デジタルユーロ、準備段階へ──11月から2年の予定
準備段階は11月にスタート。2年続く。
デジタル・ユーロのルールを決め、プラットフォーム開発の事業者を選び、さらなるテストが実施される。
ECBは、関連するEUの法律が整うまで、CBDCを発行するかどうかの決定を行わない。
ECB(欧州中央銀行)は「デジタルユーロ」プロジェクトを準備段階に進めており、「将来の決定」に向けた道筋となる可能性がある。
リテールユース向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)をEU(欧州連合)内で発行するか否かは、2年間の調査段階が終了した時点で決定される予定だったが、計画をめぐってECBはプライバシー問題や陰謀論にまで踏み込んだ批判に直面している。
準備段階(以前は「実現段階」と呼ばれていた)は11月にスタートする予定。準備段階は2年間続き、デジタルユーロのルールを決め、CBDCプラットフォームを開発する事業者を選定し、さらなるテストが実施される。
準備段階ののち、ECB理事会は「準備を次の段階に移行させるか否かを決定し、デジタルユーロの将来の発行と展開にむけての道筋を開く」と18日に発表されて声明は記している。
準備段階への移行は、デジタルユーロの発行を決定するものではないとECBは述べている。決定は「EUの立法プロセスが完了した時点で初めて、理事会で検討される」。欧州委員会は6月、デジタルユーロの立法案を発表したが、これは完了までに数年かかるであろう複雑なプロセスの第一歩に過ぎない。
ファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)ECB理事は、このプロジェクトを進めることは「そうした決定を先取りするものでも、現在進行中の立法プロセスの結果を予測するものでもない」と声明で述べた。
今回の動きには批判もある。ECBが「デジタルユーロの付加価値を明確に伝えることができていない」ことを考えると、時期尚早かもしれないと、EU議会の経済・通貨問題委員会のメンバーで、CBDCに懐疑的なマルクス・ファーバー(Markus Ferber)氏は語る。
「ECBにとっては、欧州議会での審議が終了するまで準備段階を待った方が賢明だっただろう」「欧州議会が提案された法的枠組みに大きな修正を加える可能性は十分にある。もしそうなれば、ECBの準備段階は簡単に無駄になってしまう」
同氏はより外交的な表現で、ECBにとって2年の準備期間は「デジタル通貨の未来」を実現するためにCBDCを修正するチャンスになるかもしれないと付け加えた。
18日の声明と同時に発表されたレポートは、ECBは「銀行のような規制を受けた仲介機関による流通を通じて、市民や企業が広くアクセスできる」デジタルユーロを設計したと記している。
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