時田クリオネ

夜と恋と時々クリオネ。人間観察家。

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彼氏でもない、友達でもない

世の中に存在する関係性は、家族、恋人、友達、先輩後輩、推しの5つに分類することができるだろうか。 いや、できるわけない。 世の中に5つしか関係性がないはずがない。…

時田クリオネ
10か月前
38

夜空の待合室をオープンする。

ラジオは孤独に寄り添える唯一のメディアだと思う。 テレビが陽キャならラジオは陰キャだと、陰キャの私は考える。 テレビが「あなたたち」に向かって話しかけるのだとすれ…

時田クリオネ
7か月前
10

私のことが好きなカツオと私が好きなマスオ。

「俺が養ってあげるよ」とカツオの返信には書いてあった。 午前二時に「仕事がつらい」と送った返信がそれだった。 いっそのこと本当に仕事を辞めてカツオに養ってもらおう…

時田クリオネ
8か月前
3

世界で最も幸福な空間であるはずのハワイで私は一人だった。

人生に絶望したとき、旅に出たくなるのはなぜだろう。 運命を変えるような恋が終わったとき、私は抜け殻になった。 まだ二十歳そこそこだった。 どんなに絶望しても日はま…

時田クリオネ
8か月前
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毎年ハロウィンになると思い出す悪魔のように恋をする彼。

「後輩が印刷できない子で一枚に四コマ漫画みたいに資料を印刷しちゃうんだ」と彼は言った。 「そう、それはポンコツだね」 「ポンコツだけど放っておくと永遠に資料がで…

時田クリオネ
9か月前
2

女の子にはそういう夜がある

夢の中で数年ぶりにあの人に会って、目が覚めたら涙で枕が濡れていた。 別にあの頃に戻りたいとかじゃないけど、懐かしさと切なさに胸が苦しくなって朝食をスキップする。 …

時田クリオネ
9か月前
13

家で二人きりでジェンガをした男女に未来はあるのか?

「男女の仲というのは、夕食を二人っきりで三度して、それでどうにかならなかったときは諦めろ」 かつて、映画監督の小津安二郎氏はそう言った。 果たして本当にそうだろ…

時田クリオネ
10か月前
17

初恋から逃れられない私たちは

初恋は恐ろしい。 時として、それまで生きてきた平凡な人生を180度変えてしまう。 そして、たくさんのことを教えてくれる。 義務教育じゃ教えてくれないたくさんのことを…

時田クリオネ
10か月前
8
彼氏でもない、友達でもない

彼氏でもない、友達でもない

世の中に存在する関係性は、家族、恋人、友達、先輩後輩、推しの5つに分類することができるだろうか。
いや、できるわけない。
世の中に5つしか関係性がないはずがない。

兄弟でもなく、彼氏でもなく、友達でもなく、先輩後輩というほど堅苦しくなくて、推しっちゃ推しだけどアイドルオタクほどのエネルギーはない。
そういう人が私にはいた。

感覚的に一番近いのは「お兄ちゃん」だけど、血はつながってない。
普段は

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夜空の待合室をオープンする。

夜空の待合室をオープンする。

ラジオは孤独に寄り添える唯一のメディアだと思う。
テレビが陽キャならラジオは陰キャだと、陰キャの私は考える。
テレビが「あなたたち」に向かって話しかけるのだとすれば、
ラジオは「あなた」だけに語りかける。
テレビは複数人で見ることがあるけれど、
ラジオを聴くときは大体一人だ。

ラジオは孤独な個人に話しかける。
音楽の話、食べ物の話、友達の話。
話している本人とは会ったこともないのに、
不思議と親

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私のことが好きなカツオと私が好きなマスオ。

私のことが好きなカツオと私が好きなマスオ。

「俺が養ってあげるよ」とカツオの返信には書いてあった。
午前二時に「仕事がつらい」と送った返信がそれだった。
いっそのこと本当に仕事を辞めてカツオに養ってもらおうと、
思ったとか思わなかったとか。
もう何年も前の話だ。

カツオと出会ったのは社外セミナーだった。
たまたま席が隣だったカツオは盛大に遅刻してきたにも関わらず、
持ち前のコミュ力で周囲の人たちとすぐに打ち解けた。
サザエさん一家の中では

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世界で最も幸福な空間であるはずのハワイで私は一人だった。

世界で最も幸福な空間であるはずのハワイで私は一人だった。

人生に絶望したとき、旅に出たくなるのはなぜだろう。

運命を変えるような恋が終わったとき、私は抜け殻になった。
まだ二十歳そこそこだった。
どんなに絶望しても日はまた昇り、朝が来て、世界は止まらないという
ごくごく当たり前の事実に打ちのめされた。
生きていても死んでいてもあまり変わらないと思った。
ごはんを食べたり、食べなかったり、吐いたり、
夜眠ったり、眠れなかったり、泣いたりした。
明日なんて

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毎年ハロウィンになると思い出す悪魔のように恋をする彼。

毎年ハロウィンになると思い出す悪魔のように恋をする彼。

「後輩が印刷できない子で一枚に四コマ漫画みたいに資料を印刷しちゃうんだ」と彼は言った。

「そう、それはポンコツだね」
「ポンコツだけど放っておくと永遠に資料ができないし」

彼の家のソファでおしゃべりしながら、小瓶のシードルをちびりと口に含む。
金曜日の夜に飲むシードルは、疲れと眠気と解放の味。

「そういえば、俺と君は将来結婚しそうだって、あいつが言ってた」

いつだってあなたは急にぶっこむ。

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女の子にはそういう夜がある

女の子にはそういう夜がある

夢の中で数年ぶりにあの人に会って、目が覚めたら涙で枕が濡れていた。
別にあの頃に戻りたいとかじゃないけど、懐かしさと切なさに胸が苦しくなって朝食をスキップする。
女の子にはそういう朝がある。

それでも満員電車に乗って出社して、お昼に同僚の女の子とペペロンチーノを食べたりする。
食後にカフェラテをテイクアウトして午後の仕事もそれなりに頑張る。
会社帰りに最近いい感じの男と中華を食べに行く。
白いブ

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家で二人きりでジェンガをした男女に未来はあるのか?

家で二人きりでジェンガをした男女に未来はあるのか?

「男女の仲というのは、夕食を二人っきりで三度して、それでどうにかならなかったときは諦めろ」

かつて、映画監督の小津安二郎氏はそう言った。
果たして本当にそうだろうか?と二十代を折り返して思う。
男女の仲というのは、たった三度の食事で決まってしまうほどシンプルなものでしょうか?と今は亡き監督に問いたい。

付き合う前に相手の家に行くかどうか、という重要な問題が女にはある。
「この後、どうする?」

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初恋から逃れられない私たちは

初恋から逃れられない私たちは

初恋は恐ろしい。
時として、それまで生きてきた平凡な人生を180度変えてしまう。

そして、たくさんのことを教えてくれる。
義務教育じゃ教えてくれないたくさんのことを。

同じシャンプーを使っても違う匂いがすることとか、
女として生まれてきた意味とか、
あんなに「好きだ」と言ってくれた人が一瞬で心変わりする残酷さとか。

人生において知らなくてもいい、けど知っているとちょっぴり深みが出るような、そ

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