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【県社協シリーズ】第二集

【県社協シリーズ】第二集 しあわせはみんなのチエと力で

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県社協シリーズ第二集
しあわせはみんなのチエと力で
明るく住みよい地域社会建設のために
昭和35年8月
社会福祉法人徳島県社会福祉協議会


推薦のことば
人間は誰でも幸福な生活を希つております。しかしながら現実には、自分自身が生きることでせい 一杯の努力をしなければならない世の中であります。
世間では、個人や家族だけの力ではどうにもならない問題がたくさんあります。しかしながらこれ をそのま諦めたり捨てしまっては世の中は何時までたつてもよくはなりません。これを社会全体 のたすけあいによつて少しでもよくし、又こうした不幸を予防することにより住みよい社会にしよう
とする努力が私達の生活の上でもなければならないと思います。
社会福祉協議会というのは、こうした仕事を進めてゆくうえに是非とも必要な話し合いの場であり ます。本県でも市町村社会福祉協議会の育成に努力をいたしておりますが、この運営指導が特に要請 せられておりましたところ、今回県社会福祉協議会がこうした問題を適切にとらえ、市町村の社会福 祉協議会の運営について詳しい指導書を刊行されましたことはまことに時宜を得たものと心からよろ こびに堪えないと共に是非とも一人でも多くの関係者に読んでいたいきたいと念願し推薦をする次第
です。
昭和三十五年八月
徳島県厚生労働部
遠藤為吉



しあわせをみんなの手で
―挨拶にかえて!
月のむこう側までロケットが飛んで行くというすばらしい、輝やける黄金の年代がはじまりまし た。
科学の発達は、人類にとつて新しい時代がやってきたことを示しています。
ところがそんな時代になっても、私たちの町や村にはまだまだ多くの困った問題が沢山解決されずに ☆現代の不安貧困と病気――この悪循環は人類の長い歴史上の宿命として放置されています。
残っています。
☆児童と青少年――いとけない生命の灯が瞬間にして消されています。 ☆科学は人間に長寿を保障しました。けれども老後の生活の不安も同時にもたらしているのです。 ☆私達はお互いにどうしたらよいかを考えてみましよう。みなさんの智恵と工夫と力を合せて解決を
しようと思います。
この努力は地道ですが、地域ごとにグループごとにくりかえし、くりかえし話し合い、積み重ねて いかなければならないと思います。
☆生活を高める明るい町づくりのために
☆健康にして文化的な美しい町づくりのために
☆子供を危険から守るために
☆老後を幸せと長寿を保障するために
☆生きた調査は運動を生み、運動は解決する力になるでしょう ☆社会問題は小石のうちに気づかぬと大変なことにまで発展します
みんなのつぶやきが、みんな、ひとつのこらず聞える市町村社会福祉協議会をみんなの手で作り、も りたて、明るい町づくりの基礎ができるよう心からお願いします。
昭和三十五年八月
徳島県社会福祉協議会 会長山口一雄



まえがき
一、徳島県下の市町村では、社会福祉協議会を結成し、相当活発な活動を展開し、みごとな成果をあげつくあるもの を次第に現れてきたが、単に組織だけの看板社協”、町村合併等で組織を改組しなければならないもの、未だ
社協結成の運びとならないものが数多くある。 二、社会福祉協議会をつくっても資金がない。専任職員がおけないので、その活動は市町村の外郭団体のようなもの
で、特定の行事だけに限定しようとする消極的な向きもないではないが、これでは真に住民の福祉は図れない。 厚生省は一昨年厚生白書を発表して、民間の自主的な社会福祉活動を要望しているか、この社会福祉活動は、社 会事業関係者だけでなく、広く関係者が手をつないで地域全住民が参加し、太同団結して社会資源を活用し、住 民の福祉と健康にして明るい町づくり、美しい村づくり運動を具体的に推進しなければならないことを切望して いるのである。
三、当面する社会福祉協議会活動には、幾多の問題と隘路が横たわっている。
法制化の問題、補助金について、共同募金との関係、体質改善等、研究討議し、地域における組織活動の中で解 決すべきもの、県や国に要請しなければならないものがある。然し、まず関係者が考えなければならないこと は、近視眼的偏見や縄張り的セットはなくして、正しい社会福祉協議会の在り方、運営について十分研究し、地
域において住民に直結した福祉活動の中からこの問題の方向を見出さなければならない。
四、徳島県社会福祉協議会では昭和三十三年十月県社協シリーズ第一集”を発行し、これらの問題をとりあげた が、今回シリーズ第二集』として再度とりあげました。
広く関係方面の資料を借用したものが多く、研究不十分で完全なものともいえないが、今後市町村社会福祉協議 会の結成と育成のために資料として戴けば幸甚です。
昭和三十五年八月
徳島県社会福祉協議会



目次
推せんのことば 徳島県厚生労働部 遠藤為吉
しあわせをみんなの手で―挨拶にかえて―
徳島県社会福祉協議会長 山口一雄
まえがき 徳島県社会福祉協議会
一、社会福祉協議会は何を目的としているか ・・・1
(一)社会福祉協議会とは ・・・1
(二)社会福祉協議会の比喻三つ ・・・1
二、市町村社会福祉協議会について ・・・2
(一)組織について ・・・2
(二)構成分子 ・・・2
(三)役員構成について ・・・4
三、市町村社会福祉協議会活動をどのように進めるか ・・・5
(一)地域の福祉に欠ける状態をつかむこと ・・・5
(二)地域の福祉に欠ける状態の克服につとめる ・・・5
(三)組織の強化をはかる ・・・7
(四)部会を設置し、部会活動を活発に推進 ・・・8
四、市町村社会福祉協議会の財政について ・・・9
(一)金がなくてもできる仕事もある ・・・9
(二)必要な仕事のために、必要な金は必ずできる ・・・9
(三)共同募金の配分をうける ・・・9
(四)市町村から公費の支出が受けられる ・・・10
(五)市町村社会で自主的に会費制を実施すること ・・・10
五、事例 ・・・11
(一)積み重ね方式によつてつくられた大麻町 ・・・11
社会福祉協会のあらまし
(二)各種団体と協議し、上から下へと発展する ・・・15
小松島市社会福祉協議会
六、公民館活動と社会福祉協議会活動との連絡提携について ・・・20
(一)両者の相違点と類似点 ・・・20
(二)両者は当然相協力しなければならない ・・・21
七、これからの地域社協で特にとりあげなければならない仕事 ・・・21
(一)世带更生運動 ・・・21
(二)保健福祉地区組織活動 ・・・23
(三)児童福祉の仕事 ・・・24
(四)母子福祉の仕事 ・・・26
(五)老人福祉の仕事 ・・・27
1老人クラブの運営 ・・・27
2老人大学開校の手引 ・・・29
(六)内職旋の仕事 ・・・32
(七)共同募金を推進する仕事 ・・・32
八、市町村社会福祉協議会規約(準則) ・・・33
九、市町村社会福祉協議会で実施する主な事業例 ・・・35
十 、市町村社会福祉協議会月別行事例 ・・・38
参考資料
一、市区町村社会福祉協議会当面の活動方針 (全国社会福祉協議会) ・・・42
二、小地域社会福祉協議会組織の整備について通ちよう ・・・45
三、心配ごと相談所運営要領 ・・・47
四、社会福祉のボランティア活動の推進のために ・・・51



☆社会福祉協議会は何を目的としているか
社会福祉事業法第七十四条で都道府県社会福祉協議会の事業目的を 掲げているが、これは都道府県単位の協議会について、法律に必要な 最少限の事項を示している。
市町村社会福祉協議会は、勿論都道府県と市町村では地域社会の事 情も異にするので、すべて目的とか事業が合致するとはいえないが、 基本要領については同じように考えるべきだ。
(一)社会福祉協議会とは
社会福祉協議会は、一定の地域社会において、広く社会福祉事業の
公私関係者や関心をもつものが集まって、解決を要する問題につい て調査し、協議を行い、対策をたて、その実践に必要なあらゆる手 段や機能を推進し、もつて社会福祉事業を発展せしめ、当該地域社 会の福祉を増進することを企図する民間の自主的な組織である。 従って市町村社会福祉協議会は、社会事業関係者並びに社会福祉に 関心をもつ地域居住者が相協力して、地域内住民の福祉の増進を図 ることを目的とし、さらにその事業としては、
1 地域内の社会福祉に関する諸問題につき調査を行い、資料を集
め、これに基づいて対策を協議し、実施計画をたてる。
2 実践計画に基づいて関係機関にこれを実践せしめ、あるいは自ら これを行う。例えば児童福祉の増進、保健衛生の向上、生活の改
善、レクリエーションその他文化施設の育成、季節保育所その他社
会福祉施設の実施等。
3 社会福祉事業に対する住民の理解と関心をたかめるための諸活動を行う。
4 共同募金運動に協力する。
道路が悪くてつまづいてころんで、げたの鼻緒が切れた。その切れ た鼻緒をすぐ直してやるのが今迄の社会福祉事業であつた。 道路を修繕しなければ、つまずいてころんでげたの鼻緒を切るもの
は絶えない。
そこでとろぶ者がないように道路を修繕し、アスファルト、コンク リート、気持のよい道路を作ることに努力しよう。これが今日の社会 福祉事業であるとたとえた人があるが、これが社会福祉協議会の目的 である。
(二)社会福祉協議会の比喻三つ
1 社協『寄せ鍋論』
(イ) 寄せ鍋はいろいろなものを一踏にグタグタ煮て調味料を入れる 一 事によつて、あの特殊なおいしい妙味がある。これを別々に煮た
のではおの美味さはない。
(ロ) 社協は関係機関、団体や住民が一つになる『寄せ鍋』の水であ り、社協の指導者や中核の人又はそれぞれの専門家は調味料にな つて、地域住民の福祉増進、健康にして文化的な生活を向上して 行くものだ。
2 社協『コンクリート』論
(イ) コンクリートは、セメント、砂、砂利、水を上手に混合し、十 分ミックスすることによつてしつかり固まって永久的なものがで きる。
(ロ) コンクリートの材料も、個々ではその物だけの役割しか果せな
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い。
社協は、このコンクリートのようなものである。
三 社協の『便所論』
(イ) 人間が生きている以上生理的排泄作用がある。どこの家にもそ の家の格式に応じて、この排泄物を処理する便所がある。
(ロ) この家の便所は、掃除をしなければ美しくならない。ところが掃除は、主婦だけがする仕事だと家族が協力しなければ、何時も
美しく感じのよい便所とならない。
(ハ) 町や村という社会も一軒の家と同じである。町村民は家族であ
るとすれば、ここにも排泄物はでる。それを処理し汚さぬように 何時も清潔にしておくのが社会福祉事業であり、社会福祉協議会 である。
☆市町村社会福祉協議会について
一、組織について
1 第一の特徴
関係行政機関の役職員(公務員)と民間団体、民間人が一体となっ
て社会福祉事業を推進する。
2 第二の特徴
公私社会福祉事業の関係者だけでなく、間接的にでも社会福祉の増
進ということにつながりをもつている団体の代表者たちが参加する
ということである。
3性格
(ロ) 法律的な談決機関ではなく、相互に話し合い窟見を交え,常識 的にも納得できるであろうと思われるような、最もよい考えをま とめて行く場所である。
回 代表者はその背景とする組織体の利害を代弁したり、主張する ための代表者ではなく、それぞれ組織体の事情を他のものに深く 理解せしめ、又協議会の話し合いの様子をその組織体に伝えて理
解せしめる伝達役である。
4 民生委員の立場
民生委員とその組織は社協の中核となり、将来民生委員は、この社 会福祉協議会を通じて自主的奉仕活動を強力に推進していくことが 期待される。
二構成分子
民生委員協議会、市町村理事者、市町村教育委員会、市町村議会( 女教、厚生労働)、学校公民館関係、公的行政指導機関、公私社会 福祉施設、医師会、PTA母の会、婦人会、未亡人会、老人クラブ 青年団、身体障害者会、保健衛生団体、遺族会、同和会、保護司会 消防団、防犯協会、地域子供会、宗教団体、産業関係、文化報道関 係、町内会、部落会等の市町村においてその町を明るくし、美しく しようとするすべての機関、団体が構成分子となる。
(註)市町村社会福祉協議会は団体の上に団体を作るのではないか? 市町村社会福祉協議会の組織構成について説明していると、必ず〝団体の上に団体を作るのではないか〟・・・・・・という質問を受ける。実 際各市町村においては、直接間接に社協の構成分子となるべき公私
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の機関、団体、委員会、委員制度、協議会は少くとも三十以上ある のが普通である。そして市町村内の指導的な立場にある有力者は、 一人でその五つにも六つにも関係しているのが、普通である。 このように沢山の団体や機関があつて、ただでもその地域の有力者 はもて余し気味であるのに、また同じような地域内の各種機関団体
を構成分子とする社会福祉協議会』という団体がさらに一つふ えるだけだと市町村の人が考えるならば『主旨は結構なことであ るが、これ以上忙しくなることは辛抱しきれない』と思われるの も無理だとはいえない。又一方では、既存の機関や団体などを構 成分子として、その上に後から生まれた社会福祉協議会がデンと 乗つかつて、指揮命令をし、各自の行動に統制を加えるのであろ うなどと想像をたくましくされ、反感をもたれる場合も少なくな いのである。
ところが例えば、青年団は青年団としての独自の使命をもつてい る。というよりは、独自の使命をもつているからこそ厳として存
在する必要があるのである。
その使命として団員である青年たちの健全な身心の成長、特に成 人して社会人として活動するようになった場合に、より確固たる 3

社会観を身につけなければならない。 そのためには、単に討論し合うとか、講演を聞くとかの方法ばか りでなく、団員一人一人が何かの実践を通じてそうした社会観を 身につけて行く機会をつくる必要がある。その機会の一つとし て、青年団活動の指導者は社会福祉協議会のとりあげているいろ いろな活動を実践することがよいのである。
又青年団だけで意図ても単独では実現できない困難な問題も、社 会福祉協議会の問題として採り上げ、関係各団体がそれぞれの領域 において協力して解決に当るならば、青年達の夢も決して夢でなく 、比較的容易に現実に効果をあらわして来ると期待されるからである。
即ち社会福祉協議会は、青年団関係者の関心をより発展させること
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によって、その地域の問題解決ができ、ひいては地域の青年達の成 長をまねくという二重の効果が得られるのである。 このようなことは、未亡人会にも、身体障害者会にも、すべての団 体にいえることである。
要約すれば
①講成分子となる各種機関や団体は、その任務その仕事の一部分
に必ず全住民の福祉に関係するものをもっている。 そこでその社会福祉に関係のある部分、その部分だけについて差 しつかえない限り協議会にもち出して、皆の意見を聞き、また皆 の協力を得て、より適切な計画を、より効果的にどこまでも納得 ずくでやれるようにして行こうというのである。
②従って社会福祉協議会は、役員会で協議し決定したものを何も かもすべて協議会の仕事として実行しようというのではない。協 議したことは、まずなるべくそれらの構成分子にやってもらっ て、他の構成分子も全面協力することである。
そして、だれもやらない仕事、やるのに適当でない仕事、あるい は全国、全県に共通する運動や行事のような仕事、こういった住 民の福祉に欠けると思われるのを区別して、全構成分子の了解の 下に協議会自らの名によって実行するのである。
三、役員構成について
市町村における協議会は、その性格上およそ地域の福祉に関連のあ るものは官公私の施設たると個人たるとを問わず、一体となって参 加協力することが特長であるので、その組織の長は、協議会活動に 理解と熱意とをもつている人であれば、だれでも差しつかえない性
質のものである。
従って市町村長が会長となることも考えられる。事実、市町村長が 会長をつとめている社会福祉協議会が少なくないけれども、この場 合、その協議会が民間団体としての自由かつ達な自主性を失って、 役場の外郭団体として萎縮し固定化してしまうようなことがないよ うに十分注意する必要がある。又市町村会議長や民生委員が会長と なつているところも少なくない。
だれが会長、役員になるにしても、自主性と民主的運営をたてまえ とする社会福祉協議会が、封建的なポス的勢力によって支配される ことは絶対いけない。それがいかなる意味でもポスに支配されると きは、会員の善意と熱意は後退し、不満と消極性がみなぎることに なる。ではどのような人を役員に選べばよいか。
① 指導統制の上手な人。
②広く関係者とともに実践力のある人。 社協活動を理解し、組織運営活動を推進し得る人。
しかも役員として選出された場合は、
④役員は単に役員会に出席して意見を述べ協議するだけでなく、 各現地の福祉推進について実践活動の指導者となり、中核体となること。
⑤ 役員自身の社協理念と、そのあり方の意識統一をすること。 が肝要である。
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☆市町村社会福祉協議会活動をどのように進めるか
社協活動は住民のさまざまの生活上の要求 (ニード)をとりあげ、 明るく住みよい豊かな生活をするよう組織活動を通じて解決の道をは かることを目標としている。
そのためには、先ず社協の活動は住民の生活にしつかりと結びつく ことが大切である。
活動の在り方としては、住民が協力しやすい個々の問題の解決のために、住民の自主的な組織(町内会、部落会、校区等を単位とし た地区社協組織)活動を促進し、その組織活動の発展により積みあげ 式に地域社会の福祉を総合的に向上させる活動が大事である。
この活動を進めるためには、次のことをしなければならない。
一、地域の『福祉に欠ける状態』をつかむこと
市町村社協はまず第一に、地域の住民が解決を必要としているどの ような生活上の問題を持っているかを明らかにしなければならない。 社会活動の対象を明らかにすること。
それが一地域の『福祉に欠ける状態』をつかむことになる。
「地域の福祉に欠ける状態』とは、住民が誰もねがつている健康
で文化的な生活が満されていない状態をいうのである。 この『状態』は地域によってそれぞれ異っており、又、それを地域
の住民が『福祉に欠けた状態』と認める程度も異つている。
地域の『福祉に欠ける状態」をつかむために市町村社協で次のよう
にその活動を進める。
1 問題の発見
〈社会福祉問願地図を活用して〉
地域の福祉問題の所在とその程度を表す地図をつくり、他の地域 と比較することで、その地域の問題を発見する端緒となる。
〈地区組織活動を通じて〉
地域における組織活動の中で、住民の活動要求を発見する。
〈現状の比較検討によつて〉
関係機関、団体の協力により、各年度末に地域内の福祉に欠ける 状態とその対策の現状を比較検討する。
2問題の調査と分析
〈問題の調査〉
『問題の発見』で気づいた地域の『福祉に欠ける状態』の端緒を一 手掛りとして、その状態の全貌を既存資料の整理、座談会、アン 5
ケート、実態調査等を通じて明らかにする。 この場合に調査の技術を活用する。
〈問題の分析〉
調査資料をもとにして関係方面の専門家の参加を得て、問題の分 析を行う。
即ち『福祉に欠ける状態』は住民を階層別(生活程度、年令、性 別、職業の種類など)に見て、どのような点で生活上の困難をも たらしているかを明らかにし、それを取除くには、どのような手 段、方法があるか、またその手段、方法を実施するにはどのよう
な資源が不足しているかを明らかにする。
二、地域の『福祉に欠ける状態』の克服につとめる
『福祉に欠ける状態」の把握と、問題の分析の後に、関係者の協力
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を得て問題の解決のため諸対策を検討し、関係者の能力をも考慮し て実施可能な計画をたて、その推進を計る。 この克服のための努力は、重点福祉活動の推進と社会資源の整備と
に分れる。
1重点福祉活動の推進
〈問題選択の順位づけ〉
地域の『福祉に欠ける状態』は数多くそれらを現在の社協活動で
一挙に克服することは不可能であるし、又得策でない。
問題解決の諸対策をとり上げる順位を、問題の内容、社会資源の 状態、地域住民の関心の程度と関連させて検討の上決定する。
★問題をとり上げる順位づけ。
問題の内容 社会資源の状態 住民の態度
1緊急性があるか 1専門家の助言、協力の程度は 1関心をもっているか
2解決は易しいか 2 ボランテャの協力の程度は 2解決の要求が強いか
3効果がはやくでるか 3関係者(機関、施設、 団体)の参加協力の程度は 3協力が得られるか
4効果が大きいか 4推進の財源は 4 住民に理解され易いか
5他へ波及するか 55新しく資源が開発されるか 5民間指導者の態度は(有力者)
〈重点福祉活動の決定〉
前項の得点の最もたかいものを、特に力を入れて推進する福祉活 動としてこれに努力を集中する。(これを重点福祉活動という。)
重点福祉活動を決定する基準は客観的にみて、問題解決の必要に 迫られ、その実施に当って、地域住民の要望が強く、必要な資源 の動員が容易であり、実施の結果地域住民の福祉を総合的に増進 する気運をたかめるような発展性があると予想できる活動におく。
〈社会資源動員の総合計画〉
(イ) 対策の樹立
重点福祉活動としてとりあげる問題の決定と共に、その問題を解 決する対策を地域住民、市町村、関係機関団体、各種の専門家の 参加と協力によつてたてる。
(ロ) 関係者の協力
重点福祉活動の推進のために地域住民、公私関係機関、各種専門
家、ボランティアの協力態勢をつくる。
(ハ) 既存の社会資源の動員
重点福祉活動の推進のために、必要な社会資源の動員を総合計画 に従って行う。
(二) 新たな社会資源の開発
重点福祉活動の推進のため、既存の社会資源の動員のみにて十分 でない場合には、新たに各種の社会施設の設置を促進し、その他 の諸制度の改善、創設など、いわゆる社会資源の開発を行う。
この場合、地域内で解決のつくことゝ、広地域の問題に移すことゝがある。
〈重点福祉活動の評価〉
重点福祉活動の実施に伴い、段階毎に活動の評価を客観的に行う。
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この評価は当面する問題の減少などの直接的効果と、住民の生産 面への好影響や、消費的経費の節約などの間接的な効果を測定
し、評価する。
2社会資源の整備
〈連絡、調整〉
重点福祉活動を行う外に、常時地域内で行われている各種社会福 祉活動の効果がたかまるよう連絡調整を行う。
〈施設、機関の整備〉
る。
地域内の各種社会施設並びに機関に対し、それらの機能を増進す るよう協力するとともに、各施設、機関の活動を総合的に推進す
〈公的機関との協力〉
行政機関に対する住民の理解と協力を高めるよう常に配慮すると 共に、公的機関のサービスの増大を計るよう要離する。
〈団体の育成〉
地域内の各種関係団体に対し、それらの団体の機能促進のために 積極的援助を行うとともに、それらの団体目標とするところを側
面より達成するよう協力する。
〈ボランティアの活用 〉
〈財源の確保〉
地域内のボランティアの発見につとめ、これらの登録指導訓練を
行って民間奉仕者の育成と活用につとめる。
地区組織活動への公私の財源の確保に努め、共同募金運動を推進
し、福祉活動の財源を確保する。
三、組織の強化をはかる
社協活動を進めるために重点福祉活動と併行して組織強化をはかる。
活動と組織は車の両輪のようなものである。
〈組織の基準〉としては
(イ) 住民大衆のもつ社会福祉のニードを具体的にとらえる能力があ ること。
(ロ) それらのニードを解決する能力をもち、あるいは解決のために
他の協力を促進する能力をもつこと。
1組織の整備のねらい
〈住民参加の組織――地区組織活動の強化〉
問題発見を容易にし、組織活動の必要を知らせるための地域住民 が自らの手で保健や福祉の活動に参加し、自主的に活動を進めて 行く「保健や福祉の地区組織活動』を育成し、それらの諸活動と一
社協組織との有機的な関連をはかる。
この際の地区とは部落、町内等のさわめて狭い地区を指す。
〈専門家参加の協議組織〉
住民のみの活動では効果があがらず、自己の主観に偏しやすいの を防止するために専門家の協力が必要となる。
従って各種の専門家或いはボランティアの相互の連絡と協力が十
分に行われる組織を整備すること。
〈住民代表と専門家との交流の組織〉
住民のニードを正しく解決するために、住民代表と専門家とは相 互の立場を尊重しあい、一方が他方を支配するようなことのない
ものでなければならない。
そこで住民代表と各種の専門家の参加と協力が十分行われるよう
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な組織を整備すること。
2組織の点検をたえず行う。
〈参加の程度〉
社協の組織に住民の参加、専門家の参加、並びに住民と専門家の 交流が十分行われているかどうかを調べる。
〈代表力〉
社協に各種の機関、施設あるいは地区の代表の形で参加している メンバーは、十分に代表力をもつているかどうか。
〈組織の推進者〉(オルガナイザー)
組織活動全体を計画し、社協活動を進めるための専門的技術を有 している組織推進者(市町村社協主事又は事務局長)の指導力は
十分しているか。 具体的に、
(イ) 社会福祉調査の技術があるか
(ロ) 集団間関係の指導技術があるか
(ハ) 広報の技術があるか
〈組織指導者〉 (リーダー)
地区に又、問題毎に住民の指導者となる組織指導者の活動は充実 しているか、養成研修が行われているか。
四、部会を設置し、部会活動を活発に推進
住民の要求を解決し、『福祉に欠ける状態』を組織の力によつて解消するには、それを問題別に分類し、地域の実情に応じて処理する専門部会を設置する必要がある。
この部会、委員会は市町村厚生課や事務局に依存することなく、その協力と各関係者、専門家の指導を得て活発に仕事をしなければならない。
★市町村社会福祉協議会部会委員会例
区分 主なる事業内容
一総務部 蹠務、経理、各部連絡調整に関する事項
二組織部 1各関係機関、団体施設の参加、住民 参加体制の確立2末端組織の育成指導に関する事項
三福祉部 1要保護者、遺族援護、法外援護に関 する事項 2新生活運動推進に関する事項
四保健部 保健衛生、栄養に関する事項
五奉仕部 共同募金、各種募金その他奉仕的事業 に関する事項
六文化部 (又は数化部、社会部) 文化の向上、広報活動、体育娯楽に関 する事項
七調査広報部 調查研究、各種広報に関する事項
八児童部 児童母子福祉に関する事項
九青年部 青年団活動の育成と青年の地域福祉活 動に関する事項
十婦人部 婦人会活動の育成と婦人の地域福祉活 動に関する事項
十一相談部 生活、身上、法徒上等の相談に関する 事項
十二(農漁村地区) 生産部 農産業、漁業の振興に関する事項
十三(都会地)商工部 商工業の振興に関する事項
十四貸付調查委員会 低所得階層に対する世帯更生資金、医療費費貸付金の貸付調査、貸付並に慣還更生指導
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☆市町村社会福祉協議会の財政について
一、金がなくてもできる仕事もある
社会福祉の仕事は、必ずしも経費を要するものばかりとは限らない。社会福祉の仕事は広範囲にわたるものであるから、人々の『もの の考え方』『心のもち方』を変え改めることが達成できるような『精神的、倫理的また知的な分野の活動』が少なくない。
助け合う精神、協力の心構え、公共心、隣人愛——等の昂揚、生活 習慣の合理的改善、迷信因習の打破、清澄な空気や太陽熱を活用す ることによる健康の増進や環境衛生の改善、子供による清掃運動、 日光ぼし運動、時間を守る運動、公共物愛護等、いづれも単なる説 教や講義の類でなく、経費を必要としない実践活動が考えられる。 庭に咲く一輪の花、不用になつた一枚の古着、一腕の食糧,一時間 の労力奉仕など、人々の分に応じた拠出があるならばいろいろよい 仕事ができるであろう。
まず何かをしてみてよい結果をあげてみせて、社協とはそのように よい仕事をするものかという理解をひろめるときに、やだて必要な
経費は集まるようになる。
二、必要な仕事のために、必要な金は必ずできる
何か一つ仕事をしようとする場合、その仕事が市町村民の福祉のた めになり、関係者が是非それを実行しようという強い決意をもち市 町村民も理解をもってくれるようになると、必要な経費は生み出されるものである。
(例)
1 埼玉県のK村社協では、全村で毎年廃品回收運動をし、古新聞、あきかん、あきびん、古ぎれ等を集めて約四万円の収入を得 ている。
また農繁季節保育所開設のため、各戸から一握りのモチ米と小豆 の寄附を求め、これで『おしるこ』をつくり、学校の運動会で売出して一万余円の收益をあげた。
2 長野県のM村社協では、婦人会と青年団が中心になり、二年に わたつて『緑の週間』の植林作業を村当局から請け負って、その 得た賃銀十万余円を各部落の児童遊園設置費に当てた。
3 鳴門市里浦地区では、小学校六年生が理科の勉強でカやハエを どうすればなくなるかを教えられた。早速子供会でもっと専門的一 な話を聞きたいと保健所の技師を呼んで指導をうけ、下水、便所の消毒を行つた。父兄や地域住民も大きい仕事は子供にまかされ ないと町内会が動き出し、市とも交渉し四万円が支出され、婦人 会は貸衣裳代から得た益金一万二千円を出して協力した。
4 板野郡大麻町社協では、歳末たすけ合い資金を募金するため、 全戸に『歳末たすけ合い袋を配布したところ、五円から最高千 円の金が拠出され、毎年約六万円が集められ、低所得者に物品を 贈るとか、児童施設、養老院の殿問を行って効果をあげている。
5 小松島市社協では『愛の建設に当り、学校、婦人会に協力 を求めたところ続々と募金がなされ、市社協もすわらじ劇団 を興演して益金を得るとかして、七十万円の建設資金をつくり昭
和三十五年四月に竣工している。
三、共同募金の配分をうける
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市町村社協は、今後ますます発展しなければならない恒久的な組織 であり仕事をもっている。従って一時的な不定收入だけでなく、 一定の固定した恒久的財源がなければならない。 それには共同募金の配分をうけることである。
1 共同募金の目標額を完遂した場合、約三割の地域還元金————地
城社会福祉振興費が交付される。
2 共同募金倍加運動が行われるようになり、B配分目標額の設定が行われている。
このB配分とは、地域における年間必要な福祉関係の活動経費を 共同募金目標額設定以前に支部分会を通じて申し入れし、県下全 体の目標の中で募金し、その配分を受けるものである。 即ち地域で集めた共同募金は、地域の社会福祉のために使用する 募金であることを住民にも理解されば、この募金が社協の大き
な財源となる。
3 市町村の目標額をオーバーした額は、必ずその市町村に配分す
る額に加えられている。強力な組織をもつ社協は、共募が目標額 以上に集まり、その金の全額がその地域の福祉活動に使えるわけ で、益々の共募と社協が発展されて行くものである。
四、市公町村から費の支出が受けられる
市町村社協は公私の合体組織であるから、市町村役場は当然社協の 構成分子である。又市町村の行う公的社会福祉は、それ自体では完 全な目的達成は不可能であり、常に民間私的の福祉活動の協力補填 がなければならない。従って市町村社協の必要な経費は、何かの形 で市町村当局が支出し、分担することは当然であり、また合理的で あるといわなければならない。
1 市町村当局は当然社協の構成分子となるので、分担金(会費と もいうべきもの)を支出しなければならない。
厚生省は、地方財政平衡交付金に(経費別単位費用概算基礎の中 に)社協の分担金として、月一千円以上(年額一万二千円以上) を交付するよう指示している。
(註)
参考資料として『小地域社会福祉協議会組織の整備について通ち よう』(厚生省社乙発第七七号、厚生省社会局長より各都道府県 知事あての通ちよう)を参照されたい。
2 社会福祉事業法第五十六条の規定により、国又は地方公共団体 は、社会福祉法人に対して、補助金を支出することができるが、 市町村社協は現在のところ社会福祉法人となつていないところ が多いので補助金を市町村社協に交付されないことになる。 然し前述の通り、社協は市町村行政の第一線機関ともいえるの で、広報活動費、敬老費とか各種事業費を委託して社協が行うこ
とはできる。
従って市町村は、何かの名目で公費支出を当然行うべきであり、 全国各県の市町村社協にはすでに多額の公費が支出されている。 五、市町村社協で自主的に会費制を実施すること
社協の自主性を確立する上から重要な財源は会費である。 社協が年間行う事業は広範多岐にわたっているので、市町村から支 出される公費、共同募金の配分金等で予算はたてられないのが普通 である。そこで地域住民から社会福祉活動に直接参加を求め、年間
一〇~五〇円の会費を徴収しているところが多い。 全国でも非常に進んでいる滋賀県下の三五市町村社協では、平均し て予算総額の一七・四%を会費として納付を受け、その総額は五、
一九五、六四〇円にも達している。 徳島県下でも、大麻町祉協が一世帯当り五〇円を、徳島市社協が一 ○○円を徴収しており、小松島市社協、板野町社協でも会員制を近 く実施しようとしている。
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事例
☆積重ね方式によつてつくられた大麻町社会福祉
協会のあらまし
一、名称 大麻町社会福祉協会
二、所在地 板野郡大麻町堀江掘江公民館内
三、沿革
大麻町は昭和三十四年四月一日旧堀江町と板東町合併してできた町 で、従って大麻町社協も昭和三十三年十月二十三日旧堀江町社協が 結成されていたが旧板東町と合併するにおよんで、旧板東町を含め て再組織を行い、昭和三十四年九月二十九日大麻町社会福祉協会が 発足して今日に至っている。
四、結成の動機
旧堀江町社協がつくられた動機は、共同募金のゆきづまりがその発 端となつている。同町共同募金は、各団体代表が構成メンバーとな つているが、各団体の横の連けいが充分でなく、協力態勢が出来て
いないため、募金の負担は、各部落代表に押しつけられているよう な状態であった。従って募金成績も悪く還元金を天引した額にも達せず、町がいくらか補助をしなければならない。
そこで昭和二十八年頃から同町民協会長をはじめとし、民生委員の 間に社協結成の必要性が心にかけられるようになった。
五、組織づくりをこのように
昭和三十二年共募委員会、同町理事者に説得、社協結成の気運を盛 りあげた。一方民生委員協議会は、社協結成の準備にとりかり研究協議を重ね或は先進地である玉野市社協の視察を行うなど一歩一
歩組織づくりを進めた。
まず十三の各部落では部落代表者と民生委員の話し合いがくり返さ れ部落会を開いて周知徹底を期し、社協の理解を深め、真に活動出 来る世話人が、各部落から、六人~十人程度づつ選出された。
次に選出された世話人が評議員となって、理事を選出し、旧堀江町
社協が結成された。
その年、歳末助け合い運動を実施したところ、五万入百円の募金が 住民の自主性によつて集まり、全町一齊ネズミ退治運動をすすめた 結果、更に住民の認識を深め、社協活動の基礎を固めた。翌年、旧
板東町と合併するや旧堀江町と同じような方法で組織づくりがなさ れ、大麻町社協としてエネルギッシュな活動が展開されている。
六、役員
頭問 橋野 達雄(大麻町長)
会長 林吉宜(民生委員)
副会長 高橋敏治(新生寮長)
宮本国一(町会議員)
理事 二十六名(坂東地区十三名、期江地区十三名各地域の代表者)
評議員 二百七十二名(各部落代表者)
事務局 專任職員一名
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積み重ねられた大麻町社協の組織
七、大麻町社会福祉協会の歩み
昭和三十三年十月二十三日 堀江町社会福祉協議会結成
〃 十一月十二日
社協理事及び民生委員合同会議(運営協議会)
〃 十二月二十二日 堀江町社会福祉協議会専任職員を設置
〃 十二月二十五日 歳末助け合い運動を実施(募金額五 万入百円)
昭和三十四年一月十三日 全町一齊ネズミ退治運動を実施
〃 一月二十五日 (ネズミ退治調査結果集計二、一六○匹の死体確識)
〃 二月十六日 全国保健福祉指導者研修会、林会長出席
〃 二月十八日 社会施設慰問(六施設へ二班にて実施)
〃 三月十八日 社協理事及び民生委員合同会議
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昭和三十四年四月一日 大麻町誕生堀江町と板東町が合併)
〃 四月四日 大麻町民生委員会協議会結成
〃 五月八日 第一回大麻町社会福祉協会結成準備会
〃 五月十八日 (四日間)成人病無料検診を実施
〃 五月月二十五日 四国ブロック民生委員児童委員研修会へ出席
〃 六月二十日 (一ヶ月間) 犬なし運動を実施
〃 七月十日 (一ヶ月間) 日赤運動を実施
〃 八月十一日 第二回大麻町社会福祉協会結成準備会
〃 八月二十六日 第三回
〃 九月二十九日 大麻町社会福祉協会発会式
〃 十月十日 (一ヶ月間)共同募金完遂運動を実施
〃 十一月十一日 『花いっぱい運動協賛』菊花展示会開催
〃 十一月二十六日 大麻町社協第二回理事会開催
〃 十二月二十六日 全町一齊ネズミ退治運動打合せ準備会開催
〃 十二月二十三日 年末大掃除消毒薬一括購入斡旋
昭和三十五年一月十一日 (四日間)一般住民レントゲン検査を実施
〃 一月五日 (四日間)全町一齊ネズミ退治運動実施
〃 一月十八日 歳末助け合い運動を実施(募金額九六、八三〇円)
〃 一月二十五日 歳末助け合募金の配分打合せ会
〃 一月二十六日 歳末助け合いによる配分の実施
〃 二月十二日 施設慰問(十施設へ)
〃 二月十五日 (三日間)行政監察局の貸付資金に対する業務監査
〃 二月十九日 社協理事及び民生委員合同の保健福 祉に関する社協運営協議会
〃 三月四日 大麻町社会福祉協会理事会
〃 三月日七 保健福祉地区組織活動指導者懇談会出席
〃 三月八日 第二回保健福祉地区組織活動指導者研修会出席
〃 三月十日 『赤ちゃん』育児相談(三日間)
〃 三月十八日 育成協連絡会議出席(於県庁会議室)
〃 三月二十五日 カ、ハエ駆除のチラシ広告を配布
〃 四月四日 大麻町社協理事会開催
〃 四月七日 (七日間)春季大掃除及び「カ」гハエ」駆除薬の撒布
大麻町社会福祉協会歳入歳出予算書
(昭和35年度)
歲入 再出
款項 目 金額 附記 款項 目 金額 附記
1会費 125,000 1人件費 135,000
1会費 125,000 50円×2,500 1人件費 135,000 職員手当2人分人
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2配分金 150,000 2事務費 35,000
1配分金 150,000 共募配分金 歳末たすけあい配分金繰入 1会議費 25,000 総会,理事会,その他
3補助金 200,000 2旅費 5,000 旅費
1補助金 200,000 町助成金50,000円 心配相談助成150,000円 3需要費 5,000 通信,消耗,備品,その他
4雜收入 3,000 3事業費 294,100
1雜收入 3,000 寄附金 1心配事相談所費 135,000 心配事相談所諸費
5前年度繰越金 1,100 2法外援護 80,000 歳末,その他法外援蹤
1前年度繰越金 1,100 前年度繰越0 3連絡調整費 31,000 各部会関係連絡諸費
4育成費 13,000 小地域社協育成費
5保健活動費 20,000 保健活動
6研修費 15,100研修会参加費,図書 購入要,先進地視察費等
4予備費 15,000
1予備費 15,000 予備資金
合計 479,100 合計 479,100
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☆各種団体と協議し、上から下へと発展する
小松島市社会福祉協議会
一、名称 小松島市社会福祉協議会 二、所在地 小松島市新港二十九番地
小松島市社会福祉会館内(社協の専用建物一七○坪)
三、創立年月日 昭和三十四年七月三日
四、加盟団体
民生委員連絡協議会、外地引揚者連盟、遺族会、身体障害者会、 傷夷軍人会、未亡人会、松寿会(老人クラブ)、更生保護司会, 婦人連合会、青年団、同和会、地区労、更生保護婦人会、生活向上同志会、保育事業協議会、日赤奉仕団
協力団体
保健所、学校PTA連合会、日赤病院、警察、公民館
五、役 員
会長酒井 順(市長)
副会長郡有信(民生委員)
万野ハッヱ(婦人連合会長)
武田 勝雄(市議会議員、外地引揚者連盟小松島支部長)
船越 茂孝(坂野地区社協会長)
柏田 正(立江地区傷夷軍人会長)
理事 二十二名(各加盟団体会長及び地区社協会長)
評議員 四十五名(各加盟団体及び地区社協役員)
事務局 市職員三名が専従
六、部会
1福祉部 2総務部 3文化部 4児童部 5組織部 6奉仕部 7保健部 8事業部
七、結成後の事業
1 校区単位の地区社協の結成 昭和三十四年七月に結成された市社協は、一六の加盟団体により基礎組織ができたが、社協組織はあくまで住民組織であり、住民総参 加の原則の上にたつて小学校区単位の地区社協の結成促進にのり出 した。
昭和三十四年十二月八日に結成された坂野地区社協を皮切りに、昭 和三十五年六月末日迄に十一地区の全市地域に結成を終り、福祉活
動の体制を完了している。
2 共同募金の一〇〇%完遂
昭和三十四年度の小松島市共同募金の割当は、六入三、一七三円で 特に倍加運動が行われ、前年度より約十万円増を募金したが、各地 区社協の努力により目標額を完遂し、地域福祉振興費として約十六
万円の還元配分を受けている。
3 愛の鐘の建設
県社協が呼びかけた『青少年の心に愛の灯をともす運動”の一つと して、愛の鎧建設については、市社協結成の記念事業として婦人 会、ロータリークラブ、校外生活指導協議会などの協力で昭和三十
五年四月十六日に竣工された。
この建設費七十万円は、学校、婦人会の積極的協力を得るととも 一 に、市社協もすわらじ劇団の公演等による興行收入益金(十万 円)を拠出し、新築された小松島警察の屋上に建立し朝夕時をつ げる鐘を鳴らしている。
4 福祉会館の高度利用
市民の福祉センターとしてその集いの場としてつくられた福祉会館 は、日増しに利用度が高まり開館以来の利用状況は、七月三件、入 月七件、九月一七件、十月一九件、十一日三六件、十二月三七件、
一月一大件,二月二四件,三月二二件と利用され、市民へのサービ ス機関として予想以上の成果をあげている。
5 婦人心配ごと相談所の開設
結婚の問題、子供の問題、生活の悩み等の相談に応じるため、特に 婦人心配ごと相談所を昭和三十五年三月一日より開設した。 相談員は市内九単位の婦人会長が無料奉仕で毎週二回、火、金曜日
に開いている。
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昭和三十五年度から国並びに県の補助によつて新設される心配ご と相談所』と合併し、広く一般市民の利用を呼びかけている。
6 保健福祉地区組織活動モデル地区の育成 育成協の指定する保健福祉地区組織活動のモデル地区として、県下 で四地区を指定したが、この中に坂野地区社協が選ばれ活発に動い ている。
地域住民に呼びかけ、カ、ハエをなくする運動、住民検診、検便
等、町を明るく美しくする運動に目ざましい活動を行つている。
7 老人大学、敬老会の開催など老人福祉についての行事 県社協、松寿会などの協力を得て県下のトップを切って第二回目の
老人大学を昭和三十四年十一月開講し、受講者の中から落第を希望す
る生徒が出るなど極めて好評であつた。各地区における老人クラブ
活動も、市社協が共催して老人福祉の向上につとめている。 8 世帯更生運動の一環として、貸付資金制度の高度活用
低所得階層の人々に対する世帯更生資金と医療費貸付資金の貸付に
ついては、民生委員協議会の協力を得て高度の利用がなされてお
り、生活困窮者の自立更生のため、大いなる役割を果している。
9 インターグループワークの円滑
一六団体の参加による市社協は、他所でよくみられる団体間のあつ れき、背後団体の利害の強調など全然みられず極めてスムースに融 和連絡がなされている。
昭和35年度一般会計歳入歳出予算書
収入の部
(自昭和35年4月1日 至昭和36年3月31日)
款 項 目 予算額 各節明細
節 金額 説明
1交付金 300,000
1市交付金 300,000 300,000
1 市社協助成金 250,000 1 市社協助成金 市社協に対する助成金(市)
2 相談所市助成金 50,000 1 心配事相談所 助成金 5,000 心配事相談所設置市分担金
2 心配事相談所助成金 140,000
1県費交付金 1県費交付金 70,000 1心配事相談所県費交付金 70,000 心配事相談所設置県費交付金
2国費交付金 1国費交付金 70,000 1心配事相談所設置国費交付金 70,000 心配事相談所国費交付金
3共募配分金 160,000
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1共募配分金 160,000
1 共募配分金 160.000 1共募還元 160.000 昭和34年度共募実績還元金
4事務費收入 30,574
1 事務費收入 30,574
1 事務費收入 30,574 1共同募金還付事務費 30,574 昭和34年度共募実績事務費支給分
5会費 16,000
1会費 16,000
1会 費 16,000 1 加盟団体会費 16,000 16団体加盟体会費
6寄付金 15,000
1寄付金 15,000
1寄付金 15,000
1寄付金 1,500 会館使用料に対する寄付金
7 事業收入 100
1事業收入 100
1事業收入 100
1事業收入 100 收益事業其の他收入見込金立替金
8雜收入 100
1雜收入 100
1雜收入 100
1雜收入 100
9繰越金 26,570
1繰越金 26,570
1繰越金 26,570 1前年繰越金 26,570 收入12,000 未徵收会費13,000円等前年繰越金
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歲入合計 688,344
支出の部
款 項 目 予算額 各節説明
節 金額 備考
1運営費 168,500
1会議費 49,000
1会議費 49,000 会議費 26.000 諸会議費
給会費 23,000 総会費
2事務局費 118,500
1諸手当 18,000 諸手当 18,000 管理人超勤手当
2旅費 30.000 旅費 30.000 役職員旅費
3需要費 70,500 備品費 22,500 机,椅子,座机
消耗品費 15,000 新聞代,湯茶費
印刷製本費 3.000 通信郵送料
燃料費 25.000薪炭代
修繕料 5,000 什器生產部諸機修理費
4諸費 1,000 会費 1,000 県社協負担金
2事業費 295,074
1 総務部会費90,000
1地区社協振興費 77,000 地区社協育成振興費 77.000 11地域社協育成費7,000年額
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2調查研究費 10,000 調査研究費 10,000 諸調查研究費資
3諸費 3,000 研修費 3,000 質向上研修費
2児童部会費 22,000
1児童福祉費 22,000 児童福祉費 22.000 子供会活動育成強化費子供民生活動費
3福祉部会費 42,000
1世帯更生運動費 7,000 世带更生運動費 7,000 低所得者更生活動費
2老人福祉費 15,000 老人福祉費 15,000 老人大学,敬老会,老人クラブ補助
3身体障害者促進費 20,000 身体障害者雇用促進費 20,000
4文化部会費 30,000
1文化啓蒙費 30,000 啓蒙活動費 30,000 広報活動費
5保健部会費 50,000
1母子衛生活動費 10,000 母子衛生活動費 10,000
2環境〃 20,000 環境衛生活動費 20,000
3予防〃 20,000 予防衛生活動費 20,000
6奉仕部会費 30,574
1共同募金事務費 0.574 共募事務費 30.574 共募達成強化事務費
7事業部会費 30,500
1内職斡旋奨励費 30,500 内職斡旋奨励費 30,500 ボーダライン母子家庭内職斡旋費
3相談所諸費 200,000
1相談所諸費 200,000 200,000
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1相談所備品費 73,000 備品費 73,000
2光熱水道費 7,200 光熱水道費 7,200
3消耗品費 18,000 消耗品費 18,000
4交通通信費 26,400 通信費 14,400
職員交通費 12,000
5社会資源連絡費 36,000 社会資源連絡費 36,000
6印刷製本費 14,500 印刷製本費 14,500
7研究会議費 24,900 研究会議費 24,900
4予備費 24,770
1予備費 24,770 24,770
1予備費 24,770 予備費24,770
歲出合計 688,344
☆公民館活動と社会福祉協議会活動との連絡提携について
一、両者の相違点と類似点
(一)公民館
1 市町村が条例によつて直接経営する公的施設であり、公立学校
と同じである。
2 社会教育法第二十条『公民館は市町村その一定区域内の住民の ために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を 図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的と する』と定められている。
3 即ち公民館は直には『住民の教養の向上、健康の増進、情操 の純化を図る』ことを目的として間接的に生活文化の向上、社会 福祉の増進に寄与することをねらっている。
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換言すれば、公民館の社会福祉の増進は一部目的である。 4 公民館は『公民館運営審議会』によつて運営され、しかもその
審議会の委員は教育委員会の任命による公的性格をもつた特定人
に限られている。
5 公民館の活動の場は『施設――建物・設備』に集まる住民を対 象としている。
(二)社会福祉協議会
1 社協は『社会福祉の増進』が直接的全部の主目的となっている。 2 社協は市町村当局をも含めた全地域的な会員組織による民組団
体である。
従って運営も自由な会員の協議によつてなされる。 3 社協は各種関係の機関団体の協力提携によつて、活動の場は全 住民大衆を対象としている。
二、両者は当然相協力しなければならない 公民館と社協は、いろいろ違う点もありますが、その目的活動において切り離すことはできない密接不離の関係にあるので、公 民館関係者も当然社協の構成員となつてもらって、
(イ) 公民館では大いに社会福祉について啓蒙してもらう。
(ロ) 社協では公民館活動の単に社会福祉の問題に限らず、その他の 活動についてもその目的を同じくするものは協力しなければなら
ない。
即ち両者が提携して、地域住民の教養をたかめ、地域社会の生活文 化を向上し、明るく住みよい町づくりをすることが両者に与えられ た使命である。
2 公民館活動の活発な町村では、社協活動も活発である。 逆にいえば、社協活動の活発な町村では公民館活動も活発になつ ている。
徳島県では、特に子供会、子供民生委員活動とか、老人福祉の仕 事については常に密接な連絡提携を行い、県社協と県教育委員会 が十分協議研究して諸事業の推進を図っている。
☆これからの地域社協で特にとりあげなければならない仕事
一、世帯更生運動
現在県下に数万の低所得世帯がある。これらの世帯の大多数は、世 の中の景気などにかかわりなく、段々と社会の下層に沈澱し、固定化 しつつある。しかもその数は次第に増加の傾向をたどり、あらゆる社 会問題の温床となっていることは見逃しがたい事実である。
これらの人々の援護については、種々の公的施設があるが、これのみに頼ったのでは早急な解決は至難である。
世帯更生運動は民生委員の自主的な活動と、これに対する地域社会 の協力によつてこれらの世帯の自立を助長し、進んで生産活動に参加 せしめると共に、このことによつて一般住民の社会福祉事業の理解 と、これに対する自発的協力の精神を培い、官公民一体による明るい 住みよい社会を実現しようとするものである。 める。
民生委員は市町村社会福祉協議会の中核体であるとすれば、当然社
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協はこの運動を具体的に推進しなければならない。
(一) 被保護世帯の更生については、社会福主祉事が指導しているが、
民生委員を中心とした地域社会の全住民がこれら人々に暖かい気持
をもつて精神的にも物質的にも支援をしなければならない。
(二) 被保護世帯に落ち込もうとする線すれすれの低所得者は県下で約 入千世帯といわれる。これらの人々には精神的支援は勿論物質的支
援を大きく行わなければならない。
そのために、
県社会福祉協議会は、市町村社会福祉協議会と契約を結んで、世帯 更生資金と医療費貸付資金の貸付を行つている。
この資金をフルに活用して、市町村社会福祉協議会は民生委員を通
じて提出された借入関係書類を調査委員会を開催して、貸付に対する意見書をつけることになつている。
☆世帶更生資金貸付基準
1 貸付対象者この資金の貸付対象者は次のそれぞれに該当するもの
とする。
イ、低所得のため、わずかな出費等によつて生活を脅かされるおそ
れのある生計困難者
口、自立更生に必要な資金の融資を他から受けることが困難な者
ハ、資金の貸付と必要な援助指導を与えることによつて、被保護階
層への転落を防止し、自立更生の実をあげ得ると認められる者
2 資金の種類及び貸付の条件
イ、資金の種類、貸付限度、償還期間および据置期間
資金の種類 貸付限度 償還期間 据置期間 備考
生業資金 一〇〇、〇〇〇円以内 四年以内 一年以内 生業を営むに必要な資金
支度資金 一五、○○○円以内 二年以内 半年以内 就職するに際して必要な支度に要する資金
技能修得資金 月 一、五〇〇円以内 二年以内 半年以内 一、事業を開始し、又は就職するために必要な知識、技能を修得するに要する資金 二付期間は、半年をこえないものとする。 だし、特別の場合は、二年まで延長するこ とができる。
生活資金
生活費 月三、〇〇〇円以内 三年以内 半年以内 一、技能修得資金の貸付を受けて、技能修 中のその者の属する世帯の生活費又は 費貸付資金の貸付を受けて医療を受けて、 者およびこれに準ずる者が治療を受けていて 期間中のその者の属する世帯の生活費 二、貸付期間は、半年をこえないものとする。三、世帯主は、月一、〇〇〇円以内とし、世帯員は、一人月五〇〇円以内とする。
家屋補修費 三〇、〇〇〇円以内 三年以内 半年以内
助産費 二、〇〇〇円以内 三年以内 半年以内
葬祭費 三、〇〇〇円以内 三年以内 半年以内
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☆医療費貸付資金の貸付基準
1 貸付対象者
この資金の貸付対象者は、低所得者であつて、次のそれぞれに該当するものとする。
イ、傷いを受け、又は疾病にかかつていて、六月以内に回復する
と認められる者
ロ、傷い又は疾病を治療している期間中の収入状況では、医療費の支払が不可能であると認められる者
ハ、この資金から貸付を受けた額を五年以内で返済し得ると認め
られるもの
2 医療の内容等
イ、医療の内容この資金の貸付の対象となる医療の内容は健康保
険の例によるものとする。
口、医療機関との資金の貸付を受けようとする者は、原則とし て、社会保険又は生活保護法(昭和二十五年法律第百十四号)
の診療担当機関について診療を受けるものとする。
3 貸付の条件
イ、貸付限度五万円以内とする。
口、貸付利子年三分とする。ただし、据置期間中は無利子とする。
二、保健福祉地区組織活動
生活の幸は、まず健康な肉体と快適な環境から生まれることは周知
のとおりである。
日本の社会保障制度も次第に進んできて、病気になつたら保険で治療できる日も近づいた。
又わずかながらも国民年金が支給され、ひどい貧乏になった時は生
ところがこれらの生活保障はまだまだ十分でなく、それに役所の保 健と福祉の仕事がバラバラで困ることもあり、これからの社会福祉 は、保健福祉地区組織活動を大いに実践しなければならないことにな つた。
昭和三十四年度から厚生省がこれを認めて、中央に財団法人保健福 祉地区組織育成中央協議会(育成協)が設立され、徳島県でもこの連 絡組織をつくり各市町村社協でこの運動を具体的に推進している。
(一)地区組織活動指導者の養成
市町村社協の中で保健福祉の仕事を専門的に推進するための指導者 を養成するため、毎年研修会を開催し、住民総参加の組織活動を研 究討議し、美しい村つくりの指導を勉強している。 市町村社協では、部会活動の中でこれをとりあげ、特に保健所、福 祉事務所、医席等の協力を得て、住民の健康促進と、環境浄化の運
動を推進しなければならない。
(二)活動推進地区の設定
この活動をモデル的に推進する地区として、
昭和三十四年度は、小松島市坂野地区社協、大麻町社協、板野町 大寺地区社協、徳島市不動地区社協の四地区を指定している。 この推進地区では、住民一齊検診、カ、ハエ、ネズミ退治、町内美
化運動等あらゆる保健福祉の増進に努めているが、二~三年でこの 推進地区を県下各市町村社協へ変更指定し、運動発展の効果を期待
している。
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(三)調査研究活動
1 目でみる保健福祉問題地図
“福祉に欠ける状態を項目別に分類して、県下全市町村別に色 分けして地図として書き現わしたもので、昭和三十三年度から毎
年一回発刊している。
各市町村社協では、この地図から他市町村と比べてどのような問 題があるかを見出して、問題解決に努力しようとするもので、大
いにこの地図を活用されたい。
2 この外、各種報道機関と協力提携して啓蒙活動を行うとか、壁 新聞、リーフレット、映画、スライド等を利用して住民の協力を要請している。
三、児童福祉の仕事
児童の問題は、地域社協活動として最初にとりあげられる場合が多 い。それは住民の要求として、はつきりしている問題であり、比較的 活動の効果が早く現われ、多くの資源の動員をはかるため、協力体制 が確立しやすい利点があるからである。
(一)児童福祉部会の設置
最近児童の問題が注目されるようになってから、社会福祉や、保健 衛生、社会教育、警察防犯など関係機関団体がそれぞれとりあげ、熱 を入れれば入れるほど、重複したり、バラバラな活動が行われて、地 域の世話人の間に、一元化してほしいとの要望が強くなつてきまし た。また、ごく狭い関係者だけで対策を考えるより、より多くの人の 協力をえなければならないことに気がついたこと。なお児童は政治活 動を行わないため、いつも片隅においやられがちの児童福祉行政に親たちが目ざめてきたこと。こうした要求を、地域社協がしっかりとう けとめなければならない。ここに社協に児童福祉部会を設置する意義 が生まれてくる。
児童問題といつても非常に範囲が広いので、それぞれの問題別に、 専門委員会を設けることが望ましい。
例えば
地域子ども会育成委員会
子ども民生委員会
児童奉仕者専門委員会
児童遊園運営委員会
季節保育所運営委員会
長欠児対策委員会
その他
(二)どんな活動をとりあげるか
・子供の生活指導(子供会、子供民生委員)
。こどものための(施設児童遊園、児童館、児童文庫、季節保育所) 。こどものために活動する人々を育成する。(青年ボランテイヤ、
母親クラプ)
・環境の改善と文化財の問題(不良化防止、不良文化財の排除) 。めぐまれない子供のための活動(長久见、不就学児、心身障害
児)
・親の理解(両親教育)
(三)どのように活動を展開するか
1 地域子ども会の育成
普通、子ども会といわれるものに、いろんな型がみられるが、最
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近、もつとも望ましい型として、部落とか町内とかいう地域の近隣 社会の共同生活と結びついた「地域子ども会」があげられる。学校 には校外児童会とか校外生徒会と呼ぶ組織があるが、これは子ども 会ではない。ただし、半田小学校や里浦小学校では、校外での子供 の補導は地域の責任に移し、理想的な子供会活動を行っている。 地域子ども会は学校と緊密な連けいを保つことは勿論だけれども、 学校の組織の枠をはめることなく、地域の全子供たちを対象とし、 そこに住む大人が力を合せて子供のために子ども会の運営に協力す
地域子ども会を育成するために地域社協としては次のような事業が 考えられる。
(1) 市町村厚生課、教育委員会、学校、警察、児童委員、PTA役
員、青年団、婦人会、防犯委員、保護司、BBSなど関係機関団 体によつて、子供会育成協議会(子供会育成委員会)を開いて、 育成の方法を協議する。
(2) 育成会の結成援助
こども会の育成手引書を作成配布するとか、部落会や町内会で、 子供会の必要性を認識してもらう会を持つなどして、啓蒙すると
共に、育成会の組織をつくるよう側面より援助する。
(3) 各地区の育成会の役員や直接子供会の世話人となっている人達
の連絡協議会や研修会を開催する。
(4) 結成した子ども会を掌握し、各子供会から男女各一名の子供民
生委員を選出し、市町村子供民生委員会を組織するとともに、市
町村単位の子供民生活動を展開する。
(5) 指導者の養成をはかるため、子供民生委員や青年、婦人を対象とし一夜講習会を開催する。
(6) 全市町村単位の子供会行事を開催する。 例えば少年野球、ソフトボール大会、クリスマス子供大会、子ど
も祭り、子供会対抗運動会、仮装大会、キャンプ交換会等。
(7) 中央代表者派遣
子供会指導者連絡会議 全国子供会指導者連絡会議
(8) 子供会の実態調査並びに育成指導
(9) 優良子供会の表彰
2 こどもの遊び場づくり
こどもを事故死から守るために、各地域に子供の遊び場づくり運動
をすすめる。
子供の遊び場といつても、子供の広場という程度のものから児童公 園という大きなものまで考えられる。また、児童館という室内遊び
場も必要な施設である。
こうした施設の設置運動と平行して、すでにあるところには児童遊
園運営委員会を設けて、施設の管理や子供の遊びの指導について研
究、協議を行うことも大切である。
児童遊園の新設については共同募金の地域配分を受けるとか、或は 都市部においては、公費の補助の道が僅かながら開かれている。 県社協では地域の奉仕によつてできた。子供の広場”に対して色彩
つきの看板を提供している。
3 子供民生委員活動について
子供民生委員の特性は ①社会福祉事業家の双葉を育てること ②学校教育の一環としてすすめられることなどがあげられるが、子供
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の自主的な子供会運営を期待するためには、少年リーダーとして子 供民生委員の育成を是非ともとりあげてゆきたい。
今までは学校内の子供民生活動が活発であつたが、地域における子 供民生活動を育成するために、地域社協が、運営の世話役を引き受 けることが急務である。
1 市町村子供民生委員会の結成
(12) 子供民生委員講習会の開催
(1) 模範子供民生委員の表彰
4 夏休み子供民生活動月間行事の実施
(1) 歲末子供民生活動週間の実施
16 大人と子供の民生委員会
1 県子供民生委員大会代表派遣(一一月)
4 青年ボランティヤの養成
社協活動に青年層の参画をうながすことは社会福祉事業に若さと情 熟と科学性を投入することであつて、特に児童の問題について直接 担当し、子供達のよき兄姉として努力するよう働きかけることは、 きわめて重要な社協の心得である。対象は高校生以上三○才未満が 適当。
11 青年ボランティア養成のための講習会の開催 (122) 青年ボランティヤの登録と集会の世話
18 青年ボランティヤの自主的な組織を育成する。(青年ボランテ
イヤ協会の結成)
(4) 県青年ボランティヤの集い(研修会)に代表派遣 15) 青年ボランティヤ代表を市町村社協の役員に
5 季節保育所の開設
農村では特に農繁期における、臨時的な季節保育所の開設を要望し ている。
これは児童福祉法による保育所ではないが、その重要性を考え、国 では昭和二十八年度から「季節保育所設置費補助金」(国庫負担三 分の一)を計上し、昭和三十四年度は九千五百ヵ所の三千二百万円 が予算化されている。
また手をこんだ保育所でなくとも、地域の女子高校生などの協力を 得て一週間程度の青空保育所の開設や、巡回保育所の開設は、農村 の母親から手離しで喜ばれる事業である。
ちなみに石井町浦庄の一婦人民生委員を中心とし、地区の役場や婦 人会、子供民生委員の協力によつて昭和三十五年六月に開かれた神 社の境内を利用した農繁保育所は、多くの成果をあげ、住民の社会 福祉への理解度を増加せしめ、奉仕者二二名、寄付金品約七、○○ ○円、保育料は副食代に一人一日十円集めただけで、一週間開設経費殆んどロハに近いもので終ったという実例がある。
四、母子福祉の仕事
母子家庭の福祉は昭和二十七年に実施された「母子福祉資金貸付恨 に関する法律」、並びに昭和三十四年十一月より発足の母子福祉年金 の支給と、大きく国家財源で保障されて来たが、これは福祉に欠けた 母子世帯の一部面に暖かい日ざしを受けたにすぎず、まだまだ多くの 山積された問題が残されている。
現在、県下には入千世帯の母子家庭が推定されるが、この母子の援 謙についても、公的福祉の協力活動として当然市町村社協で行わなけ ればならない。そのために是非必要であり、第一にしなければならな
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い仕事は、
(一)母子世帯の実態把握について
昨年十月に徳島県未亡人会連合会で、県下母子世帯の実態を、母子 世帯への起因、職業、生活程度、家族の状況、福祉資金の利用、住 居、健康状況、年金受給状況等について調査を実施したが、その結果 を統計的にみて、特に注目された点はその收入状況である。調査実施 世帯の入一%までが月收一〇、〇〇〇円以下(そのうち三、○○○円 ~五、○○○円までが四〇%)であり、しかも一世帯の世帯員数は平 均三・○七人つまり母が二・○七人の子を扶養していることになり、 生活の苦しさが十分表わされている。
市町村社協に於ても、常に市町村内の母子世帯個々についての実態 を把握し、生活の援助、生活面における指導、住宅、就労、保健、慰 安等町ぐるみ、村ぐるみの運動のなかで十分母子福祉の活動が推進さ れなければならない。
(二)新生活運動推進と貯蓄組合の結成について
昭和三十三年に東京九段会館に於て、第一回「新生活と貯蓄」 全国 婦人大会が開催されてより、県下の婦人層に生活の幸は新生活から と、さかんに取り上げられるようになつたが、未亡人会母子福祉推進 の上では、一応「記帳生活」と「貯蓄」からと全国的に統一されたか つこうになつている。一般家庭の主婦と違って、收入、消費の両面に ついて考えなければならない母子家庭にとつて、家計簿の記帳などむ つかしいように一般的に考えられ勝ちであるが、問題があればあるほ どトコロテン式にただ安易な生活をおくるのでなく、家計簿を記帳す ることによつて自分の生活の実態を見つめ、企画性を生活にもたせて 少しでも明るい生活へとみちびかなければならない。これとともに貯蓄組合の結成についても、現在県下に地域未亡人団体が一二〇団体あ るが、このうち四二団体が貯蓄組合を結成している。個々の家庭の生 活安定を図るはもちろん「母子福祉貸付資金」貸付者については、特 にこの償還を目標にした貯蓄の推進からも、ぜひこの貯蓄組合の結成 を進めなければならない。市町村社協においても、これらの推進態勢 として、常に市町村内の青年団、婦人会、老人クラブ、未亡人会等各 種団体間の連絡調整とともに、県新生活推進連盟並びに県貯蓄推進委 員会と連絡、各種大会、講習会等を開催、家計簿(三ヶ月記帳分)の 無料配布、表彰、或は体験者による事例発表の問題のなげかけ、成功 事例によるヒント等全体的な実践活動のなかにおいて、母子家庭の新 生活と貯蓄が推進されるべきである。
五、老人福祉の仕事
一、老人クラブはどのように運営するか
老人クラブは現在県下に約百ヶ所結成せられており、二万の会員の 楽しい憩いの場、教養の場として活用せられている。ところが、この 運営状況は区々、まちまちであって、全国的にも進んでいる。阿波町 鴨島町、徳島市等もあるが、未だに敬老会的な色彩の濃い遅れた地区 も少なくない。
それで老人クラブの運営の上手、下手がクラブ発展の鍵となるわけ で、この会の会長、役員は勿論、お世話する社協、公民館、社会教育 課、民生委員等も充分研究してかからなければならない。
以下県下老人クラブの実状に際して運営方法の概要を記述する。 一、老人クラブはどのような機能を持つか
老人福祉については最近年金制度が設けられ、その他の福祉施策も
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漸次採用されようとしているが、現在の段階では極めて賛しい内容 しか持っていないこと、経済的な解決だけで老人福祉が解決せら れるかという問題がある。年をとると誰でも老化現象が起り、生活 上にも扶養される弱い立場からの気ずかいや、気がねなど、又配偶 者や親しい知友との死別や、家庭の中で若い人(息子、嫁、孫)と の時代感覚のズレなどから来る孤独感や、死に対する恐怖感など、 老人ならでは経験のできない様々な不安があり、こうした問題を解 決することなしに老人の幸せは期せられない。
一言にしていえば、このような不安を解決し、余生をできるだけ明 るく楽しくしていこうというのが老人クラブのねらいである。そこ で、充実した豊かな余世を過すための事例を挙げる。
二、老人の希望を充すための行事
家庭に於ても若い人と老人の間では、政治面に於ても、文化娯楽面 に於ても、意見の合わない場合が多い。若い人達と談笑のうちに意 見の交換ができるようにするには、時代に遅れないよう教養の場を 持たねばならない。今県下各地で行われている「徳島老人大学」 は、老人の教養を昂め、社会性を深めるために最も適当な行事とし
て全国へ広まりつつある。
老人大学の内容については別記の通りであるが、この大学で今まで 頑固であつた老人が、もの判りのよい進取的な人となり、家庭で も、それぞれの立場を理解しあつて仲よくやつて行けるようにな り、又社会からも愛せられるクラブを作り上げている。
又老人グラブが、若い人達との会合を持つこと、嫁と姑の会合など も家庭の平和を保つために役立つている。
鴨島町等では、老人クラブが「心配ごと相談所」を設け、家庭のもめごとなどの解決に当っている。
三、老人の健康問題について
イ専門の先生を招いて定期的な健康相談の会を持つこと。
ロ定期的に老人クラブ会員の健康診断を行うこと。
ハ精神的、肉体的に健康増進を計るレクリエーション活動を活発
に行うこと。
二家庭の片隅でゥッゥッとして暮さないで、できるだけ人中に出 ること、多くの人と交わることが精神的にも肉体的にも、若さと
健康が保持せられる。
四、老人の社会奉仕
老人クラブの社会奉仕として第一に考えねばならぬことは、年老い ても、まだまだ働かなければ生活できない愛しい人や、老人クラブ! へ入会したくても余裕がなくて出席できない人達への問や激励が
最も手近な社会奉仕である。
又老人クラブが常に社会から愛せられるためには、地域を住みよく 明るくする社会福祉活動を行わねばならない。
例えば若い人達と協力して新生活運動を進めること。
公園、道路、墓地の満掃奉仕活動
文化財の保護や樹木などの愛護活動
その他家庭内に於ても健康を害さぬ程度の軽作業、人形ずくり、玩 具ずくり、染め物、藁細工、竹細工、農繁期に於ける手伝等を行う ことは多少の収入ともなり、本人の健康にもよく、生活のハゲミ ともなる。
五、娯楽の問題について
娯楽は会員の親睦を図り、クラブの明朗さを保つために欠くことの
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できないものである。
しかし趣味は、その人、その人によつて異なるため、できるだけ多 数の人が満足する方法で娯楽の選択を行わねばならぬ。
県下でも先進地区に於ては、娯楽を次のように数班に分け、各自、 自分の趣味に合った班に入り、全員が楽しめるよう計画している。 将棋、囲碁、踊り、釣り、劇、等又老人クラブが見学旅行を行う時 にも、各人の健康状態、貧富の状態等により遠い所と近い所の二、 三ヶ所を組み合せ計画することが大切で一部の人の為のクラブにな らないよう注意すること。
スクラブとクラブの交歓会、他地域のクラブ員を招待して地元の名 所旧跡を案内したり、芸能の交歓を行つたり、クラブの活動状況を 話し合ったりすることも、老人クラブ発展のため役立つている。
六、結論
老後の生活を明るく豊かにする、老人クラブ活動としては、これを 要約すれば次の三つに大別することができる。
1 老人自身が勉強して新しい世代と調和をはかる(老人大学,老
人学級の開講)
2 健康を維持し、余生を楽しくするレクリエーション活動 3 老人は老人なりに積極的に生甲斐を見出して行くための社会奉
仕活動
以上の三つの要素をうまく計画の中にとり入れ、織りこむことによ つて、老後を幸せにする「老人クラブ活動」が行われる。
そうしてこうした活動を行うことによつて、精神的、肉体的に明る さと健康を取り戻し、様々な不安や、不満、死の恐怖からも解放せら れ老人自身はもとより、家庭や社会も明るくなるのである。
二、老人大学開校の手引
徳島県社会福祉協議会の発案で一昨年十月鳴門市で始めて開かれた 「徳島老人大学」は、今や全国的に普及して、老人の教養を昂め、 会性を養うためには最も適当な行事として各界から好評を受けている。
好評を得た原因は、まず講師の選択にあつて、何れも県下で話し方 の上手な人達が各科目について面白く、わかり易く話してくれるこ と。講義内容が現在生活に直接関係のあることが多く。聞いて直ぐ役 立つものであること。更に一日三時間の内一時間は娯楽の時間にあ て、この学校を楽しく、退屈しないで聴講できるよう計画してあるこ と等が挙げられる。
各地区の老人クラブが、自主的に健全な運営を行うためにも、又社 会や家庭から愛せられる老人となり、愛せられる老人クラブとなるた めに、特に老人大学の開講を奨励して、以下開校要領を記す。
一、老人大学の趣旨
与論が老人福祉に注目されている今日、一般の敬老精神の高揚と相 まつて老人も自ら教養をたかめ、環境を開拓し、生活を向上しよう とする老人の意識が強くなってまいりました。こうした要求をもつ 「としより」を対象に、社会、医学、衛生、法律、趣味、教養、文 化等を分り易く科学的に解説して、これ等の老人の要求を充足し、 老人の福祉を増進せしめんとするものである。
二、主催
好評を得た原因は、まず講師の選択にあつて、何れも県下で話し方 の上手な人達が各科目について面白く、わかり易く話してくれるこ と。講義内容が現在生活に直接関係のあることが多く。聞いて直ぐ役 立つものであること。更に一日三時間の内一時間は娯楽の時間にあ て、この学校を楽しく、退屈しないで聴講できるよう計画してあるこ と等が挙げられる。
各地区の老人クラブが、自主的に健全な運営を行うためにも、又社 会や家庭から愛せられる老人となり、愛せられる老人クラブとなるた めに、特に老人大学の開講を奨励して、以下開校要領を記す。
一、老人大学の趣旨 与論が老人福祉に注目されている今日、一般の敬老精神の高揚と相 まつて老人も自ら教養をたかめ、環境を開拓し、生活を向上しよう とする老人の意識が強くなってまいりました。こうした要求をもつ 「としより」を対象に、社会、医学、衛生、法律、趣味、教養、文 化等を分り易く科学的に解説して、これ等の老人の要求を充足し、 老人の福祉を増進せしめんとするものである。
開催地の市、町、村、市町村社協、地元老人クラブ等が主催となり 市町村長(市町村社協会長)がこの大学の学長となる。
三、企劃
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講師の選定、老人大学の講義計画は県社協に依頼すること。 県社協では各講義科目ごとに、最も好評ある講師陣を持つている。
四、日程
この大学は七日間開講する。
一日は三科目(三時間)受講する。
開講日程は地域の事情、会場の都合等により異なるも三日置き又は
四日置きに開講するのが適当である。
開講時間は午前九時より始め十二時に終了する。但し受講生の交通関係等により午前十時に開講し、午前中二時間、午後一時間とし、各自昼食を携行する処もある。
五、講義内容
一日三科目の中、二科目は教養の時間とし、時局問題、社会常識、 宗教、医学,精神衛生、法律、老人心理等の講義を行い。
一時間は娯楽の時間とし、踊、民器、ゲーム、人形劇、工作などを行う。
六、会場
交通に便利な、收容能力のある会場を選ぶこと。小学校講堂、公民
館、集合所、寺院等。
七、受講生
受講生は六十才以上を正会員とし、青、壮年層を聴講生とする。
六十才以上の受講生は毎日出欠を取り皆動者には卒業証書を授与する。
八、経費
○講師謝礼は一人五〇〇円とし二十一名分一万五百円。 講師派遣旅費は徳島市より開催地まで往復実費。昼食時期の講師には昼食を準備する。
以上約一万二千円(但し講師旅費を含まず)が老人大学開講の経費 である。
経費は主催者持ちとし開催地市町村役場よりの補助金、寄附金、收 益事業益金等でまかなう。
その他、卒業証書、講義日程表等は県社協より無料で送付する。
九、開催地で準備すべきこと
○開識に要する経費の捻出 一万二千円と講師の旅費実費
○県社協と打合せを行い日時場所講義日程を決定する。
○文書、諸会合、有線放送等を利用して受講生を募集すること。
○受講者や名簿を作成して開講中は出欠を取ること。
○会場には〇〇老人大学の看板を掲げ、会場の大きさ、人員等によ
りマイクを準備すること。又民謠、踊りなどのリクレエーション
には電蓄を必要とする。
○会場の清掃は、係員又は受講生自から行うこと。
○受講料は無料とするも経費の都合により一人百円以内徴収する処
もある。
十 その他詳細は県社協へ問い合せられたい。
十一、参考のため市場町老人大学講義日程を附記する。
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市場町老人大学講義日程
期間 四月十八日~五月九日 場所 市場公民館
月日 時間 科目 講義題目 講師
第一日4月18日 10~11 入学式 学長式辞、来賓祝辞
11~12 社会 時評 世相かんどころ 県社協事務局長 町彌一
1~2 宗教 生きる楽しさ 双葉学園長 藤野井親仁
第二日4月21日 10~11 社会福祉 現代の老人と子供の問題 徳島学院長 妹尾富士丸
11~12 時局問題 時の話題 徳大学芸学部教授 橋本純二
1~2 レクリエーション すぐ踊れる民路の手ほどき 民謡学校 水木生
第三日4月25日 10~11 天文学 宇宙をのぞいて 松茂中学校教諭 喜馬邦雄
11~12 老人道德 老人問題百面相 県身障更生相談所長 奥尾貞雄]]
1~2 観賞 新しい人形劇 ゥララ座主幹 中江正幸ほか一名
第四日4月28日10~11 法律 民法と家族制度 家庭裁判所事務局長 秋友歳春
11~12 老人心理 老人のものの考えかた 県教育委員会研究所長 新垣宏一
1~2 体操 老人体操の実技 徳島市教育委員会 大西正義
第五日5月2日 10~11 防犯 犯罪の裏話 県警本部防犯課長 吉田福一
11~12 家庭相談 民主家庭を作るための老人のあり方 家庭裁判所調停委員 森本淑子
1~2 奇術 手品のてほどき 徳島アマチュア奇術協会長 高畠一男ほか一名
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第六日5月6日 10~11 薬学 百才までの招待 徳大薬学部教授 東 丈夫
11~12 趣味と教養 孫に与える童話 県児童文化研究所長 今津忠能
1~2 レクリエーション 老人のレクリエーション 県社協主事 木谷宣弘
第七日5月9日 10~11 社会福祉 明るい町づくり村づくり 県社協事務局次長 藤原普
11-12 討論 としよりのあり方
1~2 卒業式 卒業証書(若返り証)の授与
六、内職斡旋の仕事
県内の低所得者家庭の要望にこたえて、県社協では県の協力のもと に、永続的で賃銀も比較的良い内職を旋している。この内職誰の もう一つのねらいは、市町村社協の事業として、進めてもらうこと。 市町村社協の専任職員を置くきつかけをつくり、市町村社協事務局の 充実をはかることを目的にしている。従って、内職斡旋の実施主体は 市町村社協であつて、県社協は講師の斡旋、会社との接渉、その他全 般的なお世話をしている。
市町村社協が内職斡旋を実施すれば、加工賃に対する一割五分の事 務費が支給される。現在実施している内職の種類は次の通りである。
☆輸出用ちぐさ編手さげ
材料は年中きれないで、加工賃は一枚五五円から六五円である。 熟練すれば、四時間に一枚の割でできる。加工賃は月二回支払わ れる。用具はカギ針一本あればよい。現在実施市町村は鳴門市、 小松島市、羽ノ浦町、鷲敷町、海南町、日和佐町、牟岐町、鴨島 町、半田町、川島町、大麻町などである。
☆輸出用造花
洋装アクセサリ用の造花で、材料年中あり、熟練すれば一時間一 ○円程度である。加工賃は月一回払となつている。用具はハサ ミ、サシ、ピンセット。現在実施中市町村は板野町、那賀川町、 勝浦町、石井町、国府町、神山町などである。
七、共同募金を推進する仕事
現代の民主的な社会福祉事業においては、その社会福祉事業を推進
し維持することは地域社会 市町村社会の当然の責任である。 従ってその経費を保証しようとする共同募金は、第三者が自分とは 別の他の不幸な人たちや社会福祉施設のために、お金を集めて補助し てやろうというような『与える』性格のものではない。割り切ったい い方をすれば、市町村地域社会が自己の福祉を増すために必要な経費 を負担し拠出することなのである。
共同募金には、今日強制割当だとか、税金と同じだとか、もうこれ 以上は無理だからとかいろいろな不平や非難がある。しかしこれは多 く共同募金を他人のためにしてやることだと思つている無理解からき
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ている非難のようである。募金額の限度がきているということは、何 も負担する経済力の限度がもうこれ以上は無理だというのでなく、理 解が限度まできて行き詰まったということである。
一世帯当りわずか一年にタバコの『ひかり』二個か三個の代金しか ならないお金を出せないという限度ではなく、要するに共同募金の主 旨や社会福祉についての理解の限度ということである。
社会福祉事業法では、社会福祉協議会と共同募金とは別個の組織体 として規定されており、社会福祉の計画も、その経費の募金も都道府 県単位の組織の當任とされているけれども、全住民の意志によつてそ の地域社会において行う事業――これに要する経費——すなわち住民 自ら当然これを負担し支弁する責任があるといった考えから、この両 者の関係は不離一体であり、しかもこの関係は市町村地域においても 全く同じである。
そこで市町村においては共同募金の分会があり、それが募金の実行 に当つているが、十月の募金月間だけ福祉事務所や市町村役場が諸団 体の協力を得て働くというのが実情である。平素からの絶えざる市町 村民への啓もうや、その組織的計画動員は到底むつかしい。
ここにおいて市町村社会福祉協議会は、共同募金に代わって常時関 係団体や市町村民に対する共同募金——社会福祉の啓もう、その募金 組織の育成、計画的募金の実行等を担当することが必要であり、また それが当然の仕事となってくる。
要するに市町村社会福祉協議会が共同募金の仕事に協力する――と いうよりもその実践を担当することであり、お金を集めることだけを 目的とするのではなく、市町村民の『心』を集める仕事をするものだ といえる。
昭和三十四年度から“共同募金倍加運動が行われており、この運 動は募金額を倍にしようというのでなく、こうした正常な募金の在り 方にしようというものである。
市町村民が社会福祉活動への参加と協力の実際経験をとおして共同 募金の使い方が知らされ、募会成績の次第に向上することを目的とし た運動である。
こうして募金された金額がひいては市町村社会福祉協議会の大きな 恒久的財源となることは市町村社協の財政”のところで述べる。
☆市町村社会福祉協議会規約 (準則)
(名称及び準則)
第一条 この会は○○市町村社会福祉協議会と称し、事務所を○○市町村役場内におく。
(目的)
第二条 この会は共同社会における隣保協助の念をたかめ、市町村の実情を機宜に即した援護を行うとともに、社会福祉事業の振興を はかり、民政安定に寄与することを目的とする。
(事業)
第三条 この会は目的達成のため左の事業を行う。 一、生活相談並に生活困窮者の法外援護及び自立助長
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二、公的福祉事業に対する協力
三、経済保護及び指導
四、保健福祉地区組織活動の推進
五、児童の健全育成
六、教化指導及び社会事業教育の滲透
七、各種の調査及び相談
八、その他社会福祉のために必要な事業の実施
(会員)
第四条 この会は地域内における市町村代表者、議会議員代表者、 社会福祉施設及び各種団体の代表者、民生委員、学識経験者、その
他経済、文化機関代表者ならびにこの会の趣旨に賛同する個人をも
つて組織する。
(役員)
第五条 この会には次の役員をおく。
会長 一名
副会長 二名
理事 十名 (ないし二十名)
監事 二名
評議員 若干名
第六条会長、副会長は評議員会において選任する。
会長はこの会を代表し、会務を総理する。
副会長は会長を助け、会長事故あるときは、その職務を代理する。 第七条 理事及び監事は評議員会において選任する。
理事は理事会を組織し、会務の執行に当る。
監事は会務を監査する。
第八条 評議員は第四条の会員たる各種機関及び団体 施設の代表
者、その他特に評議員会で選定した者をこれにあてる。
第九条 役員の任期は二年とする。
但し、再任を妨げない。
補充によつて選任された役員の任期は、前任者の残任期間とする。 役員の任期満了後であっても、後任者の就任するまでは、その期間
職務を行うものとする。
第十条 評議員会は次の事項について議決する。
一、歳入歳出予算に関する事項
二、決算の認定に関する事項
三、事業計画に関する事項
四、規約の変更に関する事項
五、資産並に基本財産処分に関する事項
六、その他会長が必要と認めた事項
(会議)
第十一条 会議は会長が召集し、その議長となる。 第十二条 会議は半数以上の出席によつて成立する。
議事は出席者の過半数によつて決し、可否同数のときは議長の決す
るところによる。
第十三条 每年一回総会を開き会務並に会計報告を行うものとする。
第十四条 この会に職員をおくことができる。
職員は会長が任免する。
(経費)
第十五条 この会の経費は共同募金の配分及び市町村分担金、市町村
委託金、会費その他の資金をもつてあてる。
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第十六条 この会の会計年度は毎年四月一日に始まり、翌年三月三十
一日に終る。
(補則)
第十七条 この会の事業及び予算決算は、これを会員に周知せしめな
ければならない。
(附則)
この規約は昭和年月日から施行する。
☆市町村社会福祉協議会で実施する主な事業例
1 組織関係の仕事
2 保健衛生についての仕事
3 児童の福祉を進める仕事
4 母子世帯の福祉を進める仕事
5 老人の福祉を進める仕事
6 身体障害者の福祉を進める仕事 7 引揚者の援護についての仕事
8 遺族の援護についての仕事
9 精神異常者の福祉を進める仕事
10 家庭経済生活安定についての仕事
11 衣食住生活の向上についての仕事
12 家族計画についての仕事
13 生活環境をよくする仕事
14 犯罪予防についての仕事
15 奉仕についての仕事
16 文化の向上教養についての仕事
17 青年団婦人会活動についての仕事
18 農産業、漁業、商工業振興についての仕事
19 相談についての仕事
20 調査研究についての仕事
21 広報についての仕事
22 体位向上、健全娯楽についての仕事
23 表彰、弔慰についての仕事
事業内容の細部については次の通り
区町村社会福祉協議会で実施する主な事業例
区分 事業内容
(一)組織関係についての仕事
1各関係機関団体施設並に住民参加体制の確立
2末端組織(地区) 社協の確立と育成指導
(二) 保健衛生について の仕事
1 健康診断の実施
2保健衛生講習会の実施
3血液型の調査
4 手洗運動の実施
5 夜具干し運動の実施
6 主婦の睡眠時間の確保
7 DDTの撒市
8 はえ、か、のみ、しらみ、ねずみの駆除
9 水質検査の実施
10 国民健康保険制度の実施促進
11 医療費貸付制度の実施
12 結核予防について
(1)BCG、ツベルクリンの実施
(2)結核についての知識の普及
(3)結核予防法など施策内容の熟知
13 一般保健衛生対策の推進
14 覚醒剤、性病予防について
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(三)児童の福祉を進める仕事
1 乳幼児の定期健康診断の実施
2 乳幼児の育て方講習指導
3 浮幼児健康コンテストの実施
4 乳幼児の衣服研究会の開催
5 不就学児童の就学促進
6 長期欠席児童の対策実施
7 学習活動の促進
8 児童交通禍対策の促進
9 児童文庫の設置
10児童会館等の設置と遅営
11子供の遊び場を設置運営
12紙芝居の明朗健全化
13物売児童の調査対策実施
14子供大会の開催
15子供レクリエーションの実施
○クリスマス○七夕○ひなまつり
○子供の日○お正月○盆○学校休暇時
16子供会の設置運営指導
17子供を守る会の設證と運営指導(母親会ー
母親クラブ、親子会、母子会、児童指導班
等)
18要保護地帯の児童対策の促進
○修学旅行の旅費援助○学校諸費の負担
○入学時の学用品贈呈
19里親の開拓
20精薄児盲ろうあ児、肢体不自由児の更生保護
21子供の育て方講習会の実施
22児童牧容施設への慰問
23子供の社会見学(旅行を含めて)の実施
24施設牧容児童との交歓会の実施
○運動会○レクリニーション
25児章憲章の普及宣伝
26児童の幅祉を守る行政力の強化を促進すること。
27子供の福祉をはかるための成人教育、講演会、座談会等の開催
28児童委員活動の協力
29この子たちの親探し運動
(四)母子世帯の福祉を進める仕事
1 子供の就職対策の援助協力
2 家庭内職の奨励と普及
3 母子レクリエーションの実施
4 母子金庫、母子福祉資金の活用
5 母の日の行事
6 生活相談の実施
7 母子住宅問題の解決促進
8 母子年金、母子法の制定など関係行政カの強化
9 末亡人会の育成指導
10母子家庭後援会の設置と運営指導
(五)老人の福祉を進める仕事
1 老人会の設置と運営指導
2 老人大学の開講
3 老人食生活の講習会
4 老人健康相談の実施
5 健康講習会の実施
6 養老施設への慰問
7 としよりの日の行事実施
8 よめ、しゅうと対策の実施
9 老令年金制度の実施など老令者に対する行政力の強化を促進する。
(六)身体障害者幅祉を進める仕事
1 職業補導の促進
2 更生医療援護の実施
3 各種恩典制度の推進
4 身体障害者協会の育成指導
5 身障者諸対策についての行政力を強化する
(七)引揚者の援護について
1 引揚者の出迎慰問
2 引揚者の生活相談
3 引揚者の生業補導斡旋
4 引揚児童の修学対策
5 引揚者の住宅斡旋
6 引揚者の身元引受など更生対策の実施
7 引揚促進の運動
8 末帰還者留守家族の生活援護
1 見舞慰問
2 慰霊祭の実施
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(八)遺族の援護について
3 生活更生対策の推進
4遺族会の育成指導
(九) 精神異状者の福祉を進める仕事
1行政の強化に対する運動を進める
(一〇) 家庭経済生活安定 についての仕事
1 内職の普及
2 家計簿の実施
3 たすけあい金庫の実施
4 共同購入の実施
5 貯蓄の工夫ー貯蓄組合の結成育成指導
6 世帯更生運動の推進
7 世带更生資金、医療費貸付資金の貸付償還更生指導
8 民生委員活動の協力
(一一)衣食住生活の向上についての仕事
1 生活講習会の実施
2 衣食住生活向上の資料の共同購入研究
3 生活向上指導
4 食生活改善
5 研究グループの設置
6 新生活運動の推進
7 冠婚葬祭の合理的簡素化
(一二) 家族計画についての仕事
1家族計画講習会の実施
2器具の資材共同購入配布
3家族計画の考え方と意義の周知徹底
(一三) 生活環境を 生活環境をよくす る仕事
1 清掃
2 どぶざらい、流しじりの清掃
3 花園の設置
4 ラジオ共同聴取施設の設置
5 災害防止班の設置と研究
1 犯罪予防知識の普及
2 押売排除対策の推進
3 共同夜警の実施
4 外灯の増設
5交番との連絡体制強化
(一四)犯罪予防についての仕事
6 婦女子の一人歩き禁止
7 留守番委託相互の実施
8 非行 竹青少年 ・の保護観察
9 防犯ベルの配置
10刑余者の保護職業斡旋生活指導
11保護司活動の協力、行政力の強化
(一五)奉仕についての仕事
1 共抗金各種募金の協力
2 仕的事業に関する事項
(一六)文化の向上教養に ついての仕事
1 文化の向上に関する事項
2 成人教育について協力
3 公民館活動の協力
(一七) 青年団婦人会活動 清年旧有人轄動
1 青年団活動の育成と青年の地域社会福祉活動
2 婦人会活動の育成と婦人の地域社会福祉活動
(一八)農産業、漁業店 工業の振興についての仕事
1 農産業、漁業の振興に関する事項
2 商工業の振興に関する事項
3 健業員の福祉対策に関する事項。
4 農業協同組合,漁業協同組合、商工連盟運 営に対する協力
(一九)相談についての仕事
1 生活身上法律等の各種相談に応じ指導
(二〇)調査研究についての仕事
1 地域内の福祉に関する調査研究
2 福祉地図の作製
(二一)広報についての仕事
1 社会福祉についての広報、啓蒙宣伝に関する事項
2 地区内有線(無線)放送利用
1 体位向上に関する事項
2 体育娯楽に関する事項
(イ)家族レクリエーション
(ロ)子供レクリエーション
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(二二)体位向上、健全娯楽についての仕事
(ハ)老人レクリエーション
(ニ)区町村民運動会
(ホ)区町村民芸能大会
(二三)表彰弔慰について
1 社会福祉事業功労者の表彰
2 よい母、よい子の表彰
3 社会福祉について奇待行為者の表彰
4 会員死亡時の弔慰
☆市町村社会福祉協議会月別行事例
一、毎月実施する事項月別行事例
1 民生児童委員協議会
2 時間を守る運動
3 寝具日干運動
4 清掃運動
5 町や村をきれいにする運動
二、随時実施する事項
1 世帯更生資金、医療費貸付審査会
県社協貸付決定者に対する貸付、償還更生指導
2 たすけあい資金(民生金庫)の貸出
3 妊産婦、乳幼児、保護運動
4 新生活運動
(イ)台所改善、食生活改善運動
(ロ)貯蓄運動
(ハ)冠婚葬祭の簡素化合理化運動
(ニ)迷信打破運動
5 農産業漁業の振興対策
6 商工業の振興対策
7 相談所の開設
8 社会福祉大会 9 区町村民運動会
10区町村民芸能大会
11住民健康診断一齊検診
三、月別に実施する事項
月別 行事予定
四月
一、社協活動総合連絡会(年度頭初にあたり各部会及び関 係諸団体などと実施方針についての連絡協議
二、町づくり村づくり座談会(この月は特に世帯更生対策について)
○要保護者に家計簿の配布及び生活指導慰問激励
○「内職業の手引」を中心としての研究
○講習会の開催
○生活相談所の開設
○授職所の設置は必要ないか
三、日赤募金打合会
四、新入学入園児童関係懇談会(保育所、学校を中心として)
(1)不入所、不就学児童の調査及び対策
(2)長期欠席児童の調査及び対策
(3)前二項の父兄と児童委員並に福祉委員との懇談会
(4)被保護家庭新入園入学児童に対する金品の贈呈
五、防犯座談会(警察を中心として)
六、婦人週間
七、この子たちの親探し運動
五月
一、日赤募金の完遂協力
二、児童福祉週間
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(1)町づくり村づくり座談会(子供の日を中心として)
(2)児童祭、子供大会(子供を喜ばせる会等)
(3)児童幅祉思想即ち児童憲章の普及徹底
(4)子供の遊び場の設置
(5)児童文庫(巡回文庫)の設置
(6)自主的子供クラブ、日本赤十字少年団の育成指導
(7)優良青少年の表彰
(8)里親制度の普及
(9)施設や困窮家庭の慰問実施
(10)赤ちゃんコンクールの実施
(11)児童文化財の寄附運動
(12)特殊児童の実態調査
(13)特残児童幅祉に対する一円醸出逮動
二、母の日を中心とした行事
(1)婦人福祉の徹底
(2)家族計画の指導
(3)カーネーションの売捌き(婦人会等に連絡)
(4)母親文庫の拡充
(5)母と子の遠足又は運動会(母子バスによる慰安会)
(6)母子生活相談所開設
三、母子家庭を明る<する運動強闘月間
(1)母子家庭健康診断
(2)〃慰安瀕励
(3)〃児童の一日お父さん
(4)母子世帯実態調査
(5)母子家庭後援会総会
六月
一、季節保育所の開設
二、町づくり村づくり座談会(疾病対策について)
○結核対策盆診断の徹底予防思棘の普及徹底感染防止対策)
○寄生虫駆除対策(駆虫薬の配布と共同実施の指導等)
○梅雨期の衛生について
三、農繁期栄養の事前対策(母親又は婦人学級とタイアップして)
七月
一、夏季衛生講話会の開催
(1)田水泳監視所の設置
(2)鼠族昆虫駆除徹底
(3)食中毒について(リーフレット配布等
(4)伝染病予防について(リーフレット配布等)
二、風水害対策座談会の開催盆災害救助隊の整備)
三、町づくり、村づくり阿談会(引揚者、留守家族、身体障害者、遺族等の援護について)
四、世の中を明るくする運動
八月
一、盆踊納涼映画会等の開催
二、共募事前募金運動(夏努等を利用)
三、町づくり、村づくり廓談会(保健衛生に関する諸調査J
○国保の建営状況はどうか
○保健婦の活動状況はどうか
○保健利の牧納率は受診率はどうか
○担当療奨者の関係はどうか
○住民の体粒はどうか
○伝染病中どの病気が多いか又その蔓延状況はどうか
○予防注射はよく行われているか
○薬剤撒布は励行されているか
四、夏休み事故防止と不良化防止対策(不良化防止。ハンフレット配布)
五、夏季休暇中の兒童の学苦指導
六、子供会の育成指導
七、大人と子供の運動月閲
九月
一、共同募金の打合会
二、としよりの福祉週間
(1)としよりの日を中心とした行事(十五日)
(2)老人世帯調査と高令者名笥の作成
(3)老人に対する嘩料診察
(4)老人感謝慰安演芸会の開催
(5)老人大学の開講
(6)持別高令者に対する長寿祝品の贈呈
(7)優良老人家庭の表彰
(8)老人クラブの設置促進
三、町づくり村づくり座談会(生活改善について)
(1)諸会合に時間の励行はされているか
(2)冠婚葬祭の取りきめとその改喜はどうか
(3)迷信が実生活に悪影響しているか?影響していればこれが対策
(4)台所特に「かまど」の改善はどうか
(5)食生活の改善はどうか、着手しているか、効果はどうか
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(6)農村の働く婦人の家事負担時間はどう改善されてい るか
(7) 同和問題研究協議会の開催
四、慰霊祭の実施
五、世帯更生運動の反省
六、この子たちの親探し運動
十月
一、共同募金目標完遂協力
(1)募金の目的、募金目標の周知
(2)募金興行の開催
二、町づくり村づくり座談会(生活保護について)
○被保護人員保護率は他町村に比較してどうか
○要保護世帯要保護児童の調査は完全にできているか
○遺族、引揚者、母子世帯はどの位か
○漏給は 岩はない いか
○被保護者座談会の必要はないか
○内職の斡旋副業の奨励の必要はないか
○困窮、疾病世帯の調査
○民生児童委員協議会の開催
三、里親デー
(1)里親家庭の慰問並に慰問品の贈呈
(2)里親を囲む座談会の開催
(2)里親職親の開拓
四、貯蓄推進運動月間
十一月
一、引揚援護、愛の運動
(1)傷病者慰安会の開催
(2)帰還者留守家族慰問
(3)揚援護愛の精神昂揚パンフレット配布
二、青少年保護育成運動行事(警察、保護司を中心として)
(1)人権擁護に関する講演会及び座談会
(2)不良化防止研究会
(3)青少年団体の育成強化
(4)「文化の日」を中心とする諸行事の連絡調整
三、町づくり村づくり座談会(栄養問題について)
○越冬昆虫の駆除
○農繁期、農閑期の食料調査
○展示会、講習会、映画会等の開催(保健所を中心として)
○リーフレット、ポスターの配布
○栄菱指導(偏食児の相談、妊産婦の指導、結核患者のケースワーク等)
○農繁期共同炊事の必要度の調査と対策
四、季節保育所の開設
五、母子家庭を明るくする運動強調月間
(1)母子家庭互助活動の推進
(2)〃社会的援助強化
(イ)子女の就職援助
(ロ)母子の授職補
(ハ)母子福祉座談会
十二月
一、社会福祉週間の実施
(1)社会福祉演会の開催
(2)社会福祉功労者の表彰及び物故功労者の慰霊
(3)施設の慰問見学
(4)困窮家庭の慰問
(5)部落福祉協議会の開催
(6)保育所入所該当兄の調査に着手
(7)生活相談の実施
(8)要保護者の世論調査の実施
二、町づくり村づくり座談会 (実施済諸行事、諸調査についての反省と今僕のとるべき対策研究)、
三、年末防犯対策懇談会(児童委員,教員、警察官等を中心として)
四、歳末助けあい運動
五、要保護家庭児童へのクリスマスプレゼントの贈呈
六、児童保護運動
一月
一、国旗掲揚運動
二、成人の日演会の実施(十五日)
三、町づくり村づくり座談会(新生活運動について)
○家族計画の実際について
○予算生活の指導
○貯蓄運動
○生活反省運動
四、社会調査(村民の社会福祉に関する意見)の実施
五、母子家庭を明るくする運動強調月間
(1) 母子家庭経済的自立援助指導
(2)〃生活設計確立指導
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二月
一、町づくり村づくり座談会(児童問題について)
○問題児童の調査はどうか。
○保育所入所該当児童の調査はよいか
○児童の健全娯楽についての調査はどうか
○長欠児童の調査はどうか
○保護観察児童の更正状況はどうか
○環境調査は出来ているか
○精薄児、盲塾啞児、肢体不自由児の調査はどうか
二、優良社会福祉地区の視察(明年度計画樹立参考のため)
三月
一、連絡調整会議の開催
A横の連絡
(1)役員会を開き新年度の計画予定樹立
(2)関係団体との計画調整
(3)町村当局との連絡(特に予算について)
B縦の連絡
(1)県郡市社協との計画調整
(2)下部組織との連絡調整
二、保育所該当児童の決定(民生、児童委員協議会開催)
三、新入園入学児童事前懇談会の開催
四、町づくり村づくり座談会(施設の運営等について)
○保育所の運営はよいか
五、次年度事業計画予算の樹立
六、緑化運動
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※ 参考資料
市区町村社会福祉協議会当面の活動方針
昭和三十二年六月一日
社会福祉法人 全国社会福祉協議会
市区町村社会福祉協議会の機能と組織整備については『社会福祉協 議会組織の基本要領』(昭和二十五年十一月七日社会福祉協議会中央 準備会議決定)によるを原則とするが、市区町村社会福祉協議会の当 面する諸事情に即し、この活動を促進するため、とくにつぎの諸事項 に留意せられたい。
一、当面の活動方針策定の基礎
1市区社会福祉協議会は、その地域の社会福祉関係者および住民が協 力して、地域の実情に応じ、住民の福祉増進をはかることを目的と
する組織である。
(説明)
国民大衆の福祉増進は、単に全国的に指示される福祉活動のそれぞ れを推進することのみによつて達成されるのでなく、それぞれの市 区町村の実情を把握し、その実情に応じて、ひろく地域住民が自ら 専門家と協力してその地域の福祉に欠ける状態を克服するよう努め る必要がある。社会福祉協議会は、この二点から地域の福祉増進を 強力に推進するための組織である。
2市区町村社会福祉協議会は、当面の活動目標を、その地域の『福祉に欠ける状態』を克服する諸活動の推進におく。
(説明)
市区町村社会福祉協議会の活動対象を全国一率に限定することは、 社会福祉協議会が、その地域の実情に応じて活動することを本旨と
する建前からも困難である。
しかし、活動の対象を限定することは、社会福祉協議会の活動を促 進するに便利である。そこで対象を『その地域の福祉に欠ける状態 』と表現することとした。なお『福祉に欠ける状態』も、地域住民 が『福祉に欠ける状態』を認める程度も、それぞれの地域において
異る。その結果、何を『福祉に欠ける状態』と指称するかはそれぞ
れの地域において判定しなければならない。
また社会福祉協議会の当面の活動目標を『福祉に欠ける状態の克服 』としたことは、つぎの理由による。
すなわちとかく広般な住民の福祉増進のための活動に陥りやすいこ とは、その活動の対象が比較的その活動を理解しやすい階層に止ま り、ひろく国民大衆、とくに低所得階層にまで浸透しないか、ある いは逆に一部の極度に福祉に欠ける状態のみに活動対象を限定し、 それにつづく国民大衆の生活との関連性を無視したような動きに止 まつていた点である。それ故に市区町村社会福祉協議会は、これら の傾向を防止するために、ひろく地域住民の福祉増進を究極の目標 とするにしても、まずその地域の『福祉に欠ける状態』の克服につ
とめることが必要であるとして、この項目をたてたのである。 3 市区町村社会福祉協議会は、その地域の実情に応じて地域内の各種
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社会福祉活動を調整するとともに、社会資源の開発動員を行う。
(説明)
市区町村社会福祉協議会は、地域における福祉に欠ける状態を克服 するために、市区町村及び福祉関係機関、団体と協力して、地域の 福祉総合計画をたてる。その計画に即して既存の諸活動を地域の実 情に応じて効果のたかまるように働きかける。
さらにそれではみたされない問題については、地域住民の良識に訴 え、各種社会福祉施設の設置促進その他の諸制度の創設、改善など に努めるとともに、必要な場合は県全域にわたり、あるいは全国的 な運動に参加して、社会資源の開発をはかる。
なお市町村社会福祉協議会は、必要に応じて生活相談所、法外援後 資金等の創設運営に当り、また適当なる経営主体のない場合には保 育所、授産場など地域性の濃い施設の経営に自ら至ることもある。 要するに市区町村社会福祉協議会が『その地域の福祉に欠ける状態 を、あらゆる手段を尽して克服する』ことを常に念頭において活動 するならば、単に連絡会議に止まり、あるいは施設経営、援護資金 の貸付などの事務に終始するなどの誤りから脱却できよう。
4市区町村社会福祉協議会は、地域住民各自が、社会福祉関係者とともに、その地域の『福祉に欠ける状態』の克服に進んで協力するよ
う配慮する。
(説明)
市区町村社会福祉協議会の活動は、地域住民の生活と直結したもの でなければならない。そのために、単に社会福祉関係専門家の立場 で立案した福祉計画の実施協力を地域住民に呼びかけるだけに止まらず、福祉計画立案の当初から地域住民の協力を得ることに よつてその望むところを正しく計画にとりいれ、さらに進んで地域住民が その地域の『福祉に欠ける状態の克服』に自発的に参加することに より、かゆいところに手のとどく福祉活動たらしめるとともに、地 域住民がひろく社会福祉の増進に関心をたかめるように仕向けるこ とが必要である。
この福祉活動への住民参加の形態は、自主的な地区組織、婦人団体 職能団体(工場、会社、労働組合、農業団体)等を通じるものと、 直接地域住民個々の協力をうながすもの(例えば全住民会員制のご とき)とがある。
そのいずれがのぞましいかは、地域の実情に応じて配慮すべきである。
さらに住民の協力促進の方法としては、住民個々に対する働きかけ (座談会、奉仕活動への参加促進など)と地域住民全体に対する広 報的手段によるものとがある。これらの方法はいずれも甲乙をつけ るべきでなく、具体的な活動に即して配慮すべきである。 地域住民に対する広報活動を促進するためには、市区町村社会福祉 協議会は、都道府県社会福祉協議会の協力を得て、地域内外の各種 報道機関と緊密な連絡をとり、随時社会福祉に関する報道が活発に 行われるよう努力すべきである。
二、当面の活動方針
1市区町村社会福祉協議会は、その活動を行事中心から重点福祉活動 の推進に切りかえるべきである。重点活動目標の設定に当つては、 つぎの事項に留意する必要がある。
イ市区町村社会福祉協議会は、市区町村その他の福祉増進に関係ある機関、団体の協力により、各年度末に、地域内の福祉に欠ける
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状態と、その対策の現状とを比較検討する。
ロ地域住民が切に要望している福祉活動のうち、地域住民の社会福 祉についての関心をたかめ、ひいては地域の福祉を総合的に増進 する気運を高めるととき発展性のある活動を選んで重点福祉活動 とする。市区町村社会福祉協議会は、この重点福祉活動の推進に 努力する。
(説明)
市区町村社会福祉協議会は、現在各種の福祉活動の促進に努めてい るが、限られた労力と資源を活用し、地域における他の地域福祉活 動との連撃を緊密にするよう機運を増進する。
2市区町村社会福祉協議会は、地域内の各種社会福祉施設に対し、そ の機能を増進するよう協力するとともに、各施設を総合的に推進す るよう機運の造成に努めるべきである。
(説明)
市区町村社会福祉協議会は民生(児童) 委員等との関係に比較して 、地域内の各種社会福祉施設の活動に協力がたかまつていないうら みがある。これを是正するため、市区町村社会福祉協議会は自ら施 設ぐるみの地域福祉活動を計画し、施設がすすんでその活動を地域 の実情に応ずるよう努力することが必要である。
3市区町村社会福祉協議会は、地域内の各種福祉関係団体に対し、そ れらの団体の機能を促進するため積極的援助を行うとともに、それ らの団体の目標とするところを側面より達成するよう努力する。
(説明)
市区町村社会福祉協議会は、地域内の各種関係団体(例えば未亡人 団体、身体障害者福祉団体、肢体不自由児童育成団体など)に対し単なる財政的援助だけでなく、その具体的活動につき共催、後援等 の態度をとるとともに、これらの福祉関係団体の目的とするところ を社会福祉協議会の立場より促進する側面的活動を行うことも必要 である。
4市区町村社会福祉協議会は、共同募金運動が社会福祉増進を促がす 好適な運動であることを理解し、この運動と表裏一体となり、年間
を通じて積極的に協力する。
(説明)
都道府県の段階における社会福祉協議会と共同募金との協力を一層 緊密化することはもちろんであるが、市区町村社会福祉協議会にお いても、共同募金の支会、分会と常時に連絡会をもつて、両者が相 提携して一般住民の参加協力を促進するなど両者の緊密化をはかり さらに広報活動の一環として民間社会福祉事業の働きや、寄附金の 効果について具体的に示し、今後の共同募金計画に地域住民が積極 的に協力するよう働きかけることが望ましい。
5市区町村社会福祉協議会は、その活動が地域住民の生活に直結する よう当面する福祉問題の対策をたてる際にも、ひろく問題に地域住 民が積極的に協力するよう働きかけることがのぞましい。 (説明)
市区町村社会福祉協議会の計画に、地域住民の意向を正しく反映さ せることなく実施に移すとか、小区域ごとに福祉活動促進のための 組織が強固でないため、住民の積極的参加が得られないかの事実が しばしば指摘されている。
その対策として、市区町村社会福祉協議会は、その活動が地域住民 の生活に即応するよう当面する福祉問題の対策をたてる際にも、単
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に社会福祉協議会の理事者のみで協議することなく、必要に応じて 臨時の対策委員会(あるいは問題別部会)を設け、ひろくその問題 に関係あるものが協議に参加する機会を提供することがのぞましい。
また市区町村の区域が広大であつて、地域住民の生活状態が小区域 ごとに差がある場合には、各小区域ごとに地区社会福祉協議会、あ るいはこれに準ずる福祉活動の推進組織を結成し、その小区域にお ける住民の福祉増進をはかるとともに、市区町村社会福祉協議会に おいて決定した全地域的福祉活動の実施を促進するよう配慮すると
とがのぞましい。
なお市区町村社会福祉協議会のうちには、全住民会員制をとってい るものもあるが、これを単に会費徴収のための便利として採用する のでなく、地域住民が社会福祉協議会の会員であるとの自負をもつ ことにより、『福祉に欠ける状態』を発見し、その対策に協力する には、ある気安さをたかめるような血の通った組織に仕上げる努力 をなすべきである。
6市区町村社会福祉協議会は、主事(事務局長)に組緩推進者としての適任者を当て、でき得ればこれを専任させることがのぞましい。
(説明)
市区町村では、町村合併の結果地域の住民の構成、産業、生活習慣 の相違など、複雑な様相を呈している。その地域で社会活動を促進 するには、社会福祉協議会幹部の努力はもちろんのこと、それに合 せて地域福祉活動を組織的に推進する専門家の協力援助がのぞましい。
社会福祉協議会の主事は、市町村の全体としての福祉計画の策定とともに、各区域の『福祉に欠ける状態』を発見し、重点活動を決定 し、関係者を積極的に参加しやすいように仕向けるなど専門的技術 を体得していることがのぞましい。
これを単なる事務的処理者に止まらしめてはならない。 かかる主事を得ることは、現状として容易でない。各市区町村社会 福祉協議会においては、現在の事務主任者に対し専門的技術につい ての研修を一層強化するとともに、財政的事情のゆるす限り専任の 主事をおくよう積極的に配慮することがのぞましい。
☆小地域社会福祉協議会組織について通ちよう
厚生省社乙発第七七号
昭和二十七年五月二日
厚生省社会局長
各都道府県知事殿
全国の都道府県社会福祉協議会は、一応昨年十二月をもつて全部そ の結成を完了し、現在すこぶる順調な発展を遂げつつあることは貴職 始め関係者各位の御尽力のたまものであり、誠に御同慶に堪えないと ころである。
しかしながら、社会福祉協議会活動の末端組織として実際活動を行 うべき郡市町村等小地域社会における住民は、共同募金運動を通じて その地域社会の福祉増進に深い関心を有し、社会福祉協議会結成の機 運はつとに醸成せられていることと思料せらるるにもかかわらず、そ の結成並びに活動状況はいまだに満足すべき域に達していないので、
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今後さらに貴職の御支援により社会福祉協議会活動が円滑に推進でさ るよう左記事項を御留意のうえ、都道府県社会福祉協議会とも連絡し 一層の御協力をお願いいたしたい。

(目的理念の普及)
一、郡市町村の地域住民に対し、住民の社会福祉に関する関心と理解 を深め、各種機関、団体の行う福祉活動の連絡調整を図ることによ つて、地域社会の福祉を増進するという社会福祉協議会(以下協議 会という)の目的理念を各種関係機関(福祉事務所、市役所、町村 役場、公私社会福祉事業施設、民生委員等)を通じ、具体的な例を もつて唇もうし、地域住民の十分な理解と協力のもとに自発的かつ 民主的に組織されるよう努めること。
(公的扶助との関連性)
二、福祉事務所の管轄区域内の協議会設置により生活保護法その他公 的社会福祉事業は、地域住民の真心からの援助により円滑に実施さ れ、その効果を上げうるので、その設置に努力願いたいこと。 従って郡市町村等小地域における協議会の育成、指導等の業務は事 務に支障がない限り福祉事務所とすることが望ましいこと。 (民生委員との関係)
三、民生委員が木来の民間篤志奉仕者として地域社会の福祉増進を図 るためにも協議会は、その母体となり拠点ともなるので、協議会の 結成に意を注ぎその活動を推進されるよう指導されたいこと。
(小地域協議会の特色)
四、社会福祉を目的とする事業に対する関心の程度は地域により異な るので、町村など小地域の協議会はそれぞれの地域の実情に応じて特色のある構想と仕組みをもつて作るべきで、画一的に定められる べきではないことはもちろん、またその事業も緩急軽重に応じ絵花 的でなく実施されるよう指導すること。
(組織の長)
五、比較的規模の小さい町村における協議会は、その性格上、およそ 地域の福祉に関連のあるものは官公私の施設たると個人たるとを問 わず一体となって参加協力することが特長であるので、その組織の 長は協議会活動に理解と熱意とを持つ人であればだれでも差しつか えない性質のものである。従って町村長がその組織の長となること も考えられる。
(財政的真付)
六、町村等小地域における協議会の経費は共同募金よりの配分金及び 構成員からの会費等をもつてあてられるべき性質のものであるが、 協議会活動は町村の福祉を増進し、住みよい環境を作ることを目的 としているものであるから、結局町村の行政目的と一致し、これを 助長する役割を果すものであり、かつ町村当局も当然協議会の一構 成員となるのであるから、分担金とか委託金とかを支出されるよう 指導されたいこと。 なお、中央においても地方財政平衡交付金に市町村社会福祉協議会 交付金として財政措置を誰じているから承知願いたいこと。
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☆心配ごと相談所運営要領
厚生省発社第一一八号
昭和三十五年四月十二日
厚生事務次官
各都道府県知事殿
心配ごと相談所の運営について(依命通達)
近時、各地において小地域社会福祉協議会を中心として心配ごと相 談所を設置しようとする気運が高まっているが、国においても今般予 算措置を講じ、低所得階層対策の一環としてこれが運営の助成を実施 することとなり、別紙のとおり「心配ごと相談所運営要綱」を定めた ので、左記事項に留意のうえ、これが実施に遺憾のないようにされた く、命により通達する。

一、心配ごと相談所の性格と民生委員・児童委員の訓練 心配ごと相談所は、地域住民が気軽に相談に来られるように、民間 活動として小地域社会福祉協議会が運営し、主として民生委員、児
童委員が相談に応ずるところにその特性がある。従ってその成否は
一にかかつて民生委員・児童委員の資質及び活動の如何にあるので その指導訓練については一層意を用いられたいこと。
二、小地域社会福祉協議会の育成助長
三、指導
市町村等を単位とする小地域社会福祉協議会の活動状況は未だ満足 すべき域に達していないので、心配ごと相談所の開設を機に、その 育成助長に努められたいこと。
心配ごと相談所の運営については、市町村、都道府県社会福祉協議会及び市町村社会福祉協議会に対し所要の指導を行ない、また適時調査等を行なって、この事業が円滑適正に実施されるよう努められたいこと。
別紙
心配ごと相談所運営要綱
一、目的
心配ごと相談所は、主として低所得者に対してその生活上のあらゆ る心配ごとの相談に応じ、社会資源を効果的に活用して、適切な助 言、指導を行ない、その福祉を図ることを目的とするものとする
二、運営
(一)心配ごと相談所は、原則として市 (特別区を含む。)町村社会福 祉協議会(以下「市町村社協」という。)が運営するものとする。
(二)心配ごと相談所は、利用者の心理、交通の利便等に留意し、利用 者が気軽に訪れることができる場所に設けるものとする。
(三)心配ごと相談所には、相談業務に必要な設備を設けるものとする。
(四)心配ごと相談所には、相談員を置くものとする。 相談員は、民生委員・児童委員その他住民の福祉に関し理解と熱 意を有し、かつ、相当の経験を有する民間篤志家のうちから市( 特別区を含む。)町村社会福祉協議会長が委覇するものとする。
(五)相談業務を行なうに当つては、相談内容に応じて関係機関に紹介する等適確な助言、指導を行なうものとする。
(六)相談業務は、利用者の利便、地域の実情を考慮して、定例の相談 日を設け、又は巡回相談を行なう等の方法により、少なくとも、
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一週間につき一日程度行なうよう努めるものとする。
三、特別会計
市町村社協は、心配ごと相談所について特別会計を設け、收入及び 支出の状況を明らかにしておくものとする。
四、費用
(一)心配ごと相談所の運営に要する費用は、市町村が市町村社協に対 し補助金又は委託費を交付するものとし、都道府県は市町村が市 町村社協に対して交付した補助金又は委託費の金額の三分の二以 内の金額を市町村に対して補助するものとする。ただし、特別区の区域を単位として組織されている社会福祉協議会(以下「特別 区社協」という。)が運営する心配ごと相談所の費用は、都が特別区社協に対して補助金又は委託費として交付するものとする。
(二)国は、予算の範囲内において、都道府県が市町村に交付した補助 金の金額の二分の一(前号ただし書により都が特別区社協に対し 補助金又は委託費を交付した場合は、当該補助金又は委託費の金 額の三分の一)以内の金額を都道府県に対して補助するものとする。
社発第二三五号
昭和三十五年四月十二日
厚生省社会局長
各都道府県知事殿
心配ごと相談所の運営について
標記については、昭和三十五年四月十二日厚生省発社第一一八号を もつて厚生事務次官から通達されたところであるが、これが取扱の細部について別紙のとおり「心配ごと相談所運営要領」を定めたので、 左記事項御了知のうえ所期の目的達成に遺憾のないようされたい。

一、市町村社会福祉協議会の定款等の改正
市(特別区を含む。)町村社会福祉協議会(以下「市町村社協」と いう。)が心配ごと相談所の運営に当るについては、その定獄又は 規約に心配ごと相談事業を行なうことを規定しなければならないの で、所要の改正をするよう指導されたいこと。
二、市町村の補助に関する条例準
市町村が心配ごと相談所の運営に要する費用の補助を行なうに当り 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第五十六条第一項 の規定に基づいて定めなければならない条例の準則を別添のとおり一 定めたので、関係の市町村に対し、これを参考として条例を定めるよう指導されたいこと。
三、関係条例等の報告
心配ごと相談所に関し、市町村において補助に関する条例又は規則 を定めたとき、若しくは市町村社協において運営規程等を定めたと きは、すみやかに当局に報告されたいこと。
別紙
心配ごと相談所運営要領
一、設置場所
心配ごと相談所は、利用者が最も気軽に利用できる施設、例えば社 会福祉事業施設、公民館、私人の建物等を利用して設置するもとし 市町村役場等官公署の建物を利用して設置することは出来る限り避
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けること。
二、設備
(一)相談室に充てる部屋は、利用者の心身に及ぼす影響を十分考慮し て選定すること。
(二)相談室は、利用者が相談の内容を気兼ねすることなく述べること ができるようその設備調度に細心の注意を払い、いやしくも外部 から相談の様子が望見され、又は相談の内容が聴取されることの ないようにすること。
(三)心配ごと相談所には、相談業務を円滑に実施するため、少なくと
も次に掲げる備品を備えること。
1 相談用の机
2 相談用の椅子
3 整理戸棚
4電話器
三、所員
(一)相談員の数は、地域の実情により定めるものとすること。なお、 相談員のうち一名を主任相談員とすることができること。
(二)心配ごと相談所に事務員を置き、市(特別区を含む。)町村社会福祉協議会(以下「市町村社協という。」の職員をもつてこれに 充てること。
(三)心配ごと相談所には、協力員を置くことができること。 協力員は、弁護士、医師、関係官公署の職員のうちから市(特別 区を含む。)町村社会福祉協議会長(以下「市町村社協会長」と いう。)が委嘱すること。
四、業務
(一)相談員は、懇切丁寧に相談に応じ、問題の円満な解決が得られるよう努めなければならないこと。
(二)相談に当っては、市町村、野祉事務所、身体障害者更生相談所、 精神薄弱者更生相談所、婦人相談所、児童相談所、保健所、公共 職業安定所、家庭裁判所、学校、税務署、警察署、社会福祉事業 施設その他関係機関と連絡を密にし、その協力を得て問題の適確な解決に努めること。
(三)心配ごと相談所員は、少なくとも毎月一回、研究協議会を開催し 取り扱った事例につき、その相談経過、社会資源の活用方法等について研究協議し、相談事業の発展を向上を図ること。
(四)心配ごと相談所員は、正当な理由なく、相談によつて知り得た秘密を漏らしてはならないこと。
(五)相談は、無料とすること。
(六)心配ごと相談所は、取り扱った事例につき、その相談経過を明確に記録しておくこと。
五、広報
市町村社協は、心配ごと相談所の場所、事業内容等を広く住民に知 らせるため、主要な地点に案内標を立てるほか、停車場、興行場、 飲食店、浴場その他公衆の集合する場所にポスターを掲げる等の方 法により広報活動を行なうこと。
六、特別会計
心配ごと相談事業にかかる特別会計の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとすること。
七、備付帳簿等
心配ごと相談所には、少なくとも次の帳簿等を備えること。
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(一)相談日誌
(二)相談カード
(三)発受信文書綴
(四)研究協議会議事録
(五)予算書及び決算書
(六)金銭出納簿
(七) 備品合帳
(八)証拠書類綴
相談日誌はおおむね様式第一号、相談カードはおおむね様式第二号によること。
八、事業成績書
(一)市町村社協会長は、毎年五月末日までに前年度の心配ごと相談事 業成書(様式第三号)を市町村長 (特別区の区域を単位として 組織されている社会福祉協議会にあつては都知事)に提出するこ
と。
(二)市町村長は、けの書類の内容を審査して都道府県知事に提出し、 都道府県知事は更にその内容を審査して六月末日までに厚生大臣に報告すること。
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☆社会福祉のボランティア活動推進のために
一、ボランテイア活動の必要性
住民の健康や生活を高めてゆくためには、住民自身が社会福祉への 関心を高め合い、その意欲を実践活動に結び付けることが欠くことの できない要件である。
社会福祉を進めるための社会福祉施設や関係機関、団体などを充実 し、その活動を強化することの重要なことはいうまでもないが、これ と併行して、住民自身がこれらの機能を促進助長するとともに、住民 による地域組織活動の態勢を確立し、社会福祉を住民のものとして発 展させてゆくことが必要である。
ボランティア活動はこの住民参加の個別的なあらわれであると同時 に、住民参加を促進するきずなでもあって、社会福祉活動において高 く評価さるべきである。
従来わが国におけるボランティア活動は組織の面においても、活動 実績の面においても、必ずしも十分とはいい難い実情にあった。
すなわちボランティアと呼ばれていても、それが単なる形式的委扇 制度であったり、たまたま純然たるボランティアの要素をもつた活動 があっても、それが非組織的であつたり、またボランティア組織とし て発展の可能性を有しながら運営に領座をきたしたりして、その活動 は極めて小範囲に止まり、散発的に終るのが否めない傾向であつた。
しかしながら日赤奉仕団やBBS (Big Brother and Sisters = 青少年愛護運動)点訳奉仕者のグループ等が、それぞれの趣意と目的を 中心に大きな活動実績を積み重ねてきたし、最近愛媛県、福島県等に おいて顕著な「青年有志社会事業家」たちによるVYS運動 (Voluntary Youth Social worker) が大きな発展を遂げつつあるように、その開拓育成の気運が、とみに高まりつつあることは喜ばしいことである。
二、ボランテイアの意義とそのあり方
社会福祉事業でいうボランティアとは 「社会福祉事業についての専 門的知識、訓練の有無を問わず、自ら望んで、常時あるいは臨時的に 無報酬で協力活動をする人」いわば「社会福祉協力者」である。
ポランティアは無報酬で、時間の許す範囲において、能力に応じた 協力活動をするものであるから、いたずらに高度の責任を強要される ものではないが、さりとてただ漫然とした場当りの活動に終始するのでなく、社会福祉に対する理解と関心を有することは勿論、積極的意欲と社会福祉への参加という共通の意識のもとに、責任をもって事に あたる人々である。従ってこのような人々の育成と配置にあたって、 組織だつた態勢を整えることが必要であり、地域を基盤とした住民参 加の態勢確立の問題もこの考えにつながるものである。
三、社協の基本的態度と役割
社協はボランティアの組織者として広い視野と責任をもってその開 拓育成と組織的活動態勢の整備にあたることが必要である。
(一)地域におけるボランティアの開拓を進めるにあたっては、まず地 域のニード(必要とされる福祉対策・問題)を発見把握し、できる だけそのニードに直結した活動を進めつつ、社協組織の充実強化を はかることが基本的に肝要であり、またこれと併行して別項のよう な広報活動を行う必要がある。このような住民参加の気運醸成の中
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でこそ、はじめてボランティアの開拓が期待できるのである。
(二)既存のボランティア組織(団体や組織の活動の一部に、ボランテ イア活動を包含するものを含む)〔別項参照〕ーに対しては、それ ぞれの固有の趣意、目的を尊重しつつ、積極的な支援態勢をとると ともに、有機的な協力関係のもとに必要に応じて協力を求めるべき であつて、いたずらに画一的、あるいは一方的な立場ではたらきか けるべきではない。このためには団体登録カードを用意し、ボラン ティア活動に協力できる人員、時間、希望する活動、責任者の氏名 などを明らかにしておくことが望ましい。
(三)ボランティアとして積極的に協力しようとする人が個々に得られ た場合には、(個人)登録カードにその住所、氏名、性別、年令、 配偶者の有無、職業、希望する仕事の種類、協力可能な時期や時間 特技、連絡方法等を記入してもらい、必要に応じて本人の意志と合
致した協力が得られるよう配慮する。
(四)ボランティア活動を受け入れる側がどんな要求や希望をもつてい るかを適確に把握するとともに、受入態勢の確立について協力し、 ボランテイアを適当で必要な面に振り向けることについて仲介的な役割を果す。
必要に応じては、直接ボランティアの指導訓練などを行つて、適正 かつ効果的なボランティアの活用と、活動の進展を期し得るよう配
慮しなければならないが、そのためには、社協内にボランティア、 民生委員、受入側、社協の役職等をもつて構成する「ボランティ ア活動委員会」あるいはこれに準じた話し合いの場をつくつて、研
究や話し合いを進める態勢をととのえることが望ましい。
◇参考
〔広報活動例〕
1 各種関係資料 地方自治体の発行する公報等を効果的に活用すること。
2 壁新聞の作成 「回覧板」「掲示板」の利用を積極的に配慮す るほか、でき得れば全住民に広報資料を配布すること。
3 公民館学校との提携により、社会教育、学校教育を通じて理解と認識を促進すること。
4 社会福祉事業社協活動,民生委員活動等に関する平易な解説書や資料を作成配布すること。
5 自ら主催して映画や幻灯の会を開き、併せて座談会を開する等 により理解と関心を深めるほか、各種関係団体の行う催や広報活動に対し積極的に協力すること。
6 施設見学や敗問のあつせんをすること。
〔既組織ボランティアグループ〕
日赤奉仕団、BBS、婦人オパール、点訳奉仕者グループ、VY S、学生セツルメント、学生ボランティアグループ、ワークキヤン
プ、篤志面接負、等
〔ボランティア活動の機能を一部包含する各種団体〕
ボーイスカウト、ガールスカウト、青少年赤十字、(日本ユネスコ 学生連盟)青年団、青年商工会議所、高等学校家庭クラブ、YMC A、YWCA、地城婦人会、主婦連合会、大学婦人協会、農協婦人
部、PTA、フリーメイソン、レディスグループ、ロータリークラ
ブ、ライオンズクラブ、新聞読者グループ
○ボランテイア活動受入側の基本的態度と役割
ボランティア活動を受入れる側においては、ボランティアの意欲を
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盛り上げるとともに、気持よく協力してもらえるような雰囲気をつくることが特に重要である。
またその協力活動を組織的、計画的に受入れる態勢をととのえなけ ればならない。そのためには、
1 ボランティアの協力活動を「地域社会のニードの解決と福祉の増進に対して住民が参加する権利と義務のあらわれ」として受入れること。
2 ボランティアにまかせ得る仕事、あるいはボランティアに依頼し た方がよい仕事をみつけること、この場合注意すべきことは、ボラ ンティアの本質的な性格をよく理解し、限られた時間しか活動でき ないボランティアにもできて、しかも興味をもつことのできる仕事 を依頼すること。
3 仕事の内容や性質によつてどのボランティアにどのような仕事を してもらうかについて計画を樹てること。
4 ボランティアの能力の限界、あるいはその要求等を把握し仕事に つく前に必要な知識や技術を与え、常時の指導や、専門職員との関係の調整等についてよく考えておくこと。
このために施設等受入側としては、ボランティア活動に関する担 当責任者を明らかにし、いつでもボランティアの相談に応じられるようにしておくことが望ましい。
5 ボランティアが過重負担にならないよう考慮すること。
○ボランテイアの活動分野と仕事の種類
社会福祉事業の分野は極めて広く、従ってそれぞれの事業や活動の 内容、種類によってボランティアの果す役割、提供する協力活動の内
容や種類も非常に広範囲である。
(一)公私の社会福祉関係団体に対する協力
(例)
1 福祉事務所、児童相談所、保健所その他社会福祉事業施設等の 行う業務の援助者あるいは相談役として
2 社協等関係団体の行う業務の援助者として
3 ケイスワーカーや民生委員の補助者あるいは相談役として
(二)地城活動に対する協力
1 各種クラブ活動の指導者、補助者、世話人として
(例)
子供会、老人クラブ、母親クラブ、児童指導班等
2 地城活動に対する協力
(例)
(1)生活援護活動
○生活(法律)相談事業の相談員として
○生活困難世帯の就労、就職のための援助者 あるいは協力者として
○生活因離世帯の生活や家政の援助者あるいは協力者として
○生活援護関係各種行事活動の世話人あるいは協力者として
(2)児童福祉活動
○児童の校外補導学習指導等の指導者あるい○は協力者として
○児童遊園、児童文庫等の世話人あるいは協力者として
○保育所に対する協力者として
○児童のレクリエイション指導者あるいは協力者として
○各種児童福祉団体に対する援助者あるいは 協力者として
○児童委員の協力者として
○体育指導員としてあるいはその協力者とし
○勤労少年の相談相手やグループ活動の援助 者として
○児童福祉関係各種行事活動の世話人あるい は協力者として
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(3)老人福祉活動
○老人の話相手や慰問者として、
○としよりの日(週間) その他老人福祉関係 の行事活動の世話人あるいは協力者として
○老人世帯の生活や家政の援助者あるいは協力者として
○老人に生甲斐を感じさせるための活動の世 話人あるいは協力者として
(4)身体障害者福祉関係
○点訳奉仕者、朗読奉仕者として
○盲児や肢体不自由児の学校への誘導者として
○盲児の学習のための朗読奉仕者として
○身障者雇傭のあつせんに関する協力者として
○身障者世帯の生活や家政の援助者あるいは 協力者として
○各種身障者福祉関係行事活動に対する協力者として
(5)保健衛生活動
○健康相談、健康診断、巡回診療、環境衛生 等地域福祉活動に対する協力者として
○技術や余暇を活用した奉仕協力者として( 病院看護婦の余暇利用による家庭や施設に対する奉仕的指導介護 病人の世話、栄養指導等)
3 公私社会福祉施設団体の行う社会調査に対する協力者として
4 隣保館活動に対する協力者として
5 共同募金の奉仕者として
(三)收容施設、医療施設に対する協力
1 施設入居者や入院治療者に対する協力者として
(例)
(1) レクリエイションや慰問の世話役あるいは協力者として
(2) 理髮、園芸、体育等技術や趣味による奉仕協力者として
(3) 学習、農耕、趣味、各種技能等の指導者として
(4) 洗濯、清掃、つくろい等の奉仕者として
2 施設や病院の後援者として
3 施設、病院内における諸行事に対する協力者として
四 更生保護、社会教育、災害救助等広義の社会福祉活動に対する協力者として
○ボランテイアの開拓領域
1 学生
2 婦人
3 青年
4 各種専門家(弁護士、医師、商工金融関係者、教師、宗教家、芸術家、報道関係技術者、職能団体等)
5 その他一般市民
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