暴太郎戦隊ドンブラザーズ48話「9にんのドンブラ」感想

前回のあらすじ

 雉野はともかく、太郎がヒトツ鬼にやられてしまった!

もう何もかも知ってしまった犬塚

 太郎も雉野もヒトツ鬼にやられてしまい大ピンチという状況下。しかし孤高の犬塚は協力を拒否する。確かにもう彼が戦う理由はないのだから自然な反応だ。ドンブラザーズの面々とは面識や人となりを知っていても、深い絆まではないから命を賭けてまで戦う必要もないし。

 獣人問題・夏美問題も解決した以上は人類の脅威もないとして「自由にやる」のは彼らしいっちゃらしい。

またしても指名手配犯になった犬塚

 久方ぶりに夏美と深夜デートでいちゃついていたら報奨金500万円の指名手配犯になっていた。どうやらソノニ様を救ったことで再び見に覚えのない犯罪に手を染めたことになっている様子。罪状はさっぱり分からんけど、命を救った代償にしては軽いような気もしないでもない。

 その現場にソノニ様が来て警察を追っ払ってくれたが、彼女も犬塚が再び不幸に陥るさまを見て心痛の様子。

犬塚「礼を言うべきだろうな」
ソノニ様「それは……お前は、私の命を救ってくれた」
犬塚「その話はもう良い。言ったはずだ、もう俺には構うなとな」

ドンブラザーズ48話より抜粋

 冷たく突き放すような発言に聞こえるが、「命の恩人と思わなくていい」「命を救った礼などを自分に課さなくて良い」「お前はお前の人生を普通に生きろ」みたいな温かい言葉にも聞こえてしまう。それはきっとソノニ様にも聞こえたと思うんだ。彼の底なしの優しさを間近で見て知っているから。しかし彼女にとっては、もう犬塚翼なしの人生(脳人生?)はありえないのもまた事実なわけで。朝っぱらから湿度の高い昼ドラを展開するな頭が破裂するから!

ソノザ編集長との絆

 思えば本当に奇妙な縁だ。感情を知らなかったソノザがハルカの漫画を熟読することで、「漫画を描かせるため」に拉致して編集長っぷりを発揮したり、戦いの場では「それはそれ。これはこれ」と普通に敵対したりと微笑ましいやりとりが繰り広げられた。

 何を描いても盗作疑惑が拭いきれず、大スランプにも陥ったハルカにとってソノザ編集長は「そのまま漫画を描け」と力強く背中を押してくれるただ一人の理解者で、タロウ以上にありがたい人物である。

 でもムラサメを封印する際にハルカの漫画を用いたのが「ムラサメに読んでほしかった」っていうのが優しさの暴走を感じて草。奢る奢らないの問答は漢気を感じて好き。こういうところだぞ猿原??

 その頃ソノシは親(を)切をしていたが、まあどうでもいい。

夏美とギクシャク

 翼に救ってもらったが、いつの間にか彼は指名手配犯。何故そうなったのかも分からない。そして知らない美人と何故か親しげ。という状況で、夏美は苛立つ。そりゃあ誰だって苛立つわな。犬塚も余計なことを話さない雰囲気だし、1年間の大冒険をどう説明すればいいかなんて分かるはずもない。

 夏美は「美貌に惹き寄せられる富豪のパトロンが自分をチヤホヤする日常」と、夢の中で「みほとして平凡なお嫁さんになり美容師として活躍もする日常」を思い描いていた。いうなれば【日常】こそが彼女にとっては普通なのである。

 犬塚はどうだろう? 自分をチヤホヤしてはくれるけど、以前通りの「料理の上手くて生き方が危なっかしいイケメン」ではなく犯罪者だ。日常とはかけ離れている。

 意中の相手のためなら3年ローンで店の洋服買い占めるような、悪い意味で思い切りの良い彼のことだ。自分を助けるためか何かの過程で、人の道を踏み外すことも十分考えられる。

 加えてソノニ様の存在。弓を携えて警察を追い払う、「命を救ってもらった」ということは協力者か何かだと推測しても不思議じゃない。激変してしまった彼氏を受け入れることはきっと彼女には難しいだろう。

作戦開始!

 脳人がヒトツ鬼を撃破する=消去。ヒトツ鬼が一時的に消した人間諸共消えてしまう(タロウも雉野も消える)ので、ノイちゃん・ソノニ様・編集長の3人にはヒトツ鬼撃破が出来ない。ソノシゴロクを足止めすることに徹してサルブラザーとオニシスター、イヌブラザーの共闘で倒そうというのだが、あと一歩で阻まれ、オニとイヌまでも消されてしまう最悪の事態!

 きっちり脳人3人組を抑えていたが、邪魔立てするスキを与えたのは本当に不覚である。ノリは軽いけど事態はより悪化。これどうするんよ??

2人2脚

 全てを失ったという意味では、ジロウ以上に悲惨な境遇もないだろう。身代わりとして育てられて、生まれ育った故郷も、風土も、大好きな友人恋人も全てが幻だったこと。タロウを超えるという思想だって、故郷に錦を飾れる自慢のヒーローになるのが根っこなんだから、故郷もないのに何を基準に指針を定めれば良いのかわからない。

 カゴメカゴメと「後ろの正面」を探ろうとしても、そこにはなにもない。……否。1つだけある。自分にはない思想を持った自分(ヤミジロウ)がいるのだ。この村で幻ではない真実があるとしたら、

 ここで育ち逞しく成長した自分自身。

 強くなることに貪欲で獣のような自分。空気の読めない明るい自分。自分の足で立ち上がり前を見据えることで、正面を向いて歩くために、後ろの正面で自分を補う。新生ジロウの面構えは光と闇の合わさったような絶妙な表情で俳優さんの凄さを思い知る。

そのころソノイは……彼の名誉のために、何も言わないでおこう。ファッションリーダーだったよ、うん。

2度目の作戦ターイム!

 何やかんやでソノシゴロクに決闘を申し込まれた。先程の3:3分けがもう出来ない状況下、サルブラザーが成長しているとはいえヒトツ鬼2体を撃破するのは難しい。そこで、肉を切らせて骨を断つ作戦に変更。

「4人中3人がヒトツ鬼にやられて、ソノシゴロクが油断しきっている間にヒトツ鬼を倒し全員開放」というものだ。当然失敗すれば全滅必至の博打。

 それにしてもソノシゴロク、決闘を申し出たのにやっているのはヒトツ鬼を人質にした一方的嬲りまくりとは趣味が悪いし作法もなってない。

私は、けんが苦手だ

 この作戦の要はタロウの残したザングラソード。オトモたちにはヒトツ鬼を致命においやる武装が限定されているので、威力の高い剣ならという発想だ。猿原は自分の命すらも賭けたこの作戦を剣の得意なソノイに任せることに懐疑的だった。脳人の密約でドンブラザーズを倒すための猿芝居を打っている可能性を最後の最後にいたるまで考えていた。

 それでも、人としての心を持って先輩の顔を立てようとするソノイに、遂に猿原はソノイに全てを託す決意をする。

「私は【権・剣】が苦手だ」

 最後の最後に決定権を委ねるのもまた、猿原らしい。

新生ドンブラザーズ

 油断しきったソノシゴロクの目隠しに付き合う必要もないソノイは、ザングラソードでヒトツ鬼を同時撃破。武装の問題だった! 全員がもとに戻り、犬塚に寄るソノニ様や、「これも漫画のネタになるぞ!」と剛毅な編集長。猿原とソノイは全員の縁が強まり、巨大化したヒトツ鬼もあっさりと退治して見せる。

 遅れて颯爽現れたジロウも爽やか具合が突き抜けている。でも1人称が僕なので愛嬌もたっぷりといい塩梅だ。

 OPが背景に流れている勝利確定具合。

親友ノミゾ知ル

 アッサリやられた理由もわかり、めでたしめでたしだ。……しかし本当に、獣人の森をクリアしてからはエピローグ一直線だなドンブラザーズ。補完すべき点をこれは全部ヤり切れるのだろうか? それとも敢えて残す? どっちに転んでも恨みっこなしだ!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。