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これ以上BL規制が進まないようにするための方法を考えた

ねぇ、この表紙の画像見てよ! 禁止のマーク、自分で描いたんだけどめっちゃ円じゃない? 斜めの線もちょうどいい位置にない? 出来がよすぎじゃない?

話がそれました

BLコミックスが都の不健全図書に指定された件が話題になっていますね

これらの呟きを見て、この作家の方は自分の作品が都の不健全図書に指定に納得しているように見えたでしょうか? 私には見えませんでした。(事実誤認がありそうな部分等はさておき)この呟きだけだったら何も起こらなかった気はするんですよね

ネットでボカーンってなったきっかけはこの呟きでしょうか。私はこれを見た時こう思いました

いや、ゾーニングに反対派じゃないとしたらさっきの呟きは何だったの? そんで、暖簾の中には入れや!

私はわざわざ直接言いませんが、認識の甘さや、甘えを感じた人達によって反論が多数届くことになりました。そりゃそうでしょう
自分が割を食った時「だけ」文句を言っているように見えた人もいたんでしょうね……「人もいた」という言い方だと逃げになるのではっきり言っておきましょう、私にもそう見えました
そして、R-18指定されている男性向け作品を買う人はすでに暖簾をくぐっていますからね(実際の本屋に本当に暖簾があるかは疑っています。ビデオやゲームじゃあるまいし、そんな陳列の仕方しているところって見たことないけどどれだけあるの?)
なのに、BLの購買層にはそれができないと言ってしまうのはどうなの? 誰を想定してそんなことを言っているんですか? これらが甘えじゃないと言ったら何が甘えになるのか?

そして始まった議論の数々。こちらの方の作品が都の不健全図書に指定されたことは妥当なのか、不健全図書の仕組みそのものが妥当なのか、BLはどうなっていくのか……そういうのを眺めていて、一つの問いが浮かびました

問:これ以上BL規制が進まないようにするための良い方法はあるか?

BL愛好家(腐女子という言葉は意図的に使っていません。性別を限定したくないというのもありますが、今回は商業BLに起因する問題だからです)にとっては死活問題ですからね。私、一生懸命考えました。そして、一つの答えを導き出しました

答え:ない。無理

書いてみれば考えた時間に比べれば実にあっさりしているなぁ。もうちょっとわかりやすく具体的に書きますか

答え:確かに理論上であれば方法は存在するが、それが実現できるだけの見込みはない。よって、無理

方法はちゃんと考えたんですよ

何でそんな結論を導き出したのかについて解説していきます


「BL規制」の解釈について

一口に「BL規制に賛成か・反対か」と言っても、色々あると思うんですよ

①刑法175条や不健全図書の指定そのものなくすべき

②上記のシステムが存在することは受け入れた上で、これ以上規制の範囲を広げないようにしたい

③現状のBLに対する規制は男性向けのそれと比べて明らかに緩いので、より厳しくする(全年齢じゃなくてR-18として売り出す)べき

なのでここではざっくり三種類に分けました

・規制反対派
現状の規制は厳しすぎるので、緩和する方向でいく
①はこちらに該当する

・規制賛成派
現状の規制は緩すぎるので、締め付ける方向でいく
③はこちらに該当する

・現状維持派
現状の規制を妥当なものとする
②はこちらに該当する

では、この中でこれ以上BL規制が進まないようにするに合致する派はどれでしょうか?
もちろん正解は「規制反対派」です
「現状維持派」は……「現在のシステムの運用がBLに対して甘いと言う誤った運用がなされている」という考えの場合だと規制賛成寄りになって、「異様に厳しい運用がなされている」という考えの場合だと規制反対寄りになるというのがややこしい
「規制賛成派」は当然合致しませんね。まぁ、BL愛好家の中にも結構いるタイプの派ではありますが、ここでは深くは言及しません

システムの運用にバグがあるのか、実際にBLが甘く見られているのかはわかりませんが、「ポルノまがいの作品が流通しているから何とかしてくれ」と思っている人達はいるらしいということだけ書いておきます

そうなると「規制反対派」(とこれ以上規制を厳しくしない方向性での「現状維持派」)が多くなったり、動くようになったりすれば規制は進まなくなるんじゃないか? と思うじゃないですが。ところがそう簡単な話ではないようです


そもそもBL愛好家があまり信用されていないのでは?

最初に取り上げた作家さんの呟きを見た時、私は正直こう思いました

「あ~、商業BL作家さんですらそんな程度の認識なのか~」

思い返してみれば、BL愛好家に対する信用が下がりそうな件はいくらでもありましたよね

これらはさすがに極端な例である……いやそう思いたいです。ただ本当に極端な例だったと断言できるかと言われると、はっきりは言いづらかった。と言うのも一般市民でしかない愛好家や創作者だけが、BLに対する認識が甘かったわけじゃなかったからです

「あ~、学者を名乗る人ですらこれか~」だったり

「あ~、BLを研究していると言っている人ですらこれか~」だったり

そういうこともあった上で「あ~、商業BL作家さんですらそんな程度の認識なのか~」でしょ? とどめを刺しに来ているじゃないですか。その結果

BL愛好家は、自分たちの好きなBLさえ守られればそれ以外はどうでもいい。何ならBLが守られたら男性向けをまた攻撃するのでは?

と思われているんじゃないかと私は考えました……いや、この逃げ方はよくない。責任をもってハッキリ言っておくべきですね

BL愛好家の中には、自分たちの好きなBLさえ守られればそれ以外はどうでもいい。何ならBLが守られたら男性向けをまた攻撃するタイプもいるだろう
特に散々男性向けを攻撃してきた人達はそうでしょ

ぐらいには思っています。「ひとくくりにするな」「そんな人ばかりじゃない」と言われても、いるにはいるというのは変えようがありません。そんな人が少数派だと証明するのは難儀するでしょうね。だって、隠れているんでしょ?


もうこっち側はやっていることが交渉材料になると思っているパターン

例えばこちらのまとめに収録されている冒頭の呟き

当人も反省の呟きをリプライと言う形でしていますが、「そんなにBLに痛い目見てほしいんですか」の部分に反発した人はいたと思います。というか引用を見るに、かなりいる

具体的に考えを示している人もいるわけです。多いなと感じた意見は「因果応報」「整合性をとるべきだ」ですかね。これらってめちゃめちゃ正論じゃないですか。なのに「BLに痛い目を見てほしいのか」なんて決めつけられたらそりゃ怒るわ

そして「エロ全般、オタク文化全般に規制の波が来る」とも言っています

「男性向けの表現規制に一切声を上げない」と明確に交渉材料のつもりで持ち出している人もいます

でも考えてみてください。もうすでに男性向けはだいぶ規制されていて、BLは規制が緩いというのが、少なからず男性向けの規制に反発してきた方の認識なのではないでしょうか?
その状況でそんなこと言われたら、出てくる言葉ってこれじゃないですか?

お前が言うな

今こそが男性向けが散々規制されて、結果的にBLに規制の波が来ている状況じゃないですかという反論が実際に来ていますからね。「そもそも規制にあらがうだけの力すら残っていない」という悲痛な話も……

そして「今まで声上げてないじゃん」という反論まで来ている。Twitterのバグで検索に引っかからなかっただけかもしれませんが(よくある話)

このような疑問を呈しているのは見かけましたけどね

あ、「男性向けはだいぶ規制されていて、BLは規制が緩い」の真偽については精査する必要がありますよ
今全年齢として出せているBL作品、性別を男男じゃなくて男女にしたら不健全図書に指定されるんじゃないの? と思うようなものがちらほら……あ、これは私個人の感想なので根拠はないです

表紙と題名の時点でこれは……というものは確かにある。だからと言って何かしようとも思いません

しかし、こんな状況下でも「積極的にBLを潰す」タイプの人が少ないのは意外でしたね。あんな言い草されてもカチンと来る程度でいてくれているんだからすごい
まぁ「結果的にBLが潰れる」に至りそうな考えはありますが、それを責めることはできませんからね……え、責める気なの?


仲間が増えないというか、仲間にしたいとも思えないのかもしれない

これらの流れを見て思い至りました

仲間が多いほうがいいのは事実だが、仲間にしたところで役に立たないどころか足を引っ張る人はいるし、そういう人はいらない。そして、あの集団の中から仲間にできる人を探すのは難しい

これって悪い考えなのでしょうか? 現にBL愛好家の中でも意見があまりにも分かれていて、信用できない人が紛れている状況で、そこから仲間にできる人を探すだけの余力が残っているかと言われると、ないんじゃないかな

じゃあ探さなくてもいいけど、どういう人が出てきたら信用できるって言うんだ? と言われると、あくまで私個人の考えですが一つ基準が浮かびました

その人に「R-18指定されていない、かつ不健全図書指定もされていないギリギリ全年齢向けのBL作品」を持ってきてもらって、その作品を男男から男女に置き換えた上で、小・中学生がその作品を買って見る可能性を容認できる人

全年齢作品って理論上は小・中学生も買って読めるじゃないですか。秩序と平等を重んじた場合、性別に関係なく容認できていないとそれは欺瞞じゃないの? と思うわけです
男女にした時(もちろんしなくても)に「ウッ」「私は見せたくない」となる程度はいいのですが、そこで「でもしょうがないよね、そういうルールだよね」「親が教育しないとね」と思えない場合、「何で?」と言いたくなります。何が何でも絶対に見せられないようなものならR-18指定が妥当じゃないんですか?

……これは誰かと連携して、誰かを仲間にして戦うわけでもなく、ただこうやってグダグダ言っているだけの人間の意見です。私自身も「何もしていない人」なので戦っている人の仲間にはなれないですね


これらを踏まえて、現実的な方法はないか?

・男性向け(というか性別とか問わず様々な表現の)の規制緩和を目指す
一見理想に見えるこの方法はしょせん理想論でしかないと判断しました。なぜなら、受忍しない人が相当数出て来るからです。合法的なコンテンツが合法的に出て来る状況ですら炎上するこの時勢ですからね。もはや商業BLがどうとか関係ないレベルで話が広がるよ
建前でも「男性向けの規制の基準を私が好きなBLと同程度にするべきだ」と言える人、何人いますか?

・BLの規制が緩い(と考えられている)現在の状態を維持する
この選択肢もないと判断しました。平等を重んじている方々によって「整合性を取って欲しい」は散々言われていますよね。愛好家の間ですら「緩すぎじゃない?」という意見は出ている
そうなると現状維持は不可能だ。ダブルスタンダードを抱えて活動できるような面の皮の厚い人はそういない
はっきり言って、舐めた考えですね

規制に反対するのも、現状を維持するのも非常に困難となると……

・BLの規制基準を男性向け並にする
「現在の秩序の範囲で整合性を取る」の具体例。この考えを支持する人が一番多くなるんじゃないかな……「それでもBLを守る」と言える人がどこまでいるかって怪しいよね……寛容って無限に湧いてくるもんでもなし

そんなこと言われてもねぇってなるでしょ?

だから最初の方にも書いたのですが

問:これ以上BL規制が進まないようにするための良い方法はあるか?

答え:確かに理論上であれば方法は存在するが、それが実現できるだけの見込みはない。よって、無理

なんですよね

本気でどうにかするとしたら、まず「男性向け(というか性別とか問わず様々な表現の)の規制緩和を受忍できないタイプの人」の説得から始めるしかないかもね

おわり

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