見出し画像

パイオニア環境分析のつもり(7/11~8/8)D&Dのレアアイテムが世界を変える?

■はじめに

 かなりご無沙汰となってしまい、大変申し訳ございません。気付けば「フォーゴトン・レルム探訪」がMTGO上でリリースされて1ヶ月。正直「モダンホライゾン2」に話題を持って行かれてしまい、あまり注目度が高くない気がするパイオニアですが、ここ1カ月のメタゲーム動向をまとめましたので、お届けしたいと思います。

■言い訳のコーナー

 記事のお届けに時間を要した理由はふたつ。私がリミテッドの記事を書いたりリミテッドをプレイしていたので記事執筆への取りかかりが遅れたのが理由のひとつ。
 もうひとつは、公式サイト(MTGO Decklists)のストレージ読み込みに不備が生じていて、過去記事に遡ることができなかったことです。

 8月上旬まで不具合がありましたが、現在は不具合は解消しています。

 そんなわけで、この間に約1ヶ月となってしまいましたので、Pioneer ChallengeまたはSuper Qualifierのデッキリスト320件を集計対象としました。

■メタゲームブレイクダウン(前半)7/11~19

画像1

 リリース直後のメタゲームブレイクダウンです。多色カードが少ない影響で、5色ニヴミゼットが大きく減少、代わりにスピリットが数を伸ばしています。

 デッキタイプ毎の差も少なく、非常に多くのデッキが登場しています。とはいえ、たとえばスピリットは「フォーゴトン・レルム探訪」で得たものは多くありません。

 皆が新環境の試行錯誤をする中で、従来の地力のあるデッキが勝ち進んだ、という結果に留まります。(当然、新勢力も生まれています。後述します)

画像2

 5色ニヴミゼットが一時的に衰退したため、他の様々なデッキが試された結果、ミッドレンジの数が相対的に上昇しています。テンポデッキ(スピリット、イゼットフェニックスなど)は2割近いメタゲームを占めるまでになりました。

■メタゲームブレイクダウン(後半)7/25~8/8

画像3

 リリースから一定期間が経ち、ある程度パイオニア環境で有効なカードの見極めができてきた頃合です。

 5色ニヴミゼットは新しいカードの採用はありませんでしたが、コンスタントに入賞を続け、再び使用率トップに立ちました。ニヴミゼットの増加を受けて、打ち消しを採用したディミーアコントロールも数を伸ばしています。

 一方で、スピリットは数が激減。もともと5色ニヴミゼットが不得手なだけでなく、環境に苦手なアグロ(特に黒単、ボロス)やラクドスアルカニストが増えてきたことも一因です。

 新デッキとして(AFR発売前からですが)、《ジェスカイの隆盛》コンボがある程度の勢力を築いています。

画像4

 ミッドレンジの使用率が戻りましたが、それ以上にコンボの伸びが目立ちます。《ジェスカイの隆盛》コンボの他、ロータスブリーチも数を増やしているためです。
 なお、《高貴なる行いの書》コンボ(後述)は母体がアグロのため、アグロに分類しています。これをコンボ扱いするとやや割合が高くなります。


■アーキタイプ別新戦力一覧

・アグロ全般:単色ミシュラランド

画像5

 単色アグロが得た追加戦力は色マナが供給可能な単色ミシュラランドです。採用率は《バグベアの居住地》《ハイドラの巣》がツートップで、他はぼちぼち、という感じです。赤単アグロ、ボロスアグロ、緑単アグロ/信心などを中心に採用が見られます。

画像6

 特に《トーブラン》を採用する赤単アグロや、信心要素のある緑単アグロを大幅に強化しました。特に《バグベアの居住地》は色マナを供給でき、クリーチャー後も赤、生成されるトークンも赤、と《変わり谷》よりも数段効率が良いクリーチャーです。

画像7

 今までのミシュラランドは(実質的には)無色の《変わり谷》《不詳の安息地》しかなく、マナベースに負担がかかるため、ほぼ単色専用のカードという位置付けでした。土地を切りつめたアグロであればすんなり採用できる魅力があり、デッキ構築の幅が広がりました。特に、ボロスアグロがミシュラランドを手に入れた意味は大きいです。

 黒単アグロは起動コストの重さや打点の低さ、3マナ圏にキーカードがあることから、採用を見送っているリストが多いようですが、墓地追放の効果や威迫で止まりづらい点を買われて《不詳の安息地》と交換で採用されるケースも見られます。やはり色マナが出るのは大きいですね。

・ジャンドサクリファイス:《裕福な亭主》

画像8

 スタンダードのナヤ・ウィノータで活躍している《裕福な亭主》は、ジャンドサクリファイスに活躍の場を見出しています。
 決め手となる《フェイに呪われし王、コルヴォルド》《ボーラスの城塞》の登場を1ターン早められるマナ加速です。

 《金のガチョウ》《ラノワールのエルフ》と違い除去に強いマナ加速という点でも重宝します。いつでも能動的に生贄にできるため《波乱の悪魔》を引くまで貯め込んでおき、一気に使うこともできます。

 地味に有用なのがライフ回復能力。《地下墓地の選別者》や《悲哀の徘徊者》で2点のライフを得られるため《ボーラスの城塞》の運用がグッと楽になりました。

・白系コントロール:《ポータブル・ホール》

画像9

 久々に登場した万能1マナ除去で、アゾリウス・ヨーリオン《創案の火》など、白いデッキで広く採用されています。

 置物ゆえの対処されやすさはありますが、1マナと取り回しが軽く、対象範囲が非常に広い点が特徴です。テンポ的な損が非常に少ないため、割られる前提で仕掛けられる点はコントロールにとっては有り難い限り。モダンやレガシーほどではありませんが、パイオニアでも十分通用するスペックです。

 特に黒単やボロスに代表される軽量クリーチャーを擁するアグロデッキによく効きますし、最近流行りの《岩への縛りつけ》や《サメ台風》のトークン、各《クラス》への対処もでき、見た目以上に用途の広い一品です。

・アゾリウスヨーリオン、5色エニグマ:《月恵みのクレリック》

画像10

 ついに登場した実用的なエンチャントサーチ。昔の教示者さながらライブラリートップへの積み込みになり即効性には欠けますが、キーカードや特定のカードにアクセスしたいデッキには福音です。エンチャントを多用するヨーリオン系デッキ、特に《奇怪な具現》《創案の火》を使う5色エニグマにぴったりのカードです。

 《月恵みのクレリック》で《奇怪な具現》をサーチ、次ターン唱えて《クレリック》を生贄に4マナ域(=《太陽の恵みの執政官》)をサーチ……というパターンが確立されました。デッキ自体が生まれ変わったようにスムースな動きを約束します。マナ域も3と非常に「連鎖」させやすいマナ域です。

 4色ファイアーズは《異形化》コンボ内臓型だとクリーチャーを入れられず、採用できないのが残念なところです。

■注目デッキ1:4色《ジェスカイの隆盛》コンボ

CFTSOC3 (2ND PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12326164 ON 08/07/2021
 
creature (8)
4 《創造の座、オムナス/Omnath, Locus of Creation》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
 
sorcery (12)
4 《表現の反復/Expressive Iteration》
1 《光輝の炎/Radiant Flames》
2 《森の目覚め/Sylvan Awakening》
2 《僻境への脱出/Escape to the Wilds》
3 《宝船の巡航/Treasure Cruise》
 
instant (8)
1 《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
4 《選択/Opt》
3 《成長のらせん/Growth Spiral》
 
enchantment (7)
3 《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
4 《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》
 
land (25)
2 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
1 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
2 《寺院の庭/Temple Garden》
2 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
3 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
1 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4 《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
2 《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》
4 《寓話の小道/Fabled Passage》
1 《平地/Plains》
1 《島/Island》
1 《山/Mountain》
1 《森/Forest》
 
sideboard (15)
1 《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》
2 《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1 《ポータブル・ホール/Portable Hole》
1 《希望の光/Light of Hope》
2 《霊気の疾風/Aether Gust》
1 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
1 《丸焼き/Fry》
1 《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
3 《神秘の論争/Mystical Dispute》
2 《光輝の炎/Radiant Flames》

画像11

 実は「フォーゴトン・レルム探訪」前からこっそり流行っていたのがこのデッキ。メタゲーム上でもそこそこの率を占めていますが、取り上げるタイミングがなかったのでここで紹介しておきます。

 4色オムナスと《ジェスカイの隆盛》のハイブリッドデッキです。基本はマナ加速から《オムナス》を叩きつけ上陸能力を誘発させていく形ですが、フィニッシュを重いスペルに頼らずに《ジェスカイの隆盛》+《森の目覚め》で行う形が異なります。

 《オムナス》の制圧力は言わずもがなですが、これと《ジェスカイの隆盛》コンボが同時に襲ってくるのはさすがに恐怖そのもの。コンボ成立を阻止しようとすれば《オムナス》に蹂躙され、《オムナス》に対処しても《隆盛》でアドバンテージを稼がれ、と、非常に対処の難しいデッキに仕上がっています。

画像12

 使い勝手の良いドローやマナ加速が2マナ域に集中しており、安定して《オムナス》を送り込めるようになったのが大きな変化です。

画像13

 加えて本リストでは、他のフォーマットを軒並み締め出されたスーパードローカード《宝船の巡航》も使用されています。ドローソースやルーターで墓地が肥えやすいため1マナでキャストするのも簡単ですし、墓地が肥えていない場合も《オムナス》のマナを注ぎ込むことでドローが容易になります。

 今まではパイオニアのチェイン系コンボはロータスコンボのみ。ロータスコンボは達成スピードが速い一方で、デッキの性質上、クリーチャーでの攻撃や過度の妨害を受ける心配はありませんでした。(たまに《バラル》が殴ってきたりはしますが)

 しかし今回の隆盛コンボは《オムナス》によるライフゲインや除去にも対応していかなければなりません。また、サイドボードから《不屈の追跡者》や《ハイドロイド混成体》が飛び出してくることもあり、サイドボード後のコンボ対策判断が難しいのも特徴です。

 いずれにしても、今最も警戒すべきデッキとして、対戦する準備を整えておいた方がいいでしょう。通常《ジェガンサ》を相棒指定していることが多く、見えたらこのデッキを想定したキープを心掛けましょう。

■注目デッキ2:青白《アーティファクトの魂込め》

DARKESTMAGE (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12326164 ON 08/07/2021
 
creature (17)
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 《ジンジャーブルート/Gingerbrute》
1 《ギラプールの希望/Hope of Ghirapur》
4 《巧妙な鍛冶/Ingenious Smith》
4 《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
 
instant (1)
1 《頑固な否認/Stubborn Denial》
 
artifact (14)
3 《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
3 《ポータブル・ホール/Portable Hole》
1 《影槍/Shadowspear》
1 《ガラスの棺/Glass Casket》
2 《ウォーターディープの黒杖/The Blackstaff of Waterdeep》
 
enchantment (7)
3 《きらきらするすべて/All That Glitters》
4 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
 
land (21)
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
2 《変わり谷/Mutavault》
1 《宝物庫/Treasure Vault》
4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4 《連門の小道/Hengegate Pathway》
4 《産業の塔/Spire of Industry》
1 《マナの合流点/Mana Confluence》
1 《平地/Plains》
 
sideboard (15)
1 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
2 《浄光の使徒/Apostle of Purifying Light》
2 《静寂をもたらすもの/Hushbringer》
1 《希望の光/Light of Hope》
2 《頑固な否認/Stubborn Denial》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《ひっかき爪/Scrabbling Claws》
2 《敬虔な命令/Devout Decree》
1 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》

画像14

 しばらくメタゲーム上への浮上がなかった《アーティファクトの魂込め》デッキですが、久々に強化され日の目をみることになりました。追加の《魂込め》こと《ウォーターディープの黒杖》が追加されたからです。

 サイズは少し小さくなりましたが、繰り返し使える《魂込め》はまさにこのデッキの求めていたもの。クリーチャーへの対処か、《黒杖》を先に対処するかの悩ましい二択を迫ります。そもそも攻めるスピードがパイオニアでもトップクラスのデッキのため、対処が間に合わずそのまま20点を削られてしまうこともしばしばあります。

 アゾリウス型、青単型、イゼット型などがありますが、主流はアゾリウス型です。《きらきらするすべて》が採用できるだけでなく、新戦力の《巧妙な鍛冶》の存在が大きいようです。

画像15

 アドバンテージを供給しながらぐんぐん育つ非アーティファクトのアタッカーになり、また《ポータブル・ホール》を探しだすこともできる器用さが見出され、後期リストでは4枚採用型が主流となりました。

 あと、地味ですが《宝物庫》はアーティファクト・土地として追加の《ダークスティールの城塞》として使えるほか、「爆発」させることで《きらきらするすべて》の打点を上げることもできます。

画像16

 《羽ばたき飛行機械》の代わりに、新カード《シルヴァー・レイヴン》を採用して安定性を高めるリストもありますが、こちらの採用は少数派です。

 デッキリストはまとまらず、また《ポータブル・ホール》や《岩への繋ぎ止め》の流行で最近は少し低調気味になってしまいましたが、爆発力に継戦能力がプラスされバランスの良いデッキに仕上がっています。黒単とは違った対処が必要になりますので、対策は怠らないようにしましょう。

■注目デッキ3:グルール《バード・クラス》

BILLSIVE (14TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12326164 ON 08/07/2021
 
planeswalker (10)
4 《ボーラスの壊乱者、ドムリ/Domri, Anarch of Bolas》
2 《アーリン・コード/Arlinn Kord》
4 《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
 
creature (18)
3 《造命の賢者、オビア・パースリー/Oviya Pashiri, Sage Lifecrafter》
2 《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》
4 《終わりなき踊りのガリア/Gallia of the Endless Dance》
3 《悪魔牙のノール、ターグ・ナール/Targ Nar, Demon-Fang Gnoll》
3 《語りの神、ビルギ/Birgi, God of Storytelling》
1 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
1 《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》
1 《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
 
artifact (4)
4 《モックス・アンバー/Mox Amber》
 
enchantment (8)
4 《バード・クラス/Bard Class》
4 《ニッサの誓い/Oath of Nissa》
 
land (20)
4 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
4 《山/Mountain》
4 《森/Forest》
 
sideboard (15)
1 《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》
1 《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
1 《秘密を知るもの、トスキ/Toski, Bearer of Secrets》
2 《高山の月/Alpine Moon》
1 《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
1 《引き裂く流弾/Rending Volley》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1 《削剥/Abrade》
2 《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》
3 《神々の憤怒/Anger of the Gods》

画像17

 ヒストリックでもちらほら試されている《バード・クラス》のパイオニア版です。カードプールが広い関係で(最近はそうでもなくなってきましたが)、相性のいいカードが多分に含まれています。

 基本は《バード・クラス》設置→Lvアップから《終わりなき踊りのガリア》《悪魔牙のノール、ターグ・ナール》の「タダ出し」を狙いに行きます。《オビア・バースリー》《鐘突きのズルゴ》はタダ出し要員としても、序盤の戦力としても上々です。また《ニッサの誓い》がフリースペルと化す点も見逃せません。

画像18

 本骨頂はやはり《歓楽者ゼナゴス》設置時の爆発力です。タダ出しからクリーチャーを並べ、忠誠度+1能力でマナを増加させ、手札をダンプしたり《ターグ・ナール》や《ロナス》、《オビア・バースリー》の起動型能力につぎ込む動きはもはやソリティアレベル!

 《バード・クラス》のLv3まで達成してしまうともはやお祭り。ライブラリーのうち36枚が伝説のスペルであり、ほぼ無限にスペルを唱えることができます。これは、このデッキが全体除去に耐性があることを意味します。

 他にも《ドムリ》を実質タダで出せたり、《ビルギ》を両面で展開して(裏面も(4)で唱えられます)アドバンテージを稼ぎに行ったり、見た目以上にトリッキーな動きが可能です。

 手札が噛み合わないと一瞬で負けたりしますが、うまく回った時の爽快感は病みつきになること間違いなし。ぜひ一度お試しください!

■注目デッキ4:セレズニアエンジェル

TUNAKTUNAK (6TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12323796 ON 07/31/2021
 
creature (28)
4 《天界の語り部/Speaker of the Heavens》
4 《翼の司教/Bishop of Wings》
4 《若年の戦乙女/Youthful Valkyrie》
4 《金属ミミック/Metallic Mimic》
4 《輝かしい天使/Resplendent Angel》
4 《正義の戦乙女/Righteous Valkyrie》
4 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
 
instant (4)
4 《集合した中隊/Collected Company》
 
artifact (4)
4 《高貴なる行いの書/The Book of Exalted Deeds》
 
land (24)
4 《変わり谷/Mutavault》
4 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4 《枝重なる小道/Branchloft Pathway》
8 《平地/Plains》

sideboard (15)
3 《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》
2 《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》
1 《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
3 《形成師の聖域/Shapers' Sanctuary》
3 《石の宣告/Declaration in Stone》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《障壁突破/Barrier Breach》

画像19

 MTG Arenaで開催されている「Standard 2022」の禁止カード・《高貴なる行いの書》。対象の天使を《白金の天使》化する起動型能力を持ちますが、《不詳の安息地》をクリーチャー化した状態で《高貴なる行いの書》を起動することで、土地破壊が行えないデッキが事実上勝利不能になるコンボが実現可能です。

 パイオニアでもスポイラー発表当初から危険視されていました。クリーチャー化するコストが安い《変わり谷》があるため、コンボが最速4ターン目に決まってしまうからです。

 案の定、そのコンボを内蔵したリストが登場し、7/12のPioneer Challengeでは優勝しています。

画像20

 基本的には《集合した中隊》を絡めた天使部族デッキですが、前述のコンボが内蔵されています。1マナ域は《天界の語り部》のみですが、基本的にライフゲインが基軸になっているため、放置はできない強力なシステムクリーチャーです。《正義の戦乙女》《翼の司教》との組み合わせであっという間にライフ27を突破します。

 《高貴なる行いの書》によって、ライフゲインによって天使トークンが生み出され、さらに戦場に出た際のライフゲインが……という粘り強さを得ています。この中に「白金の天使コンボ」が加わってくると、対処が非常に難しくなります。全体除去の返しにコンボ起動、が一番厄介なパターンです。

 それさえケアしていれば「ライフゲインのあるアグロ」でしかなく、アドバンテージ獲得方法も少ないため、全体除去を用いれば、そこまで攻略の難しい相手ではありません。

画像21

 また、コンボ達成後も《変わり谷》を破壊したり《変わり谷》の能力を失わせることでも対処が可能で、ロータスコンボ対策にもなる《廃墟の地》や《高山の月》、5色エニグマに採用されている《石成の荒廃》などでも後から対処可能です。

 当初はある程度の入賞を記録していましたが、後半はネタが割れてきたため、目立った成果は残せていません。

 ただし、警戒を怠ると一気に「詰み」になってしまいますので、環境にこのデッキが存在する事実だけは必ず頭の片隅に入れておいてください。

■終わりに

 「フォーゴトン・レルム探訪」からは主にアグロを強化するパーツが複数採用されていますが、その一方で対アグロ性能の高い汎用除去《ポータブル・ホール》の存在感が光っています。パイオニアの新標準になれるかどうか、要注目です。

画像22

 早いもので、9月中旬には「イニストラード:真夜中の狩り」がオンラインリリースされます。既にプレビューが始まっていますが、《滅びし者の勇者》《火遊び》《冥府の掌握》《考慮》など軽いスペルが見えていて、どれも間違いなく採用され得るスペックです。(これで「パイオニアの高級《ショック》」こと《乱撃斬》ともおサラバ、でしょうか……?)こちらのプレビューも楽しみにしたいですね。

 それではまた。

※更新モチベーション維持のため、サポートでご支援いただければ大変ありがたく思います。ぜひ記事末尾の「気に入ったらサポート」からご支援をよろしくお願い申し上げます。

原則、全記事全文無料で公開していますが、モチベーション維持や更新頻度の向上、家族サービス費用、コンテンツ精度の確保等のため、あなたからのサポートを随時お待ちしております。たとえ少しずつでもご支援いただければ、これほど嬉しいことはありません。よろしくお願いします!