((前のカッコには意味がある)

((前のカッコには意味がある)
第一段階
ほこりっぽい朝、闇昇り

ビジネスホテルの狭い自動ドアが開いて外に出る、
いつ起きたのか、寝た事も分からない、
ホテルを出ると大きな通りがあって
かなり交通量が多い
そんな道を歩いて行く
ここはどちらかと言えば台東区辺りなのか、
もう一度泊まっていたホテルを振り返る、
きっと幾つかの部屋では
ステテコワイシャツでネクタイを締めている最中の人間も結構いるのだろう、
などと想像してみる、
こんな日は自殺者が多いのかも知れない、
これに関しては事の正否は関係無い、
唯そんな感じがするだけだ、
自殺というのは悩みからなのか?
多分そうでは無い何かが原因となっているものもあるのだろう、
例えば夕食の香りを住宅地で嗅いだ時とか、
懐かしさが蘇ったりとか、
原因というもの、何故、、何故、を突き詰めても、
何ものにもあたらない、
つまりは空振りに終わるものだ、
それは黄昏という言葉で解決なのか?
人の命を奪う程の黄昏とは?せつなさとは?
では黄昏は本当の個人のもので、
個人によって様々なのだろうか?
しかしこれを共有する事が出来るのは、
それはシッカリした表現者がそれを可能にする、
しかし「なんかわかる気がする」程度の共有もつまらない、
さあそこまで考えてみたら、
自分とか人間が時間の進行と共に変化する前から
既に状況やら環境が変わっているのだろうか?
そこにシフト出来るか今のまま留まるか、
そんな選択が迫られている、
とりあえず黄昏の代表は海、
なので横浜にでも行ってみよう、
私の職業はズバリ旅人である、
横浜の坂道を登ると海が見える、
そこで考えてみる、
海から見れば、
頭、胴体、脚の順番に私が現れる、
雨が降ってきた、
そこでひねってみると、
水溜りに水滴が落ちてきたから、
雨が降ってきた、
そんな逆転発想を楽しんでみる、
そこで簡単な永遠の謎の哲学を思い出す、
自分がいるから世界がある宇宙もある、社会もある、
所有しているとはなんと罰当たりな、
しかし、自分がいなくなればそれらも自分にとっては無くなるのだから、
正論だ、
では自分とはなんだろう?
ここで強引に、
逆転発想で頭は空っぽ、ってね、
先ずは海も見た事だし坂を下るとしよう、
帰り道に猫が現れた、

第二段階
招き不確定猫、

「次は何処へ旅しますか?」
猫は聞いてきた、
「君は?」
「はい、招き猫です、
招き猫と言いましても、
私は店の商売繁盛とか、そんな事に使われていましたが、
旅人のあなたにはお金も必要無いし、
でも私の本来の役目は、そうではありません、
先程海からあなたが現れるのを見てましたよ、
真逆にこそ真実があるとか、考えてましたよね、?」
「まあそうだけど、旅人の職業にペットの同行はどうかなあ、
基本的に独り者が条件だしね、旅人パスを出してキャットフード買うのは
無理があるし、」
「その心配はいりません、私は旅人であるあなたにしか見えないし、
で何処へいきます?これから、、、」
「海外でも行こうかな、先ずは空港に向かおう」
「分かりました、貴方が到着するまでに空港と飛行機を
準備しましょう、到着までには完成してますよ」
「え、?、既に何年も前から空港は出来ているし、
飛行機も飛び交ってるし、おかしな事を言うなあ君は」
「でも何故そう言い切れるのですか?
空港とやらに到着するまではあなたにとっては
空港があるかどうかも分からないじゃあありませんか、
実際に行ってみてからあると言えるのではないですか?」
そうか、逆転発想の猫ちゃんだな、
餌も要らないみたいだし、まあ同行してもらうのも面白い、
バレたらその辺に捨てていきゃあいいことだ、
「では坂を下ったらその先でタクシーを拾おうか」
「分かりました、では、えっと今産まれたあの子を大人にして、
タクシー運転手にして自動車も作っておきましょう、」
やはりそうきたか、
「ハイハイ、そうしてくれ」
大きな道だったのですぐにタクシーは拾えた、
「では成田空港までお願いします、」
私は運転手に旅人パスを見せた、
「分かりました、旅人だね、
羨ましいなあ、旅行が仕事ってのがねえ、
着るもの食べるもの全て旅人パスで手に入るし、」
「でも一つの所に留まっては違反なんですよ、
なので移動が義務だし、しかも独り旅も義務付けられているし、
出会いとかは許されないんですよ、
違反したらパスは剥奪、、
そうなったらもう僕はホームレスですよ、
運転手さんの様に手に職を持っていた方が
よっぽど楽ですよ。」
「んーそう言われてみたらそうかもしれねえ、
運ちゃんの月給で女房子供を食わせて、
それだけやってりゃいいんですからね〜
金が溜まったら熱海にでも家族で旅行ってのが楽しいのかねえ、
まあお互いに楽な仕事じゃあねえって事ですかい」
江戸ッ子の運転手までわざわざ準備してくれたのか、
さあ、空港に到着だ、
私の為に建設までしてくれたらしい空港に、
わざわざ他の旅行者までおまけ付きか?
御丁寧にドーモ、
招き猫は私の膝の上で眠っている、


第三段階
不確定なる自信

「着いたみたいですね、
さて何処に行きたいですか?
沢山の選択肢を用意しときましたよ、」
マッタク、よくもヒョーヒョーと、
「アメリカでいいかなあ、
トランジットも面倒臭いし、
それにバーボン飲んでタップリと眠りたい気分だし」
旅人という職業は確かに旅は義務付けられている、
しかし贅沢は許されないので
席もエコノミーだ、
しかもやはり同行している招き猫とやらは、
人には見えないらしく、
機内までついてきて、
ピョコンと私の膝の上に乗って眠り込んでいた、
私もバーボンを睡魔が襲うまでチビチビ飲んで眠りについた、

第四段階
遥かなる現実

いつ着いたのかも、分からない、
そしていつ目的地に着いたのかも分からない、
そしてここが何処かもわからない、
自分は若返ったらしい、
しかも幼児になっている、
招き猫の姿は無いが、
声が聞こえる、
「何処に行きたいですか?」
「ウミー」
「ウミですね、行かなくても大丈夫、ここに作りましょう」
地球誕生から海の生成までの過程が瞬時に現れた、
しかし私は何故か驚かない、
当然の事に感じたからだ、
「次は月に行きたいな」
「では一度空から月を消してそれから作りましょう、
到着までには完成しますよ、ホシが一度地球にぶつかりますので、
危ないので早速出発です、」
私は空を飛んでいた、
振り返ると原始の地球に大きな塊がぶつかって
破片が飛んできたようだ、
それをかわしながら、飛んでいると、
破片が固まって月が完成した、
そして私は月面に到着した、
その後、色々な星に行きながら(完成を見ながら)
私は果てに行きたくなった、
そして私は更に若返った、
ほぼ胎児だ、
「終点まで行きたい」
「分かりました、こんな簡単な事でしたらすぐにでも、
そのままでいて下さい、移動の必要ありませんよ」
目の前から全てが消えて何もなくなった、
真っ白と言えばそうとも言える、
が真っ白と言う色すらない、
地面も無い、
声が聞こえる、やはりあの招き猫 なのか、
「ここがそうです、なのでここからはどこにでも行けますし
あなたは何歳にでもなれます、何なら台東区のビジネスホテルにでも行きますか?と言うか戻りますか?とも言えますねえ」
二人の男の声、
「おいおい、こりゃあどう始末をつけるんだ?」
「物語にしちゃあ御粗末だしな」
「でも我々の登場で何とか色でもつけられるかもな」
「かと言って色付けは意味が無いかもな」
「暑い寒い位あってもいいんじゃないか?」
「まあそうかもな」
「でも、この文章をカッコで囲ってみたらどうだろう?
そもそも結果は何もない場所、これらをカッコで囲えば結果すらも
所詮過程とか仮定にもなるはずだ、」
「()=過程=仮定=ifと言う事か」)



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