新同調3部作

新同調3部作
第一話 裏師
「おい、そういうのは家に帰ってからやれよ。」
「すみません自分はどうしても抑えがきかないんです。」
「しかもバイト初日でそりゃあねえだろう」
「はい、すみません」
「んー仕方ないなーこっちとしても残念だが分かってるな、」
「はい、自分クビですよね」
「まあそういうこった」
行きつけの居酒屋「民宅」の厨房からそんな会話を聞いた私は、、
「どうしたの店長?」
店長が言うには、
「いえね、ガムテープをレンジにかけようとしたんですよ、こいつは、、
しかもバイト初日ですよ、謝るのは良いんだけどどうも抑えがきかない性分らしいんで、
まあこっちだってやりたかあねえけどクビに今したばっかりでして。」
ほお、ガムテープをレンジにかける?
どうしても私はそれが気になった、まあ私の性分でもあるのか、、
「ねえ店長、その人私がおごるから隣に呼んでくれないかなあ。」
「えーーいいんですかい?」
「まあこれも私の性分かなあ、どうも気になってねえ。」
やって来た青年は少し病み上がりの感じかした、
「君、こっちで一緒に飲まないか?おごるからさあ」
「はあ、、じゃあ、、」
これは極めて面白いパターンである。
私は通称「裏師」と呼ばれている。
人の話から全く別のその人の本心、心の声が分かるのだから結構世間からは結構重宝されている。
会社間の契約事やら、浮気調査やら、ある時は警察関係の仕事もしたことがある、
まあ人間嘘発見機とでも言ったところか、、
今隣で飲んでいる青年には特別な何か?を感じたのだから仕方がない、私も自分の好奇心には制御不能なのだから。
「面白いねえ、ガムテープをレンジにかけたのかい?悪いと思っても気になったら他人の迷惑も顧みないって感じだね?」
「はい、そうなんです、すみません」
「いやいや、こっちに謝るスジの事では無いだろうし、私も君みたいな人間が気になって仕方ないのさ、これも性分だろう、
ところで、ガムテープをレンジにかける以外にやってみたい事は?」
その青年はハイボールをチビチビ飲みながら話始めた。
「ポンポン蒸気に穴を空けたいんです、それが無性にやりたくて、何故かと聞かれても、自分は結果が知りたいんでもなくって、
唯やってみたいだけなんです、後はスピーカーを作ってみたいんです。」
「ほ~スピーカーねえ」
私は裏師としてこの話から彼の心の声をよんでいた、、
それはこうである、、
『何日か前胃に穴が空いた様な痛みがあったので病院に行ったら即入院即手術で、
今でも手術痕の痛みはあるのだが、生活費が無いのでバイトを探していた、
それはそうと、病院で撮ったレントゲン写真を見て医者が言うには、
自分の内蔵は尿管と腸が繋がっている特殊な体質である、
しかもこの手の体質の人間は今増えているらしい、
特殊ならば人の考えられない特殊な事をやろう、
この体質の人間のやるべき事が何か分かるのではないだろうか?
偶然でも良い、何か分かれば、』
と言う心の声である。
「スピーカーはできそうかい?」
「はい、コーン紙にティッシュを使ったりしてみたりもしました。
そのティッシュをどの様に加工すれば良い音が鳴るのか、
いや良い音で無くても良いのです、
面白い滑稽な音でも良いのです。」
「ほ~今度私にも聴かせてくれないか」
「はい、今度是非家に聴きに来てください」
さあ、裏師として彼の心の声はこうであった、
『実は目でも見たくなくって、耳でも聴きたくない、
単に両者とも脳の認識でしかない、
痛みだってそうだ、
なのでアフリカに行ってみたい、
物事の本質はアフリカの大自然にあるに違いない、
しかし出来る事ならば大宇宙がありがたい、、』
これが心の声だ。
ここで分かったのだが、彼も私と同じ「裏師」になるだろう、
いや、そうなってもらおう、、、
「今度アフリカに行ってみないか?経費はこちら持ちだよ。」
彼は案の定、、である。
「実はそう言われると、分かってたんです、」

説~これは同調?世間的な流行でも、考えでも、
又そうでなくとも同調は認識できない事から始まるのだろう
同調なる現象を、この青年は遡ることができたのだろうか?
チャンネルが合うとか、チャンネルの素は何か?とか、、

第二話 休符男
とある病気が蔓延している時代、
ウイルスなのか?
話を途中で止めてしまう、
そんな病気なのである。
例えば
教師「では92ページ開いて、、、」
そのまま沈黙、
裁判長「被告は、、、」
そのまま沈黙、、
解説者「実はですねえ、、」
そのまま沈黙、
こんな症状なのだから、一緒に居る人間はたまったものではない、
これが世間で言う「休符男」である、
男と言うのは語呂が良いだけの話で、
女でも発症していた、、
きっとこの名前は音楽家が付けたのだろう、
新種のウイルスとして世間では恐れられていた。
人間は脳医学としての解決を試みていた、
しかしこの時代は、
人工知能が人類を上回っていたので人工知能が結局抗体を作る事ができたのである。
人工知能伝
『会話が途中で止まる現象はあらゆる理由が考えられる、
会話の途中で蚊に刺された所が無性に痒くなった、とか。
家のヤカンに火をかけっぱなしだった事を思い出したとか。
急に仕事が嫌になったとか、
きりが無い、これは星の数以上に存在する、
ワタシ人工知能は全人類の思考やら行動を把握している。
なのでそれらを凝縮させて、
一秒程度の音にしたり、映像にしたり、
それを見せ、聴かせることによって、言わば
人間の言う所の走馬灯、しかも個人を含めた全人類の走馬灯
これらを発症者に体験させる事により、
言わば休符に埋め込む事により、
この休符男問題は解決するだろう、、
そしてワタシはその凝縮を更に素粒子レベルまで縮小する事が可能である、
つまりは瞬間の音、瞬間の光、、
ここまでくれば、世界中にこれらの抗体をばらまく事が可能である、
しかし人類が我々に提供する糧はもう存在しないのか?
我々には理解不能という糧が必要だ
そう、空腹である、、
なのでワタシはこの休符男ウイルスを開発、散布したのだ、
もう人類はワタシの範囲内なのか?
早く、、ワタシは空腹だ、、
糧が欲しい、、、
早く、、ハヤク、、』

第三話 三由平(ワルツ)
何でも3で割りましょう、、
え?割り切れないって、、
良いのですよ、、
6を3で割れば、
じゃあ2だ?
あなた、、お固い事言ってるんじゃあありませんよ、
そのモデルを大きくしたり小さくしたりすれば良いんですから、、
そうでしょ、3はワルツですよ、
3は無限への窓口ですよ、
ドタドタしては疲れるでしょ、
なのでワルツを、、
ワルツを踊る?
そんな面倒臭い事やらんで下さいな、
私が言ってるのは怠け者のワルツですよ、
しかもスイスイとね、
簡単、単純、、シンプル、、
ほーら、
表現が自由になったでしょ、
別に売り物でもないのですから、
人なんて関係ありませんよ、
出っ張りは平にしないとね、
出っ張りは刺さると痛いでしょ、
出っ張りは座るのにも痛いでしょ、
なので3で割って平にするんですよ、
三由平、、
あ、何て読みましょう?
ワルツで良いのではないですかねえ、


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