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先日、友人が投稿したnoteが本当にすばらしかった。

大げさな良い方になるけれど、感動の種類としては、初めて村上春樹や森見登美彦の文章を読んだ時のそれに近かった。(決して文章が近いという意味ではないが、リズムのつくり方は前者に、ふわふわとしたユーモアのニュアンスは後者に似ている部分があるかもしれない)

内容を簡単に説明すると、「『サイクリング』というアルバムを制作する若者たちのひと夏の日々を、当人たちの回顧によるセルフライナーノーツという形で切り取ったフィクション作品」ということになる。

これ以上多くを語るのは野暮が過ぎるので、その代わりとしてぼくがこの「作品」(こう呼びたい)で特に大好きな序盤のフレーズを引用しておく。

ノスタルジックな感情を避ける生活というのは、すなわちある種の禁欲生活を意味した。ノスタルジーは日常のいたるところに潜んでいた。頬を撫でるそよ風や、気づかずに蹴飛ばしてしまった小石や、満員電車で同じ吊革を目指し触れ合った手と手ですら、文脈によってはノスタルジーを帯びた。僕らは自らを厳しく律して、それらを見ず、言わず、聞かないように努めた。

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劣等感というのは心の火を燃やすためのガソリンだ、と誰かが言っていた。ガソリンが無限に涌き出てくる巨大な泉がこんなに近くにあるなんて、ぼくは幸せだ。

PLANETS10を買いたいです。