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成田先生感傷日記(9/8〜9/14)

9月8日(金)

起きる。坂本礼『乃梨子の場合』を観る。西山真来、吉岡睦雄、和田光沙、川瀬陽太ってピンク映画オールスターじゃん。見たことあるようなストーリーなのに見たことないものしか映らない。吉岡睦雄やっぱ良い。ただ処女作の『セックス・フレンド 濡れざかり/発情』よりは落ち着いてるのでちょっと物足りなさはある。

図書館で借りてきたCDを聴きながら細馬宏通『フキダシ論 マンガの声と身体』を読む。『鬼滅の刃』について書かれたところが特に面白い。『新宝島』を論じた「関係分析の試み」の最後で、"読者はただ目の前のできごとを漫然と受け入れるわけではない。一つのコマの中でもつれた時間を解きほぐす、能動的な存在なのである"と書いていてハッとした。

第四章まで読んで閉じ、カレカノ16,17,18話を見る。ついに2人がセックスをして歓喜!バンバンヤりまくれ!!  だけどいつのまにか次回予告が実写じゃなくなってて残念。

『闇動画10』を観る。「ようすけくん」の精神障害のおばさんにガチでビビる。幽霊とかより頭のおかしい人間が1番こわい。

9月9日(土)

30分だけ昼寝しよーと思って寝たら8時間くらい寝てしまい、起きると日付が変わっていた。祖父からの連絡を無視しすぎてこんなメールがきてた。

どうせ仕事はやく見つけろと言われるだけなので電話は出ない。カップ麺を食べて散歩して、笙野頼子「海獣」を読む。部屋の中から1歩も外に出ないで書いた小説といった凄まじい文章。海→水の生き物の連想・記述ゲームみたいな。読み終わってシャワーを浴びてボーッとして電車で国立映画アーカイブへ向かう。

アンジェイ・ズラウスキー『ポゼッション』を観る。ズラウスキーは今まで6本観てて、1番有名なこれを観てなかった。役者の負担が死ぬほどデカい、暴れ回り発狂し変な言動を繰り返す演者たち。まあいつものズラウスキーといえばそうだけど、1番極まってる。途中ダルいところもあるけど終盤に向かって尻上がりでテンションが上がってく。子供が走って風呂に飛び込む謎のラスト最高すぎる。

映画終わって外出たら母親から脅迫LINEがきていてビビる。

使ったっけ? 記憶ない

続いて山中揺子『あみこ』を観る。めちゃくちゃ良かった。感動した。画質の悪い画面も妙にグッとくるし、パスタの食い方がキモくてちょっと泣きそうになった。こんなにセリフが饒舌なのに脚本に従属してる感じが全くしないのすごい。1呼吸速いカット編集が映画を促進させてる。「顔」の映画。上映後のトークで山中揺子と古川琴音が出てきた。2列目で見たんだけど山中揺子が世界一可愛いくて悔しい。でもずっと開かれた生ぬるい会話が続いたのでこんなもので絶対に笑ってやるかと思い、くっと口を食いしばって神妙な面持ちで聞いてた。山中揺子が「3年間撮りたいものがなかったから映画を撮らなかった。アイデアが降りてくるのを待ってる」と言っていてムカついた。悔しかった。俺は作るしかないから作ってるのに、お前は作らなくても生きていけるんだ、と思った。

暗い気持ちで帰宅し、氷結(おいしい!)を飲んでふて寝する。

9月10日(日)

起きてごはん食べながらアベマの『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』#9を見る。本当に今1番楽しみにしてるコンテンツ。いらんポエムみたいな編集削ってもっと演者の会話を見せてほしい。

ケリー・ライカート『ライフ・ゴーズ・オン
彼女たちの選択』を観ながらダラダラする。ダラダラしすぎて時間やばくなったので途中で止めて家を出る。電車乗り継いで王子駅で降りてコミティアの見本誌読書会へ。30分くらいしか見れなかった。ざっと読んだ感じ本気を出せば割と簡単にコミティアで1番になれそうだなと安心。今回のベストは今井新の『フラッシュ・ポイント』だと思うけど。

終わったあと山中美容室とフォロワーの白濱さんと一緒に王子駅近くの山の上の公園へ。めちゃくちゃ良い景観で興奮する。行ったことない所たくさん行きたい。しばらくブランコ乗ったりぶらぶら歩いて駅前の店に入る。僕はオムライスを、2人はパスタサラダを食べてた。気が狂うほど抽象的な話を2時間くらいして店を出て、まだ帰りたくねーつって近くの神社へ向かう。3人で知らない街を歩くのめちゃくちゃ楽しくてギンギンだった。神社に着いて、ベンチに座ってお話する。ものの数分でめちゃ蚊に刺された。宗教とかホラーの話してたら手押し車を持った謎のおばあちゃんが来てちょっとアガる。自販機でめちゃペットボトル飲料買ってた。本当に楽しくて帰りたくないので山中美容室の家に歩いて向かうことに。2人がずっと音楽と村上春樹の話でバチバチにケンカしてるのを酒飲みながら爆笑して聞いてた。

9月11日(月)

家に着く。僕が延々と恋愛とセックスの話をしてたら白濱さんに軽くキレられて笑った。しばらくして3人で『流出封印動画5』と「邪教」を観る。僕は眠くて寝てたけど2人は楽しんでくれたみたいでよかった。だらだら話して、世界一面白いボードゲーム「カタン」をやり始める。資材を集めて色々作って自分の領土を広げていくゲームで、本当に世界一面白かった。1時間以上かかってようやく終わる。

朝、外が明るくなってきて、二日酔い?と寝不足と空腹で急激に気持ち悪くなってくる。3人で牛丼を食べに行く。めちゃくちゃ食べたい気がして特盛頼んじゃったけど、食べすぎて苦しくなる。店を出て2人と別れて電車に乗って家に帰る。ほんとーに楽しくてよかった。9時頃に寝る。

起きたら22時で、昨日蚊に刺されたところが腫れてた。痒い。カップのそばを食べたながら『ライフ・ゴーズ・オン』の続きを観る。3話目で女2人が馬に乗ってる映像がバカ美しくてああもう全部ケリーライカートがやってるやんと思った。ライカート今のアメリカ映画で1番すごいんじゃないか。日記を書く。

9月12日(火)

蚊に刺されたところが痒くて怠い。ぼけーっと過ごす。『闇動画11』を観ながらご飯。今回は1番微妙だったかもしれない。拳銃自殺はポッ〇キットでもっとエグいのあるから… 闇動画おなじみデリヘルと浴槽案件。

洗濯して干して、『闇動画12』を観る。これが当たり回で、どれも傑作だった。特に「事故物件」が1番怖くて、ラストで鳥肌立ちまくった。これも音がすごい。百合要素も。

痒くてしかたないのでドラッグストアでムヒを買ってきて塗る。スースーして気持ちいい。ワールズ・エンド・ガールフレンドの『Resistance & The Blessing』を聴きながら笙野頼子『海獣・呼ぶ植物・夢の死体』の続きを読む。「夢の死体」「背中の穴」、引っ越すだけの話なのにむちゃ中身濃くてオモロい。引越し業者がトラックで輸送途中に勝手に違う場所に行ってお祈りをするシーンばり面白い。しかも名前がコロコロ変わる奴。

読むのに疲れたのでご飯食べながらアベマの『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』最終話を見る。ひろゆきとディレクターが現地の子供たちと海?川?に飛び込むところギヨーム・ブラックの『宝島』みたいで楽しそうだった。でもやっぱり価値観が変わったとかテンプレ異国体験みたいな方向に持ってく。もし自分が海外旅行しても絶対に価値観を変えないぞと決意した。

Amazonで買ったZONE赤が届く。マジでどこにも売ってないからネットで買うしかない。

佐藤吏『ナース姉妹 やさしく愛して』を観る。めちゃつまらん。濡れ場多すぎだし親子の感傷で泣かせにきてて最悪だった。

カレカノ19,20話視聴。19話の作画すごい。こういうの毎回やってほしい。20話みたいな暗い回は一気におもんなくなる。

夕方一気にだるくなって何もする気がなくなる。ぼーっとTwitterを眺める。眠いから早く寝た方がいいのだろうけど、あとちょっと何かをしたい。でも何もできない。しばらくベッドに寝そべって虚空をみつめて、気分転換のために散歩する。部屋にもどってきてもまだ怠い。なんとか起きてドレスコーズを聴きながら笙野頼子『海獣・呼ぶ植物・夢の死体』最後の「記憶カメラ」を読む。これだけ書き下ろしでコロナ禍に書かれている。思想がデカくあるけどちゃんと1つギミック入れてるし、文章がめちゃくちゃクセあって面白い。寝る前にいいもの読めた。もう寝よう。

9月13日(水)

起きてシャワー浴びてカップラーメン食べながら『闇動画13』を観る。「窓の人影」がすごかった。外から建物を見上げて中に人が見える、中に入ってまた外を見る、1人外に行かせて外からの写真を撮らせるみたいな「邪教」っぽいけどそこからまた発展させた演出が素晴らしい。あとライトのバッテリーが切れてスマホのフラッシュで照らして真っ暗な画面の中で一瞬だけ明るく見える画面が間欠的に映るというアイデアも超面白かった。

スマホを見たら母親と辞めた高校の担任からLINEがきてた。クラスの男子が失踪したので仲が良かった僕に連絡したらしい。彼にはこのまえ電話して話したばかりで、元気そうだけど家族の問題とか悩みも話してたし学校にはあまり行ってないみたいだった。地元の警察にスマホの電話番号を登録させてくれないかと頼まれたけどめんどうなので断った。

舞城王太郎「美味しいシャワーヘッド」を読み返す。脈略ないエピソードが続いて脱線しまくるの面白い。何かについて考えたり、何かを思ったり、でもそれは必ずしも慎重ということではなく、頭より先に体が動いてるときもある。『キミトピア』の中でもこれだけ突出してすごい。

スーパーに行くと見たことも聞いたこともないお菓子が売ってあったので思わず買ってしまう。

スペースで人と話してたらいつのまにか17時を過ぎてた。プロットを考えているけど遅々として進まない。マンガってどうやって描くの? 毎回わからなくなる。むずかしい。

ドミトリイ・バーキン『出身国』を読む。ウクライナの小説はじめてだ。

真実はひとつしかないのよ、それは、私たちがどこにでもないこの場所で生きているということだわ、そしてただこの真実だけを守り、この真実だけを信じるべきで、ほかのものすべてはまやかしで、だからほかのすべては裏返しにしたってかまわないのよ。

表題作だけ読んで閉じて、ずっと積んでたムージル『三人の女・黒つぐみ』の「グリージャ」を読む。磯﨑憲一郎がみんなに配り歩いてるという例の。たしかに文章の感じとか女性の描きかたとかイソケンぽい。

9月14日(木)

起床即シャワー。髪乾かして水ダウ見ながらカレーに賞味期限が切れた牛乳を混ぜて食べる。もう毎日のルーティンになってきたけど『闇動画14』を観る。「友達の結婚」の演技と美術がとても素晴らしかった。どうやって役者探してるんだろう。「死の円環」はまた「邪教」ベースの綺麗なプロットで面白い。

出かける準備をして家を出る。電車の中でゴーゴリ「鼻」を読む。まあ面白いけど変なことを自覚してるのが気に食わない。これに影響受けてる小島信夫の方が天然で良い。

国立映画アーカイブでふぢのやまい氏と合流して斎藤久志『うしろあたま』と風間志織『0×0』を観る。どちらもストーリー皆無で全く面白くなくてめちゃくちゃ良かった。本物の映画。斎藤久志監督とはめちゃ仲良くなれそうな気がする。隣のシネフィルジジイがぶつぶつ喋ったりデカイ声で笑ったり咳したりで最悪だった。臭かったし。上映後も司会の女の人に説教するジジイがいてビビった。トークショーで風間志織と鈴木卓爾が出てきてテンション上がる。どっちも大好きだから…。風間志織がほんとに良い感じのどっしり感と尖り具合で嬉しい。『うしろあたま』の主演の女の子が屋上で裸になるシーンについて苦言を呈していて、やっぱ死への配慮とか忖度って不誠実だなって。ロビーに出たら鈴木卓爾『嵐電』に出演してる女優がいてびっくり。国立映画アーカイブを出てふぢのさんと中華屋へ。会う人みんなと恋バナしてる気がするけどやっぱそのひと性が1番表出するから面白い。回鍋肉定食キャベツがいっぱい入ってておいしかった。別れて帰宅。

家に帰ったら何もする気がなくなったのでメロンパンとみそ汁を食べて寝る。


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