機能の再検討と新規施設の建設
地域の実情に応じた施設の研究
③ とくにディ・ケア, ショート・ステイ・ホーム等先駆的に行っている事業に研究助成を行う。
(4) 在宅福祉サービス推進協議会の設置
行政, 民間, 保健, 医療, 教育等の他分野の協力連携をはかるために, 市町村レベルに「在宅
福祉サービス推進協議会」を新たにつくり, サービスのプログラム策定, 活動の調整を行う。社
協は, この設置運営に積極的にとり<む。
く市町村社協の重点的事業(案) >
在宅福祉サービスを中心にすえた地域福祉活動の増進をはかることは, 今日全国社協の共通課頗で
ある。各段階の社協は住民主体と住民参加という社協の基本理念を現代的に再確認し, 地域福祉活動
の展開として, より積極的な運動の視点から在宅福祉サービスを根つかせ育てる活動にとり<む。そ
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のための社協の役割・機能を明らかにし, 組織的に一貫した事業の推進をはからなければならない。
とりわけ第一線の市町村社協の役割は重視され, 機能強化態勢の整備は急がなければならない。以下
は当面重点としてとり<む事業の内容である。
Ⅰ在宅福祉サービスの体制整備について
ここでいう在宅福祉サービスの具体的内容は, 老人・障害者(児)・母子・父子・低所得者等援
護を要するものに対して, 家族, 家庭機能に代替される内容のものを, 住民の参加と専門家の協力
を得ながら地域社会に体系化し整備することにある。
「在宅福祉サービス推進委員会」の設置運営
在宅福祉サービスの推進をはかるために, サービスに係わるニード把握, 組織化, 企画・立案,
実施, 調整は不可欠の業務である。社協は公私協力による委員会の設置運営等について推進をはか
る。公私の役割分担については具体的とりくみを通じて各々が担うべき課題と役割を明らかにして
しヽ<。
(業務内容〕
(1) 在宅福祉サービスに係わるニード把握, 組織化
(2) 在宅福祉サービスの企画, 運営, 指導
(3) 福祉サービス職員, 奉仕者( ボランティア)の共働活動の促進と連絡指導
(家庭奉仕員, ケースワーカー, 保健婦, 教育関係者, ボランティア等との地域福祉研究会の
実施等)
(4) 家庭奉仕員事業への協力
(5) 福祉相談事業の運営
(6) 低所得者に対する福祉サービスの企画, 運営, 指導
(世更, 法外援護, 小口資金貸付, 歳末たすけあい, 善銀等の貸与, 給付等の推進)
〔具体的サービスの内容〕
l 対象者の自宅で提供される日常生活援助
(1) 友愛訪問
(2) 配食サービス
(3) 家事・身辺援助(入浴, 洗濯, 掃除, 布団乾燥, 買物, 散歩等々)
(4) 福祉電話, ベル等
(5) 介護器具の支給, 貸与
(6) 訪問健康管理, 健康相談, 指導
(7) 訪問介護
(8) 訪問教師サービス(障害児等)
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(6)(7)(8)については専門機関等と協力してとり<む
2 通園・通所によるサービス
(1) 各種福祉センター, 児童館, いこいの家等による文化, 教養, レクリェションサービス
(2) 授産事業
(3) ディ・ケア(介護リハビリ, 学童保育等)
(4) 食事サービス
3 低所得者に対する福祉サービス
4 各種相談サービス
(心配ごと相談結婚相談, 高齢者就労相談等々)
Ⅱ 地域福祉福祉組織活動の推進強化
要援護的状態の発生を予防し, すべての地域住民が相互に支え合いながら, 住みよい地域社会を
つくるための, いわゆる地域組織活動は, 在宅福祉サービスの基盤であり従来にも増して重要な活
動であるc
この場合も, 在宅福祉サービスのための福祉コミュニティづくりを視点に展開される必要があろ
う。
〔業務内容〕
1調査・広報の推進
(1) 問題別委員会の運営
(2) 各種調査の企画実施
(3) 広報・宣伝紙の編集発行
2 地区住民福祉活動の推進
(1) 地区住民の福祉活動に対する協力助言
(2) 児童・障害者(児) ・老人・環境問縣など地区を基盤にすすめる住民福祉活動の企画, 実施
(3) 役員, リーダー等民間福祉活動指導者の教育, 研修の企画, 実施
3 福祉組織化の推進
(1) 福祉団体・機関・施設の福祉サービス水準向上と共同の促進
(2) 福祉団体の組織化, 活動の援助(民協, 老人クラブ, 障害者団体, 母子福祉会等の育成, 強
化, 連絡調整, 共働事業の企画, 推進)
(3) 地域の中にある他機関従事者の組織化, 育成, 連携への協力
(4) 要援護家族, 団体との連絡調整, 活動援助, 教育研修, 共働事業の企画, 推進
(5) 社会福祉関係職員, 奉仕者(ボランティア) の研修
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4 ボランティアセンターの運営(善意銀行の運営)
(1) ボランティアセンター運営委員会の運営
(2) ボランティアに関する啓豪, 開発, 研修の企画, 実施
(3) ボランティア登録, 斡旋
(4) ボランティア活動に関する調査, 情報の収集と提供
〔具体的サービスの内容〕
1 予防的サービス
(1) 健康増進のための諸活動
(2) 家庭介護者の研修, 指導, 健康管理, 休養の機会の提供
(3) 地区住民の活動の場の協力推進
(4) 福祉の町づくりキャンペーン
2 福祉増進的サービス
(1) ボランティア活動の推進
(2) 児童健全育成(遊び場, 児童文庫, ボランティア協力校, 事故防止活動, 保育所, 学童保育,
母子保健等々)
(3) 老人の生きかい活動
(4) 要援護家族の組織化
(5) 生活改善サービス(冠婚葬祭用具の貸出等生活改善のための研修)
(6) 一般住民への福祉講座
III 専門的福祉サービスに係わる協力
医療, 看護, リハビリ, 教育, カウンセリング, ホームヘルプ, 労働, 保護, 養護等の各分野に
おける専門的, 準専門的サービスは公的責任に属する内容のものか多いが, 施設処遇水準の向上,
新しいニーズに基づく新しい地域施設の開発, 施設の社会化, 地域化, 在宅における専門・準専門
サービスの開発等緊急を要する課頗である。
また, 専門サービスと住民・ボランティアとの共働化は処遇向上を増進する。社協はこれら分野
における組織化, 共働の促進, 連絡調整, 開拓等公私協同の諸活動を推進する。
Ⅳ社協態続の基盤・運営管理の強化
社協の機能・態勢の強化の要は財政の確立, 職員の確保である。現状は財政も職員配置も決して
充実しているとはいいがたい。
一部の町村にあっては, いまだ運営管理にあたる職員が行政から出向している例かみられるが,
社協の成熟度に応じて, 社協活動に理解と経験の深い管理職員の採用と専任制に努力しなければな
らない。
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また, こうした課題に応えることのできる専門性をもった職員の確保, 研修の強化にとり<む必
要がある。
V 地域福祉, 在宅福祉サービス事業の一貫性と地域特性の強化
事業・活動の具体的推進は, いずれも地理的, 社会経済的, 文化的地域の情況に応じて優先順位,
実施, 方法等とくに市段階と町村段階の社会資源等の実情を検討し, 積極的, 創意のある推進をし
なければならない。
また, 在宅福祉サービスの推進は市町村, 都道府県, 全国段階それぞれの社協の性格, 機能, 役
割を明らかにし, 全国的に一貫性のあるとりくみをおこなう。
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地域福祉・在宅福祉サービスの推進体系
市町村社協
在宅福祉サービス推進委員会
(ニード把握, 資源造成, 組織化, サービス推進)
• 在宅福祉サービスの推進協議会設置運営
・社会福祉施設, 通所利用施設の整備促進, 連けい
・機関, 施設, 団体等の連絡調整
・住民参加の促進(民生委員, 老人クラブ, ボランティア, 活動の強化, 要
援護者その家族の組織化, 在宅福祉サービス推進協力者の組織化等)
・地域福祉研究会議
• 各種相談活動
• 世帯更生資金貸付
・ボランティアセンターの運営
• 福祉ニードの把握
• 福祉情報の提供
・具体的日常生活援助の展開
・ホームヘルパー活動への協力
都道府県社協
地域福祉推進協議会
(サービスの計画・立案・普及・推進)
・市町村普及地域の設置, 指導
・地域福祉サービス推進者, 協力者の組織化
(施設専門職員, 保健婦, ホームヘルパー, 民生委員, 老人クラブ, ボラ
ンティア福祉, 保健, 医療関係機関, 団体等)
• 福祉施設, 通所利用施設の整備促進, 連絡調整
・市町村社協体制の強化
・地域福祉研究会議
• 各種専門機関の連絡調整
• 各種相談活動の充実, 研修
• 世帯更生資金貸付の強化
・社会福祉調査, 情報提供
・ボランティアセンター運営
前社協
• 在宅福祉サービスのあり方に関する研究委員会の設置運営
・全国地域福祉研究会議
• 在宅福祉サービス推進者, 協力者の組織化と研究会議
・社協機能組織強化推進
・市町村普及地域の促進
・地域福祉サービスセンター設置促進と調査研究
・社会福祉施設, 通所利用施設に関する研究, 促進
• 各種相談活動の企画, 研修
• 世帯更生資金貸付制度の強化
• 各種専門機関の連絡調整
・社会福祉に関する調査, 研究
• 福祉情報センターの運営, 情報提供
・ボランティアセンターの運営
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