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【拙訳】禁止改訂後に輝く6つのローグデッキ by Adam Yurchick(TCGPlayer Infinite)

 パイオニアの記事です。少し前の記事(1週間前)ですが、TCGPlayer InfiniteのAdam Yurchick氏が、禁止改定後のPioneer Challenge/ Preliminaryの結果を受けて、今後活躍が見込まれるデッキ6種の解説を行っています。

 拙筆「パイオニア環境分析のつもり」と内容は重複しますが、より権威あるサイトの記事ですので、参考になること間違いなしです。パイオニアについてまとめているサイトも少ないので、情報に飢えている方はぜひ。

↓こっそり更新した昨日の記事はこちら↓

 本記事ですが、一応有料記事扱いにはしてありますが、全文無料で読めます。筆者をサポートしていただける心の広い方はぜひご購入をお願いいたします。

Six Rogue Pioneer Decks that Got Better After the Bans
Adam Yurchick 8/20/2020 10 min read


■はじめに

 8月初旬に発表されたパイオニアの大々的な禁止改訂は、フォーマットを牛耳るコンボデッキを軒並み追放し、メタゲームを一から作り直す、という約束を果たしてくれました。目下最も人気があり成功しているデッキは、《ニヴ=ミゼット再誕》から莫大なアドバンテージを生み出す「5色ニヴミゼット(原文:Five-Color Niv to Light)」と、《二クスの神殿、ニクソス》により爆発的なクリーチャーとPWの展開を行う「緑単信心(原文:Mono-Green Devotion)」です。


 これらのデッキの存在感が大きいにも関わらず、これら二つを合わせてもメタゲームの25%未満であり続け、他の多種多様な戦略のために多くの余地を残しています。その中にはスピリット、ジェスカイ《創案の火》、黒単アグロ、ボロスバーン、そして新しいデッキであるナヤウィノータなどの新しい候補が含まれていますが、まだまだ十分な余地が残されています。

 禁止措置によってメタゲームのフィールドに余裕ができ、いくつかの新しい戦略が浮上しました。いくつかのデッキは環境初期に成功を収めたことで、メタゲーム上位を脅かす存在になりつつあります。


■ジャンドサクリファイス

 その代表的な例は《ボーラスの城塞》を中軸に据えたジャンドサクリファイスです。スタンダードにおける《大釜の使い魔》禁止改訂前のデッキに近いですが、パイオニアのカードプールに適応した形になっています。

PIONEER Jund Aggro
4th Place at MTGO Pioneer Challenge - 08/16/2020
By katuo079595

Main Deck · 60 cards
creatures | 32 cards
4《膨れ鞘/Blisterpod》
4《地下墓地の選別者/Catacomb Sifter》
2《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4《金のガチョウ/Gilded Goose》
2《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4《波乱の悪魔/Mayhem Devil》
4《忘れられた神々の僧侶/Priest of Forgotten Gods》
4《悲哀の徘徊者/Woe Strider》
4《ズーラポートの殺し屋/Zulaport Cutthroat》
 
spells | 8 cards
4《ボーラスの城塞/Bolas's Citadel》
4《集合した中隊/Collected Company》
 
lands | 20 cards
4《血の墓所/Blood Crypt》
4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1《森/Forest》
3《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
3《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 
sideboard · 15 cards
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
3《致命的な一押し/Fatal Push》
2《グルールの魔除け/Gruul Charm》
4《思考囲い/Thoughtseize》
2《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》

 サクリファイス戦略はメジャーになり、パイオニアでも素晴らしいシナジーを形成します。デッキの中核となる《波乱の悪魔》だけでなく《ズーラポートの殺し屋》も生け贄を火力変換できます。《地下墓地の選別者》もまた優れた能力を持ち、占術能力で《ボーラスの城塞》の連打モードの下地を整えます。《地下墓地の選別者》と《悲哀の徘徊者》によってデッキトップをコントロールし、《ズーラポートの殺し屋》でライフを得ながら、それを燃料にコンボのような動きを発揮します。《膨れ鞘》まで絡めば相手はターンを迎えることなくライフを失うでしょう。

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 そのターン中にとどめをさせなくても、《金のガチョウ》や《忘れられた神々の僧侶》での加速クリーチャーから《ボーラスの城塞》によって生み出されるカードアドバンテージは膨大です。《集合した中隊》はカードアドバンテージを得られるもう一つの手段で、デッキを掘り下げキーカードを見つけ出す役割は非常に重要です。パイオニアの主要アーキタイプに含まれないカードの中では最も強いカードの1枚と言えるでしょう。

 ジャンドサクリファイスは、環境初期のパイオニアリーグおよびプレリミナリーにおいて優秀な成績を収めました。先週末の両方のパイオニアチャレンジにおいてTOP8に滑り込み、ハイレベルのプレイヤーからも注目を集めました。「LSV」ことLuis Scott-Vargasは先週末のPioneer MOCS Finalsでこのデッキを使いましたが、MPLストリーマーの「kanister」ことPiotr Glogowskiが2色バージョンに調整し10位に入賞したことも知られています。

Golgari Stompy
By kanister

Main Deck · 60 cards
creatures | 30 cards
2《膨れ鞘/Blisterpod》
4《地下墓地の選別者/Catacomb Sifter》
4《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4《ラノワールの幻想家/Llanowar Visionary》
4《忘れられた神々の僧侶/Priest of Forgotten Gods》
4《悲哀の徘徊者/Woe Strider》
4《ズーラポートの殺し屋/Zulaport Cutthroat》
 
spells | 8 cards
4《ボーラスの城塞/Bolas's Citadel》
4《集合した中隊/Collected Company》
 
lands | 22 cards
4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
3《森/Forest》
4《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
3《沼/Swamp》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
2《森林の墓地/Woodland Cemetery》
 
sideboard · 15 cards
1《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》
1《無情な行動/Heartless Act》
1《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1《異端の癒し手、リリアナ/Liliana, Heretical Healer》
2《残忍な騎士/Murderous Rider》
1《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited》
1《空殴り/Skylasher》
3《思考囲い/Thoughtseize》
2《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
2《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》

 このアーキタイプはメタゲームの5%を占め、5番目に人気のデッキとなっています。この傾向が続けば、パイオニアの主要アーキタイプの一角を占めることになるかもしれません。

■ティムール再生

 もうひとつ、スタンダード発の戦略としてティムール再生もパイオニアに登場しました。《荒野の再生》の驚くべきパワーはスタンダードで禁止措置となるレベルであり、他のフォーマットにおいても注目されました。ティムール再生は、青いインスタントカードが充実するモダンで最初に頭角を現しました。そして今日、先週土曜日のパイオニアチャレンジで優勝したのです。

PIONEER Temur Reclamation
1st Place at MTGO Pioneer Challenge - 08/15/2020

By wkmidori
 
Main Deck · 60 cards
creatures | 3 cards
3《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
 
spells | 29 cards
1《霊気の疾風/Aether Gust》
3《神々の憤怒/Anger of the Gods》
4《検閲/Censor》
1《薬術師の眼識/Chemister's Insight》
4《発展/Expansion》 // 《発破/Explosion》
4《成長のらせん/Growth Spiral》
4《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《中和/Neutralize》
3《サメ台風/Shark Typhoon》
4《荒野の再生/Wilderness Reclamation》
 
lands | 28 cards
2《爆発域/Blast Zone》
4《繁殖池/Breeding Pool》
3《ヴァントレス城/Castle Vantress》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
1《森/Forest》
2《島/Island》
4《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
1《山/Mountain》
3《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4《蒸気孔/Steam Vents》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
 
sideboard · 15 cards
3《霊気の疾風/Aether Gust》
1《霊気渦竜巻/AEtherspouts》
1《薬術師の眼識/Chemister's Insight》
1《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
2《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
3《否認/Negate》
3《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
1《サメ台風/Shark Typhoon》

 序盤の打ち消しを担う《検閲》は、中盤以降はサイクリングで土地を伸ばしつつキーカードを探しにいけます。《神秘の論争》は5色ニヴミゼットや他のコントロールデッキに劇的に刺さり、他のデッキに対しても3マナの《マナ漏出》と悪くない働きをします。

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 強力な打ち消しを多数擁するモダンのアプローチを取ることは難しいため、パイオニアバージョンはスタンダード時代のそれと似通ったデッキ構成になります。すなわち、《荒野の再生》で生み出したマナを《発展//発破》や《サメ台風》で活かすアグレッシブなプランとなります。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》はデッキの回転を良くするとともに、クリーチャーデッキに対してはライフ供給源かつ強固な壁となり、またコントロールに対しても無尽蔵のアドバンテージを生み出す手段となります。

 スタンダード禁止前のバージョンに非常に似通っていますが、パイオニアにおいては《荒野の再生》自体が無警戒であり、このデッキは効果的でした。パイオニアチャレンジの優勝後、プレリミナリーにおいて4-1入賞を複数回果たすデッキとなり、もはや意識されていないとは言えません。以前のスタンダードや現在のモダンのように、入賞回数は日に日に増えていくでしょう。レガシーでも注目しておくといいかもしれません。


■エスパーヨーリオンコントロール

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 真新しいアーキタイプではありませんが、6月の相棒ルール変更後においては、メタゲームの主流には存在しませんでした。8月の禁止改訂の直前まで、コンボへの対抗手段のために黒をタッチして《思考囲い》《思考消去》を打ちこむぐらいしかなく、メタゲーム上位デッキに対し苦戦を強いられていました。しかし今では、ハンデスはトップメタの5色ニヴミゼットや緑単信心に効果的で、アグロデッキにも強い側面があります。パイオニアチャレンジの土・日ともにトップ4に入賞、復活したと言えそうです。

PIONEER Esper Control
By billsive
 
main deck · 80 cards
creatures | 5 cards
2《残忍な騎士/Murderous Rider》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
 
spells | 40 cards
2《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
4《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
1《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
4《至高の評決/Supreme Verdict》
2《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
4《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
4《思考消去/Thought Erasure》
4《思考囲い/Thoughtseize》
3《野望の試練/Trial of Ambition》
 
lands | 35 cards
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
1《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2《島/Island》
4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
2《平地/Plains》
2《沼/Swamp》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
sideboard · 15 cards
1《戦慄衆の指揮/Command the Dreadhorde》
2《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
1《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
4《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
3《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
1《空の粉砕/Shatter the Sky》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》

 このリストの一番の特徴的な戦略は、相棒指定の《ヨーリオン》をメインデッキに3枚投入しているところです。デッキ全体が《ヨーリオン》のプレイを前提としてデザインされていて、エンチャントやPWを明滅することでアドバンテージを得られるためです。

 《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》に加え《海の神のお告げ》も加わり、十分なドローソースによってコントロールとのマッチアップも安定し、また《ヨーリオン》でそれらを再利用することでゲームを決定づけます。

 アグロデッキに対しては《ケイヤの誓い》と《野望の試練》が効果的で、《致命的な一押し》と《至高の評決》を合わせるとクリーチャーデッキはひとたまりもありません。《エルズペス、死に打ち勝つ》は汎用除去としてすべてのデッキに効果的なマスターピースです。《ヨーリオン》との相性が最高なだけでなく、クリーチャーを釣り上げることで更なる価値を生み出します。

 周囲の環境を見渡した際、禁止改訂後においてエスパーコントロールが復権したことは至極当然でしょう。メタゲームが再形成されるにあたって、コントロールデッキはターゲットを明確にし、そこに向かって適応するよう内容を変えていきます。2枚の《残忍な騎士》をメインに据えたのもその一例で、緑単信心のプレインズウォーカーへ対処するという明確な意思を表しています。

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 コントロールデッキにおいてサイドボードへの依存度は高いものです。4枚の《墓掘りの檻》がそれを象徴していますが、その用途は多岐に渡ります。表面上、黒単アグロの復活生物――《血にまみれし勇者》《戦慄の放浪者》そして《屑鉄場のたかり屋》――には有効に見えますが、それだけに留まりません。ジャンドサクリファイスの《集合した中隊》だけでなく《ボーラスの城塞》、さらには《悲哀の徘徊者》の脱出も封じ込めます。

 コントロールに対するそうした最高のツールを封じ込めてしまえば、そうしたクリーチャーは貧弱となり簡単に封じ込められます。ナヤ・ウィノータにおいてもそうですが、《異界の進化》を封じる以上に、《軍団のまとめ役、ウィノータ》自身を単なる4/4に留めることがはるかに有用です。加えて、多くのデッキで使われる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を封じ込めるだけでなく、他の墓地活用デッキ――イゼットフェニックス、アブザンラリー、スゥルタイドレッジ、等、数は少ないですが――に対しても有効な、現在のメタゲームにおけるサイドボードの定番になっていくでしょう。


■ディミーアコントロール

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 禁止改訂後に皆さんが一番気になるであろう点は「ディミーアインバーターの後継にあたるデッキがどうなるか」です。インバーターは大きな成功を収めました。コンボが非常に効果的だっただけでなく、妨害要素、そして《時を超えた探索》のようなアドバンテージカードも有効に機能しました。禁止改訂後によく当たるデッキのひとつに、ディミーアインバーターのような、フィニッシュ手段をPWに置き換えたデッキがあります。デッキは当初強そうに見えましたが、大体は「妨害をしてくるだけで何もしないデッキ」だということが分かりました。アーキタイプとしての課題は、信頼に値する勝利条件を見つけることです。コンボに匹敵するものは見当たりませんが、確かな選択肢は多々あるでしょう。

 最も成功したと思えるデッキリストは、先週末の11位にランクインした次のデッキです。


PIONEER Dimir Control
5th Place at MTGO Pioneer Challenge - 08/16/2020

By Tiemuuu
 
Main Deck · 60 cards
creatures | 6 cards
2《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
3《氷の中の存在/Thing in the Ice》
 
spells | 30 cards
1《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
2《検閲/Censor》
1《塵へのしがみつき/Cling to Dust》
1《一日のやり直し/Day's Undoing》
3《時を越えた探索/Dig Through Time》
2《取り除き/Eliminate》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
1《無情な行動/Heartless Act》
1《英雄の破滅/Hero's Downfall》
1《神秘の論争/Mystical Dispute》
4《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4《選択/Opt》
1《サメ台風/Shark Typhoon》
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
lands | 24 cards
2《詰まった河口/Choked Estuary》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
3《異臭の池/Fetid Pools》
1《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》
4《島/Island》
2《沼/Swamp》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
sideboard · 15 cards
3《霊気の疾風/Aether Gust》
1《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》
1《集団的蛮行/Collective Brutality》
3《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
1《絶滅の契機/Extinction Event》
1《軍団の最期/Legion's End》
3《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《否認/Negate》

 《氷の中の存在》をメインに据え、能力が誘発するよう多くのスペルを入れています。クリーチャーデッキに対して、除去を有効活用する手助けをしてくれます。戦場を支配するスタッツを持ちつつ、貴重な全体除去を兼ねています。2枚の《厚かましい借り手》も妨害兼クロックとして機能します。1枚差しの《ゲトの裏切り者、カリタス》《サメ台風》《悪夢の詩神、アショク》は1枚でプレッシャーをかけ、ゲームを締めくくります。

■ディミーアミッドレンジ

 ゲームに勝つというディミーアの問題を解決するための最適なアプローチとして、攻撃的なアプローチに切り替えることです。先週末のプレリミナリーで4-1を記録した次のリストは、主要な妨害要素を受け継ぎつつ、《時を超えた探索》のようなアドバンテージ源をクリーチャー群を中心としたカードに切り替えています。


PIONEER Dimir Midrange
By Phill_Hellmuth
 
main deck · 60 cards
creatures | 15 cards
4《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》
2《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
3《残忍な騎士/Murderous Rider》
2《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
4《正気泥棒/Thief of Sanity》
 
spells | 22 cards
1《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
2《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
2《集団的蛮行/Collective Brutality》
3《湖での水難/Drown in the Loch》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
4《思考消去/Thought Erasure》
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
lands | 23 cards
4《霊気拠点/Aether Hub》
2《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《異臭の池/Fetid Pools》
1《島/Island》
3《沼/Swamp》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
sideboard · 15 cards
2《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》
2《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2《永遠神の投入/Enter the God-Eternals》
2《軍団の最期/Legion's End》
2《害悪な掌握/Noxious Grasp》
1《ファリカの献杯/Pharika's Libation》
2《漂流自我/Unmoored Ego》


 《光袖会の収集者》や《正気泥棒》は、それへの回答がなければゲームを支配し得るカードアドバンテージ源となります。《思考囲い》《思考消去》のセットはその回答を先制して狙い打ち対戦相手の計画を乱し、《湖での遭難》によって彼らへの追加の妨害からクロックを守ることができます。《黄金牙、タシグル》はパイオニアでは珍しいですが、後半のカードアドバンテージを約束してくれます。

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 用途の多彩な《残忍な騎士》の環境的な立ち位置もよく、また《ゲトの裏切り者、カリタス》や《悪夢の詩神、アショク》もフィニッシャーとして十分です。こうした古き良きミッドレンジ戦略は、以前のパイオニアでは人気もなく成功もしませんでしたが、新たなメタゲーム上ではいい立ち位置にいると思います。

 最も惹かれるフィニッシャーは《悪夢の詩神、アショク》です。パイオニアではあまり見かけませんでしたが、このような戦略においては非常に優秀です。小型クリーチャーを毎ターンリソース消費なく生み出しながら、それ自体がカードアドバンテージやテンポ的な脅威を内包するため、他のプレッシャーに頼らずコントロールを追いこむことができます。

■ラクドス機体

 それ以外のミッドレンジデッキでひときわ目を引いた、プレリミナリーで4-1を収めたラクドス機体を見てみましょう。

PIONEER Rakdos Vehicles
By exoticherman
 
Main Deck · 60 cards
creatures | 22 cards
4《ボーマットの急使/Bomat Courier》
3《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
4《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》
4《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
3《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》
4《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
 
spells | 15 cards
3《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
2《キランの真意号/Heart of Kiran》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》
2《乱撃斬/Wild Slash》
 
lands | 23 cards
4《血の墓所/Blood Crypt》
4《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》
4《凶兆の廃墟/Foreboding Ruins》
11《山/Mountain》
 
sideboard · 15 cards
2《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》
2《戦慄掘り/Dreadbore》
2《強迫/Duress》
1《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》
1《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》
2《マグマのしぶき/Magma Spray》
3《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》
2《引き裂く流弾/Rending Volley》

 数年前のスタンダードを彷彿とさせるこのデッキ、往時のスタイルそのままで環境に適応しています。新戦力は《砕骨の巨人》そして《石とぐろの海蛇》、そして一世代前の《思考囲い》を手に入れ、よりパワフルになり、コンボの存在しないメタゲームにおけるミッドレンジデッキとして変身を遂げました。

■禁止改訂後の世界へ

 パイオニアは禁止改訂によって一気に新しい環境へと動き始め、メタゲームは日々進化し続けています。今のところの勝者は過去のメタゲームで鳴りを潜めていたデッキですが、本日紹介したデッキ群もまた、イノベーションの余地が十分残されていて、もっと活躍できる日が来ると期待しています。

Adam Yurchick

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