前回の続き
XpとCTとMRI・・・
X線検査
舟状骨損傷の懸念があり指標となる
X線検査が診断難しい場合があり
最近のAsanka R.の報告(2019)では
「最初のX線で不明確な舟状骨骨折を最大16%見落とされている」
とされておりX線では不顕性骨折など
完全に骨折が否定できないことが多いです
それじゃあ
CT・MRIじゃないとわからないの?
こんな👇報告がありました
CT・MRI
実は両者は大きな差はなかったりします
でも
CTでもわかりにく
不顕性骨折や骨挫傷がわかる
MRIがゴールデンスタンダードでは?
だがしかし
MRIにもこんなネガティブデータが存在します
臨床的に舟状骨骨折が疑われ
整形外科により
MRI検査を依頼された患者の統計です
137症例のうち骨折がみられたのは22%だった
それ以外は正常(27%)であり
43.4%が軟部組織損傷だった
こういうネガティブな要素もあるということだけ
抑えておいてください
ここからはCTについて
CTよりすぐれているCBCT!
CBCTについて
医科と同じCTですが
方式や被ばく量に大きな違いがあります
コーンビーム方式と比較され
低被ばく量そして検査の簡易化を
考慮されてきており
Ta-Wei Yang(2021)らの発表でも
舟状骨骨折には
CTよりもCBCTが代替となる検査法として
台頭してくるといわれています
舟状骨骨折って,エコーどうなん?
さぁ結論から行きます
めっちゃ使えます👇参照
観察方法
一番スタンダードで観察しやすい
掌側走査 長軸の観察法を紹介します
コツとしては
中央の特徴的なS字のラインを描出してください
掌側走査 短軸 動画
実症例のエコー画像
基本的には掌側からの観察となります
👇症例内容です
この件完全骨折ではなく不全骨折でした
上記を見ていたらわかる通り
骨折部が癒合せず、癒合不全を起こしていました
背景(バックボーン)はそのくらいで
エコーを見ていきましょう
まずは基本 前記事で
お伝えした身体所見で見当をつけてから
健患側と比較すること
👇線状高エコーが離断されているのがわかる
レントゲン画像👇
CT検査👇
後に撮影したMRI👇
その後はサムスピカ型プライトンシーネ固定
そしてLIPUSを施行しました
4週もすれば疼痛は軽減し
スナッフボックスの圧痛も減少してきました
患者も疼痛が減少してきたら
固定にわずらわしさを感じてきます
そのため
必ずエコーで経過を一緒に観察しながら
アドヒアランスを得て
固定のレベル・強度を調節していきましょう
アドヒアランス Adherenceとは
ここではよく観察できる
掌側走査 短軸のみのご紹介となりました
きちんと解剖を理解しエコーに励めば
必ずできるようになります
固定
舟状骨って,転位の度合などで
いろんな固定方法があります
過去の文献から
どのようにして固定を議論されてきたか
見ていきましょう
short or long thumb spica cast
どちらがすぐれている?
最近では,Longはあまり見ないが!なぜか?
このとき考察されたのが
前腕回内回外時の舟状骨骨折部に与える影響だ
付随するように
また,Russeら, Eddelandraら
どちらもLong thumb spica castを行って
良好な結果を報告している
だがしかし,これに対して
Falkenbergらは
cadaver(ご献体)を使った実験で
前腕回内外運動は舟状骨骨折部の可動性に
影響がなかったことを報告
そのため
Short thumb spica castを推奨されている
母指も固定は必要?
指も止める必要性があるのか?
いつも考えます
皆さん!ココ何となく
手関節背屈位・母指外転位で!
思考停止してませんか?
一緒に文献から固定を考えましょう
手関節肢位から考えましょう
解剖学的には👆のほうが骨折部には良い状態だったと考える
臨床的には 背屈制限残存はかなり嫌ですね
上記二つを合わせると
手関節 中間位~軽度背屈位が良いということになります
続いて
母指外転位固定はどうか
だがしかし
Yanniらは,転位の仕方によっては必要性があることをあげている
保存と手術の境目で
我々は手術はできませんが
どのラインで手術に移行するのかは
知っておいたほうが良いです
Herbertらはギプス固定期間を6週間までとして
癒合しない場合には手術が必要と述べている
McQueen,Gunal,Vinnarsは
6~8週間固定を行い
骨折型によっては
12週間までを限度として保存療法を続けている
Diasは6~8週問のギプス固定後
X線写真と必要な場合には
CTも行い骨癒合を判定し
離開がみられるようならば
手術治療に変更すると述べている
その他文献
症例報告では6週のX線写真で離開
もしくは骨嚢胞変化がみられても
8週のX線写真で縮小してくる症例も
多く紹介されている
近年では
対診医により手術適応といわれる前には
柔整師として結果を出したいですね
やはり手術が多い
スクリューを用いた低侵襲の
経皮的内固定術の代頭により
保存療法より経皮的内固定術が
選択される傾向が高い
ある文献での報告
32年間で治療を行った
新鮮舟状骨骨折は254例であり
保存療法が119例,経皮的内固定術が135例と
現在拮抗しているが,圧倒的に増加傾向である
経皮的内固定術の症例は135例,
そのうち3例で骨癒合に失敗し偽関節となった
両者には骨癒合率
最終的な手関節機能に差はなかった
骨癒合までの期間,社会復帰までの期間は
経皮的内固定術が有意に短かったと報告
医療費安いが
保存療法が唯一優っている所ですかね
実践固定法
ここでは,私が接骨院時代にしていた
固定を紹介します
私が遭遇した舟状骨骨折は
勤務4年で6例(4例が新鮮,2例が偽関節)
そのうちの1例(偽関節)のみ
short thumb spica castを行いました
それ以外は👇の
サムスピカ型 プライトンシーネを行いました
今回はプライトンシーネをご紹介します
固定の範囲は上記の通り
穴が開いてるのは気にしないでください
固定は一日おきに来院いただき
その都度,巻きなおす形になります
なお,前記したとおりLIPUSも来院毎に照射しております
👇一連の動作を解説した動画になります
舟状骨骨折 サムスピカ型 プライトンシーネ
初期の固定はいつもこの固定を行っております
私の経験では
対診医の判断で,固定の強度が上げてと指示され
整骨院でキャスト固定をしました
さらに固定の動画です
これは海外での固定の一例です
医接連携
今回は身体所見やエコー・固定法より
先に誰でも記載できる
施術情報提供書の
簡単にテンプレートを作成しました
私が実際に使用した紹介状(施術情報提供書)
(👇画像参照ください)
何度も言いますが,誤字・脱字はもちろんのこと
柔道整復師として分不相応な言葉はダメ絶対です
患者に,整骨院での対診も可能なこと
エコー,物療,固定,治癒計画,等
上記を伝えることにより医科で確定診断後
あなたのところで施術を望んでもらえると思います
最後に
私見ですが
前記事の身体所見,評価法
そして,今回のエコー観察を行えば
見逃すことは無いと思っております
参考文献もリンクを貼れるところは
貼っておりますので
後学の為にも一度赴いてみてください
本年もご購読くださいまして
ありがとうございました
来年も外傷マガジンのライターとして
皆様に有益かつ
リアルな情報お伝えしていきたいと思います
良いお年をお迎えください
参考文献
画像引用および参照