貿易は国を滅ぼす

ラビバトラ博士の「貿易は国を滅ぼす」を読んだ。

要約すると、

自由貿易は素晴らしいという理論はあるが、保護貿易には保護貿易を擁護する理論がない。それゆえ、自由貿易は推進されがちだが、自由貿易は、生産性の増加が所得の増加と結びつかなくなるので危険だという内容です。

 米国経済復活のための本として書かれた古い本になりますが、いまも色褪せることがない良書かと思います。

 著者は、生産性の向上が賃金の向上につながるはずだが、産出物の増加が価格の値下げをしてもなお需要が十分に生まれない時には賃金が下がることを指摘します。

 たとえば、農業だと、たくさん農作物を作っても、国民や海外の胃袋には限りがあるからそれにともない価格は減少し、賃金は下がるといいます。そして、こうした、農業に特有の現象が製造業にまで、自由貿易によって広まったというのです。

 日本でもTTPで国内が賛成反対と一時期揉めておりました。今では中国封じ込め政策だそうで、正直よくわからないのですが、自由貿易に疑問を持ったかたの理論武装にはよい本かと思います。