暴太郎戦隊ドンブラザーズ 45話「カカむらガガむら」感想・考察

 騙して悪いが

あらすじ

 椎名ナオキがハルカに残した「私の漫画の中に」というワード。熟読することで眠りの森へのヒントを得られるかもしれないと熟読する犬塚は、最終盤に主人公が訪れる村の名前が【ガガ村】。奇しくも、里帰りするジロウの村の名前は【カカ村】。共通項が偶然と思えなかった犬塚は、タロウと共にカカ村へと向かうことになった。そこで伝えられる数多くの真実とは……。

狂乱の雉野

 ようやくメンバー全員が揃ったのでお祝い……の席に現れた焦燥と憎悪が入り交じる顔つきの雉野。「みほちゃんを返せ!!」と犬塚に迫るが、犬塚だけではなくタロウも「あれは獣人だ」と突き放す。そうして雉野は本当に孤立してしまうのだった。

 いなくなった理由はわからないけど、せめて怪我を負っている妻の側にいいてやれば見失わずに済んだのではないだろうか? 前回まであれだけ束縛していた割にはあっさり見失うって、やっぱり雉野はみほちゃんではなく、みほちゃんがいる自分が欲しいんだろうな。大事な大事なトロフィーか、人形か、ペットみたいな扱いなんだよ。

 だから傷付けられたら労るより先に復讐ばかり頭に浮かぶ。「お嫁さんを探しています」のチラシを貼り付けまくっている姿は痛々しかったわ。一般人が見たら「こんな常軌を逸したストーカーまがいのやつ、そら逃げるよ」と思っちゃう。しかもこのチラシには連絡先も住所も書いていないので、いかに何も見えていないのかが現れている。

華果集会所前経由【月渓谷】

 カカ村とジロウは言ってたが、後半の「月渓谷」が頭にささる。というのも直前に鶴の獣人との会話で「月は空だけにあるものではない」なんて謎掛けを受けた故に、「月」がなにか重要なワードに思えて仕方がない。そういえばタロウとソノイのデュエットソングも【月ノミゾ知ル】だったからなんか関係あるのかな?

 駐屯所に行っても誰もいないのでジロウ単独行動中、遂に現れた寺崎。

不可殺=不死身?

 自身を【ペンギン】と名乗ったその男は、マッサージをしてくれた分色々話すとらしい。落ち着いた雰囲気はあるけど、この男も獣人であるためドン家の産物。ラスボスはペンギンだと思っていたけど、この分だと違うっぽいですね。

・元々ドン家の者(?)だった
・不可殺に憧れて獣人になった。
・眠りの森と人間界の門を守っていた。
・そろそろ自分は寿命で死ぬ。
・コピー元の寿命が来たら獣人は死ぬ。
・保存状態次第では100年程度生きられる。

 重要な情報をこれでもかと語ってくれるペンギン。そうか、てっきりあの森の中は時間が止まっているとか思いこんでいたけど、実際はゆっくりでも時間は経過していたのか。そして獣人が死んだらコピー元も死ぬように、コピー元が死んだら獣人も死ぬ一蓮托生方式だった。

 ……そうか、門を閉じる力が弱まっていたのか? だから陣が守っていた門は問題なくても、こっちの門から獣人が溢れていたのか。

見解の相違

 夏美を救出したあとで犬塚は、ドンムラサメを用いて全ての獣人を倒す腹積もりだった。無用な殺生を望まないタロウはこの考えを否定し、ムラサメを巡って対決することに。

 犬塚の考えはわからんでもない。獣人によって自分、昏睡状態の友人、夏美の人生が大きく狂わされた被害者である。何より夏美の姿に化けて、関係ないはずの雉野さえも人生を歪められてしまった。獣人に対する憎しみは並の人間が想像もつかないくらい深くて当然。生来優しくて正義感の強い犬塚だからこそ、これ以上誰かが悲しみを背負うこと無いよう健やかに生活してほしいとさえ願っているかもしれない。

 対するタロウはドン家の者として、勝手に生み出してしまった命を勝手に切り捨てることが出来ない。悪さをしない、させないようにして生かしてやればいいと思っている。……その考え方に優しさはない。あるのは使命感。

 ヒーローとしての在り方か、業と使命ゆえの選択か。直接対決が本格化する直前、ジロウの笑い声が聞こえた。

ゲストに倒される狂人

 その頃雉野はまたヒトツ鬼になっていた。定期的に敵に回るメンバーが在籍する戦隊、それがドンブラザーズだ! タロウ・犬塚・ジロウと、メンバーの半分がいない状況下でいきなり巨大化する雉野は「僕がいなければドンオニタイジンにはなれない!」と、冷静に狂っていた。ヒトツ鬼になって暴れまわる理由はみほちゃんなのに、みほちゃんの安否がわからないのに無差別破壊モードに突入する矛盾。

 そして何故か現れる巨大ロボ。昆虫をモチーフにしたその姿、間違いなく続編に出るだろう「キングオージャー」! 虫嫌いな人には絶対無理な意匠だなこれ……またも合体する形式のロボらしいが、今回はお披露目のみでさくっと雉野を倒してトンズラ。どうして現れたのか? それはゼンカイジャー時代にもドンモモタロウが出たことあるし、制作の都合に他ならん!

 でもキングオージャー初撃破が戦隊ヒーローメンバーとは……これが許されるのがドンブラザーズ!

 なんか出てきた新脳人「ソノゴ」「ソノロク」に雉野は消去された。これはロンゲを図らずも抹殺した因果が巡ってきたというわけか……。

しあわせなひび

 ジロウの笑い声は集会所の中から聞こえた。ジロウはタロウと犬塚に自分の素晴らしい友人と彼女を紹介したいと思っていたが、「そんなことより私達で楽しもう」と促されるままにどんちゃん騒ぎをしていた。



一人ぼっちの集会所で。

 置いてある料理は本物だ。だが肝心の友人やルミちゃんの姿がどこにもないのである。全て、ペンギンが見せていた偽りの、幸せな故郷の姿だった。そんな人物はこの村に存在しない。だから前回の里帰りで、寺崎以外の誰とも遭遇しなかったのだろう。

 ペンギンは後継者にするために、目を瞑らせたジロウにペンギンの折り紙を飲ませようとしたが、タロウはそれを奪い、破り捨て―――

「アンタのあとは俺が継ぐ。獣人を生み出した責任として」

 ―――ずに、タロウはそれを飲み込んだ。そしてタロウは眠りの森へと転送されてしまい、閉じ込められてしまうのだった。

知らなかったハルカの1周目

地獄の1周目

 タロウがペンギンの獣人になったことを、当時の椎名ナオキ=未来のハルカは知らなかったのだろう。リーダーを欠き、雉野を消去され、犬塚は獣人を狩るばかり。脳人は脳人同士での戦いになってしまい、ヒトツ鬼退治は

 ハルカ、猿腹、ジロウの3人でやらねばならなくなった。黒幕退治をするためにはタロウの存在が不可欠なのに、全員獣人関連の情報を大いに欠いたまま戦いの日々を送ることになった。

 幾度も戦いを重ねて猿原とハルカは唯一無二のバディになり、俳句では心の高鳴りを表現しきれなくなくなった猿原は、短歌に移行した。

 そしてハルカは1度ドンブラザーズを抜けた経験があったから、キビポイントを用いればどんな世界改変も可能であることを知っている。だからキビポイントで「何が起きたのか」を調べ上げたのではなかろうか。その上で休暇と題して過去をやり直しに来たのではないだろうか。

 椎名は「しいな」で意味を調べると、【うまく実らないで、しなびてしまった果実】(weblio辞典より)という意味もあるそうな。それを「直す」ためにやって来たから、椎名ナオキ。なのではなかろうか。

地獄へのフラグ除去

 犬塚は獣人の森に拘束されて、元々の世界だとそのまま帰らなかった。そうなると不可殺を倒せるドンムラサメをゲットできず、ソノニとの友好関係を結ぶことも出来ない。眠りの森に関する情報も入手できないため情報共有も不可能。 更にはカカ村に行った際にタロウがペンギンになる光景を目撃する者が不在のため、折り紙を飲まされる下りも誰も知らない。

 ヒトツ鬼退治には3人、或いは入れ代わり立ち代わりの新人たちで対応しつつ、ドンムラサメとの対決、次々と現れる脳人との対決を延々終わりなく続ける必要がある。この戦いを終わらせること、それが今一番やるべきことだ。

 なので犬塚をどうしてもカカ村に行かせる必要があった。タロウがどうなったかさえ把握できれば、キビポイントや、友好的な脳人と結託して救出の芽もできる。椎名ナオキとして眠りの森に入場し、犬塚を救出できたのは「すべてを知っている自分だけ」だから。

 次回は獣人との戦い閉幕らしいので、椎名ナオキの願いはひとまず叶ったことになる。その結果、誰が泣くことになるのかはまだ定かではない。

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。