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成田先生感傷日記(8/18〜8/24)

8月18日(金)

友人と東京学生映画祭へ行く予定だったが一緒に行く予定だった友人の友人が体調を崩したということで無しになった。部屋で呆然として何も手につかなかったのでとりあえず外に出ようと思い、行ったことがなかった近くの図書館へ行ってみたのだが、入ってすぐにまあいいやとなって5分で帰宅した。

昨日から見始めた『彼氏彼女の事情』を10話まで見る。速度とメリハリ。次回予告で毎回恋をしている。今石洋之見ていきたい。

U-NEXTで水曜日のダウンタウンを見る。心霊ビデオ見るようになってから気付いたけど、水ダウってたまに心霊ビデオ的な企画をやっている。♯63のハチ公、♯71のK.カズミ、♯105の新人マネージャー、最近だとザマミイ酒井の彼女の実家のやつとか。
バラエティを見ている間はストレスなく楽しいんだけどダラダラしてしまうので極力見る時間を減らさなければ…。

andymoriや秋山璃月を聴いてしばし踊ったあと、長谷川白紙のインタビューで言及されていたジェイムズ・ブラウンを聴きながら保坂和志の『書きあぐねている人のための小説入門』を読む。サラリーマン時代に週3で打ち合わせと称して喫茶店へ行き小説を執筆していた保坂。エヴァを人一倍楽しんで見ていた保坂。「小説は"細部"が全体を動かすという独特な力学を持っている表現形態なのだ。」と書いているけどそれは映画にもマンガにも言えることだと思う。『プレーンソング』を書く際に「「悲しいことを起こさない」だけでなく、「その気配すら作らない」ことを心がけた、つまり、そんなありがちでネガティブなストーリーに頼らなくても面白い小説は書けるという思いを強くした」らしく(激しく同意)、これは横浜聡子の言う「学生映画には暗いものが多く、だからこそ明るい映画を撮ろうとした(大意)(どの記事か忘れた)」とだいたい同じだと思った。

190ページまで読み進めて一旦閉じ、洗濯を回しスーパーで買い物をしてきて洗濯物を干して、冷房と扇風機と除湿機をフル稼働させて一気に乾かしにかかる。衣類から蒸発した水蒸気が除湿機によってどんどん吸い込まれていくと考えると、この空間を統制しているような気持ちのいい感覚に陥ってくる。

増村保造『青空娘』を視聴。若尾文子がガキと取っ組み合ってお互いの服についた草よごれを払いあうシーンとか海のシーンのバキバキのショット、人物の動きの流れとフレーミングが良かった。

8月19日(土)

ミスチルを聴きながら引き続き保坂の『書きあぐ』を読んでいたら日付が変わっていた。部屋の湿気がMAXで気持ち悪い。壁紙がふやけて歪んでいるのを見つけてびっくり。どうすればいい? 今日の夜は新文芸坐のオールナイト上映を観に行くので昼頃まで起きていなければならない。
"「感傷的な小説」は罪悪である" と言い切る保坂、ありがとう、そうだよね、そうだよな。和志とは友達になれそう。

買ってから動画を見ることにしか使ってないiPad、重い腰を上げてクリスタを開いて使ってみる。たぶん調べて色々やってみたら出来るんだろうけど怠惰過ぎてすぐ閉じてしまった。アナログもデジタルも変わらずマンガを描くのはめんどうくさい。あと10日くらいで13ページ描かなければいけない。漫画のことを考えて憂鬱になった。

モンスターを買いにコンビニへ向かうと途中で酔っ払った男性がいて、「アー、、、アーーーーー!!!!!」と叫んでいてよかったし、隣にいた女性が優しそうなのもよかった。

この時間帯は何もできないので(かといって朝も昼間も夕方も何もできないが)しかたなくU-NEXTを開いてシャブロル『いとこ同志』を観る。ーーーーーーーーーーーーーところが眠過ぎて5分で寝てしまった。昼前に起きてご飯を食べて、なんやかんやして小池茅監督が作ったMVを何本か見る。

海にいる/ぎがもえか、2人乗りは聖者/ドレスコーズのMVでもやってた。あの紫の/フー・ドゥ・ユー・ラブ、ボーカルなんか見たことあると思ったらキイチビール&ザ・ホーリーティッツの人だったんだ。ハゥ・ハイ・ザ・ムーン/グリーティング霊長類ズ(鶴舞公園LIVE)、薬物トリップみたいな映像。カルダモン/kiss the gambler、ホン・サンス『それから』を彷彿とさせる雪と車窓から外を眺める女性の顔。てか声と曲がサイコー。PFFで受賞した『フィン』もそうだったけど小池茅ホンサンス好きだよね。nothing/Khan Brown、チルい。私の歌/豊田道倫、YouTubeの再生回数99回以下の動画をサンプリングして作ったらしい。カオスで面白い。途中でミッドサマーみたいな映像が。台風のあとで/kiss the gambler、このどこにでもありそうな風景がグッとくる。また2人乗り。手放した風船→スカイダイビング→空を見上げる男女の繋ぎすごい。FEVER/寿々木ここね、赤と黄と緑の服を着た男3人が女性の周りをうろちょろする。後半の4人でのダンスがめっちゃ良い。最後に9年前に投稿されてた自主制作映画の『余命一日のノぐち』を観る。爆笑。めちゃくちゃオモロい。終盤死ぬほどエモくて感動した。小池茅監督もっと映画バンバン撮ってってほしい…切実に。

すこし休憩して、中村一義を聴きながら、最近あまり小説を読めていなかったので適当に池袋のブックオフで100円で買った辺見庸の『自動起床装置』を読む。変な話で面白いけどもうちょっと主題からズラして意味不明にしてほしかったというのはある。安部公房っぽい。もっと会話にもユーモアと飛躍がほしい。

それにしてもほんと良いタイトルと表紙。

急にくら寿司のシャリコーラが飲みたくなったのでスーパーへ行き甘酒とコーラを買ってきて混ぜて飲んでみる。ほぼまんまそれの味でおいしい。中断したシャブロル『いとこ同志』を最初から観たけど全然おもんなかった。倍速視聴したのでシネフィルに殴られてしまう。部屋の湿気がMAXになってきたので扇風機と除湿機をぶん回す。部屋中が濡れてる気がして気持ち悪い。エアコンは29度にするとぬるいし28度にすると寒い。

シャワー浴びて髪乾かしてアイロンかけてたらめちゃめちゃ雨降ってきたし、雷も鳴ってる。電車で池袋に向かいながら鹿島田真希の『六○○○度の愛』を読む。ずっとオモロそーと思ってたけど原爆とセックス、エロスとタナトス、みたいな軽薄さがキツくて、何よりも陳腐で全然面白くない。どうして現代女性作家の描く男性像や夫というものはこうも一辺倒なんだろう。

友人と合流し日高屋で食事したあと新文芸坐へ向かう。『サニーボーイ』オールナイト上映、見るの2回目だけどやっぱサイコー。1話の異常な速度(漂流した後から物語が始まる)、完璧なラスト。4話で急に猿と野球の話が始まるのとか最高。黒田硫黄がリメイクした手塚治虫の「メトロポリス」で唐突に野球が始まるような自由でジャンルレスな感じを思い出して嬉しくなる。6話で中盤のクライマックスを迎えてからの、7,8,9話の謎の挿話がめちゃくちゃ面白い。脱線の豊かさ。8話すごすぎる。10,11,12話は結構寝ちゃったけどこんなMVみたいなの多かったっけ? 

8月20日(日)


上映が終わるともう外は明るくなってて、一緒に観た友人と駅で別れると急に、猛烈に寂しくなってテンションガン下がりした。人と会うの好きだけど絶対に別れないといけないのつらい。いつも会話頑張ろうと思うけど別れ際とか口数が少なくなってしまう。もっと頭フル回転させて気合い入れて会話せねば。

帰りの電車でまた『六○○○度の愛』を読み出すけどあまりにもつまらなくて閉じる。自分のこと愛してないとか傷付いてるとか悲しいとか感傷に浸りながらマジでずっとセックスの話しかしてないの正気か?? 

家に着いておにぎり食べて歯磨きしてからすぐに寝る。17時に起きてカップラーメン食べてぼけーとして竹田優哉『暮れる』を観る。フィルマークスで他の人も書いてたけど非常にケリー・ライカートっぽい。脚本から決まってるのか分かんないけどちゃんと人と人が話す時の言葉になってて、その演技と適切な長さの長回しによってずっと見てられる。PFF作品見ていこう。

山中美容室と針金マキとコミティアの打ち合わせ。コミティアの話は15分で終わってあと8割くらい恋バナしてた。全力で恋したい。

8月21日(月)

甘酒1Lパックで買ってしまった。パックの裏面にも書いてある豆乳を混ぜてみたら結構おいしい。

白石晃士『貞子vs伽椰子』を観る。百合映画だった。てか『来る』ってマジおもろかったなって思い出した。すぐに人が死ぬし、何も解決しないまま終わっていく。誠実な脚本。続けてりんたろう『メトロポリス』を観たけどこれは別に観なくてよかった。手塚治虫の原作と黒田硫黄のリメイクだけでいい。大友克洋マジで嫌い。大友克洋は結局SFで黒田硫黄はマジックリアリズムで…。
卵かけご飯にマヨネーズと納豆混ぜて食ったらうますぎて声出た。豆腐のインスタントお味噌汁もうれしい。U-NEXTで岩田ユキ『新 ここからの景』を視聴。15分の短編なんだけど鼻つまんでポッキー食べて「私たちはチョコの感触を思い出してるだけなんです」ってセリフと最後の音と編集がバキバキで最高だった。

トイレ掃除とかして窓を開けて池袋の図書館へ向かう。待ち合わせ12時頃だったのに着いたのは16時だった。山中美容室と合流して軽くクリスタの使い方を教えてもらって1時間くらい作業する。慣れたら速く描けそう。

DVDも借りられるのありがたい

図書館を出て山中美容室の家へ。途中スーパーに寄って食べ物と飲み物を買う。レジの並び方が分かってなくて割り込んじゃってたらしく、知らないおじさんに「並んでんだよクソガキ」と急に言われてビックリした。
家に着いて、2人で児玉和土『闇動画8』を観る。「邪教」でちゃんと怖がってくれて嬉しい。妙にエモい傑作。映画観ながら隣で山中美容室がウインナー4本をおかずに大盛りのご飯を爆速で食べてて怖かった。その後山盛りのもやしも爆速で食べてた。

みんな大好き「邪教」
二代目げんしけん貰った♪

帰りの電車で大江健三郎『見るまえに跳べ』を読む。初期大江ってめっちゃ動物だ。血肉の臭いによって気持ち悪くなってて、○○するだけ、みたいな話が多いのに独特な文章だけで読めてしまう。自転車での移動。

8月22日(火)

色々あって最悪な気持ちになる。好きな人のことがずっと頭から離れない。こういう時は寝るしかないので寝る。

起床。アベマで「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」を見ながらご飯を食べる。

国会図書館に行ってまた山中美容室と会う。ヤマシタトモコ『違国日記』を2巻まで読む。マンガとしてはすごいけど感情的な部分とちょっとペダンチックな会話がキツイ。憂鬱な気持ちで原稿するも全然進まないのでユーロスペースでやってるジャック・ロジエを観に行くことにした。と思ったけど電車が遅れてギリギリになってしまったので諦める。最寄りまでの電車が雷で止まってしまってかれこれ1時間以上乗ってた気がする。心身疲れきって家に帰り、ヤケ食いして何もする気がなくなる。憂鬱すぎる。

帰宅してうだうだして、小一時間悩んでから高校の時の先輩に電話してみる。高校辞めたことと上京したことを伝えたらなんか嬉しい〜と言ってくれて僕も嬉しかった。ワイルドスピードにハマってシリーズ全作観たらしい。最近は心霊ビデオにハマってると話すと電話越しに幽霊来そうだから電話かけてこないでと言われてしまう。

そういえば今日映画観てない!と思ってU-NEXTで中田江玲『最も無害で、あまりにも攻撃的』を視聴。この前見た竹田優哉『暮れる』と似た森の中で誰かと出会うという話だけど全然違う作品になってて、陳腐なストーリーをうまく避けた演出・編集に感心した。途中MVみたいな映像があるけど、それさえ許してしまうほどクローズアップとロングショットをしっかり撮っている、しかも、全体的に無意味というか表面的で、メタファーとか考察を受け付けない感じにとても好感が持てる。

じめじめして気持ち悪いのでエアコンの除湿機能を使ってみたらめちゃくちゃ快適になってびっくり。なんで今まで使わなかったんだろう。

8月23日(水)

14時過ぎに起床。ウダウダ。池袋の図書館で借りてきたアピチャッポン・ウィーラセタクン『ブンミおじさんの森』を観る。なんも分からんけどテンションぶち上がった。中盤のトリップもすごいけどラストが本当に素晴らしい。昼と夜を繰り返すこと。オモロみの頂点ってやっぱマジックリアリズムなんじゃないだろうか。

芋焼酎ハイボール(おいしい!)を飲んでさけるチーズ(おいしい!)を食べながら、小森はるか 瀬尾夏美『二重のまち/交代地のうたを編む』を観る。別に…という感じだった。もっとふざけろよって思ってしまう。

8月24日(木)

カレカノ13話を見る。改めて、全然動かないのにちゃんと動いてるのすごい。

外で雷が鳴って雨が降り始める。しばらくウダウダしてるうちに雨は止んだが虚無過ぎて何もできなくなったので「口の花火」と「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」と「ひめごと*クライシスターズ」を聴きながら部屋の中をうろちょろして、モンスターを買いに行く。

フリッパーズギターを聴きながら図書館で借りてきた「黒沢清の全貌」を読む。割と黒沢清って真面目で発言とか書く文章はつまらない、、、ので飛ばし飛ばしで読んだ。蓮實重彥との対談でハスミンが「『ファイト・クラブ』のビルの崩壊なんて、消えてゆくのをただ撮っているだけで大したことない。俺のほうがすごいと思いませんでした?」と言っていたのが面白かったけど、それにも「いやいや、そこまで傲慢ではなかったんですが」といたって真面目に返す。だからこそコンスタントになんでも撮ってしまうというのはあるのだろうが。あと『LOFT』に出演している西島秀俊へのインタビューで最後、「映画って、暴力的に自分の領域を広げさせられちゃうものだと思うんで、やはりそういう体験がしたいですよね。日常だと、つい自分の領域の中で収めちゃいがちだけど、映画はそうじゃなくて、否応なく見せ付けられてしまう。その体験は、本当に楽しいですね。」と答えていたのが良かった。

うだうだしてたら憂鬱になって何もできなくなったのでまたモンスターを買いに行く。怠すぎるがアーとかウーとか言いながら無理やり映画を見出す。ハル・ハートリー『愛・アマチュア』。バッキバキに脚本と顔の映画で憂鬱が加速した。30分くらい頑張ったけどギブアップ。ハル・ハートリー2度と観ない。

役所にマイナンバーカードを取りに行かなければいけなかったけど眠過ぎたし、憂鬱過ぎてどうでもよくなったので17時まで寝た。起きてヤケ食いして渡邉龍平『完璧な若い女性』を観る。これまた顔と脚本の映画で嫌になる。しかもほぼMV。ろくに演技もできない(脚本も大して面白くない)のになんで役者を動かさないんだろう、普通に映画もっと観るべきだと思う。こんなんが許されるんなら俺の映画を上映してほしい。

ぼくはタオルを冷たい水にひたして、皮膚が赤くなりひりひり痛むまでこすった。ぼくの躰は若わかしく血色がよかった。ぼくは自分の皮膚、筋肉、やわらかい肉、かたくひきしまった肉に好意を感じた。ぼくは激しい喜びにうわずっていた。このやろう、このやろうとぼくは乱暴に躰をねじって考えた。おれが現実のまえで尻尾をまいてひきかえす? おれが決して現実のなかに跳びこまない? おれは現実としっかりからみあっている。現実と体をくみあい、そのあたたかくねばっこい分泌液でセクスをじくじく濡らしている。おれが子供をうみだす、そいつが生きはじめる。おれになにひとつできない? おれは、こんちくしょう、生きている、やっかいないざこざをのりこえて、ちゃんと生きているんだ。

大江健三郎「見るまえに跳べ」

↑元気が出る文章ですね。シャワーを浴びて髪を乾かして後ろでしばって上篠翔『エモーショナルきりん大全』を一気に読む。岩倉文也的な感傷とかペシミズムは陳腐だと思うけど面白い歌もいくつかあった。

「きりんきりん首吊りしても長いので生き延びのびてさらにのびるきりん」
「やまいだれに木 それでギター死んだ木はたくさん生かしたたくさん殺した」
「なんもないとこから猫がやってきてなんもいえないところへいった」
「触れた、ではなく触った、はずに振り返ればイヤホン抜けて工事音」
「彗星のしっぽにふれる夢を見た 路上にひらいたままの手袋」
「けいおん!!のカップはわれて喉仏・坐骨あたりが散らばっている」


いつの間にか日付が変わろうとしていた。これから原稿をやる。

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