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Parkinson's disease-パーキンソン病-

顎関節の補足記事として作成したものです
脱臼とのかかわりに関しては
以下の記事参照ください

柔整師が関与することは非常に少ないですが
知っていても損はありません
専門ではないため稚拙,薄い内容かもしれません
(ご勘弁ください)

パーキンソン病

PDは中脳黒質のドーパミン神経細胞が減少し
錐体外路症状
(例:寡動,固縮,振戦,姿勢反射障害)などを起こす

十数年前からドーパミン神経細胞の脱落が始まっており
嗅覚低下やレム睡眠行動異常,便秘などの非運動症状を示す

James Parkinson(1755~ 1824 年)が
1817 年に 6 例の症状を詳細に観察し
“An Essay on the Shaking Palsy” として出版した

この本では筋強剛以外の三大症候の記載に加え
前傾姿勢,流涎,小刻み歩行 をはじめとした様々な運動症状
さらに非運動症状まで言及していた

 パーキンソン病という名称は
神経学の祖と言われる
Jean Martin Charcot(1825~1893)
その有名な火曜講義の中で本疾患の症例を提示し
麻痺がないことを確認した上で
振戦麻痺と呼ばず
パー キンソン病と呼ぶことと提唱したのが始まり
Charcot は,James Parkinson が
記載しなかった筋強剛の存在も示している

病理学的病態

中脳黒質はドーパミン神経細胞の
減少・消失による色素脱落がみられ
黒質以外の青斑核
迷走神経背側核
交感神経節などの
神経細胞も脱落していく
組織学的にはリン酸化α -シヌクレインが凝集し
構成されるレビー小体
(Lewy body)の出現が特徴的です

α -シヌクレインは140 アミノ酸からなるタンパク質です

主に神経細胞のシナプス前終末に局在化し
シナプス小胞を介した神経伝達物質の放出や
細胞内小胞輸送にかかわる

このα -シヌクレインが
誘因されより過剰にリン酸化され
不溶性オリゴマーを形成して凝集する

その過程で生じる中間型毒性オリゴマーが
神経細胞死を引き起こすとされているが
明らかな凝集のメカニズムは未解明といわれている

もっとも有力な説はBraak(2003)らによる
「αシヌクレイン沈着と
その沈着進行によるものであると唱えた説」

Braak仮説

レビー小体は黒質より先行し
延髄の迷走神経背側核や嗅球から出現
脳幹部を上行し視床大脳皮質へと広がる(Braak 仮説)

リン酸化α -シヌクレインやレビー小体は
脳以外の心臓交感神経節や腸管神経叢など
末梢レベルでも出現し
それらは運動症状を発症する前より
蓄積することが明らかになっている

Braak 仮説によれば
外界より口腔を通じ到来した病因が
口蓋扁桃あるいは腸管から
迷走神経を逆行し延髄に到達し
脳幹を上行し青斑核→黒質にいたり
パーキンソンニズムを示すとしている(脳幹型レビー小体)
早期に皮質型レビー小体が嗅球に出現するが
この脳幹上行系とは独立して伝播していくものと考えられている
運動症状出現時には
中脳黒質のドーパミン神経細胞はすでに40%しか残存せず
そのBraak stage 1 では便秘
stage 2 では血圧変動
そしてstage 3 では運動症状発症し
レム睡眠行動異常もみられる
レビー小体が大脳皮質に到達すると
認知,幻覚,うつ,アパシーをきたす


生理学的病態

大脳基底核には大脳皮質の広い領域から
興奮性入力を受ける線条体と
視床と脳幹へ投射出力している
淡蒼球内節と黒質網様部が存在する
線条体で得た入力部の情報は
ドーパミンD1 受容体を経て
抑制性GABA ニューロンに伝えられ
直接,淡蒼球内節・黒質網様部を
抑制性にコントロールしている(直接路)

ドーパミンD2受容体を介して得た情報は
淡蒼球外節,視床下核を順に経由し
多シナプス性に淡蒼球内節・黒質網様部に送られる(間接路)

直接路はD1 受容体を介して
ドーパミン入力を興奮性に大脳基底核の出力部
(淡蒼球内節と黒質網様部)に伝えるのに対し

間接路ではD2受容体を介し
ドーパミン入力が抑制性に伝えられる

PD ではこの2つの経路を介した
神経伝達物質ループのバランス異常
厳密には直接路の作用が弱まっており
逆に間接路は亢進している

また大脳基底核で処理された情報は
視床を介して大脳皮質に送られ
一部は脳幹に下行するものの
前頭前野・大脳辺縁系・眼球運動野に送られ
眼球運動や高次脳機能・情動をも調整している

神経伝達


ドーパミン神経において
ドーパミン神経節前のドーパミンは
シナプス間隙に放出し
節後のドーパミン受容体へと取り込まれる

またシナプス間隙のドーパミンは
節前の小胞に再取り込みされ
シナプス間隙のドーパミン濃度と
線条体内のドーパミン総量が調節される

PDの進行に伴いドーパミン神経細胞が脱落し
ドーパミン総量が不足すると
セロトニン神経にはレボドパからドーパミンに代謝するために
必要な芳香族アミノ酸脱炭酸酵素を有している

その為
ドーパミン神経に代わってセロトニン神経が
ドーパミンを生成しシナプス間隙に放出する

しかし,
このセロトニン神経はドーパミンの再取り込み作用がない

その為シナプス間隙のドーパミン濃度が上昇する

つまりは
シナプス間隙のドーパミン総量が一定なら
慢性的で安定した
線条体細胞への刺激
(運動するための刺激)を作り出すことができるが
セロトニンが代用する進行期では
非持続性で突発的な刺激をも作り出す

この現象により
ジスキネジアやウェアリングオフ(運動合併症)が
生じるものと言われています

私なりに簡単にまとめさせていただきました
これは顎関節を補完する形のものです
もっと専門的なことを望まれる場合は
専門書へどうぞ

御精読ありがとうございました

参考文献

パーキンソン病の 基本知識
パーキンソン病の病態:運動症候と非運動症候
Braak H, Del Tredici K, Rüb U, de Vos RA, Jansen Steur EN, Braak E. Staging of brain pathology related to sporadic Parkinson's disease. Neurobiol Aging. 2003 Mar-Apr;24(2):197-211. doi: 10.1016/s0197-4580(02)00065-9. PMID: 12498954.

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