チンドン権化教
チンドン権化教
一枚のドアを挟んで小太りの女が男に商品を売っている、
男は要らんと突っぱねる、
商品はかなり良いみたいだ、
まあ要らんと言っているものは無理強いしなくとも良かろう、
私はドアの金具を外してポケットに入れ
女をドアのこちら側に誘う、
こちらは名前の無い世界、
男の側はドアを挟んで名前もあり、自分というのもある世界、
なので学校も会社もある、
まあ良いではないか要らんものは要らんのだから、
よろしければこちらに来ませんか?
まあこちらも無理強いはしませんよ、、
ってね、目的の金具が手に入ったので私としては用済みだ、
さあて次のドアに行こう、女は付いて来たのだろうか?
まあ良い、、
新たなドアを開けて金具を外しポケットに入れる、
ここも個人名は無いのだが「ぼちぼちさん」やら「まあまあさん」やら
「お互いさん」達が集まって料理を作っている、
すごく良い人達なのだが怒らせると異様に怖い、
私は「お互いさん」の用意した香辛料が間違っているのを知って、
そーっと悟られない様に正しいものと取り替えた、
「お互いさん」はどうやら取り替えられたのに気づいたらしく、
私に近づきながらしかもニコニコ笑いながら「あなたでしたかー、すみませんねー」
と言って私を押し倒し私の胸に香辛料を降りかける、
やはりここの人は怒らせると異様に怖い、
さあ博士の所に行こう、
ポケットの中はドアの金具でいっぱいだ、
でも横道にそれてみたくなるのが私でもある、
ドアとはマッタク関係無い世界、
「奇麗な着物を着てもチンドン屋になってしまうんです」
「あなたチンドン屋さんを馬鹿にするんじゃありませんよ」
そんな会話が聞こえて来る、
そう、チンドン屋さんの話題は昨日もしてたなあ、
大道芸大会、チンドン屋さんは立派な大道芸、
チンドン屋さんはチンドン屋さんを呼ぶ、
つまりチンドン屋さんは招くのが仕事なのだろうか?
、、商店開店、とかでお客さんを招く、
こりゃあ何かある、、
まあいい、博士の所に戻ろう、
博士の所にはドアは無い、
「博士、ドアの金具かなり集まりましたよ」
「おーそりゃあご苦労じゃった、この前は鍵を外して持って来てもらったのじゃが、
この金具を外してしまえばもうドアの意味はなくなる、唯の板となったわけじゃ」
「博士、金具と鍵集めて何をするんですか?」
「音楽をつくるのじゃよ」
博士はそれらの金具を脱穀機の様な機械に入れてスイッチを押す。
機械からはものすごくにぎやかなリズムが聞こえてきた、
けたたましい、
「これは、チンドン屋さんのリズムなのじゃよ、
さあどうなるかみてみるかね」
今まで通って来たドアの世界が招かれる様にやって来た、
沢山の世界がやってきた、
どうするつもりだ、
博士はそれらの世界を袋に詰めた、
「すまぬがこの袋を神様の所に持って行ってくれんかの」
私は行き方が分からないので鳩に頼む事にした。
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