暴太郎戦隊ドンブラザーズ 46話「なつみのよのゆめ」感想

 

今回のドンブラザーズ

 ペンギンの折り紙を飲み込んでしまった桃井タロウは獣人の森に送り込まれた。ところが意識を失わずにペンギンの獣人と相対してコピーされる様を見届けることに。一方、消去されてしまった雉野をどうするのか。処刑対象になった3人の脳人の今後は? 長らく続いた獣人問題をどうやって決着させるのか!

圧倒的強者のペンギン

 猫は鶴を「邪魔者」とし、徒党を組んで倒しにかかる。しかしペンギンに対しては複数体いても怖じ気付き撤退を選択する。序列最高位の力はどんなものなのか定かではないが、逆らってはいけない存在なのはよくわかる。

 そしてペンギンはオンリーワンだと思っていたが、獣人の森には少なくとも2体同時に存在していた。これは「ペンギンも鶴も複数体いて森の広さがやばい」のか、それとも「最大数が決められていて、少なくなった分は追加される仕組み」か?

耳金粉でボッシュート

 脳人のソノイ・ソノニ様・ソノザ編集長は喫茶ドンブラにいた。人間の心を持ってしまった彼らの居場所はもはや無く、用済みになったのだ。犬塚を探す時のソノニ様、キョロキョロして可愛いんだわ。

 ドンブラザーズと手を組みたい旨を伝えるソノイだが、タロウ不在のため実質No.2の猿原は

「今まで戦ってきた君たちと『ハイそうですか』と手を組むことをタロウは許さないだろう」「今まで多くの人間を消去してきた」2点をあげた上で、

「誠意を見せてほしい」と告げた。至極まっとうな意見である。雉野は散々味方に迷惑かけてはいるが、直接人間を処刑したことはない(殺意はヒーローにあるまじきレベルでキマっている)。しかし脳人3人組は放送時に、それ以前から人間を消去している。まあ消去と言っても亜空間に幽閉している状況なのだが。そんな人物を正義の戦隊に入れる訳にはいかないだろう。「どうすれば良いのか」と困るソノイにマスターが

「人間にとって一般的に誠意とは……お金だ」

 誠意を見せろとどこかから声が聞こえた……!!

 ソノニ様は金の話が出る前に「猿原の領域に好意的に踏み込んで篭絡し懐柔する」策に出たが、猿原はノックアウト寸前で思いとどまった。自分に魅力があり、相手にその気があることをわかっている悪女ムーブ。犬塚と一緒にいられるなら悪女にもなるって心意気を感じてしまうし、私だったら堕ちる。そりゃあもう簡単に。

ペンギンのアナタ

 ペンギンの獣人(タロウの姿)の強さは、鍛え上げた体で防御体制を取るジロウをたやすくふっとばすほど強い。「配達の、時間だ」といつも通りの生活医に戻ろうとするタロウが不気味だ。

 無力感に苛まれる犬塚が空を見ると、まだ明るいのに満月が見える。それは特に珍しくないのだが、「昨日は三日月だったはず」と不自然な点に気付いた。探索系TRPGで犬塚はかなり重宝しそう。リアルアイデアロールが冴え渡っている。持っていた椎名ナオキの漫画をすぐさま確認し、「日にちを跨いでいるはずなのに全てのよる背景に満月がある」ことを調べ上げた。このあとタロウによる答え合わせの時間があるのだが、仮にそれがなくても数十分で正当出来ただろう。

 やっぱりハルカたちの未来に犬塚は必要不可欠だったわけだ。

貯金は大事

「誠意は金」の言葉にソノイたちは、元老院からの支給金がいくらあるかを確かめ合うのだが

ソノザ編集長:漫画の資料などを買い漁った
ソノニ様:エステに突っ込んだ
ソノイ:おでんに全額つっこんだ

 ソノイ……お前もうクールなファッションリーダーライバル枠諦めろ……てっきり画材を買うためにとか言うと思っていたのに食欲に全振りしていて草しか生えない。編集長はまあ、わかる。ハルカにアドバイスするためにはどうしても自身の知識や幅広い表現技法を知らねばならないから。身分証明書作れないからマンガ喫茶なども使えそうにない世知辛さ……せめてジャンプ+を読めるタブレットがあったら……。

 ソノニ様はエステか。素晴らしい、外見を磨きあげる努力を怠らない。しかしその割に小顔体操とかのささやかな努力をする場面が見受けられないから、素で綺麗なのかと思ってた。

 金が無いからそれ以外の方法で誠意を見せようとするソノイ、何するつもりなんだろうか? 消去した人間を戻して雉野を救うのか?

コピーしたらタロウになる

 いつも通りの配達。しかしやっているのはペンギンの獣人だ。そこに現れたみほちゃん、ではなく鶴。

「鶴の分際で俺に意見するのか」と吐き捨てるような台詞のペンギン。

「お前がどうして獣人になったのかわかった」と横っ面を引っ叩く鶴、するとタロウに戻った。……今まではコピーしたら

犬塚:猫の獣人になった際、外見は同じだが振る舞いも思考も違う。しかし生来の料理人の血が騒ぐ場面がある。

狭山:猫の獣人になった際、外見は一緒だが振る舞いも思考も違う。しかし犬塚逮捕に掛ける情熱だけは引き継いでいる。

 というように、あくまで主は獣人であって、模倣するためにか一部分を引き継いでいるのが殆だった。今回も配達員としてのタロウを模倣しているだけと思いきや、タロウの場合は「意思や思考すらもペンギンを上書き可能」だったようで。

Q:なぜそんな事が出来るのですか?
A:なぜ、タロウが出来ないと思ったのですか?

 いや、実のところ「などと申しており」のワードでみほちゃんが一時的に夏美へ戻ったように、切っ掛け次第でコピー元の意思すら一時的に戻るのだろう。

鶴の獣人の想い

鶴「人間は悲しい。そしていじらしく、愚かだ。私は―――もういい」

 猫からは嫌われ、ペンギンからは軽んじられる鶴。あの森の中に、自分を愛してくれる存在はいない。そんな鶴の獣人が出会った人間は、雉野だ。

 鶴の獣人は夏美を模倣して、理容師としての腕や趣味・好みを引き継いだ。そして夏美がなりたかった存在を演じた。鶴がよく知っている人間は雉野であり、【何もない自分でも無上の愛が欲しい】と。強いけれどもそれに何の価値もない森の中にいた鶴の獣人にとって、雉野はどこか自分と似た存在だったのかもしれない。

全ては幻

 自分の居場所だった村には、ジロウと寺崎以外の人間が存在しない。20年もの間ジロウを騙し仰せたペンギンの能力は【幻術】。るみちゃんも、気のいい男友達3人も、全員存在しないと知ったジロウは嘘だ嘘だと寺崎を否定するが、目の前で消えていくさまを見てガックリと膝をついた。人の心を弄ぶ一点においては、鶴など可愛く思えるほど凶悪っぷり。

鏡面世界でパワープレイ

 水面に映った満月こそが、眠りの森への通路だった。

 タロウの意思に乗っ取られて、犬塚を案内したペンギン。本物タロウはペンギン折り紙を吐き捨てて、ゴールドアバターチェンジのオーラにより森獣の折り紙を全て焼き払う。

「獣人よ! お前たちを作ったのはドン家の罪。しかしお前たちは人間を襲う罪を犯した。永遠にこの森にいろ! 二度と外に出るな! 文句があるなら俺が相手をしてやる」

 絶対的ヒエラルヒーの頂点であるペンギン、を手玉に取ったタロウ。ペンギンも自分が利用されたことに恐怖したため、ドン家の者がいる限りは絶対に外には出られなくなった。何より外に行ったら不可殺無視のドンムラサメがいるので安全地帯がない。

 獣人問題はコレにて解決したわけだが……あまりにもパワープレイが過ぎないか!!? でもタロウならこれで十分説得力あるのもずるい。茶目っ気を見せたり敗北する機会は増えているけど、この作品で最強最高の地位が揺らいだことなど一度もない彼なら許される。「殺さないでおいてやるからありがたく思え」と戦国武将みたいな発想だ。

ハミダシモノ達が流れ着く戦隊。その名は

脳人3人:本来の使命を覚えているものの、人間に寄り添いすぎたため元老院から処刑対象になった。

ドンムラサメ:獣人キラーの役目を担っていたが、金輪際獣人は人間界に来ないのでお役御免となった。

ジロウ:みがわりとして存在していたが、自分を支えていた下地のほぼ全てがマヤカシであることに気付き絶望する。

 この5人は、もうドンブラザーズに対して敵対する理由が全くない。

 川の流れのようにドンブラコと、彼らは集う。

 暴太郎戦隊ドンブラザーズへ!

許しと贖罪

 眠りの森にあった「許しの輪」は、消去した人間を元に戻す装置。ソノイはこれを使うことで贖罪とした。1話の卓球少年よっぴーを覚えていたハルカに「今まで目の前で消えてしまった友人をずっと思っていたんだろうな」と感じさせる一幕が良い。

「タロウが許すかどうか」が同盟の肝だったので、これで問題なしである。これによって結ばれた8人の仲間たちはソノシたちを撃退するのであった。

 ……それにしても、ソノイやソノゴ、ソノロクは多分代用品なんだろうな。あれらがラスボスとは思えないし。

鶴は物語を紡ぎ終えた

 夏美が目覚める瞬間。つまり、みほとしての夢が終わる瞬間。鶴の獣人は猫の大群にボロボロにされ、川に浮かんだ三日月の中へと消えていった。切ねえ……雉野はもう二度とみほちゃんに会えないけど、雉野がこの先生きていく上で必ず鶴との日々は宝物であることに変わりはないはずだ。そこには歪ながらもしっかり愛があった。

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。