誘われ人、斜め遊び

誘われ人、斜め遊び

緑の下に黄色が潜り込んで渦を作ります、

ここは一年生の学校の授業
「では二時間目、国語の時間です、」
「先生、斜めに授業を進めてみませんか、
つまり今日月曜は一時間目の算数が終わったら、
二時間目は火曜の二時間目、
三時間目は水曜の三時間目ってな具合に、、」
「おお、そりゃ面白い、、」

赤も紛れ込んで横から侵入してきました、

「皆さん、授業は別として今日の課題は朝見た光景を聞かせて下さい、」

いきなり黄色が踊りだす、

「君は何を見たんだね?」
「はい鳥蛙です、」
「ほー鳥蛙か、」
「そーです顔が鳥の蛙です、」
「僕の場合は羽の生えた蛙です」
「ほー君も見たのかね、」
「どんな声で鳴くのかね?」
「汚いです、」

青が降りかかります、

「でもそれは鳥なのかね、蛙なのかね?」
「はい、体が鳥の蛙だと言ってしまったら、一種類に感じてしまうし、」
「体が蛙の鳥だと言っても同様です、」
「ほーそかーナルホドー、言えてるねえ」
「ではその鳥蛙とやらの絵を描いて下さい、思い切って美術の時間に変更しましょう、」

全体の色が反転しはじめる、
斜めに棒を入れてみる、
混ぜてはいけない、
混合しないようにする力としようとする力が拮抗し合っている、

「でも鳥と言えば電線だよね?鳥蛙は電線にとまってたのかな?」
「嫌だなあ先生、今時電線なんてありませんよ、」


そして二年生の授業
タライの様な一年生の教室を上空から眺めて、
「今年の一年生もナカナカ面白いですねえ先生、」
「そうだなあ、では斜めにこちらは二年生だから火曜日の二時間目の授業にしてみようか。」
「はい国語ですよね?」
「そーだ、今日は君たちに物語を書いてもらおうか、何でも良いから」
「はい、出来ました先生。」
「では読んでみて下さい」
「はーい」
『汚い格好をしたストリートチルドレン達が良い匂いをさせています。
それはそうです、お金持ちの家の寝室に忍び込んで香水をパフパフしたのですから、
そーして、ある施設へと向かいました、
そこにはその子達の大好きなおじいさんが居るのです、
でも施設の管理人さんはうるさい人で、
おじいさんに会いに行っても
君たち汚いからあっち行け。と門前払いです、
でも今日は香水を付けてます、
なのでしぶしぶ施設に入れてくれました。
おじいさんは元気なのに、こんな施設から出たいのに、
出る事が出来なかったのです、
その施設で行われる行事があまり好きではないみたいなのです、、
おじいさんにはどうしても叶えたい夢があったのです。
それは大好きだった亡くなったおばあさんの写真がデパートで売られていて。
それを買いに行きたいらしいのです、
その子達は夢を叶えてあげようと街で盗んだ自動車でおじいさんを連れ出しました、
しかし、おじいさんを乗せて走っていると、自動車はどんどん小さくなって、
やがて自転車になってしまいました、
それでも一人のリーダー格の子供がおじいさんを後ろに乗せて二人乗りで頑張りました。
でもやがておじいさんも自転車も消えていて、
そこには空に繋がる斜めの棒がありました。』

「ナカナカ面白いお話だね、」
「いつも見えるあの空に繋がる長い棒が本当は主人公なんです。
先生・あの棒は一体なんなのですか?」
「それは、もう少し上の学年になったら分かるよ。
ここはまだ丸くないからねえ」


上級生の教室では、
棒を目の前にして、、
「ではこの棒の角度を計算で出して下さい、
一年生、二年生の教室が掻き回される事なく、
安定している角度です、この角度は何年かに少しずつ変化します、」
一人の生徒が電卓片手に唄いだす、
『まあるい形が棒になり、
斜めに刺さって動かない、
動きたくても色が許さない、
色はゆっくりと丸に戻そうとする、
丸になったら消えてしまう、
僕らの心にも残らない、、』

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